英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

気象データの罠 ~今回(2020年1月29日)の寒気~

2021-01-30 17:04:48 | 気象

 上図のように日本海の低気圧と、それが寒気を引き込み、暴風や暴風雪の荒天となった。
 上空1500mの寒気は日本列島を覆い、東海地方にも雪雲が流れ込み、岐阜市の10cmの積雪など、太平洋側でも各地で降雪があった。
(28日の東京の雪は別の要因だと思われる……北海道の東方沖からの高気圧の張り出しによる寒気の南下)
 ただし、上空5000m付近の寒気はそれほど強くなかったので、北陸の雪はそれほどではなかった。(日本海の低気圧も猛烈に発達はしなかった。通常北海道を通過し、北海道東方で猛烈に940hPaぐらいまで発達する)

 北陸に於いては、上空1500mで-6℃になると平地で雪が降り、-9℃とか-12℃ぐらいとなるとかなり寒くなり(真冬日並)、大雪の恐れが出てくる(気温が1~2℃くらいまで下がると、降った雪がそのまま積もる)。
 しかし、大雪になるかどうかは、上空5000m付近の寒気が要因になる。-36℃以下の寒気が南下してくると、1日20cm以上積もる可能性が非常に高くなる。


 
 今回、1月8~10日の大雪と車の立ち往生があったこともあり、気象予報士や各種報道も暴風や大雪予測を強調していた。予報内容はほぼ合っていたが、北陸地方に関しては、強風は吹きまくったが、富山県を除いてそれほど降らなかった。富山県に於いても、「平野部は40~50cm」と予報したが、実際は半分弱だった。福井県に関しては、「平野部10cm」という予報はほぼ的中。
 さて、1月8~10日の立ち往生で「3年前の教訓が生かされていない」と批判を浴びた“中日本高速道路”は、今回の予報を受けて、北陸道の福井県全域で予防的通行止めを行った(予防的通行止め……“大規模立ち往生”防止の除雪を行うための通行止め)
 その為、高速道路を迂回した大量の車で、国道など各地で大渋滞が発生した。

 この間のような大雪なら納得もできるが、福井市は10cm弱、今庄16cm、敦賀12cmとよくある降雪だった。もちろん、もっと山間部だと降雪はアメダスデータより多くなるので、今回の予防的通行止めが意味のあるものだった可能性もある。そこら辺は、実際に除雪作業を行った現場の人たちしか分からないが、中日本高速道路の通行止めの決定を下す部署は、その実態を検証しておく必要がある。
 それに、もし「大雪」と呼べるほどの降雪があったとしても、高速道路の通行止めは意味のあるものとなるが、一般道に締め出された車はどうするのだろうか?高速道路を利用する車は大型トラックが多く、もし、大雪だったら、渋滞によって通行が滞っている間にどんどん雪が溜まり、一般道の各所でスタックを起こし、大規模立往生が起きてしまう。
 中日本高速道路は高速道路を通行止めにした時の一般道の大渋滞を考えないのだろうか?まさか、「高速道路で立往生が起きなければ、それでいい」と考えているのだろうか?

 中日本高速道路は1月18日の福井県災害対策本部会議で、今後の対応策として、除雪のための「予防的通行止め」を即座に実施する方針を明らかにし、同社の片岡慎一金沢支社長は「ちゅうちょなく予防的通行止めを行い、集中的に除雪を行う」と説明し、より早期に対応することで実質的な通行止め期間を短くする考えを示した。
 しかし、“躊躇なく予防的通行止めを行う”と言っているが、あらかじめ予告してくれないと大変なことになる。(“あらかじめ予告”……重複表現か?)
 それに、「北陸道と国道8号線の両方を通行止めにする」という立往生予防策も実施するという話もあるが、この場合、経済(流通)を止めないと単なる“浅はかな策”に終わってしまう。そんな社会への多大なる影響を及ぼす決定の判断材料となる現在の気象予報がそこまで信頼のできるものなのか?……気象庁さん、自信ありますか?

 おっと、今回の記事の動機は上記ではなかった。
 実は、今日のお昼ごろ、NHKの名古屋放送局から気象ニュースあった。岐阜市10cmの積雪など、東海地方の各地で降雪があり、そのことの警戒を呼び掛けが目的のニュースだったが、その情報のデータとして、「富山市53cm、福井市27cm」という数値が示された。
 これ、普通の人は「富山でまた50cmも降ったのか」と思うはずだ。

 このデータは誤りではないが、今回の降雪の「降り始めの時点の富山市の積雪は30cm、福井市は19cm」なので、実質は「富山市23cm、福井市8cm」である。

 《情報(データ)を鵜呑みにしてはいけない》という良い例である。
 名古屋局の放送スタッフは、理解していて報じたのだろうか?
コメント (2)
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