2024･4･13

録画しておいたNHK特集「坂本龍一LAST DAYS」を見る。前にもこの日記に書いたけど、まだ彼が芸大大学院に通っていた頃、あるつながりで生まれたばかりの俺の息子を当時住んでいた調布のアパートに見に来たことがある。俺の本棚を見て編集者だった彼の父親が担当した高橋和己の小説を取り出して父親から聞いた高橋和己のエピソードを話してくれた。普通ならそんな記憶は残らない。でもそれから数年もしない内に彼がYMOとして有名になった故に記憶に残っているのだろう。そこから時が経つ。三年か四年前に三味線を弾く主人公を芝居で描く為にある三味線の演奏会に出かけたことがある。その演奏プログラムの中に坂本龍一が作曲か編曲した曲があることはあったが、ニューヨークにいる筈の彼がその演奏会に来ているなんて想像もしなかった。でも彼は客席の中にいた。最後に演奏者に紹介される坂本龍一は勿論調布のアパートの坂本龍一ではなく、世界の坂本龍一だったし、近づいて話しかけることは出来なかった。それから彼が亡くなるのは三年か四年だ。テレビの画面の中でピアノを弾く彼の姿を見ている内に出会った時から経過した50年の年月が流れていく。