千恵子@詠む...................

リンクにて開く世界は万華鏡 あれやこれやと交差の果てへ

最高裁三たび

2008年05月05日 | 
最 高 裁 三 た び

 最高裁判所、またの名を奇巌城。初めて訪れたのは忘れもしない1987年の春だった。いまや『悪魔の弁護人』と呼ばれる安田好弘さんが弁護人の死刑事件。大事件だったので大勢の機動隊がジェラルミンの盾を持って待ち構え、ものものしい警備。あのときは抽選に漏れて外の歩道にいたことを微かに覚えている。

 二回目は、1990年代かな、表現の自由をめぐる裁判だったと記憶している。大法廷に入れたはずだが、映像でよく見かける風景以外の印象は残っていない。無機的な建物だからか。

 そして三回目が立川反戦チラシ配布裁判だ。一審無罪、二審で逆転有罪。「さっちゃんが前科者にされてしまうのか!」。最後の判決をこの目で見ようと、一日休暇をとって永田町駅の階段を駆け上った。

 この日、開廷は3時だから余裕があると思っていたら、友人からその前に抽選があると教わり焦る。さらに、何十回も来ているはずの永田町の街が分からない。方向音痴なのだぁ。

 ようやく抽選の時間に間に合わせ、通路に80人程が並んでいる列の後ろにつく。抽選締め切りの時には、傍聴希望者が百人以上にふくれあがり、傍聴席は45。掲示は住居侵入被告事件とある。日本で初めての「良心の囚人」とアムネスティが認めた政治犯三人が被告だ。結局、外れて傍聴はできなかった。

  * * *

 わたしは1991年9月に、英国のグリーナムコモン米軍巡航ミサイル基地に侵入した。基地前にテントを張って女だけで住み続け、鉄条網を切るのは暴力か非暴力かと議論を重ね、それじゃあと実際に切ってみたり、何百億円もの殺人機械にじゃがいもを入れて使えなくしたりした監視と抗議アクション十周年のお祭りに招待されたときのことだ。

 基地内にしっかり入った住居侵入だったので、東洋から参加した女三人を、みんなは心配してくれたが、しばらくして捕まえにきた英国警官は、日本では信じられないほど紳士的だったので驚く。全員をバスで警察署に連れて行き、写真・指紋も調書も取らず、30分位で釈放されて拍子抜け。平和キャンプが生んだ有名人のレベッカ・ジョンソンが国会議員になれた国だからな。20年の抗議行動のおかげで、いまやその基地はなくなり、誰もが入れる公園になっている。

 日本の最高裁は防衛庁への管理権侵害を認定して有罪判決。令状逮捕と75日の勾留を追認したうえ、罰金刑で三人を前科者に仕立てた。いったい何なんだこの国は。


◆◆関連ページ(グリーナムコモン)
Greenham Common Women's Peace Camp
Newbury Today: Celebration marks 25-year anti-nuclear struggle / Video: Celebration marks 25-year (02:03)
Nonviolence News: Greenham Common Womens' Peace Camp by Sarah Hipperson
BBC - Berkshire: Peace protest memories shared / Video: Greenham Common peace camp 25th anniversary (01:23)
BBC - UK: Greenham Common Women's Peace Camp, 1981-2000
IWM (Imperial War Museum) Online Exhibition - Greenham Common - The Women's Peace Camp
Guardian: Your Greenham, The Guardian: YourGreenham / Video: YourGreenham
GreenhamCommonWomyn @ MySpace.com
Greenham-Common.org.uk
Greenham Common Women's Peace Camp - Wikipedia, the free encyclopedia
 RAF Greenham Common - Wikipedia, the free encyclopedia
◆レベッカ・ジョンソン
Trident Ploughshares - Evidence from Rebecca Johnson
もの書きを目指す人びとへ「第114回 ノーモア・ユーロシマ――西欧の"熱い秋"」: 「キャンプに参加しているイギリス人のレベッカ・ジョンソンさん(二十九歳)は意気盛んだった・・・その後も彼女の反核運動は続き、後年、英国労働党の国会議員になった。そして、核問題の専門家としてたびたび来日している。グリーナムコモンの平和キャンプが生んだスターと言っていいだろう」
レベッカ・ジョンソンさんの手紙(2006年1月18日「ファスレーン365」トライデント更新阻止闘争)
◆基地跡地の新グリーナム公園
New Greenham Park, Newbury, Berkshire: The Sustainable Business Park
GREENHAM COMMON TRUST(公園管理団体)
◆YouTube 動画
Christmas 1982 Greenham Common Women (02:33)
Going back to Greenham (06:01)
GAMA At Greenham Common April 2007 (03:52)
Greenham Common Visit by Mark Thomas 2002 (01:53)
Vehicle Parade at Greenham Common circa 1990 (01:49)
Britains Cold War Greenham Common Promo (05:19)
Britains Cold War - Promo (03:54)
◆◆関連記事:さっちゃんと奇巌城
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2 Comments

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TBスパシーヴァ (TOCKA)
2008-05-09 11:49:50
TBありがとうございました。「捕まえにきた英国警官は、日本では信じられないほど紳士的だった」ということですが、米国ロス市警もそのようです。ロス黒人暴動の当時は、凶暴で有名だったのですが、その後の各種抗議運動の結果、随分と紳士的になりました。英国の場合も、背景にこの種の運動の積み重ねがあるような気がします。
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ロス市警 (千恵子)
2008-05-15 13:50:29
コメント、ありがとうございます。

ロス市警も、そうなのですか。つい、三浦和義さんを思い出してしまいます。彼は、6月にサイパンで釈放される公算が強いようですねぇ。
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