崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

朝鮮通信使

2011年02月26日 05時18分50秒 | エッセイ
 今韓国の某博物館の2013年特別展「朝鮮通信使」のために博物館の担当者らと佐賀県名護屋城博物館、大阪歴史博物館、下関の長府博物館などを回っている。昨日は圧倒的に多く資料が所蔵されている大阪歴史博物館の大沢氏と打ち合わせをした。私は朝鮮通信使の歴史と地図に関して俄かに勉強することになって楽しい。当時日本人の観察によって描かれた行列図には朝鮮人も日本人と同じような姿に描かれたのが多い。それは見た後に記憶によって描いた、記憶の曖昧さによるものかも知れないと思う。しかし大阪歴博物館所蔵の辛基秀氏コレクションの中には非常にリアルな行列図(写真)が目を引く。
 名護屋城博物館では新井白石と雨森芳洲の朝鮮通信使をめぐる外交政策の対立の文献があって面白い。前者は雨森芳洲との間で意見の違いがあったという。白石は清朝天子と日本の天皇を同列におき、朝鮮国王と徳川将軍を対等とする意見であったが、後者は日本の天皇と朝鮮国王が対等と考えていた朝鮮の気分をそこね、朝鮮との貿易での利益が得られなくなると判断したという。つまり内政と外交の対立の意見であろう。この対立はいつの時代でも繰り返される普遍的なものであろうと思った。
 帰りに新山口駅では川村博忠先生に会ってもう一つの展示会「韓国の世界地図展」に協力を要請した。昨日の新幹線の自由席は満席で喫煙室に入ったが我慢できず禁煙室に移った。同行中の二人はヘビースモーカーのようであるが、彼らも移ってきた。そのわけを聞いたらタバコを吸う人でも人の吐く煙には我慢できないという。内政=内煙、外交=外煙、分離相反するようである。