五反田発リスボン行き急行列車

五反田駅からリスボン行き急行列車に乗ることを夢想する前期高齢者の徒然

2016・11・9

2016-11-10 08:59:00 | 日記
何処からだったか、涙が溢れだした。何時からだったか、涙が零れだして、止まらなくなった。宮沢りえ主演「湯を沸かすほどの熱い愛」(脚本監督・中野量太)が私の涙腺を全開にしてしまった。で、でも……とんでもないドンデン結末が待っていて、涙がサァーと乾いていく。出演者たちが私の周囲の業界筋の話ではこのオリジナルシナリオに惚れ込んでスケジュールなどを無視して撮影を続けたと聞いていたけど、そのことがよく分かった。いやぁ、凄い映画だったねと映画が終わって隣にいた母に話しかける。処が母は、よく分からない。最後のシーンはどう云うこと?誰が誰の母親なの?などなど幾つもの質問が投げつけられる。母は私が一々答えても納得出来ない様子。こう云う時って、ちょっと淋しい。チラシを貰いにカウンターに行く。30過ぎの女性の先客がいる。スタッフが離れた処からチラシを持って来るまでの短い時間に、その女性が「凄い映画でしたね」と話しかけて来る。「はい」「お一人でご覧になったんですか?」「いえ、母と二人で」「そうですか……」そこでスタッフが戻ってきたので話は終わってしまって、チラシを受け取った私は「お先に失礼します」とその場を離れて母を同行して映画館を出たのだけと、その途端、私はあの女性とお茶を飲みながらこの映画について話したかったと思い始める。向うから話しかけてきたのだから絶好のチャンスだったじゃないか?と思い始める。母を置いて、今から戻ってしまおうか?うーん、昔だったらそうしていただろう。でも、今は無理だ。母をタクシーに乗せるまでは責任がある。いや、それ以前に向うから「凄い映画でしたね」と話しかけられた時に、もしも母が一緒にいたって、「この映画について話したいですね。今から30分後、この上にある××で待っています」と名刺を渡していたに違いないと思うと、その男女関係の勘と運動神経が衰えてしまったことに絶望的になる。ということで、タクシーを止めて母を乗せた後、一人で珈琲を飲みながら虚しく夕暮れの品川駅前の人波を眺める。6時に神保町まで出て学士会館へ。十歳年下なのに七月に逝去された脚本家、古内一成さんを偲ぶ会へ。この十数年、古内さんは映画版「名探偵コナン」を書き続けていた。コナンは大変だったろうなとプロであることをやめた私はしみじみ思う。ご苦労でした、古内さん。みんな死んで行く。酒を飲む。9時までには店に戻ったけど、それからもまたお酒を続けて……今日はもう10時半には寝てしまうさ。★テアトロジャージャン第九回公演「M家の人々Ⅲ・歌う女」(作演出・桃井章 )日時2017年3月16日(木)~3月20日(月・祭日) 出演・水沢有美、桑原なお、大塚みどり★テアトロジャージャンのホームページが開設されました。過去の作品や今後の上演予定作品の情報が掲載。jerjan-hiroo4f.jimdo.comへアクセスして下さい。
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