「高知ファンクラブ」 の連載記事集1

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・水に溶けるとは?

2010-11-24 | 鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」

「ぷらっとウオーク」                  情報プラットフォーム、No.214、7(2005)
{水に溶けるとは?}

画像出典:室戸海洋深層水株式会社《深層水とは》


 室戸海洋深層水に関わる商品が次第に多くなってきている。地場産センターの展示室にはある程度は集められているが、関係部局に問い合わせてみると、品目数は約50種、商品数は約400種、アイテム数は約800になっているとのことである。

多くの方々の様々な工夫が結晶となり、商品が出来上がってきたのである。海水に含まれる物質の何を、どの様に使うかのアイデアで品目数は今後も増えていくと思われる。まことに喜ばしいことである。これらの商品は、本体の水(H2O)を主として利用する場合と、もっぱら水に溶けている物質や、懸濁している微細物質を利用する場合の二つに分けられるだろう。


 物質が液体に溶けるとはどの様なことだろう。衣服のシミや汚れはベンジンやアルコールで拭くと綺麗に落ちる。汚れの原因物質をこれらの有機溶剤(液体)が溶かし込むことで綺麗になるのである。水はそれ以上に多くの物質を、しかも大量に溶かし込むことができる、ふところの大きな物質なのである。

洗濯や拭き掃除には水のこの特性を有効に生かしていることになる。ところで、海水1リットル中に溶け込んでいる物質(成分)の総量は32~38グラムである。溶け込んでいる形態は、陽イオン状態{ナトリウム(Na+)、マグネシウム(Mg++)、カルシウム(Ca++)、カリウム(K+)、ストロンチウム(Sr++)など}と、陰イオン状態{塩素(Cl-)、硫酸イオン(SO4 -- )、炭酸水素イオン(HCO3-)、臭素イオン(Br-)、炭酸イオン(CO3--)など}である。

その他にイオン状態ではなく、分子状態(例えばO2やSiO2)で溶解している物質もあるし、懸濁物質(微粒子)もある。海水には自然に存在するすべての元素が溶存、あるいは含まれていると云っても過言ではない。


 物質の溶解量は温度、圧力に大きく依存する。一般に低温度になるほど溶解量は減少し、固体(結晶)として溶媒(液体)から排出される。溶解に対して、これを析出(晶出)と呼ぶ。

また、溶媒(液体)が周囲と化学反応系を構成するような場合には更に複雑になっていく。大気(降水・風)、大地(陸地、河川・湖沼)、海洋(海洋底・海流)の間で水の循環だけではなく、あらゆる物質の循環がダイナミックに起こっている。なお、これらの物質循環には多種類の生命の営みが関わっている。

しかし、海水の成分の総量と存在比率は世界中の海でほぼ一定である。このことは海の水は地球規模でよく攪拌されていること、物質の溶け込み(溶解)や吐き出し(析出、晶出、沈殿)による海水の成分変動は極めてゆっくりであることを示している。海水は北大西洋で沈み込み、地球を1000年以上をかけて回り、北太平洋に湧き上がっている。


 半導体集積回路の製造では、工程ごとの洗浄が必要になってくる。ここに使われるのが超純水である。ここでは、あらゆる物質を溶かし込むことができる水の能力が存分に生かされているのである。水に物質が溶けて、物質を輸送できる能力が存分に生かされているのは生命体であり、生命は海の中で発生したと考えられている。地球は、水の惑星は、生命の惑星なのである。

 

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鈴木朝夫  s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

 高知県香美郡土佐山田町植718   Tel 0887-52-5154

  

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