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黒田日銀総裁は日本の社会保障を全く理解していない - 消費増税の正体は高齢層バラマキとモラルハザード

2013-09-04 | いとすぎから見るこの社会-全般
我が国は、通貨切り下げと財政出動で景気回復を図った高橋是清の時代の後に
無茶苦茶な財政拡張を続け、遂には財政破綻に至っている。
歴史は繰り返すと言うのは陳腐だが、本当にそうなりつつあるのは悲しい話だ。

情動に囚われて現実を否認しても現実は変わらない。
国民性は50年や100年程度では変わるものではないのだろう。

…驚くべきことに、消費税引き上げの「集中点検会合」に出席した「有識者」たちだけでなく、
黒田日銀総裁までもが日本の社会保障バラマキの問題点を全く認識していないことが分かった。

毎年毎年、高齢者三経費への公費投入が増えているのに
日本経済の平均成長率は1%を下回っている。(今年もユーロ安の際のドイツの3%にすら届かない)
今の高齢層に偏った社会保障を維持すること自体が経済成長の妨害要因であるのは明白だ。

成長率を高め税収を増やしたいなら、北欧のように現役世代を現物給付で支援すべきである。
現役世代から搾取する現行の社会保障システムを維持して消費税を上げるのは、破滅への道だ。

社会保障を充実させたいのなら、預貯金や退職金に課税すべきである。
「応能負担」「応益負担」すら知らない黒田総裁は大学生にも劣る。

そもそも今の社会保障給付は公費投入が余りに巨額過ぎるので
「社会保障を十分できなくなる」などというのはふざけた寝言であり、
「高齢層向けの社会保障をバマラキ過ぎている」のが真の問題なのだ。
そのために必死に働いている母子家庭など低所得層の貧困率が上がっているのである。

▽「こんなおかしな社会保障は先進国で日本だけ」と吉本氏は述べている

『日本の景気は賃金が決める』(吉本佳生,講談社)


▽ 成長率の高いスウェーデンは、育児支援と積極的雇用政策に日本の3倍以上(対GDP比)も費やしている





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


黒田総裁の発言から、所謂リフレ論者の視野狭窄が改めて確認できた。
当ウェブログの警告は残念ながら実現しつつあると言わざるを得ない。

「はっきり言っておく。ドグマに汚染されたリフレ教徒を信じてはならない。
 異次元緩和の効果は貧弱で、リスクが非常に大きい。
 企業の設備投資は大して増えず、賃金は伸びない。国内経済は停滞する。
 事実を虚心坦懐に見れば明白である」

「視野狭窄で狂信的なリフレ教徒の滅亡の時が刻々と近づいている」

「奢れる者久しからず」と喝破した先人は正しい。
かつて「財政支出派」や「構造改革派」が大きな顔をしてのさばっていたが、
独善的で自らの誤りを認めない彼らは、醜い言い訳を残して退場した。

次は高慢なリフレ教徒の番である。
「奢れるリフレ派も久しからず、ただ春の夜の夢の如し」だ。

↓ 参考

「アベノミクスは景気の足かせになる」ドイツ連銀が喝破 - 政府の介入で「物価安定が損なわれる」と
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/08ddbfdc2aeeb655731ff317ca2dd941

アベノミクスの帰結は1000兆円超の政府債務+金利上昇 - 財務省が財政危機を事実上認める試算発表
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d7d54acd2408cc63f24a9d86b0d67753

▽ 2000年代の日本経済の経済停滞は、明らかに人口動態要因である

『中国台頭の終焉』(津上俊哉,日本経済新聞出版社)


消費増税で景気失速せず=先送りは「将来大変に」―日銀総裁(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201308/2013082000891&g=eco
”黒田東彦日銀総裁は20日、NHKの報道番組の中で、消費税率引き上げについて「消費増税によって景気が失速して、2%の物価安定目標が達成できなくなるということにはならない」と述べた。その上で、大企業と中小企業、都市と地方で景気回復に温度差はあるとしつつも、「(景気の)好循環が始まりつつある」と強調した。
 また、黒田総裁は「経済成長と、消費増税あるいは財政健全化は両立するし、両立させなければならない」との考えを改めて表明。さらに、財政悪化を放置した場合には「社会保障を十分できなくなり、経済もおかしくなる。遅らせれば遅らせるだけ将来のことが大変になってしまう」と述べ、政府の決断に期待を示した。”

黒田総裁は社会保障制度の「素人」だ。
日本の社会保障は殆どが高齢者三経費で、それを消費税で賄うのは
単なる「現役世代からの所得移転(=搾取)」に過ぎない。
だからこそ日本の貧困率は再分配後に悪化し、母子家庭が極貧に陥るのである。

▽ 消費増税したところで財政健全化は限りなく不可能

『アベノミクスでも消費税は25%を超える』(小黒一正,PHP研究所)


7割超「予定通り消費増税」 反対派は景気腰折れ懸念 点検会合終了(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130831/fnc13083122240006-n1.htm
”消費税率を来年4月に8%に上げるかの是非を有識者に聴く政府の「集中点検会合」は31日、最終日の議論を終えた。6日間で7回に及んだ会合では計60人の有識者が意見表明。社会保障の充実や、増税後の景気対策などを条件に、予定通りの増税を容認する人が7割を超えたが、景気悪化を懸念し、増税に反対する意見も根強かった。安倍晋三首相は、週明けにも点検会合の報告を受け、経済指標なども踏まえて9月下旬から10月上旬にかけて結論を出すが、難しい判断を迫られそうだ。
 60人のうち、予定通りの実施に賛成したのは44人(73.3%)と大勢を占めた。税率上げ幅の見直しや延期・凍結など反対を表明したのは14人(23.3%)で、賛成も反対もしなかったのは2人(3.3%)だった。
 「経済・金融」をテーマに9人が出席した最終日の会合では、首相の経済ブレーンの本田悦朗内閣官房参与が来年4月の消費税率の上げ幅を1%か2%に縮め、その後、毎年1%ずつ上げる案を提案。上げ幅の見直し案には植田和男東大大学院教授らも理解を示した。
 一方、予定通りの増税の実施に賛成したのは6人。アール・ビー・エス証券東京支店の西岡純子チーフエコノミストは「経済、物価をみても計画通りに行う環境に十分ある」と指摘。吉川洋東大大学院教授は「日本の財政再建の第一歩になる」と主張した。
 有識者60人全員の意見が出そろったが、予定通りの消費税増税の実施を求めた賛成派に共通するのは、増税を見送った場合に財政再建が遅れ、長期金利が上昇することへの警戒などだ。全国地方銀行協会の谷正明会長は「見送れば(財政の)信認が落ち国債暴落、金利上昇の恐れがある」と主張。経団連の米倉弘昌会長も「(実施が)覆ると経済が打撃を受ける」と訴えた。
 一方、反対派の主張は回復基調にある景気が腰折れする懸念や低所得者の負担増になるとの心配だ。〔以下略〕”

賛成派は遠からず日本の社会保障バラマキの恩恵を目一杯受ける人々である。
賛成するのは日本経済ではなく自分達のためである。

日本の社会保障は「逆垂直分配(低・中所得層から搾り取って豊かな高齢層に所得移転する)」であり、
特に母子家庭は更なる貧困に陥る。「有識者」達にはその事実認識が決定的に欠けており、
彼らはその報いでインフレ税の直撃と国民の怨念を受けることになろう。自業自得である。


増税派も景気対策前提 歳出膨らめば財政再建に影響 点検会合(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130831/fnc13083122290008-n1.htm
”6日間にわたり、消費税率引き上げの是非について有識者の意見を聴いた政府の「集中点検会合」では、参加した計60人のうち7割超が、予定通り来年4月に税率を3%引き上げることを求めた。ただ、引き上げで消費が低迷し景気が減速することへの懸念は強く、引き上げに賛成する有識者の多くが増税時の景気対策を同時に求めた
〔中略〕
 点検会合で浮き彫りになったのは、増税反対、賛成の別なく、予定通りに税率を引き上げれば景気や家計への打撃は大きいとの共通認識だ。「子育て世代にとっても(引き上げは)厳しい」(NPO法人子育てひろば全国連絡協議会の奥山千鶴子理事長)、「中小企業に景気好転の恩恵は来ていない。賃金もすぐには上げられない」(小松ばね工業の小松万希子社長)など、計7回の会合では増税影響を懸念する声が相次いだ。
〔中略〕
 その背景には「財政を再建しなければ、国の信認がなくなる」(住宅生産団体連合会の樋口武男会長)との危機感があった。
 財政再建への信認が失われると「株安や長期金利上昇など市場の混乱を招く」(三菱総合研究所の武田洋子チーフエコノミスト)リスクがある。多くの有識者が、増税を見送った場合の「市場混乱のリスク」と増税後の「景気低迷リスク」をてんびんに掛け、前者のダメージがより大きいと判断したことが、賛成派が大勢を占める今回の結果につながった。このため、賛成派にも「補正予算などで景気の腰折れを防ぐべきだ」(日本証券業協会の稲野和利会長)、「法人税減税が必要」(大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト)、「影響の大きい低所得者への対策」(国民健康保険中央会の岡崎誠也会長)など、景気低迷リスクへの配慮が必要との思いは強い。
 政府も、麻生太郎財務相が「引き上げになれば補正予算を来年初めにも組む」との考えを示し、一定の景気対策実施は織り込んでいる。政府関係者や民間エコノミストからは対策規模は5兆円との声も聞かれる。
 だが、この規模は消費税率3%の引き上げで見込まれる約8兆円の税収増の半分以上に相当。
単年度の歳出増としてもかなりの重荷だ。安倍首相は「デフレ脱却と、成長と財政再建の両立」を明言しており、点検会合はこの全てを成立させることの難しさを示した。”

安倍首相は更に、「デフレ脱却」という間違った目標を掲げている。
石油ショックの際に日本の成長率がどうなったかすら知らない無知ぶりである。

また、自民党はこれまでの習性から考えて消費増税と同時に選挙目当てのバラマキを敢行するだろう。
高齢層バラマキ・公共事業バラマキ・法人減税バラマキ(海外シフトを進める大企業に恩恵)である。
この三大バラマキによる壮大な愚行が今、始まろうとしてる。


集中点検会合、大半が消費税引き上げ賛成 「社会保障充当でプラス」(sankeibiz)
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130828-00000001-biz_fsi-nb
”政府は28日、来年4月に消費税率を8%に引き上げた場合の景気への影響などに関する意見を聴く「集中点検会合」の3、4回目の会合を開いた。この日は計19人の有識者が参加。日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)が「次世代にツケを回さないように」と発言するなど、予定通りの税率引き上げを求める意見が大半を占めた。
〔中略〕
 3回目は「国民生活・社会保障」がテーマ。一橋大大学院の井伊雅子教授が「増税分を社会保障の充実に生かせば中長期的にはプラスになる」と予定通りの引き上げを主張。日本医師会の横倉義武会長、自治医科大の永井良三学長、UAゼンセンの石黒生子副書記長も引き上げに賛成した。
 NPO法人「育て上げ」ネットの工藤啓理事長は増税には賛成できないと訴えたが、ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長は「育児と仕事が両立できる社会をいち早く作る」ことを条件に増税賛成の立場を示した
 「産業」がテーマの4回目の会合では、住宅生産団体連合会の樋口武男会長(大和ハウス工業会長)が税率引き上げ対策として「住宅ローン減税の拡充なども用意されている」と述べ、1997年の増税で問題となった住宅需要などの反動減対策をあげて、「引き上げに賛成」の考えを明確にした。
〔中略〕
 一方、日本経済研究センターの岩田一政理事長、首相ブレーンの浜田宏一内閣官房参与が提案している毎年1%ずつの引き上げ案には、否定的な意見が相次いだ。不動産協会の岩沙弘道会長(三井不動産会長)は「顧客への説明、価格の在り方などをめぐって混乱する」と現場感覚で問題点を指摘した。”

経済界はゴネ得による自業界への利益誘導を狙っている。
自動車業界は「次世代にツケを回さないように」という美辞麗句(←建前)の裏で、
自動車購入の際の税負担を引き下げるよう頼み込んでいた(←こちらが本音)。
毎度のことではあるが醜態である。経営上の論理で行動する主体なので当然だが。

まともな発言は小室社長だけだが、一橋の井伊教授をはじめ
日本の社会保障給付が世界最悪の高齢層バラマキになっている現状を認識できず、
現役世代支援による女性就業率・出生率向上の巨大効果を理解していない有識者ばかりで
正論が孤立するという悲しい状況に陥っている。

 ↓ 参考

女性の就業率向上で経済波及効果6兆円超、TPPを遥かに超える - 妨害するのは安倍政権の「育休三年」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/e51d931755e618e1d3181911b7b29773

▽ 現役世代支援に力を入れる北欧は日本より豊かで財政も遥かに健全である



『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』(ケンジ・ステファン・スズキ,角川SCC)

はっきり言っておくが、この有識者達の質の低さが日本をいずれ経済危機に陥れるだろう。
30兆円以上も高齢者三経費としてバラ撒く腐った社会保障をやめて
その分を次世代育成に振り向けない限り、日本に未来はない。
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