崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

鵜澤和宏さん(44)=先史人類学

2011年03月03日 05時51分26秒 | エッセイ
同僚である東亜大副学長・教授の鵜澤和宏氏の研究調査に関する「歴史・迷宮解:古代アンデスの動物食」が「毎日新聞」全国版に大きく報道された(2011年2月23日)。鵜澤氏が毎年夏にペルー北部高地にある古代文明胎動期の神殿跡、クントゥル・ワシ遺跡に発掘調査に出ているのは知っており、断片的な話は聞いていたが学内では聞くことがなかった。私は広島大学で行われているランチタイムゼミナーのような集まりをこの大学でも進めたが未だに反応はない。私が研究会を開き誘っても教員が参加することはなかった。また地方のマスコミに彼の研究について取材を進めたが反応がなかった。今度の報道と関連して毎日新聞下関支局長の三嶋氏に勧めたら昨日掲載分の2部と丁寧な反応があった。近いうちに取材になるのではないかと思う。私は地方から発信、隠れている人材の発掘、情報の共有などで下関に住んでいる満州映画協会に勤務した曽根崎氏などをテレビなどに紹介したことがある。
 鵜澤氏の研究は狩猟から家畜飼育への転換はなぜ起きたのかが問題点である。ペルーの遺跡で出土した動物の骨を調べて、人類史の謎に迫る。不思議なことに、全く交流がなかった約2500年前の古代アンデス(南米の太平洋岸地域)の北部高地と日本で、同じように家畜の飼育が広まり、狩猟が衰退に向かうとともに、子ジカが捕獲されて食料になっていた。人類が家畜の飼育を始めた要因として、技術革新、気候変動に伴う野生動物の減少、人口増加が挙げられている。弥生時代の日本で、イノシシを家畜化した豚の飼育が始まった。その一つの要因として、鵜澤氏は、気候変動を考える。彼は日本と比較しながら古代アンデスについて二つの可能性を考える。一つは、気候変動により野生動物が減少して、幼獣まで捕獲しないと食料を調達できなくなり、家畜を飼育するようになったということである。

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