転送 1


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以前にも書いたが、アメリカからものを買う時に、転送サービス会社を通す方法というのがある。
アメリカの通販会社などで製品を購入し、一度アメリカ国内の転送サービス会社の住所に送ってもらう。
その荷物を、手数料と送料を払って日本に転送してもらうのだ。

何故そんな面倒臭いことをするのか・・・
理由としてまず挙げられるのは、日本に直接送ってくれない物を、どうしても購入したい場合への対処である。
もちろん銃器や麻薬など、違法なものはダメである(笑)
だが日本の代理店を保護するためなのか、直接日本に送ってもらえないケースがあり、その場合このサービスを利用する以外に方法がない。

それ以外にも、転送サービスを使うと有利な場合がいくつかあるようだ。
たとえば、米国内の複数のサイトで購入したものを、個々に発送してもらうより、ひとつの箱にまとめて送った方が、送料が安くなる場合である。
転送サービス会社で、購入物を(多くの場合一定期間無料で)保管してくれるので、その間にあちこちで仕入れて、溜まったところで一度に送ってもらうのだ。
米国内への配送が無料のネットショップの場合、転送サービス会社までの送料がかからないので、このやり方は非常に合理的である。

それだけ大量に購入する人となると、商品として仕入れるプロが多いのだろうが、僕のように年中海外から物を取り寄せるユーザーも、このサービスを利用すれば得をする場合が多いと思われる。
通常の海外通販では、日本までの送料が数十ドルかかるので、それらをまとめて送れるなら、万単位で金額が違ってくる。
実際米国のeBayやamazonで購入する際に、転送サービスを利用するユーザが多いらしく、この二つのサイトからの利用方法が特に詳しく解説されている。
eBayやamazonには、海外への発送に応じてくれない売主も多いのだ。

僕の場合は、相手に何とか頼み込んで日本に送ってもらうなどしてきたので、過去にこのサービスを利用したことがなかった。
しかしオールデンのように、靴店から日本への発送に一切対応してくれないケースもある。
そこで今回、この転送サービス会社を通して、実験的にオールデンを輸入してみることにした。

また数回に分けて、ここで経過を報告しようと思う。
実はまだ現在進行形なのだが、考えていたほどスムースにいかず、ちょっと苦労している。
最終的に自分の手元にちゃんと届くのか、まだ分からない状況である。
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再会


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親戚に不幸があり、通夜に参列してきた。
叔母が亡くなったのだ。
僕が子供の頃、随分とやっかいになった叔母だ。
当時近所に住んでいたこともあり、通夜の会場で、懐かしい顔と再会することができた。

親族の席から焼香の列を見ていたら、僕が中学生の時に教わった家庭教師の先生の顔が、列の中に見えた。
席を立ち上がって頭を下げたら、しばらく僕の顔を見ていた先生も、気付いてあっという顔になった。
席を離れて挨拶をした。
話したのは25年ぶりくらいか。

歳をとり大分イメージが変わったが、若い頃の先生は本当に華やかな人だった。
僕より数歳上の大学生で、先生というより、兄貴分というべき年齢だった。
非常に優秀な慶応ボーイで、グライダーを操縦するのが趣味であった。

家に遊びに行くと、先生の部屋の下はガレージになっていて、そこにピカピカに磨かれた黄色いFRのジェミニが収まっていた。
黒いストライプの入ったセダンで、チューニングされたエンジンが低い音を立てて唸った。
それに乗せてもらい、スキーなどに連れて行ってもらった。
荒井由実の全盛期で、車の中でカセットをがんがんかけた。

その時のことが甦った。
考えてみれば、贅沢で楽しい時代であった。
歌に描かれたような青春ではあるが、実際に体験した人は少ないだろう。

その後先生は大手の商社に就職し、海外でバリバリ働いているという話が伝わってきた。
優秀な人だったので、就職の時は大手の航空会社も先生のことを欲しがり、取り合いになったと聞いた。
そういう時代だったのだ。

名刺を見ると、今は会社も辞められ、ボランティア活動などに力を入れているようだった。
やはり何か時代が変わったような気分になった。
今度食事でもしようという話になり別れた。
会場を出る先生を見送りながら、懐かしい顔と再会できたのは、叔母のお陰かなと思った。



三越に入っている靴のリペアのお店で、オールデンの靴底にラバーを貼ってもらった。
また先端部の補強として、ビンテージスチールといわれる金属製のプレートを取り付けてもらった。
作業は小一時間で終わり、金額は6300円であった。

オールデン990の靴底はレザー製で、かかとにのみ楔形のラバーがはめ込まれている。
この手の革靴では、ごく一般的な仕様である。
レザーソールは履いた感触はいいのだが、水に弱く滑りやすいという欠点がある。

濡れた大理石の上など、時折やけに滑る床に遭遇することがある。
近所にあるコンビニの床がそうで、雨で慌てて飛び込んだ時など非常に危険だ。
従兄弟は過去に何度か転びかけ、転倒までいかないまでも、腰を酷く痛めてしまった。
僕も時折ツルッとくることはあるが、若い人ほど無謀な動きをしないためか、転ぶこところまではいかない。
しかし万一転倒したら大変なことになる。

未然に防ごうということで、リペアショップで改造をお願いした。
ソール全体を交換するとなると、数日間預けることになるので、ハーフラバーと呼ばれる前半分だけを貼り替える仕様にした。
これだと工房が空いている時なら20分くらいで完了する。
何種類かある中から、お店で勧められたビブラム製のものを選び、色は靴に合わせてブラウンにした。

ヒールに関しては、ラバー製に交換することは可能だが、靴がまだ新しいので、オリジナルの楔形を外してしまうのは勿体無いと言われ、今回は見送ることにした。
先端部の金属プレートは、僕の歩き方が悪いのか、その部分がやけに減るのが気になって取り付けてもらった。
しかし聞くところによると、最初のうちはつま先の減りは早いものらしい。
まあビンテージスチールがカッコいいので、アクセサリーとして付けたというのが本音だ(笑)

オリジナルから比べると、サイボーグみたいにどんどん改造している。
オリジナルを尊重する考え方からすると邪道なのだろうが、靴というグッズの性質上、実用品としての性能を重視すべきという考え方もある。
僕の場合、この趣味をはじめて日が浅いこともあり、こういう事には積極的に挑戦しようと思っている。
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コントラスト


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見事に晴れた秋の休日であった。
日差しが眩しく、目を開いていられなかった。
太陽光が強い分、気温も高めに感じられたが、空気が爽やかで気持ちが良かった。

用があって、昨日に引き続き日本橋まで出た。
昼食を済ませてから、街を少し歩いてみた。
もう夕方の陽射しであったが、コントラストが強く空気が澄んで感じられる。
時折吹き抜けていくひんやりとした風が、本当に心地よかった。



ユニオン・インペリアルのスエード製のチャッカブーツを買った。
U1213という今年の秋冬向けの新作だ。

以前よりチャッカブーツが欲しくて、海外製品など含めて、いろいろな製品を物色していた。
多くの会社がラインナップしているのを見ると、けっこう流行っているのかもしれない。

この製品は、さすがはユニオンで細部の作りが優れており、価格とのバランスもいいため候補の筆頭であった。
サイドに細かく入ったステッチが効いていて、靴全体のデリケートな形状も傑出している。
ラバー製のダイナイトソールを採用しているのも、こちらの欲する仕様と一致する。
何より幅が3Eと広いところが僕にピッタリだ(笑)

三越で店頭に出ていた現物を見て、即座に購入を決意した。
ただ、どのサイズを買うべきかで少々悩んだ。
履き比べてみて、僕自身は7ハーフがいいと思ったが、ブーツを履いた僕の足に触れた店員さんは、本来なら7がジャストだと言う。
履いた感触からいうと、いつもなら躊躇せずに7ハーフを選ぶところであるが・・・

一晩考えさせてくれと購入を保留し、家でじっくり悩んだが、やはり7ハーフでいくことにした。
店員さんは、スエードという柔らかい素材であることも考慮してのアドバイスであったが、7だと足に吸い付くような履き心地で、動くと多少当る部分もあり、使い出すとどこか痛くなるような気がしてならない。
寒い季節には靴下を厚手のものに替える可能性もあるし・・・

だが、靴の販売を専門にしている人から、適したサイズはこちらだという指摘を受けたのは、いい経験であった。
僕は緩めに履くのが好きなのだが、それが必ずしも好ましいことではないことが改めてわかった。
幅の広い足なので、まずは幅方向が当らないことが先決で、前後が緩いのは毎度のことで慣れてしまっていたのだ。

お店でアドバイスをくれた店員さんを探し、その人から靴を購入した。
お客様の好みがあるので、それで何ら問題はありません・・と言っていた。
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フィルター


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疲れていたが、会社の帰りに日本橋まで出てみた。
この秋に流行りそうなファッションを見ておこうと思ったのだ。
もちろん自分で着るためではなく、仕事の上で世の中の流れを知っておきたくて・・である。

英国調の重厚で品質感のある服に、部分的に現代的な鮮やかな色を入れたものが並んでいた。
それに本格的な帽子を組み合わせている。
あれだけのものを着こなせる人といったら、かなり限られるような気もするが・・・(笑)

出張先で靴のムックを買って何冊か読んだ。
背の高い白人のモデルさんが、カッコよく着こなした写真が並んでいる。
自分で着ると、絶対にああはいかないので、僕個人にとっては実用性の無い本ではある(笑)
まあ、日本人が着るとこうなっちゃう・・というフィルターが、頭の中に必要だということだろう。
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休養


SIGMA DP2Merrill

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出張から帰ってきたのだが、疲れていてここを書く余力がない。
移動中何時間か座りっぱなしだったからか、腰も痛い。
今日は休むことにするので悪しからず・・・
ただ明日は仕事だけど・・・
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同じ道


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靴に詳しい年下の従兄弟と話をした。
面白くて夜遅くまで話し込んだ。
靴に興味を持ち始めたばかりの僕とは違い、あちらには多くの知識がある。
僕にとっては貴重な情報源である。

実は、靴に詳しい従兄弟・・というのが、数人いる。
今まで興味が無かったから気付かなかったが、靴というのはごくポピュラーな趣味らしい。
お洒落な人が、靴に少々のお金をかけるのは、当たり前のことのようだ。
特にお金に余裕のある、まだ独身の男性にとっては・・・

最初に核心に迫る質問を受けた。
買ったきり、一度も履いていない靴が何足あるか・・・
答えに窮し、ちょっと口ごもった。
「え・・と・・2足・・いや、3足かな・・・」

靴を趣味とする人の多くが、そういう靴を何足か持っているらしい(笑)
プラモデルみたいなもので、欲しくなって買ってしまったが、箱に入ったままで積みあがっていくのだ。
僕の場合、そもそも革フェチが高じて始めた趣味なので、時折出してきて眺めるだけで満足してしまうのも原因だ。
靴の箱の大きさが、ある程度共通しているのは、積み上げるときに便利なためだろうか?(笑)

通る道も共通しているようだ。
トリッカーズとか、オールデンとか、最近買った靴を言ったら、あちらも同じメーカーの靴を既に持っていた。
さらには僕が今興味のある靴も持っている。
とっくに何年か前に買っているのだ。
雑誌の特集など、同じような情報を基にしており、お互いそれに誘導されている面もあるのだろう。

まあいずれにしても、この道に関しては、あちらが先輩である。
僕にとっては、非常にエキサイティングで有益な夜であった。

ところが、僕が熱っぽく聞いたり話したりするので、あちらも久々に火がついてしまったらしい。
従兄弟に行きつけのお店の情報を話したのだが、数日後に行ってみたら、どうやら従兄弟らしき人物がそこに来たことがわかった。
しかも夜遅くまで話した、すぐその翌日のことであった(笑)
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穏やかな朝


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台風の影響で、かなりの悪天候になると予想していたが、結局何も起こらずに朝になってしまった。
窓から外を見ると、曇ってはいたが、雨も風も大したことなく、むしろ穏やかな朝であった。
これでおしまい・・?

昨晩少し風が吹いただけで、ある時間からはピタリとやんだ。
山沿いの地域には避難した人もいたようだが、僕のいる場所はうまい具合に隙間にでも入ったのか・・・
そのまま何事もなく朝を迎えてしまった。
普段と違うのは、台風の名残の、空を覆う厚い雲くらいであった。

きっと大雨だろうと思い、トリッカーズを履いて職場に行き、そこで革底のスコッチグレインに履き替えようと思っていたが、その必要はなかった。
タクシーに乗ると、この程度で済んでよかったですね・・というのが挨拶であった。
会社に連絡を取ると、むしろあちらの方が風が強まっていることがわかった。

天気が回復した反動か、あるいは消費税の影響か、仕事の方は忙しかった。
大勢の人と話したが、多くは波に乗り遅れまいと、商売を前向きに進める話だった。
ちょっと疲れて、帰りのタクシーでぐっすり寝てしまった。
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接近


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台風が迫っているので、早々に仕事を終わらせてホテルに帰った。
日中はどちらかというと穏やかな天候であった。
雲は厚いが、風も雨も大したことはない。

しかし皆が台風を警戒し、通常とは違う動きをしている。
状況によって帰宅できるように、早目に仕事を終わらせようとしている。
台風が小さくなったという情報が入ると、少し緊張が緩んだ。

天気が悪化して外に出られなくなる可能性を考えて、途中コンビニで食べ物を買った。
ホテルに籠城できる態勢を作るのだ。
いつもより早く戻ったので、まだ部屋の清掃が終わっていなかった。
一階のロビーで清掃が完了するのを待った。

それから部屋で待機していたが、それほど悪化することなく夜になってしまった。
しかしどうやら本番はこれからのようだ。
先ほどから急に風が強まったのか、部屋の換気孔からゴウゴウと音がし始めている。
窓に近づくと、木が風にあおられて大きくしなっているのが見える。
どうやら始まったようだ。

ピークは今晩遅くらしい。
明日の朝までに治まってくれればいいのだが・・・
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渦中


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出張で九州に来ている。
えらい時にきてしまった。
最大級の台風が迫っている。

明日の今頃は大変ですよ・・とタクシーの運転手さんに言われた。
知らなかったんですか?と驚いた風であった。
知らなかったわけではないが、僕が出発した時点では、関東ではそこまで話題になっていなかった。
こちらに着いてみると、皆の顔に緊張感がある。

明日は準備をする日で、明後日は本番である。
タイミングがいいというか、悪いというか、間を縫うようにして、来るには来てしまった。
しかし明日移動する予定の人たちは、果たして来られるのであろうか?
風速50mとか、雨量が200mmとか、テレビで言っている。
ホテルに入る時も、フロントには次々にキャンセルの電話が入っていた。

フロントの女性に、被害が出る可能性のある地域についていろいろ聞いた。
大雨で洪水になり、交通が麻痺すると仕事の現場にも行けない。
(水が出る場所はないか・・と尋ねたが、「水が出る」というのは関東の方言なのか、意味が通じなかった)

とにかく明日は早々に仕事を済ませ、ホテルに戻るほうがいい。
食べ物を持ち込んで、ホテルから出ないで済む態勢で待機するしかないだろう。
それ以前に仕事場までたどり着けるのか・・という問題もあるが・・・
噴火もあったようだし、とにかく大変な時に来てしまった。
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勉強


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来週が出張なので、今日は比較的大人しく過ごした。
銀座に出て頼まれた買い物を済ませ、それから床屋に行った。
天気は曇りであったが、予報を見ると雨が降る確率は低かったので、思い切ってコードバンの靴を履いていった。

しかし水に弱い靴を床屋になぞ履いていくものではない。
頭を洗ったり、髪の毛に何かかけたりするたびに、ヒヤヒヤして足を引っ込めた。
体に被せた布製のカバーが足のほうまで届かないので、靴を左右に開いて、何とかカバーの陰に収まるようにした。

床屋が終わると、雨が今にも降り出しそうな空模様になっていた。
時折小さな水滴が、頬に触れるような気もする。
急いで駅の方に進み、早々に地下にもぐってしまった。

地下を辿って移動して、地下街とつながっているデパートに入った。
ここなら仮に雨が降ってきても、外に出ることなく電車で帰宅できる。
それにしても、少々情けない話ではある。
こういうデリケートな靴は、大雑把な性格の僕には向いていないのかもしれない(笑)

デパートの靴売り場で、クロケット&ジョーンズを試着させてもらった。
棚に並んでいる靴の形状を見比べると、比較的幅の広い木型で作られたシリーズがある。
靴を裏返して、靴底を見れば一目瞭然である。
そういう靴の中から選べば、サイズ表記は普通幅でも、案外問題なく足が入り、何とか使えることが分かった。

もちろんワイド幅のものを選べば、より理想的なフィッティングになるはずだが、靴の形がカッコ悪くなるため、あえて普通幅から選ぶ人もいるようだ。
ベテランの店員さんからいろいろなことを教わった。
お店に行くたびに知識が増えて勉強になる。
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プリン


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知人の奥様が、成城石井でプリンを買ってきた。
台所に行ったら、買い物袋が置いてあった。
きっと食後に出るだろう・・と思いながら、知人は袋に人差し指を入れて、中を確認した。
プリンの容器が、ふたつ入っているのが見えた。

ひとつには、20%引きと書かれたシールが貼ってある。
もうひとつには、シールは貼られていない。
賞味期限が迫ったプリンを、値引いて売っているのだ。
値引いたプリンが、ひとつだけ残っていて、それを買ってきたのだろう。

夕食を終えると、冷蔵庫で冷やしてあったプリンが出てきた。
20%引きのシールが貼ってある方が、知人の前に置かれた。
男性である彼が、そういうものを片付けるのは、家族の中で暗黙の了解になっている。
何も言わず、それを手に取った。

ふたを取って、スプーンで食べる。
成城石井で売っているだけあり、さすがに美味しい。
「このプリンは、やっぱり美味しいね」
「そうね」
二人で椅子に座りながら、並んでプリンを食べた。

知人は、ちらりと奥様の方を見た。
テレビを見ながら、美味しそうに食べている。

「まさかシールをはがして、そっともうひとつの方に貼りかえたなんて、夢にも思うまい・・・」

知人は表情を見られたくなくて、窓の方に顔を向けた。
暗い外の景色を背景に、笑いをこらえる自分の顔が見えた。
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サイズ 3


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さて、到着した8Eのオールデンであるが、梱包を解いて恐る恐る足を入れてみた。

コードバンの靴は、実際に使用すると表面に独特の曲げ皺がつく。
歩けば足の指の根元から靴が曲がるので、その辺りに大きな皺が何本か入るのだ。
人によって入り方に違いが出て、いかにカッコよく皺を入れて、自分専用の靴を作り上げていくかが、この手の靴の楽しみ方と言える。

この皺であるが、一度でも靴を履いて歩くと、簡単に入ってしまう。
一度皺がつくと二度と取れないので、当然その時点で(自分以外の人にとっての)商品的価値はなくなる。
足に合わず売却する場合のことを考えると、最初の試着は極めて慎重に足を入れ、そっと扱う必要があるのだ。

隙間から空気が漏れながら、スポッという感じで足が入る靴だ。
幅は・・ほぼピッタリ。
いつも買っているサイズより、少しタイトに感じるが、これが本来自分に適した幅なのかもしれない。
長さは・・・やはり少し大きい。
まあ、予想していた通りである。

しかし足が靴の中でしっかり固定されるので、指の先のスペースはけっこうあるが、歩いていて脱げてしまうことはない。
足を上げる時、かかとがほんの僅か浮き気味になるが、問題になるほどではなさそうだ。
サイズとしては、何とかセーフといったところだろう。

もともと履き心地のよさで定評のある靴なので、少々フィッティングが悪いくらいは、帳消しにしてくれる感じだ。
あとは時間とともに靴が多少変形し、同時に足の方も靴に慣れてくれば、問題なく使えるだろう。
大成功とまではいかなくても、失敗ではなかったようだ。
それにしても、足の幅がノーマルな人がうらやましい。



というわけで、アメリカから取り寄せたオールデン990の「8E」サイズ。
何日か履いてみたが、今のところ、足が痛くなる・・ということはない。
幅方向は少し締め付けてくるが、基本的に革がしなやかなので、それほど問題にはならない。
むしろ、だんだん馴染んできて、足に吸い付くような感触が出てきた。
噂通り、快適な履き心地の靴である。

990はオールデンの定番モデルであるが、前述の通り、8Eサイズは日本には輸入されていない。
恐らく本当なら、7.5の2Eか3Eが僕にピッタリのはずだが、この機種にそのサイズは用意されていない。
したがって、事実上これがベストということになる。
完全にフィットした状態ではないため、皺の入る位置はイマイチかもしれない。
この皺が、使っている当人にとっては、たまらない魅力となるのだ。

コードバンは粘りのある独特の光沢を持った革で、それだけで十分存在感があるので、磨いて光らせるのはほどほどにしている。
現在はKIWIのパレード・グロスというワックスで軽く磨く程度で、時々乳化性クリームで栄養を与えている。
色はカラー8と呼ばれるダーク・バーガンディで、普段は濃い褐色であるが、暗いところでは黒っぽく見え、太陽光があたると紫色に近くなる。

最大の欠点は、雨の日に履く事が出来ない・・ということだろう。
馬のお尻の革であるコードバンは、普通の牛革と違い繊維層が垂直方向に走っており、それを強引に寝かしつけて表面の滑らかさを出している。
水に濡れるとその繊維層が立ち上がってしまい、水ぶくれのように痕が残る。

洗面所で手を洗う時にも気をつけなければならないのだ(笑)
水に極端に弱いというのは、靴にとっては致命的な欠点とも言えるが、それでもこれだけファンがいるのは、補って余りある魅力があるからだろう。
履けば履くほど良さの出てくる靴で、その魅力の虜になり、何足も買ってしまう人がいるのがよくわかる。
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サイズ 2


SIGMA DP1Merrill

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実際に自分の足で試着することなく、えーい、ままよでオールデンを輸入してしまおうという話・・・
それも成功する確率は、五分五分といったところ・・・
少々危険な賭けであったが、思い切ってやってみた。

もともと既成靴というのは、完全には足にフィットしないものである。
多かれ少なかれ、どこかで妥協しなければならない。
それに今回は自分の足に合うサイズが日本国内では手に入らないのだから、個人で輸入するしか方法が無いのだ。

モノにもよるが、革靴は比較的内外価格差が大きめに感じる。
実際には関税が非常に高いので、個人が海外から取り寄せても、税金を取られた時点で差は縮まってしまうのだが・・・
一番いいのはアメリカに行った時に現地で直接買ってくる方法で、円高の時だったら国内の半額くらいで買えたようだ。
しかしまあ、アメリカに行く予定は当分の間無いし・・・(笑)

ところがオールデンというメーカーは、どうやら米国のお店から日本に輸出するのを規制しているらしい。
アメリカのどの靴店のサイトを見ても、オールデンの日本への直送は出来ないと書かれている。
今時こんなものがあったのかと、ちょっとビックリした。

先方が日本に送ってくれない場合の策としては、転送サービス会社を利用する方法か、個人バイヤーを通じて購入する方法がある。
転送サービス会社の場合は、靴店から一度アメリカ国内の(サービス会社の)住所に送ってもらい、そこから日本に転送してもらう。
その場合、手数料と送料が数千円かかり、それに関税がのる。
関税のかかり方は予測できず、最終的な価格がどうなるかはやってみないとわからない。

一方個人バイヤーも基本は一緒(のはず)であるが、関税がかかった場合に、その分を支払ってくれるバイヤーもいる。
そこで今回は、個人バイヤーにお願いしてみることにした。

個人バイヤーが集っているサイトがあり、そこで目的の靴を出品しているバイヤーにコンタクトしてみた。
現地に住んでいて、メーカーやお店から製品を買い付けするようだ。
現物を一度チェックしてから、小さく梱包し直してこちらに発送するわけだ。

海外に住んで長い人なのか、メールのやりとりの文面が妙に口語調で、いかにも素人っぽいのが面白かった。
この方法の信頼性を疑問視する声も聞くが、今回は順調に事が運んだ。
トラブルが起きた時に、相手も個人なので、業者ほどのサービスが受けられないというリスクはあるようだ。

結果的に国内の3分の2くらいの価格で購入することが出来た。
数回のメールのやり取りだけで済んでしまうので、手間は一番かからないかもしれない。
注文から10日程度で、靴は到着した。
その間先方からは、きめ細かく経過報告のメールをもらった。

どのくらい手数料を取っているのか分からないが、案外割に合わない仕事のようにも感じる。
実際のところ、どうなのだろう・・・・
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落し物 5


SIGMA DP2Merrill

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ついに荷物が届いた。
ヤマト便で送られてきた。
きれいに折りたたんでビニール袋に入れられ、さらに封筒に入れられたベルトが、着払いで届いた。
送料として740円を支払った。



落としたので汚れているかと思ったが、新品のようにきれいであった。
佐野のアウトレットのブルックス・ブラザースで購入したベルトだ。
裏側に縫いこまれたタグを見ると、メイド・イン・USAと表記されている。
捨ててしまうところだったが、決して安物というわけではない。

ご存知の通り、ゴムのように伸びて、個人的には使いづらいベルトであった。
もうズボンベルトとして使う気はないが、いずれにしても、取り戻せた事はよかった。
ちょっとした旅に出て、危なく廃棄されるところを、幸運にも我家に戻ってきたベルトである。
今や、物語を得て、特別なグッズに成長した・・ともいえる。

好きなベルトではなかったが、今回の事で、モノとしての愛着を感じるようになった。
今後はズボンベルトとしてではなく、我家のカエルたちの玩具として、余生を送ることになるだろう。
というわけで、5回に渡って書いた落し物シリーズであったが、とりあえず今回で完結とする。
お付き合いいただき感謝する。



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サイズ 1


SIGMA DP3Merrill

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僕の足のサイズは、25.5cmの3Eである。
日本で靴を買うときのサイズだ。
スコッチグレインでもリーガルでも、お店で試着して選ぶと、まず大抵そのサイズになる。

ただし、僕は少し緩く履くのが好みなので、そのサイズが本当の意味で自分の足にフィットしているのかどうかはわからない。
もっともそれより上や下のサイズを試しても、明らかにマッチしないので、いずれにしてもそのサイズを選ぶしかないのだが・・・

非常に困ったことに、僕の足は特殊な形らしい。
これは靴を趣味にしようとしたら、致命的な欠点といえるだろう。
欲しくても、自分に合う靴が無いのである。

先日、アメリカのオールデンという会社の靴を買おうと思った。
コードバン(馬のお尻の革)の靴で有名な会社で、作りは無骨で荒っぽいのだが、足を包み込むような素晴らしい履き心地を誇る。
その履き心地の虜になると、他の会社の靴は履けなくなるという。
銀座の販売店で見せてもらった時も、たまたま隣に某有名人が座って試着していたが、これを一度履くともう他のものは履けないよね・・などと話しているのが聞こえてきた。

ところがそのオールデンの靴は、幅がDのものしか輸入されていない。
Dウィズというのは、アルファベットの順番で、Eより一つ狭いサイズになる。
Eの後にEE、EEEと続くのはご存知の通りだ。
つまりEEEの僕の足からは、かなり離れたサイズなのだ。

日本の市場で売ろうというのに、このサイズだけで通ってしまうところを見ると、やはり僕の足はイレギュラーな形なのだろうか・・
昔から日本人は幅広甲高と言われ、国内の靴のサイトを見ても、3Eや4Eばかりが売られているのだが・・・

海外から入る高価な靴は、総じて幅が狭めである。
欧米人の足の形が違うのだから仕方が無いのだが、それでも多くの日本人がそれを問題なく履いている。
もしかすると、靴が好きな人や、外国の靴を買うような人は、足の幅が狭い・・という法則があるのかもしれない(笑)

お店でオールデンを試着した時も、仕方なく店員さんは8Dを持ってきた。
8というのは長さの表記で、アメリカの靴の8サイズは日本の26cmくらいに相当する。(これが英国サイズの8だと26.5cm相当になるという、大変ややこしい業界である)

その8Dだが、試着してみると、幅はかなりきつくて、長さは少々余る・・という、実際に使うには厳しい結果となった。
日本で売られているオールデンから選ぶとなると、8.5Dくらいを選んで、とにかく幅だけはマッチさせて、前後にぶかぶかなのは我慢するしかない。
まあ事実上、僕の履くサイズは無い・・ということであり、店員さんも、最初からこのお客さんの足には対応不可・・という表情である。

実は本国で売られているオールデンは、多くのモデルで幅Eのものも用意されている。(それ以上幅の広いものは、ごく限られた機種にしかない)
つまり個人輸入すれば、幅Eに関しては手に入る。
輸入元がそれを日本に入れない・・というのが解せないのだが、そもそもオールデンは非常に人気が高く、製造にも時間がかかるため、どのサイズも品薄の状態らしい。
お店でも在庫は数点しかなく、早い者勝ちですよ・・というようなことを必ず言う。

ところでEでも僕のEEEの足には合わないのだが、それでもDよりかなりましだろう。
オールデンのこのラスト(木型)を使ったモデルは、表記サイズより少し大きめに作られており(それもおかしな話であるが・笑)、実際にはEでも2Eに近い幅だと聞く。
一方僕の足は、3Eとはいえ緩く履くのが好きなので、実際に測ると2Eだと言われることもある。
両者歩み寄ることで、何とかなるのではないか・・という希望はある。
先日試着した8Dサイズから想像して、8Eなら履ける可能性はあるのではないか・・とも感じた。

それにしても、サイズ表記に統一性が無いというのも困った話である。
国、メーカー、機種によってまちまちなのだ。
靴というものは、実際に試着して買うのが本当であり、サイズ表記など目安に過ぎない・・ということだろう。
ネットの時代には合わない商品である。

というわけで、こうなれば賭けで、8Eのオールデンを直接輸入してしまおう・・という気持ちになった(笑)
国内で売られているものより、安く手に入るのは確かである。
聞くところによると、靴が好きな人はエイヤッで輸入してしまい、サイズがどうしても無理だったら、そのままヤフオクで売る・・という方法を取っているらしい。
まずは失敗覚悟で、思い切って1足買ってしまうわけだ。
一度自分に合うサイズさえわかれば、そのメーカーのそのモデルに関しては、次から安心して輸入できるわけである。

まあこの話も長くなるので続きはまた・・・
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