英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2016年参議院選挙 ~憲法改正草案の危険な匂い~

2016-07-12 13:27:55 | 時事
前記事「2016年参議院選挙 ~自民党公明党が大勝~」の続きです。

 選挙の争点にはならなかったが、自民党が提示した草案を見て……
 ……安易に使用してはならない言葉だが、“ファシズム”への傾きを感じさせるものだった。


 検索して、自民党草案に関する分析をを読むと、そう感じたのは私だけではないようだ。

「【真剣に考えよう】自民党の憲法改正草案、問題点を超ざっくり分かりやすく紹介! 」『ゆるねとにゅーす』
『【自民党憲法改正草案】見やすい対照表で現憲法との違いが分かる!』
「森永卓郎の戦争と平和講座 第53回“自民党憲法改正案の本質”」『マガジン9』
 詳しくは、紹介したページを読んでいただくとして(私が書くより確かであろう)、引っ掛かりが強い点をいくつかあげる。

前文
 憲法の前文は、理念と目的を示し、この憲法の根本の柱となる精神(方針)を明らかにしたものだと考える。
 現行憲法においては、「主権は国民にあり、国民は福利を享受するものでなければならない」「国民は恒久な平和を念願し、それを達成するよう努めるべし」と要約されるが、自民党草案では“国民主権”“平和主義”“世界の平和”という文言は記されているが、“司法三権に基づいて統治される”家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する”“国を成長させる”という表現があり、国家主義を思わせる内容のように感じる。

 根本理念ともいえる前文をこんなに変容させていいのだろうか?
 この前文を読んだだけで、現行憲法とはかなり違うものに改変しようとする意図が見えてくるのだが……



第1章 天皇
第一条 「天皇は、日本国の象徴」→「天皇は、日本国の元首
第三条【新設】 「国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする」「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなけれならない」

 「象徴」と「元首」のどちらに権力を感じるのか?
 「国旗及び国歌に関する法律」(1999年8月13日に公布・即日施行)で規定されているのに敢えて憲法で規定したのはなぜ?


第2章 安全保障
国防軍という条項を新設
 “国防軍”て?……「軍」だよね。 「自衛」と「国防」の表現も強硬さが増していない?


第3章 国民の義務及び権利
第十二条 国民の責務
現行憲法
「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、
 国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。
 又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、

 常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ

自民党草案
「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、
 国民の不断の努力により、保持されなければならない。
 国民は、これを濫用してはならず、
 自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、
 常に公益及び公の秩序に反してはならない


 “公共の福祉”と“公益及び公の秩序”は似ている表現であるが、“国民”より“国家”のためという色合いが濃いように思える。


第十三条 人としての尊重等
現行憲法
「すべて国民は、個人として尊重される。
 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
 公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする

自民党草案
「全て国民は、人として尊重される。
 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、
 公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない


 ここでも“公共の福祉”を“公益及び公の秩序”に言い換えている。さらに「個人として尊重される」が「人として尊重される」と言い換えてあり、個人を軽視していると考えられる。


第二十一条 表現の自由
「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する」
という項目は同じだが、自民党草案には項目2として
「前項の規定にかかわらず、
公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、
並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」

 という表記が加えられている。

 これだと、国家の判断で、表現や結社は統制されることになる。


第11章 最高法規
102条 憲法尊重擁護義務
「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」

 わざわざ新設して、念を押している。


この他、「第9章 緊急事態」も、緊急事態と判断されれば(判断基準があいまい)、総理大臣に権力が集中できるなど、相当危険な臭いがする。

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2 コメント

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公益及び公の秩序 (コウジ)
2016-07-13 09:37:41
おっしゃるとおり、危ないですよね。

〝公益及び公の秩序〟というのがいかがわしい。
〝公益及び公の秩序〟とはいったい何を指すのか?
時の権力者が勝手に決めてしまえば、いくらでも自由や権利を剥奪できる。

自民党はそんなことはないと言うでしょうが、誰が信じるものですか。
権力者を性善説で見ることほど愚かなことはない。
縛りがなくなれば、どんどん勝手なことをやって、北朝鮮のような国になる。

憲法は権力を縛るものであり、自民党の憲法草案のように国民の権利を制限しようとするものは、おっしゃるとおり〝国家主義的〟ですよね。
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前文からして危険な匂いが ()
2016-07-13 16:11:27
コウジさん、こんにちは。

 前文から、改変する気が満々ですね。
 〝公益及び公の秩序〟をはじめとする、諸所の言い回しも怪しい気配を感じます。
 有権者がもう少し政治に関心を持たないと、いいように改変されてしまいます。少なくとも、女性タレント議員が「子育て支援」をスローガンにすれば、楽々当選という状況を許さないようにして、政治家に舐められないようにしないとダメです。(今井議員がどうこうという意味ではないです)

>憲法は権力を縛るものであり、自民党の憲法草案のように国民の権利を制限しようとするものは、おっしゃるとおり〝国家主義的〟ですよね。

 ええ、そうなのです。
 前文自体が、「憲法は権力を縛るものであり、自民党の憲法草案のように国民の権利を制限する」意図が感じられます。
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