やまねこマッサージ

ねがうこと、ゆだねること

「リー・ミンウェイ展とその関係展

2014-11-30 | art
ティム・バートン展の上階では「リー・ミンウェイ展とその関係展」
をやっている。台湾出身でニューヨーク在住の人による現代アートな
んだけど見る、話す、贈る、書く、食べる、といった日常的な行為を
人との関係性をとらえなおす参加型だから難解さはない。

人との関係性から切り離された非日常的な体験をしたい、と思って
音楽やアートを体験する文脈からいくと、まったく逆。誰だってで
きそうなんだけど、ちょっとできないこと、そして美しさを内包し
た作品が続く。

プロジェクト・繕う 2009/2014
縫いたいと思っている洋服や人形などを持参すると、対話しながら
縫ってくれて、壁の糸巻きと糸で結び付けてくれる。会期中どんど
ん洋服や人形も増えるし、糸も増えるいっぽう。美しい作品だ。



石の旅 2012
全く同じ形の石が2つ並べて展示されている。 一つは作家がニュー
ジーランドの川で見つけたもの。 もう一つは複製を作ったもの。
この作品を購入する人は二つのうちどちらかを放棄しなければなら
ないというルールがあるそうだ。決定までの期限はないらしい。

そんなの聞いたことないw選んでいる間、ただの所有とは違って、
選択をする必要があるわけで、いろんなことを考えることを狙っ
た作品らしい。購入してからも続く・・



そういった作品の次にあったのが彼が関係性を考える上で影響を
うけたアーティストの紹介エリア。ここも面白かった。ここがあ
るから図録も買う。


白隠 隻手 18c

とくに禅に関して、白隠・今北洪川・鈴木大拙・久松真一の書や考
え方が紹介してあるのは渋い。

美術館で食事をするプロジェクト、一泊するプロジェクトなんての
もあって申し込んだけど、外れたみたいw

ひろがる花園  2009/2014
選んだ花を帰り道に出会った見知らぬ人に渡すというプロジェクト



布の追想  2006/2014
銀座資生堂ギャラリーでも2012年に行ったプロジェクト。ス
テージにある箱を一つ選んで開けると、作家がお母さんに作っても
らった手作りの品とその思い出の語りを見ることができる。



トレイラー映像

映画監督ティム・バートンの世界巡回展

2014-11-29 | art
昨日のミシェル・ゴンドリー展と同じく映画監督の
美術展なんだけど、「ティム・バートンの世界展」が
六本木・森アーツセンターギャラリーで、1/4まで。

世界巡回展というのも同じで、こちらは2008年ニュ
ーヨークのMoMAで約80万人が来場し、開館以来3
番目の入場者数という大記録を樹立。このサイト
まだ残ってる。彼の世界観だし、とっても面白い。

ミシェル・ゴンドリー展は参加型だし、実験的な要
素が強いのに対して、ティム・バートン展はある意
味オーソドックスな、美術展スタイル。

彼が少年時代から年代別に描いていた絵やスケッチ
が展示。まだ映画監督になれない時代にも、彼の世
界観の作品をたくさん描いていたことがわかり、凄
いなぁと思う。


Untitled (Little Dead Riding Hood) 1981

みんな丁寧に保管してあるのも、作家やなぁと思う。

ボツとなった映画のドローイング。どんだけ思いが
こもってるか、絵としての面白さや完成度は高い;


Untitled (Trick or Treat ) 1980

まして映画化に成功して、人気監督になってからも
絵は描き続けているし、スタッフが模型を作ってる
のも凄い。制作の準備に必要であっても、映画には
登場してないから。




映画監督ミシェル・ゴンドリー世界巡回展

2014-11-28 | art
映画監督ミシェル・ゴンドリーの巡回展がMOTで開催中。
2008年にニューヨークのダイチギャラリーで開催されて以
来、世界各地を巡回してて、東京にもやってくる。1/4まで。



目玉は、美術館で映画を作ろうとことで、いろんなセットが
置いてある。残念ながらこの日はやってなかったというか、
毎水曜日、土曜日、日曜日、祝日で開催してるんだから、ち
ゃんとチェックしていくんだった。


映画というよりテレビのセットみたい。ちゃちさがたまらない。

日本大学 映画学科の学生達が作成しはった紹介動画;



ビョークやケミカル・ブラザーズはじめたくさんのミュージ
ック・ビデオのさわりをたくさん紹介するコーナーがある。
懐かしくなると同時にちょっと消化不良になる。しまってあ
るDVDがみたくなる。



面白かったのが、20ドルの料金で希望者募って描いた「1000
人の似顔絵」。始めはニューヨークで仮設小屋の中にはいって
描いてたそうだ。次は写真を送ってもらって、似顔絵を描くプ
ロジェクトを始めたんだけど、応募殺到でまだ終わっていない。

そりゃ20ドルなら、ファンならずとも誰って。とても魅力的な
似顔絵なんやから・・



最後が2013年公開「ムード・インディゴ うたかたの日々」に
使われた小道具。これはまだ観てなかったんだけど、面白そう。


デューク・エリントンの「クロエ」がモチーフらしい。


「雲」ってタイトルだけど、操縦できる乗り物みたい。

かわせみ座・座長 × ロバの音楽座・座長

2014-11-27 | art
独創的な人形を作り操るかわせみ座・座長の山本由也さんが
連続11夜で、毎晩異なる人達と組むパフォーマンスを行う。
第9夜の相手がロバの音楽座・リーダーの松本雅隆さん。

一夜限りなので、どんなものかと楽しみに、東中野のポレポ
レ坐へ向かう。地下の映画館のほかに、1階奥に80名位収容
の箱があるのは知らなかった。

東中野にあって、カルチャー発信基地としてユニークな存在。
オーナーの本橋成一さんは写真家・ドキュメンタリー映画作
家。江戸時代から続く名家で、お爺さんが始めた本屋が再開
発で立退きになる際、建てたビルだとか。



松本さんならびにロバの音楽座は楽曲の提供や演奏をかわせ
み座の3つのプログラムに行っているので、お互いの勝手を知
った仲。

とはいえロバハウスや青山円形劇場でジョイントをしたのは
かなり前だったので、とても新鮮。それ以上に、松本さんが
ソロで出演することはまず無いからむちゃくちゃ貴重w



舞台と観客を囲む四方の壁に、山本由也さんが制作してきた
数々の人形が並んでいる。松本さんの音楽が始まると、それ
にインスピレーションを得た由也さんが人形を選ぶ。

どんな動きが始まるか、即興舞台がもつ緊迫感が、人形と音
楽で和らいだり、笑いになったり。写真は、こちらより。

目黒・吉田茂首相の公邸

2014-11-26 | 歴史
昨日に引き続き、都庭園美術館のことなんだけど、
第二次大戦後、吉田茂首相の公邸だったことを知る。

今回のリニューアルオープンに関して、贅沢なニュー
スが数号発行されているんだけど、準備号の2号。

俳優の渡辺謙さんが、2012年のNHKドラマ「負け
て、勝つ」で吉田茂首相を演じるなかで、この建物
でロケをしたことを回想してはる。

世界と向き合う、ある意味戦う心根みたいなもの、
エネルギーみたいなものを養うには、これぐらい
のスケールがある場所が必要だったんじゃないか。

1947年[昭和22年]-1954年[昭和29年] 政府が
借り受け、吉田外相・首相公邸として使用される,と
庭園美術館の記録にはある。



御厨貴教授の著作『権力の館を歩く』を紐解くと、

戦後すぐの朝香宮の窮状を見かねた昭和天皇の
示唆もあり、幣原内閣外相時代の吉田が借り上
げを決定し、新憲法下の第二次吉田内閣以来六
年間、「外相官邸」「外相公邸」「首相公邸」
といくつもの名称を持つ吉田の権力の館であり
権力者の館となった。


昭和26年8月

この館はすべてが吉田好みであった。とりわけ
吉田が好んで使った二階の書斎と居室、一階の
次室・小客室・大広間・大客室・大食堂は、す
べてフランス人の内装によるものである。


昭和27年11月 令嬢麻生和子さんと

首相官邸(近年新しくなる)に住めるわけなけ
ないし、興味はないけど、都庭園美術館に住め
るのなら話は別。って誰も住めるわけないがw

写真は『写真集 吉田茂』からで、朝日新聞社の
写真部長をされた吉岡専造さん。

復元リニューアル・都庭園美術館

2014-11-25 | art
目黒の東京都庭園美術館がこの22日にリニューアル
オープン
。3年間の改修工事だったので、久しぶり。
内外装をやり直し、壁紙から家具に至るまで復元が
なされる。



それが新築の様な真新しさや匂いもない。かなりの
技術が投入されたことが一目で感じられる。1933
(昭和8)年竣工当時にかなり近づいたそうだ。

内藤礼さんの手のひらより小さな彫刻人形11体があ
ちこちの部屋に飾られていたそうだけど、気付いたの
は半分位w(写真はこちらから)



主役が建物、ということに呼応したような新作。朝香
宮のご家族が様子を見に来たようでもあり、観客の一
人として訪問したようでもある。休日だったので撮影
は不可だけど、平日ならいいそうだ。

都庭園美術館は何度となく来たけれど、展示作品を見
るのが主目的だったので、今回は平面図と見比べなか
ら、誰の部屋だったか確認したり、開かずの間はスタ
ッフに聞いたりした。

1階はパブリックで、2階が住居スペースだったことな
ど改めて認識する。ラジエータに施された装飾も凝っ
たもの。日本の伝統的な文様もあれば、アールデコの
時代に流行ったモチーフもあったり、和洋がはいった
ものも。


ルネ・ラリックのデザインによるラジエーター

天井や壁にある通気口もよかった。 特に天井にある
通気口は照明デザインと一体化してて今まではそれが
通気口とは思いもしなかった。(写真はこちらから)



新館はホワイトキューブが2部屋、カフェ・ショップ
が新たに作られていた。設計・監理:東京都財務局・
株式会社 久米設計だからではないけど、アート的に
言うならば、保守的な方針がだされたんだろう。

アドバイザーに入られた美術家・写真家の杉本博司さ
んもその方針に従われたと思う。アートの世界からみ
ると、オープン性や、意外性、参加性といったものは
希薄。旧館との連動性でありホワイトキューブ空間を
作ることが主眼だった気がする。

ベンガルと東北の刺子展・民藝館

2014-11-24 | カルチャー
本ブログの更新が遅れ気味。 淡路島や京都への出張が
あったりしてズルズルと。即時性の強いものはそんなに
ないからと追っかけながら書いてるけど、この企画展は
とてもよかったのに今日11/24までだから書いておくね。

駒場の民藝館でベンガル地方と東北の刺子展をやってる
んだけど、ベンガル地方の刺子のことをカンタって呼ぶ
そうなんだけど、これが素晴らしい。



ちらちらと実物や写真では見たことがあったんだけど、
これだけまとまって、祭礼用の実物を見たのは初めて。

婚礼や儀式のとき床に敷かれ、花嫁や花婿、
参列者が周りを取り囲むように座ってそれを
愛でます。

掛け布団用とかはもっとサイズは大きく、柄もこんなに
コラないそうだ。

中央に蓮の花を、四隅にペーズリーをいれるの
を基本とし、生命の樹や花、魚、馬、象、虎、
孔雀、蛇などの動植物をはじめ、神様を乗せて
練り歩く祭りの山車やハサミ、ナッツカッター
など身辺の品々まで生き生きと描かれています。



楽器あり列車あり、宗教的なものもなにもかもみんな
祈りとともに縫い込まれてある様だ。基本は女性が一
人でつくり上げるそうだ。

19世紀と20世紀のがあったけど、気に入ったのはいずれ
も前者のもの。



今回のカンタ・コレクションは自由が丘にある岩立フォー
クテキスタイルミュージアム
からの選りすぐり70点。代表
の岩立広子さんが初めてカンタに出会ったのは1970 年代。

これこそ自分の求めていたものだと感激

以来インド通いが続き、世界的にも類がないコレクションに
なったとか。カンタに限らないそうだけど。その自由が丘の
ミュージアムもいつか行ってみよう。

東北の刺子はカンタに比べれば、見慣れた感が強いけど、と
ってもいい柄のものがたくさんあった。

大きな地震は冬が多い?

2014-11-23 | 環境
白馬村を中心とした長野県北部で地震が起こる。報道以上の
ことを知ってるけではないけど、11/22 22:08頃、震度6弱。
マグニチュードは6.7と大きいんだけど、震源の深さが5キロ
と浅かったからか、被害が局地的。


こちらの震央分布図より

助け合いのコミニティーがしっかりしていたので死者もなか
ったことが繰り返し報じられている。とはいえ、この寒い中、
余震も多いそうだし、無事を祈ります。

大きな地震は冬が多い?

311はもちろん、兵庫県南部地震は1/17、中越地震(M6.8)は
10/23。安政時代の二つの巨大地震も、1944年と1946年の
昭和の二つの巨大地震も12月だし。

でも、関東大地震は9/1やなぁ。世界最大級といわれるチリ大
地震は1960年5/22か。検索してみると、日本において冬とは
限らないって統計をだしたブログがあった。

M7.0以上、もしくはそれ未満でも人的被害が大きかった
地震(以下、大地震)を、7世紀から21世紀まで(西暦
679年から2011年まで)抽出

発生した月日がわかっている209件の月分布からは、12の
月にほぼ均等に分散していた。すなわち、「大地震は寒候
期に多い」という仮説は支持されなかった。

とのこと。なるほどね。それでも最近は冬が多い気もする、とま
だ思いつきにこだわろうとするwまたこのブログ氏によると、

平均すると6~7年に1回は起きている計算となるが、実
際は静穏期と活動期に別れる。

今は活動期というのは間違いない。311によって圧力や歪が日本
列島にかかったままだという話は、今回の長野北部地震でも何度
となく聞く。


2011年3月12日の朝日新聞記事より

また大地震は6~7年に1回起きるっていうのも、留意したい。そ
れくらいの頻度で歴史的に起こってるのは確か。

スーパー台風の構造・NHKスペシャルより。

2014-11-18 | 環境
昨日に引き続き、NHKスペシャルの再放送のこと。「巨大災害 MEGA 
DISASTER 地球大変動の衝撃 第2集 スーパー台風 "海の異変"
の最悪シナリオ」の再放送も見る。

巨大地震に比べ、スーパー台風の方がはるかに理解しやすかった。馴染みが
あるってことだろうか。かなりのことが知られているってこともあるし、新
事実もわかりやすかったからかも。



常に動いている偏西風が太平洋地域の温度上昇によって、動きが止まったこ
とで、世界各地における異常気象を引きおこしているっていう話も驚きだっ
たけど、一番は深海の温度上昇が急速に起こっていること。

平均気温や海面水温の上昇が、ここ10年は止まっているという前フリによ
かったと、一瞬思わさせる。この状況を専門家たちは「ハイエイタス」と呼
んでるそうだけど、大変な事が起こる前触れではないかと考えられている。



というのも、水深700mより深い深海の水温は、ハイエイタスが始まった
2000年頃から水温の上昇が加速。温暖化によって生じた新たな熱が深海に
吸収されたため、気温の上昇が止まっていると考える専門家もいるそうだ。

それはまずいのでは。太陽の影響が大きいから、地球寒冷化の可能性だって
あるかも、って思ってたけど、それはなさそうだ。



深海の温度上昇にともない、スーパー台風が生まれているという説明を科学
者たちが行っていた。台風が勢力を増大させても、冷やして弱体化する働き
が冷たい深海にあったそうだ。

台風が海をかき混ぜながら移動することによって、深海の冷たい海水が表面
に上がって、勢力を削ぐというか弱体化させているんだね。


このイラストはこちらから。

それが 深海の温度が上昇しているためにクールダウンさせることができず、
台風の勢力が弱体化するどころか、勢力を増してスーパー台風となるという
最近の現象を説明されていた。

フィリピン、バングラデッシュ、フロリダ、そして日本の最近の巨大台風は
上陸するあたりで勢力を増す。そのフィリピンのスーパー台風「ハイエンは
2013年11月、フィリピンに上陸。史上最大規模といわれ、死者1万人以上
の犠牲者がでたそうだ。



ご冥福をお祈りします。対岸の火事どころか一衣帯水。毎年史上最大規模の
台風が起きていくのでは、しばらくは。

地震と地中の構造・NHKスペシャルより。

2014-11-17 | 環境
NHKスペシャルとして9/20に放送された「巨大災害 MEGA 
DISASTER 地球大変動の衝撃 第3集 巨大地震」が
BSで11/17に再放送されたのを見る。

311の巨大地震がなぜ起きたか、そのメカニズムについて科学者
達の最新研究の成果だ。地下というか地球内部の構造に光があて
られつつある。ふだん考えもしないこと満載やった。

冒頭、日本は世界最大の地震国で地震の10%以上が日本で起こる、
ということを再認識させられる。


1700年以降に起きた、世界でのM9.0相当の発生時期と場所

地球のプレートの数は12枚。地震の大半はプレート境界で起こる
そうだけど、そのうちなんと4枚も日本に関わっていること。


この図はこちらから

地震波トモグラフィーという地球内部を地震波を用いて観察する
方法が確立しつつあるそうで、ちょうど人体をコンピュータ診断
するように、地球内部の立体構造を明らかにしながら地震との関
係を研究している。



地震波トモグラフィーによって、固い地殻(青い部分)で大地震が
おきること、固い地殻は地球深くマントルまでつながっていること、
その一部がマントルに落ちることで、マントルが放射されて対流す
るという循環が生まれている。



壮大な規模の話。地殻といいプレートといい大地の確からしさが消
え、マントルやらの対流に浮いてる儚さを感じたりもする。

よくわからないのが地震との関係。番組でも紹介されていた、海洋
研究開発機構。そのセンター長、深尾良夫さんが上の図を使って
明してはるのをネットで見つける。

沈み込んだプレートはいったん滞留し、あるとき落下します。
このようなダイナミックな現象が起きれば、必ず地表にも影
響が出るはず。地球内部と地表をつなげる必要があります。

という段階らしい。急速な進展ぶりだそうで、今後に期待。