電脳筆写『 心超臨界 』

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( ジェームズ・アレン )

人間は、言語として聞かされたパスバンドの音しか言語として聴けない――福岡伸一さん

2008-11-08 | 09-生物・生命・自然
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なぜ英語は聞けないか――分子生物学者・福岡伸一
【「あすへの話題」08.11.06日経新聞(夕刊)】

情報(ニュース)の基本は5W1H。けれども、ネイティブ・スピーカーから英語で急に質問を受けると、それがwhatなのかwhoなのか、あるいはwhichなのかwhenなのか、はたまたwhyなのかhowなのか、とっさには聞き取れない。少なくとも私にはしばしばそういう経験がある。一体それはなぜだろう。

パスバンド理論、というものが次のような説明を与えてくれる。フランスの耳鼻咽喉科医師、アルフレッド・トマティスは、言語として優先的に使われる音の幅が、民族によって著しく異なることに気がついた。音の幅は周波数(ヘルツ)で表される。たとえば短い子音を強く発音するイギリス英語の音の幅は、2000ヘルツから16000ヘルツに広がる。トマティスはこの音域を言語のパスバンドと名づけ、様々な民族が話す言語のパスバンドを解析した。すると非常に興味深いことがわかった。言語ごとに固有のパスバンドがあると。

母音を強調する日本語は、100から1500ヘルツが主なパスバンドとなっていた。人間は、言語として聞かされたパスバンドの音しか言語として聴けない。そして言語として聴けたパスバンドの音しか言語として話せない。もちろん人間の脳は可塑性を持つから後の訓練によってパスバンドを広げることができるだろうが、基本的にそれは幼い時期の刷り込みによって決まる。そうトマティスは考えた。英語と日本語の間には文字通り見えない溝があるのだ。なるほど。ところでロシア語のパスバンドは低音から高温までとても広い。果たして、ロシア人は多言語習得に堪能だろうか。

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