「高知ファンクラブ」 の連載記事集1

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三郎さんの昔話・・・おかみ(神)さん

2010-11-25 | 三郎さんの昔話

おかみ(神)さん

 皆さん承知で当たり前のことだが、この世の中は、男と女で成り立っている。
 男と女が好きおうて夫婦になり、一家をなして暮らしているのが総ての始まりで、個々の家々が夫婦仲良く円満で幸せなら言うことはないのだが、全部が全部そうもいかない。
 こりゃなぜじゃろか。そこで、いらんことを考えた。
「おまんくの嫁はんは、しょうええ女房じゃのう。」「そうかのう、わしゃそんなにおもわんけんど、人にはそう見えるかのう。」
「見えるどころよ、器量は良うて賢うて、ガアガアゆわず優しゅうて、子育ても上手じゃ。まっこと、ええおかみさんじゃ、羨ましいわ。

それに比べて内のやつはガミガミゆうわ、機嫌は悪うて子供は怒る。まっこと、ありゃ山の神じゃけ、困ったもんじゃ。なんとか、ええ知恵はないかのうし。」「そうじゃのう、おまんは嫁さんを、あいだにどうゆうて呼びゆう。」
「わしゃ、てれくさいけ、あれを女房にもろうてから、ずうっとオイ、コラと呼びよるが。」「そりゃいかん、女房はなんとゆうたち、家の大黒柱じゃけ、きれいに名前を呼んじゃりや。おらが女房を貰うとき、仲人の長老がええことを言うて聞かしてくれた。その話は、

 『男は主人じゃ亭主じゃ言うて力んだらいかん、と。女は神さんじゃけ。その証拠に、日本の始まりは天照皇大神とゆう女神が、神々のおさで、この地に下り給うて子孫を増やして、今日のように栄えたがじゃ。女は男に無い偉いものを持っちょるけ。それはの、子の宮、子宮を体内に秘めていて、子孫繁栄の元で、人作りの製造工場じゃけ、男が空威張りしたち始まらんぜよ。おまんもお母あの子じゃろ、家はお母あのやりくりで持つがじゃけ。それで、昔からおかみ(女将、お神)さんと呼ぶならわしがあるが、ありゃほんとうぜよ。嫁さんを貰うたら、内の女房じゃゆうてやしべずに、家のお神さんと思うて大切に崇め敬もうて、まじめにせっせと働いて、稼いだお賽銭、給料は全部納めて、子の宮様にお参りすりゃ、お神さんも嬉しゅうて、願い事をも快う受け入れてくれるけ、そうすりゃ、家は円満で幸せじゃ。男が心得違いして、おらあ大将じゃゆうて、好き勝手したり、賽銭はちょろまかすは、目が外に向いたりして、お神さんへのお参りも減っておろそかにすると、お神さんはご機嫌をそこねて、たちまち山の神に変身するけ、本体心せにゃいかんぜよ』

 男が偉いのは、お神さんや家族を守る仁王さんの役と、家族を養う働き蜂、それで、お神さんを信じて、お賽銭を多くおさめて、お参りを適切にすることぜよ。女はおかみ(女将、お神)さんじゃけ、お嫁さんに来たてのときは心細かったろうが、どっかり腰をすえたら、家はおかみさんのお社じゃ、神さんになった気持ちで、奢らず、心静かに落ち着いて、御苦労なことで大変じゃろが、亭主や子供を上手になつけて、可愛がりゃあ、家庭は円満大繁盛、必ず男はまいるけ、子の宮大神宮様、おかみさん。 ある、おんじいが言いよった。
 『この世の中は、気に入ったことばかりではないけんど、家のお神さんを大切にたてまつっちょったら、まあまあ順に過ごせるぜよ。私しゃあ家のお神さんのために、一生ぼおをたてに振ったぜよ。』と。」

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