崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

誘惑する文化人類学

2018年07月18日 05時15分19秒 | 講義

 熱中症のニュースが騒ぐ猛暑の中,私は次作と講演に向けて準備中。昨日は前回お知らせのように明後日沖縄の名桜大学で開かれる「軍と性」という公開講座で私は「戦争と性」という題で基調講演をする。その準備に「暴力とその変貌」を読んだ。京都大学の田中雅一教授著『誘惑する文化人類学』に誘惑され数日読書、その中の暴力に関する章を精読した。暴力とは一般に否定的と思われるが実は秩序維持のための恒常的な暴力という肯定的な面がある。我々はそのような国家権力などの中で暮らしている。しかし文化人類学者はその研究を避ける傾向がある。非難されやすいからであり、また非難したくなる。中には身体に傷付ける文化、例えば夫の死に妻が自殺する社会がある。否、自殺ではなく社会が強制する文化が多い。その外の社会では相対主義といって傍観、あるいは観光するような今に至っているところもある。暴力と報復が繰り返されている。その問題点を豊富に指摘している。紹介したい。一読を勧める。