やまねこマッサージ

ねがうこと、ゆだねること

ドキュメンタリー映画『幸福は日々の中に』

2016-07-31 | 映画
ドキュメンタリー映画『幸福は日々の中に』を観る。
鹿児島にある知的障がい者施設しょうぶ園における
現代音楽の演奏活動をとおして、彼らの日常なり創
作活動がみえてくる。



驚きと笑いの連続なんだけど;

・本番でも緊張なし(練習と本番の区別なくいつも全力!)

・施設に門がない(たいていは門があるそうだ)

・2代目の園長福森伸さんの魅力



監督は淡路島を拠点にアートや映像を中心に活躍する
茂木綾子&ヴェルナー・ペンツェル夫妻が5年かけて作
る。 共同監督は初だとか。



8月5日まで渋谷イメージフォーラムで。



8月20日鹿児島で毎年恒例のフェスにも参加。行ってみ
たいなぁ。

北野武監督『龍三と七人の子分たち』

2015-06-06 | 映画
北野武監督の17本目になる最新映画を週末の土曜に観に行く。
公開が4/25だから、1ヶ月以上たってるんだけど、立川のシネ
コン・シネシティの77席は楽勝でほぼ満席にしてた。

北野監督の映画としては、例外的に万人受けするお笑い映画
だし、加えてテレビネタになりやすいのだろう、相当とりあ
げられてるのでは。

プロデユーサーでオフィス北野の社長・森昌行さんが、テレ
ビで稼ぎがあるから、赤字の映画ができる、とどこかで読ん
だことがある。

テレビで話題にすることが集客に役立っているわけで、テレ
ビと映画という映像メディアを知り尽くしているんだろうな
と想像する。



引退した爺さん元ヤクザ達と、ヤクザとの抗争を描くんだけ
ど、笑いの連続。設定に?があろうが、笑いをとるためとい
う北野武ワールドで押し進めていく。

たとえば、ヤクザがベンツで逃げるのを、乗っ取ったバスで
追っかけるシーンがある。追いつくわけない、って瞬間思う
んだけどそれも笑いに変わるw

笑いながら北野武ワールドに浸っていられる快感。役者とし
ても毎回登場するから、いつでてくるかと楽しみにしていた
ら、わりと早いタイミングで、人のいい刑事役で登場。



アウトレイジ(2010)、アウトレイジ ビヨンド(2012)が
ヤクザの抗争を描いたものだから、本作はそのなかで生まれ
た映画だと思ってたら、10年前にあらかた脚本はできていた
とか。

それが延びて延びてよ、ちょうど時節に合っちゃった
んだよ。「老人問題」とか「オレオレ詐欺」とかよ。



何が幸いするかわかんないけど、北野武監督でさえ実現まで
10年かかるとは、映画はなかなか難しい。

インタビューをyou tubeからピックアップ;

杉浦日向子『百日紅』劇場アニメ化

2015-05-17 | 映画
故杉浦日向子さんの江戸まんがで、葛飾北斎親子を描いた
最高傑作『百日紅』がアニメ化。監督は『クレオンしんち
ゃん』シリーズ最高の「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の
逆襲」などを手がけた原恵一さん、とくれば見に行かない
手はない。



1987年に連載終了した原作漫画は少しも色あせていない。
よくアニメにしたなぁと思う。北斎親子に絵を描かさなき
ゃ登場させなきゃいけないし、街なか、橋の上、火事など
群衆もたくさん動くし。。動くのは凄い。



杉浦日向子さんの物語や考証はそのままだけど、タッチと
いうかマンガの雰囲気は若干異なるし、いや大いに異なる。
アニメは原恵一さんのもの。



北斎親子を軸に、オムニバス形式(連載だからあるいみ、
読み切り)のものを、まとめあげていっている。

北斎のうまさ、旺盛な創作力。23歳の娘は絵力が相当なん
だけど、そりゃ父には叶わない・・それを追いつこうとも
がく様、母や妹を顧みない父への反発。



改めて原作を読み返すと、これまた凄い。動かないのに、
動きがこんなにあるとは。映画を見たから動きの想像が
加わったんだろう、より動きがある。



新しくできた商業施設二子玉川ライズ内の、映画館109
シネマズ
へ行く。10スクリーンのシネコンでネット予約
ができるから日曜日混んでても問題なし。シートもいい
し、駐車場3時間無料。

階下には蔦屋家電という新業態ができてて面白かった、その
話はまた明日でも。

ドラン監督「トム・アット・ザ・ファーム」

2014-12-14 | 映画
面白い映画を見る。カナダの新鋭26歳のドラン監督の新作
「トム・アット・ザ・ファーム」。荒筋などは公式サイトで。

恋人の突然の死に直面した主人公が、恋人の実家に初めて
行き、葬儀に参列する数日間。恋人といっても同性愛、そ
の田舎は同性愛はタブー、故郷の田舎の実家は初めて行く。



映画が進むにつれ、主人公目線でわからないことだらけの
状態から一枚ずつ皮がむけるように、状況がわかる・・ど
ういう田舎なのか、家族がどうで、死んだ次男をどう思い、
どう振る舞えばいいのか・・言葉でなく映像でわかってい
く心地よさと怖さ。



状況の把握と自己の居場所の確立、そしてふるまい方・・
同性愛だからしなくてはならないこと、してはならないこと
の「嘘」だらけの虚構。映画という虚構のなかでの虚構。



亡くなった恋人の不在も特徴だ。母、兄、主人公いろんな
形で故人を語るけど、一度も登場しない。「桐島、部活や
めるってよ」も桐島が話題の中心人物なのに登場しないの
と似てると思う。



映画の終了時に監督のトークイベントの映像が流れる。面白
いことやるなぁ、と思った瞬間やられた。なんと監督は主役
もやってたとは。

そんなことも知らずに見たんだけど、主役もはれる映画監督。
今後が楽しみやなぁ。

原作は、現代カナダ・ケベック演劇界を代表する劇作家だそ
うで、映画化に関して話している文章がこちらにある。

玩具フィルムと錦影絵の上映会

2014-09-21 | 映画
地元ギャラリー◯ミさんの「玩具フィルム手回し活動写真上映会」の
第4回目に行く。初回に行って以来。 松本夏樹さんが18才以来集めに
集めはった数百本の玩具フィルムを、活動写真上映会再現風で観る会。

初回は弁士デビューだったマグチユウキさんが、活動弁士担当。松本
さんが最初に解説をするだけ。今回も解説も面白かったんだけど、活
動弁士が映画でうまれた職業というより、江戸時代から脈々とつなが
っている語りの文化だという指摘が一番心に残る。

文楽もそうだけど、たとえば江戸には錦影絵というガラス絵を木製幻
灯機で写しながら、幻灯機の箱をもって動かしたり、語りをしたもの
があったとか。


写真とイラストはこちらからピックアップ

そしたら、なんとお客さんで一番前で観てはった骨董屋さんが、錦影
絵と木製幻灯機を持ってきはって、松本さんが苦心して彼の幻灯機で
映し出すことに成功!

 
右が松本さん、左がマグチさん。写った時の感動の瞬間


その映像。こういうキャラクターを動かしながら投影してたんだね。

持ってきた骨董屋さんも投影された映像は初めてと興奮ぎみ。今回は
2日間4回開催されたんだけど、ラッキーな回に参加した!



話が前後したけど、活動弁士による玩具フィルムも堪能する。


『アヒルのお手柄』(イメージはこちらから)


『お好み安兵衛-花婿の巻-』(イメージはこちらから)阪東妻三郎 主演 1932年


『砂煙高田馬場』(イメージはこちらから)上の『お好み安兵衛』のパロディアニメ。


『冒険ダン吉』(イメージはこちらから)


『日の丸旗の助-大捕物の巻-』(イメージはこちらから)

また11月には5回目を開催するそうなので楽しみ。また個人が満州国
を撮影したこれまた貴重なフィルムを公開する企画展が9月22日から
10月11日まで、武蔵野美術大学美術館・図書館イメージライブラリー
『映像に残された満州』と題してビデオ展示するそうだ。行ってみたい。

傑作・ドキュメンタリー映画「リヴァイアサン」

2014-09-10 | 映画
新たな地平を切り開く映画を見た。底引網漁船のドキュメンタリー。
海で網を引き、船に引き上げ、魚を集め、解体し、廃棄する・・ど
この海でも毎日行われている営みが、この映画で一変する。



カメラマン不在。船に乗り込んだ監督の二人は、GOPROという小型
カメラ11台を船体、帆柱、漁師の身体、網、魚の死体、監督たちの
身体などに取り付けて、150時間撮る。

  

私たちは完璧にコントロールしたかと思えばまるっきり無に
翻弄される、その両極の間を行き来しました。

フレーミングや撮りたい意図といった映画のお約束の解体。人間が
撮るための知恵や経験から離れた新しいルールの確立。

  

何の予断もなしにー私たち自身が抱く予断さえもなしで、つ
まり新しい方法で世界を開示したい、というのが唯一の関心。

なにがどう撮れるかわからない・・でも「海の持つ荘厳さ、恐ろし
さ、押しつぶされそうな力強さ」には体当たりで肉薄していくわけ
やから、撮影中面白くてたまらなかった息づかいが伝わってくる。

  

公式サイトはこちら。渋谷イメージフォーラム他で上映中。

ジブリ「思い出のマーニー」

2014-08-26 | 映画
ジブリの新作がもう出た。宮崎駿・高畑勲両監督が関わっていな
い作品は初。米林宏昌さんが監督だけど、社員としてずっとジブ
リの制作にかかわり頭角を表して、「借りぐらしのアリエッティ」
で監督を務めた方。

宮凬駿監督「風立ちぬ」と高畑勲監督「かぐや姫の物語」が立て
続けて公開されたのが去年のこと。毎年のように制作できるんだ。
数年に1作品というペースだったのに。制作の体制が変わったのか、
それとも作る理由があるのか。



「思い出のマーニー」は札幌に住み、病弱で孤立気味の主人公が、
夏休みに自然にあふれる釧路湖畔あたりで成長する話。NHK連ド
ラ「あまちゃん」をちょっと思い出したりする。



空気のよい自然で喘息が治っていくでだけはなく、マーニーとの
出会いによって、早くに親と生き別れ孤児だった主人公が、生い
立ちにさかのぼって成長していく。

マーニーっていう外国人は夢や空想と現実のあいまいな不思議な
存在。 主人公の妄想だろうかと思っていると、 最後にどんでん
返しがある。



種明かしになるから具体的には書かないけれど、マーニーとの関
係が最後に判明することで、主人公が大きく成長する。湖畔で絵の
スケッチをしている女性がその秘密を全部話すのが残念。

それよりも、その秘密に迫るのは、マーニーもしくはマーニーと主
人公。もしくは育ての母が喋るほうがよかったのでは。育ての母は、
養育費を国から支給されてることを主人公に話す話さないという葛
藤どまりで小さい問題どまり。

原作を読んでないんだけど、イギリスの作家、ジョーン・ロビンソ
ンが1967年に発表した同名の作品で、きっとそれに忠実なんだろ
う。

小説なら説得力があるんだろうけど、2時間の映画ではこの肝心な
ところが、もう一歩足りなくて、最後の20分くらいでドンデン返
しにドタバタする感じで、説得力がいまひとつ。



考えてみれば、宮凬駿監督の作品もかなり込み入った話ばかりなの
に、よく2時間余りで完成させてたなぁと思う。

スティーブ・マックイーン監督『それでも夜は明ける』

2014-06-03 | 映画
ルイ・ヴィトン表参道ギャラリーで、スティーヴ・マックイーン監督の
映像=短編映画『Ashes』を初めて見たことはここに書いたけど、公開
中の映画『それでも夜は明ける』を渋谷CINEMA RISEで観る。

アカデミー賞作品賞、助演女優賞(ルピタ・ニョンゴ)、脚色賞やゴー
ルデン・グローブ作品賞を受賞したほか、112の映画賞に輝やく。奴
隷制度の物語を映画という形で成立させた監督はほんと凄い。



アメリカ北部の自由黒人でバイオリンの演奏家が、ある日拉致され、
南部の農園で1841年から12年間もの奴隷生活を強要された自叙伝
の映画化。

南北戦争が勃発する8年前の1853年に出版されベストセラーとなっ
たそうだ。生まれながらの自由黒人だった彼が奴隷にどうして従属
させられたか驚愕の映像だ。



12年たてば足ヌケできる筈という結末を知ってるボクには耐えられ
るけど、そんな未来も保証もない主人公は何度も失敗して落胆する
けど諦めない。黒人同士の会話も痛々しい。ムチなどの拷問は日常
茶飯事、諦める黒人、所有者にとりいる黒人、殺される黒人・・

1808年に海外からの黒人輸入がまず禁止されたそうだ。それが喜ば
しいと言ってられないのは、奴隷の供給がストップし価格が高騰し、
主人公のような自由黒人を売り飛ばすという犯罪が増加したから。



「犯罪」という認識は立場によって変わる。主人公を「購入」した
白人農園主は、主人公を失う時に「俺のモノだ、借金して購入した
ものを渡さない」といった科白を吐き、裁判を起こそうとして断念
したらしい。

「俳優ブラッド・ピットが製作に参加してくれたから映画化できた」
とマックイーン監督は感謝を込めて言う。ブラッド・ピッドは「あと
1本しか映画を作れないとしたら、作るべきはこの作品」と宣言して、
プロデューサーになり、小さいけど重要な役で出演。



2月26日には国連で上映会があったそうだ。3月25日の「奴隷及び大
西洋間奴隷貿易犠牲者追悼国際デー」
に向けたもの。上映会には
監督も呼ばれたそうだが、潘基文国連事務総長スピーチが印象的;

過去の記憶を超えて、今日、私たちが取り組むべき差し迫った
課題があります。世界中で、主に若い女性の人身売買が行われ
ています。数百万の男女が搾取されています。負債の呪縛、性
的奴隷化などを強要されています。

映画の話は過去の物語ではない。奴隷、人身売買、拉致、誘拐・・
人権を損なう犯罪が社会に染込んでいる。

スティーヴ・マックイーン監督・ 短編映画『Ashes』

2014-05-23 | 映画
ルイ・ヴィトン表参道ギャラリーで、スティーヴ・マックイーン監督による
新作短編映画『Ashes』が公開中。2001年カリブのひとびとを撮影をしてい
た監督の目に留まったのがAshesというあだ名の男性。



1年半後にAshesは死んだそうだ。麻薬の売買に巻き込まれてしまったために
殺されたことが、映像の裏でナレーションとして挿入されている友人の言葉
から分かる。

Ashesには灰の他に遺骨という意味がある。灰というあだ名には遺骨という運
命が刻まれていたのか。



彼の映像を初めて見る、遅いか。現代アートの映像美術家として評価が高いと
か少しも知らず。テート・モダンギャラリー、ニューヨーク近代美術館、シカゴ
美術館、ポンピドゥー国立近代美術館など、世界中の美術館に収蔵されているそ
うだ。


2013年 「アートバーゼル」作品展示の映像

若い頃、映画を作ることは不可能だったがアート作品を作ることはできた

と言う彼は、いつか長編映画をつくるという夢を持ちながら、アート作品を作
り続ける。そしてとうとう映画を作るチャンスをモノにする。

『Hunger(ハンガー)』2008年カンヌ映画祭で新人監督賞を受賞。2作目は
セックス依存症の男を描いた『SHAME-シェイム-』の予告編を見ただけ。そ
して本年度のアカデミー作品賞に輝いた『それでも夜は明ける』はまだ上映中
だから観に行かなくては。

ソロモン・ノーサップによる1853年の自伝『Twelve Years a Slave』を見つ
けるまでそれを知らなかった。「私はこの本を読み、愕然とした」、「そし
て同時に、この本のことを知らなかった自分に腹が立った」

というエピソードはかろうじて知ってた。今回観た『Ashes』はエスパス ルイ
・ヴィトン東京の協力のもと制作され、世界初公開だとか。そんなものが目の
当たりにできて、しかも無料だとは。いつもの素敵なカタログに加え、ポスタ
ーも貰う。


「親子」がテーマの映画・試写会

2014-04-02 | 映画
第2回Open Show Tokyoでお話いただいた、写真家ブルース・
オズボーンさんが30年以上撮り続けている「親子 Oyako」
テーマにしたドキュメンタリー映画が完成し、その試写会に
行く。




ブルースさんは4000組以上の親子の写真を撮ってきは
った。その原動力は日本の文化を学びたい、絆や人間関
係そしてストーリーを知りたいことだそうだ。

彼の最大の「発見」は親子って言葉が、英語にないこと。
Parents-Childrenと2語になる。インタビューで登場のピー
ター・バラカンさんによれば、「添い寝」も日本独特の文
化ではないだろうかと。親子は別の部屋で寝るのが欧米だ
から。

親と子の距離感が近い人が多いのかもしれない。日本での
殺傷事件は圧倒的に近親者に多いというから。アメリカで
は逆に近親者は少ないと聞いたことがある。


木田さん親子の写真 1984, 2000, 2005にそれぞれ撮影

親子の諸問題にはあまり触れない。離婚、再婚などによる
ステップファミリーのことにも。それは他の幾千のドラマ
や小説にまかせ、親子がもつポジティブなエネルギーに焦
点をあてようとするのが極めてユニーク。

「7月第三日曜日は親子の日」運動の提唱に繋がるのも極め
て自然なことだとわかる。311の被災地にも何度も足を運ん
で、親子を撮る。

「震災以降笑ったのは始めて」という被写体のお父さんが語
る言葉に、ブルースさんの狙いというか、彼が信じる写真の
力というものを垣間見る。



ドキュメンタリー映画なんだけど、ドラマ仕立てのショート
ムービーが2篇挿入されているのは、ボクには違和感がある。

ドラマには別のエネルギーが、作る方にも見る方にも必要。
ブルースさんの視点から、ちょっと離れる感じもするし。

90分という枠をキープしたいのなら、映画では語られなかった
ブルースさんの親子の話をしてもらって、なぜ親子をテーマに
するのか、という切り口につなげてもよかったのでは。

個人的には、ロサンジェルス時代や来日時といった若き日の
映像や写真をもっと見たかった。

逗子でプレミアをやった後、東京都写真美術館で短い期間の
公開が決まってるそうだ。