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安全神話に毒された果てに - 自治体職員や原発下請けの被曝被害はこれから表面化する

2011-08-31 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
放射線被曝については専門家同士でも意見が対立し、
本当のことは誰も分からない領域がある。
それを知った国民は、もはや強弁する専門家を信じなくなった。

原発の話題がニュースに出なくなり、深刻な事態悪化はないものの
当初の段階で賢明な多くの人が予想したように
福島第一の周辺と北西方向地域は暫く人が住めないことが明らかになった。

政府や原子力ムラの人々は後追いになり、またしても信頼失墜。
その時点で失墜する程の信頼が残っていれば、だが。

しかし「御用学者」と蔑まれた専門家の受難はまだこれからだ。
チェルノブイリではソビエト政府が露骨な被害隠蔽を行った。
(日本の原子力推進勢力は愚劣にもそれを鵜呑みにした)

日本ではチェルノブイリのような言論統制はできない。
官庁の情報操作や電力会社のカネでメディアを黙らせることももう不可能。
これから被曝被害が本格的に表面化してきて、
原子力推進勢力はさらなる窮地に追い込まれるだろう。

『原子力の社会史―その日本的展開』(吉岡斉,朝日新聞社)


福島第1原発:自治体職員、自分の被ばく後回し(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110821k0000m040086000c.html

「自分の髪を何度洗って測定しても放射能で汚染されていることが分かったが、何
 もできなかった。実際にどれくらい被ばくしたのか全く分からない」
。福島第1原
 発事故を受けて、産業医科大環境疫学研究室と毎日新聞が実施した公務員の被ばく
 管理のアンケート調査。混乱の中、自治体職員がほとんど無防備で住民避難誘導な
 どの公務に当たった。複数の市町村関係者は「自分たちの被ばくに注意する間もな
 かった」と訴える。
 3月12日早朝。原発から10キロ圏内の住民に避難指示があったのを受け、ある
 役場の男性職員は病人の避難誘導をしていた。同日午後3時36分、ドーンという
 音とともに1号機の原子炉建屋で水素爆発が起きた。その後、男性職員が放射線を
 感知するサーベイメーターを自分の頭にあてると、大きく針が振れた。
 しかし、炊き出しや仮設トイレ作り、飲料水の配布などの仕事が押し寄せ、「自分
 たちの被ばくのことを考える間もなかった」。サーベイメーターが反応しなくなっ
 たのは約20日後に散髪した時だったという。
 「遺体捜索への同行やがれきの把握のため避難対象域内に入ったが、身を守る手段
 は当初、薄いマスクぐらいだった」と男性職員は心配する。域内に入る職員に被ば
 く線量計が行き渡るようになったのは、職員同行が必須の一時帰宅が始まった5月。
 さらに上司が域内立ち入りを把握するなど、実質的に線量管理が始まったのは7月
 だった

 国の原子力安全委員会は約10キロ圏内を「防災対策を重点的に充実すべき範囲」
 (EPZ)とし、それ以遠は対策の外側に置かれてきた。原発から30~50キロ
 に大半が入る福島県飯舘村の職員は事故前に放射線の知識の研修を受けたことがな
 く「何をもって安全なのか分からないまま、国などに言われるまま動いた」と率直
 に語る。
 同県南相馬市の30代の女性職員も「事故当初、知識がないばかりか、情報も入ら
 なかった」と言う。同県川内村は被ばく管理体制がない理由に「原発事故はないと
 考えていた」と安全神話を挙げた。
【大島秀利、平野光芳】 ”

 → 原子力ムラが「安全」を吹聴した結果がこのざまだ。
   程度は分からないが、被曝被害が明白になるのは時間の問題だ。
   集団訴訟でまたしても官庁と電力会社に打撃が与えられるだろう。
   もちろん自業自得である。


原発作業員:被ばくでがん 労災10人(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/today/news/20110726k0000m040176000c.html

” ◇9人は100ミリシーベルト以下
 東京電力福島第1原発事故で収束作業にあたる作業員が緊急時の上限250ミリシ
 ーベルトを超えて被ばくするケースが相次いだが、過去にがんを発症して労災認定
 された原発作業員10人のうち9人は累積被ばく線量が100ミリシーベルト以下
 だった。遺族からは福島第1原発の作業員を案じる声が上がる

 厚生労働省によると、10人は作業中に浴びた放射線を原因として労災認定された。
 内訳は白血病6人、多発性骨髄腫2人、悪性リンパ腫2人。累積被ばく線量が最も
 高かった人は129.8ミリシーベルト、残り9人は100ミリシーベルト以下で、
 最も少ない人は約5ミリシーベルトだった。
  ◇50ミリの息子白血病死 母の怒り
 中部電力浜岡原発の作業員だった嶋橋伸之さんは、91年に白血病で亡くなった。
 29歳だった。神奈川県横須賀市に住む母美智子さん(74)は、体重80キロだ
 った嶋橋さんが50キロにやせ衰え、歯茎からの出血に苦しんでいた姿が忘れられ
 ない。

 嶋橋さんは下請け会社で原子炉内計測器の保守点検をしており、累積被ばく線量は
 8年10カ月間で50.63ミリシーベルトだった。
 死亡の半年後に戻ってきた放射線管理手帳は、赤字や印鑑で30カ所以上も被ばく
 線量などが訂正されていた。白血病と診断された後も被ばくの可能性のある作業に
 従事可能なことを示す印が押され、入院中に安全教育を受けたことになっていた。
 安全管理のずさんさに怒りがわいた。

 〔中略〕
 そもそも原発での被ばく労災が表面化することはまれだ。市民団体「福島県双葉地
 区原発反対同盟」の石丸小四郎代表(68)は震災前、福島第1原発の作業員6人
 の被ばくによる労災申請を支援し4人が認定されたが、実名を公表したのは2人だ
 け。「原発の恩恵を受けているとの思いがあり、狭い地域社会の中で補償支給を知
 られたくない人が多い」
と指摘する。
 がん以外の場合には認定自体に高いハードルがある。福岡市の元溶接工、梅田隆亮
 (りゅうすけ)さん(76)は、79年2~6月に中国電力島根原発(松江市)と
 日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)で働いた。その後、突然鼻血が出るなど
 の症状が表れ、慢性的な倦怠(けんたい)感が続いた後、00年に心筋梗塞(こう
 そく)で倒れた。被ばくが原因ではないかと疑念を深め、08年に労災申請したが、
 認められなかった。累積被ばく線量は8.6ミリシーベルト。再審査を請求してい
 る梅田さんは「原発労働者が事業者の都合にいいように扱われている。このままで
 は自分のようなケースがどんどん生まれてしまう」
と懸念する。
 被ばくによる労災認定に明確な基準があるのはがんでは白血病のみ。「年平均5ミ
 リシーベルト以上の被ばく」と「被ばく後1年以上たってから発症」の2点。他の
 がんは厚労省の検討会が判断する。【池田知広、関谷俊介、袴田貴行、西嶋正信】”

これまでは広告費で脅して言論抑圧してきたが
今後はそのような欺瞞は通用しない。
「真実」が次々に報道されるだろう。
ぼろぼろになった安全神話にとどめがさされることになる。

下請けのいい加減さは今に始まったことではない。
そして、上層部が離れた場所から原子力の安全性を強弁する一方、
末端の労働者が得体の知れない危険に晒されていることも変わらない。
ただ、それを大手メディアが報じてこなかっただけなのだ。

大本営参謀たちがのうのうと生き延びた太平洋戦争の構図と全く同じだ。
恐ろしく責任感の欠けた人間が専門家として通用していることを
我々は目の前で見ることになるだろう。

▽ その内『英雄と呼ばれて』といった悲しいタイトルの本が出るだろう。

『朽ちていった命―被曝治療83日間の記録』


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