英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『将棋世界』6月号④

2009-07-13 17:40:18 | 将棋
★「ねじり合いを制す」 リレー自戦記 佐藤康光九段
              竜王戦1組 対 木村一基八段



 第1図は後手の木村八段が△3一玉型のまま△7四銀と上がったところ。これを佐藤九段は「木村八段工夫の一手」と評している。

 実は、同じ6月号の『熱局探訪』でも野月七段がこの将棋を取り上げている。こちらでは、
「木村八段が早めに△7四銀とたったのが疑問らしく、佐藤棋王のペースで序盤戦が進んだ。
 なんでも、早めの△7四銀は佐藤棋王が奨励会のころ島九段に「この銀を上がってはいけません」と教わったらしく、あまり昔のことだから木村八段は知らないだろうな…と思いながら指していたらしい」
と、記されていて、佐藤棋王の「木村八段工夫の一手」という評価とは違っている。
 ただ、この後指し手が進み木村八段は△3四銀と受けたが、「△3四銀と受けるのなら早く△7四銀と出る必要はあまりなかった」と言及している。

 また、佐藤九段はこの戦形の思い出として、15年前の第7期竜王戦第2局の羽生名人戦と似ていて、当時のことを思い出したらしい。(3五、7五と互いに角で府を交換し合う。ただ、このときは先手の羽生名人が先に3六に銀を上がり、早囲いのまま、銀を3五→2四と繰り出し銀交換をしている)



 さらに進んだ第2図。ここでは先手の佐藤九段の作戦勝ち。
 この局面を佐藤九段は取り上げ
「この局面は昭和62年の王将戦、島六段-高橋棋王戦と同一局面で、私が記録係だった。すでに四段だった私がなぜ記録を取ったのか良く覚えていない。感想戦でも研究された局面で、後手があまり面白くないという結論になった。自分なりにも研究し十分指せる感触を持っていた」
と述べている。
 野月七段の記したことは、このことを誤って受け取ったのかもしれないし、2つの出来事とも事実だったかもしれない。

 この後、佐藤九段ペースで進むが、木村八段が強い受けを放ち盛り返す。しかし、佐藤九段が木村八段の受けきれるという見切りの上を行く強襲で寄せきっている(厳密に言えば、木村八段の受け損ないで、実際は難解な形勢だったらしい)。
 中終盤は、お互いの持ち味が遺憾なく発揮され、佐藤九段がタイトルをつけた通りの「ねじり合い」の面白い将棋だった。


★「衝撃の一局」 リレー自戦記 稲葉 陽四段
           新人王戦 対 里見倉敷藤花

 何だか、稲葉四段が意識し過ぎ(ビビリ過ぎ)で、自滅したように思える。



他にも、取り上げたい記事あるのですが、遅れているので6月号はこれまでです。

 
 
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5 コメント

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スピード編 (夕焼け)
2009-07-14 04:47:38
どうもです~
将棋世界の話ではないんですが、将棋に関する事なのでお邪魔させて頂きます~

先日同僚とオセロをやったんですよね。ワタクシの全勝でしたよ^^しかし同僚から「もっと急いで打ってくれ」とクレームをつけられました。ワタクシの考える時間が長いようなんですよね。と言っても10秒たらずなんですが・・・結果メトロロームを使ってのスピードオセロに定着してしまいましたよ。一手にかける時間。これってどこまでがゲームでどこからが勝負なんでしょうかね?

ゲーセンの将棋なんかは持ち時間がないのがほとんどで一手一手に時間制限があるんですよね。序盤の一手も終盤、悩み所の一手も同じ時間、これってゲーセンは「本格将棋」となっていても「それって将棋なの?」と思ってしまいます。
プロ棋士や英殿なんかは瞬時に分かるでしょうからゲーセンなんかの将棋はお茶の子サイサイかと思うんですが、ワタクシなんかどうしても将棋をしている感じにはなれないんですよね。

タイトル戦や日曜にテレビでやる対局などそれぞれ持ち時間が違うんでしょうが、その持ち時間なりの強さ、戦い方、考え方があろうかと思うんですよね。でも考える時間がまるっきりないと「勝負」というより「ギャンブル」的な要素が入ってくるんかも。「運」といってもいいかな。

麻雀と将棋の最大の違いは将棋にはギャンブル的要素が無いって事なのかも知れません。麻雀のように素人がプロに勝つなんて事はおきないでしょう?将棋やチェス(チェスの賭け事はスピードチェスが主流とは聞きますが)ワタクシレベルで言うとオセロ、トランプのシンケンスイジャクなんかも「強い方が必ず勝つ勝負」であってほしいかなと。

お遊び、ゲームでやっていても一定の考える時間は欲しいなぁ。
さて本題に入りたいと思います。長い?イヤイヤ^^まぁまぁ^^
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スピードで打った場合の直感とヤマ感の違い編 (夕焼け)
2009-07-14 05:21:09
さて時間ギリギリで打った時、ワタクシの場合オセロだったんですが同僚が「今のは自分で打ってシビれました」「これは神の一手」などと調子づいてたんですよね。同僚は女性なのであんましキツイ事は言いませんでしたが「イヤイヤそれは違うだろう。ただ運が良かっただけだよ」と柔らかに否定しました。

「直感でオセロ打つ」
同僚はこう言いたかったんだと思います。実はワタクシ音楽の仕事やってまして、クリエイティブな仕事って常日頃からそういう能力が必要なんですよね。しかし!直感だけじゃないと思うんですよ。直感なんて努力の積み上げた者のみが覚醒して出来るもんだと思ってますし。ヤマ感なのに直感、感性、センスと言う人が多いような気がするんですよね。

よくマスコミが羽生さんの対局を「センスの一手」「奇策の一手」なんて紹介してますけど、それは英殿レベルの人がみてそう思うのであって、真似しようとしても同じ奇策の一手でも「直感」と「ヤマ感」じゃエライ違いです。才能だけでなく途方も無い努力があってこそ「ヤマ感」が「直感」に変化するんかも・・・

ん?やばっ!終わらないですね・・・
次でフィニッシュします^^
返信する
スピードで打った場合の直感とヤマ感の違い編 (夕焼け)
2009-07-14 05:48:53
ムムム!朝になろうとしています!
う~んまだ仕事にとりかかっておりません・・・

おっと本題です。
英殿は将棋の先生ですよね?
子供達に教える場合ってどうなんでしょう。子供ってじっくり考えて打つ場合と閃きによって打つ場合があると思うんですが、比較は出来んのやろうけど果たしてどちらに重点を置けばいいのか・・・ヤフーの「Q&A」で「子供に将棋を強くさせたいんですけど、じっくり考えて打つ方が良いのか、閃きで打つ方が将来伸びるのか分かりません」ってな質問があったんですが、回答は様々でした。そもそもこういうのって子供によって違うと思いますし、閃きが直感として覚醒するには(センス、才能を開花させるには)まず努力が必要なんじゃないかなぁ~

世に出てる様々な偉人、達人に刺激され「ああいう風になりたい」と思うのは大変良い事と思うんですが、コピーと申しましょうか、真似の域を出ないタイプとよく出会うんですよね。芸術系なんか特に多いですよ。ミュージシャン志望の子とか。

「ピカソ?ああ、あの目が一個多い絵でしょ?」
てな感じで軽く考えてるんですよね。ピカソがそこにいきつくまでに費やした努力とスタイルがスッポリ抜けているんですよねぇ。

自分の器に入らないモノに遭遇した場合、理解出来るモノを「天才」「スゴイ」と賞賛し理解出来ないモノを「変」「キモイ」と斬り捨てるケースが多いような気がしますよ。こういう感性だと「直感」と「ヤマ感」の見分け方が出来なくなってくる要因なのかも知れません~

知識、IQとは無縁のワタクシなんですが、無いものをやっぱりリスペクトする訳でして、その分かりやすい部分で世にあるのが将棋なんですよね。しかしクリエイティブな音楽でも知の道の将棋でも歩む道、過程、そして覚醒するに至る努力は似ている部分もあるのかなぁ~と最近感じた次第です~
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Unknown (夕焼け)
2009-07-14 08:08:11
4連続コメです・・・

今オセロの弱い同僚から苦情がきました

メトロローム×
メトロノーム○

でした・・・
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返事は記事にして ()
2009-07-14 13:53:16
 夕焼けさん、力の入ったコメント、ありがとうございました。
 お返事ですが、力を込めて書きたいと思いますので、記事にして書きます(今夜中に)。少しお待ちください。
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