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『エコノミスト』4月16日号 - 円安でも日本経済への恩恵は限定的、購買力平価からも大幅乖離

2024-04-11 | 『週刊エコノミスト』より
エコノミストの世界経済特集は「入門」とあるように
概ね想定内の内容だったのではないか。
日本経済について「共同貧困」状態としたのも的確である。

中国経済への見方はかなり甘いと思うが、
為替についての分析(78頁)が最も良かった。
国際通貨研究所の橋本氏の執筆によるもので、
購買力平価から見たドル円の実力はせいぜい100円程度、
大幅に乖離した円安になっている現状に警鐘を鳴らしている。

それでも日本企業の輸出やインバウンドは
日本の景気を大幅に改善させるに至らず、
日本経済の競争力低下と結論付けている。
(平均ゼロ成長の現実から見て、それ以外の結論はあるまい)

現下のドル高円安の理由としてコロナ禍における盛大な財政出動、
そしてウクライナ侵攻が挙がっていないのは不思議だが、
世界の公的債務は既に山積み、ウクライナ侵攻については
消耗の激しい両国ともいつ停戦してもおかしくない状況だ。
(事実、つい先日にロシアがかつての停戦案を再び持ち出した)
投機ポジションが歴史的に積み上がっている以上、
円高への回帰は遅かれ早かれ不可避である。

『週刊エコノミスト』2024年4/16・23合併号【特集:今こそ知りたい! 世界経済入門】


市岡繁男氏は連載で、日本以上に株高の国として
ギリシャ・デンマーク・ポーランド・イタリアを挙げている。
(上海や香港のようにマイナスになっている国は実は例外)
氏は100年前のドイツのハイパーインフレを挙げて
警告を発しているが、日本を含め上記の国々は決して
景気が好調だから株高になっている訳ではない。
人口動態が若く血の気が多かった100年前のような状況は
まず考えられないのだが、インフレ要因の不快な株高であるのは確かだ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

東洋経済のお墓特集は、老化した日本経済の実態が
如実に表れた内容である。言わば日本は「黄昏の国」である。

何しろ54頁では「死亡が出生の2倍以上」としている。
日本の人口動態が所謂「棺桶型」になりつつある今、
太平洋戦争と同様に平凡でありきたりな「数」の現実に抗し得ず
日本経済が大敗を迎えることとなるのであろう。

前明石市長へのインタビューで、出生率改善の数値が大したことないと
冷静に突っ込めない編集部に鋭い筆致を求めるのも無理なのだろうが。。


慶大の太田教授は9頁で非正規労働者のなかに
「自分の都合のよい時間に働きたい」意識が増えていると
報告しているのだが、これこそ非合理な「年収の壁」と
日本固有の歪んだジェンダーバイアスの産物なのだから
社会制度改革によって北欧型の積極的労働市場政策を求めるのが
研究者としての良識、公益性を踏まえたあるべき意見と思う。

『週刊東洋経済』2024年4/13号 (無縁時代の「お墓」新常識)


佐藤優氏の連載は、ロシアとラトビアの二つのルーツを持つ
ロシア保守派の言葉を(分析ゼロで)そのまま転載するという内容。

勿論、ラトビア含めバルト三国のロシアへの怨念は完全無視であり、
ウクライナの歴史に黒々と傷跡を残したホロモドールも完全無視。
ウクライナのアイデンティティをカトリック系の西部に限定する情報操作で
ロシアの版図を拡大させようとするロシア代弁に限りなく近いものだった。
まして、己の野心でキーウを攻撃してウクライナを完全に敵に回した
プーチンの大失敗がウクライナの民族アイデンティティを強固にし
NATOの更なる拡大を招いたという皮肉な現実を認識できない限り、
ロシアが戦略的に敗北し衰退に向かっているという現実すら理解できまい。
事実、ロシアの武器輸出が急減し民生予算は軍事費に食われているではないか!

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週は東洋経済に注目、ただ地政学特集は新ネタ乏しい筈で期待外れのリスクもかなりある。

▽ ロシア分析を佐藤優氏でなく亀山陽司氏にした、編集部の判断は正しい

『週刊東洋経済』2024/4/20号 (わかる!地政学)


▽ まさに「まだはもうなり」の典型になりそう、ダイヤモンド半導体特集

『週刊ダイヤモンド』2024年4/20号 (半導体160社図鑑)

「勝者はエヌビディアのみ」「日本陣営の生存戦略は? 半導体売上トップ10から脱落」というのは正しい。
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