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日本医師会、巨額の医療扶助をも「適切」であると主張 - 政治的主張ではなく情報開示を

2012-10-23 | いとすぎから見るこの社会-全般
財政審議会では現状の医療扶助を問題視して
生活保護受給者は窓口で一部自己負担とし、
翌月以降に払い戻す制度の創設を提案している。

これは大いに注目すべき動きで、
官庁からの情報開示が期待できるだけでなく
メディアが記事にして問題の所在が広く知られることになろう。

日本医師会は迂闊なことに医療扶助を「適切」としてしまっているが
これは後で大問題になるリスクを孕んでいる。
所詮は利害関係者の経営上のプロパガンダと判断される可能性もある。

当ウェブログで指摘した通り、余りにも巨額過ぎる医療扶助の問題は、
実際には比率の低い不正受給問題より重大である。
例えば奈良県の山本病院事件を見ればその深刻さは明らかである。

▽ こちらでも医療扶助の問題が取り上げられている

『NHKスペシャル 生活保護3兆円の衝撃』


当ウェブログは以前、以下のように書いたが
概ね事態は正しい方向に動き始めているように見える。

「急がなければならないのはまず医療扶助の不正摘発である。
 これは不正受給より圧倒的に額が大きい」

「一部の病院・診療所が生活保護を食い物にしているのは明らかであり、
 患者名を伏せて症状と治療内容、給付額を病院・診療所ごとに公表すべきである。
 不正が発見された場合には重罰もしくは医師免許の停止が必要だ」


 ↓ 参考

社会保障を食い荒らす人々 - 利権化する生活保護、医療扶助を狙う診療所が増加中
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/11007818569d7537006882401f4a14e4

反貧困運動は、もう世論の支持を期待できない - 生活保護の期限設定にも医療扶助見直しにも強硬に反対
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/5923b5e80c3c104b1482e391d9fd0ef5

生活保護受給者の就業支援では何一つ進展していないが
医療扶助問題では漸く改善が期待できるかもしれない。


生活保護:支給引き下げで一致 財政審分科会(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20121023k0000m020127000c.html
”財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は22日、財政制度分科会を開き、生活保護の支給額見直しについて議論した。委員からは「デフレを反映させるべきだ」との意見が相次ぎ、13年度から物価下落に見合った引き下げが必要との見解で一致した。
〔中略〕
 生活保護の年間支給総額は08年のリーマン・ショック後に急増。12年度は国の負担が約2兆8000億円に上り、歳出増加の一因になっている。
 政府は8月に閣議決定した来年度予算の概算要求基準で生活保護制度を見直す方針を示しており、予算編成の意見を所管する財政審と、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)で具体的な見直し論議が進んでいる。
 22日の財政審の会合では、生活保護受給者の生活費が受給していない低所得者を上回る「逆転」状態を是正する必要があるとの意見が相次ぎ、多くの委員が物価変動に応じて支給額を改定すべきだとの意見を表明した。
 また、受給者の医療費抑制に向け、医療機関の窓口で一部を自己負担した上で、翌月以降に負担額を払い戻す制度の創設でほぼ一致。このほか、10年度で約2万5000件、128億円に上った不正受給を減らすため、厚労省が検討している罰則強化を支持する意見が出た。【工藤昭久】”

支給額の引き下げはデフレ傾向を踏まえた正常化で、
景況低迷で現役世代の所得が減少している以上、これ自体は正しい。

果たして抵抗勢力を抑えて医療扶助にメスを入れられるのか。
コストや労力が大きく左右されるので制度設計にも注目したい。


日医会長、高齢者の医療費1割負担継続を(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS03015_T01C12A0EE8000/
”日本医師会(日医)の横倉義武会長は3日の記者会見で、70~74歳の医療費の自己負担割合について「非常に重篤な病気を起こしやすくなる年齢で、1割の負担で受けられる状況を続けてほしい」と述べた。本則は2割だが、特例で1割にする措置の継続を求めた。
〔中略〕
 一方、70~74歳の自己負担を本則の2割に戻すべきだとの声も政府内にはある。
 全額公費で賄っている生活保護受給者の医療費には「(受給者から)負担金を取るのは、今の状況では行きすぎだ」と指摘した。全額公費のため過剰な診療や投薬が起きやすい問題が一部で起きているが、横倉氏は「十分チェックされ、適切な医療をしている」と主張した。3.7兆円の生活保護費(2012年度)のうち医療費は半分程度を占める。厚労省は圧縮策を検討している。”

医学部で経済や財政を教えない弊害が出ている。
日本の金融資産の8割以上が高齢層に占有されている以上、
無条件の1割負担は社会正義に反しており、年齢差別ですらある。

更により問題なのは事実上、情報開示を怠って
巨額の医療扶助を正当化している点である。

適切な医療なのか不適切な医療であるかは
利害関係のある当事者が判断すべきものではない。
高等教育を受けた者なら当たり前過ぎる常識である。

▽ 日本医療は情報公開において欧州に大きく劣る

『失われた「医療先進国」』(岩本聡,講談社)


利害関係者は公共政策を誘導するのではなく要望にとどめ、
情報を開示して有権者の判断に委ねなければならない。
まともな民主主義国なら当然であろう。
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