英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『平清盛』 第36話「巨人の影」 その2

2012-09-17 13:30:59 | ドラマ・映画
昨日、記事をアップしたが、何かモヤモヤしたものが残る。大人物ぶりを強く際立たせる脚本・演出について言及したが、それだけではスッキリしない。それは…

①事の起こりの尾張の事件がよく分からない
 ドラマでは「成親が治める尾張の国の役人の藤原政友が、日吉(ひえ)の社に使える神人(じんにん)たちと衝突、死者を出した。日吉の社を治める比叡山がこの事に憤慨、成親と政友の処分を求めてきた」と語るだけ。「目代・藤原政友」と「日吉の社の神人」というテロップが画面に出ただけ。
 これでは、何が起こったのか把握するのは難しい。どのようないさかいがどのように発展したのか映像で見せてくれないと、私のような歴史に疎い者はついていけない。
 しかも、成親を庇うため後白河法皇がしゃしゃり出てきて、ほとんど取り調べもしないまま、一方的に神人を処分したため、誰に非があるのか分からなかった。
 もちろん、「比叡山をよく思わない法皇が贔屓の成親を庇ったため、比叡山が腹を立て強訴を起こした」ことがスピーディーに展開したので分かりいと言えるのかもしれない。

②清盛の真意に同意できない
 清盛は、成親より比叡山との仲を優先した。さらに、法皇の命によっては兵を動かさず、自らの意思で事を治めて、平家の力無くして法皇には何も出来ぬと思い知らせるという思惑であった。

 清盛の思惑通り事は進んだが、マイナスの面も大きかった。今回の件で、平家内の亀裂が大きくなってしまった。重盛へのフォローをしっかりするべきであったと思うが、まあ、これは、ドラマ的には必須の要件かもしれない。
 しかし、それはさておき、大局的に見た場合、どうなのだろう?
 法皇との駆け引きは流石のものであったが、「法皇の力の及ばない福原に平家の都を作る」という遠大な構想があるのなら、都のいさかいは適当に対処して敵を作らないよう努めるべきではなかったのか。
 具体的には、尾張の事件を精査し、適切な処罰を下すなどの指示を出してもよかったのではないか?史実にこだわる必要はないが、史実では「後白河法皇は、政友の解官・禁獄のみを認めることで事態の解決を図ろうとしたが、強訴側は成親の配流を求めて譲らなかった」らしい。ついでに書くと、ドラマでは強訴の首謀者の明雲は、史実では強訴を説得する立場にあったようだ。
 それはともかく、福原構想を主とするならば、都では法皇に従う振りをして成親を守るために強訴を鎮圧してもよかったように思う。武力で山法師を制圧するのは困難なのだろうか?天罰が下るのを恐れたのだろうか?しかし、以前、矢を射抜いた清盛はピンピンしているぞ。
 あるいは、明雲に「今後比叡山を擁護する」と取引をし、鎮静化を図るという手もあったのではないか?

 この②に関しては、余計な考察だと思ってください。

③貴族(天皇)と武士と僧侶しか登場しない
 これは今回に限ったことではないが、農民や職人などいわゆる平民(民衆)がまったく出てこないので、当時の世相を感じられない。
 絵空事で薄っぺらく感じるのは私だけだろうか?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 野蛮と言うか、原始的と言うか | トップ | 浪速少年探偵団 第12話(... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ドラマ・映画」カテゴリの最新記事