モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

目を伏せる女性たち

2023-01-31 23:35:12 | 大人 油絵・アクリル


大澤 油彩 模写

立て続けに口内炎に苛まれて滑舌が大変なことになっています、ホノカです。
今回は大人クラスの大澤さんの油絵2点のご紹介です。

左の作品はフェルメールの「牛乳を注ぐ女」を、右の作品はモディリアーニの「椅子に肘をつくジャンヌ・エビュテルヌ」をそれぞれ模写したものになります。

「牛乳を注ぐ女」は最近CMに作品をパロディしたものが放映されたりしていたため、かなり著名な作品ではないでしょうか。
大澤さんの作品では、どっしりと描かれる女性と、その女性の丁寧な手つきが特に印象的に映ります。また元の作品よりもコントラストが抑えられ、全体にゆっくりとした空気の流れる優しげな雰囲気が作り出されていますね。
また、フェルメールの作品でも女性の青いエプロンは一目で目に入る特徴ですが、大澤さんの作品ではそちらよりもより彩度を上げた状態で描かれており、今は憂いた表情で丁寧な仕事に従事する女性も、普段は溌剌とした様子で働いているようなイメージに見えてくる作品です。

そして、「椅子に肘をつくジャンヌ・エビュテルヌ」はモディリアーニの婚約者である女性を描いた作品です。モディリアーニの人物画では、瞳が描かれないことが一つの特徴として挙げられるのですが、大澤さんの作品でもそんなミステリアスな雰囲気が伝わってきます。
また、この作品では背景が氷のように冷たそうな青で占められていること、女性が俯いている表情も相まって全体は悲壮感のある空気に感じられます。加えて女性の顔も目もとから頬にかけて赤みがさしており、私には、泣きはらした後のような、そんな悲哀的な状況も伺えます。
そしてここに描かれる女性もモディリアーニの描くような曲線美に溢れ、なだらかな肩、豊かな腰周りは、作品を見て感じられる女性の魅力が反映された、素敵な描かれ方をしているように思います。

どちらの女性も目を伏せていますが、周囲の雰囲気が優しげなものと、悲観的なもの、対照的な雰囲気の中では同じ表情であっても全く異なる印象になっている部分が面白いです。今回の作品たちは模写という形式にはなると思いますが、その中でも大澤さんの目に映った感じ方がエッセンスとして加えられる面白みのある作品たちです。模写制作お疲れさまでした!

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書き初め・節分工作

2023-01-30 20:43:12 | 親子

今年はじめてのブログ担当の伊藤です。昨年ハサミが使えないほど腕を痛めたことをきっかけに、筋トレを始めて、年明けからジョギングも始め、この歳まで運動に無縁だった私が、ちょっと意識が変わってきました。

1月の親子クラスは、『書き初め』『だるま制作』『鬼工作と豆まきごっこ』でした。だるま作品は、仕上げの乾燥をご自宅でやってただいた為、完成作品の写真がなくてご紹介できず残念です。

書き初めは、小学生の冬休みの宿題や年始めの学校で書きますが、ミオスでは、親子クラスや幼児クラスでも新年に書き初めをします。2~3歳児の書き初めは、線がダイナミックだったり、点描だったり、平仮名だったり、1人1人迷いなく書きたいものを自由に制作しました。何枚か書いた中から、お気に入りの1枚を選びます。落款印は、お子様の名前の頭文字を消しゴムはんこでお母様に作ってもらいました。作品の端に印を押すと、文字や絵が引き締まってステキですね!

こちらは、鬼の工作です。帽子にもなるので、鬼役の人に被ってもらって豆まきができます。制作の後では、鬼を床に置いて、豆まきごっこをしました。豆は、新聞紙を小さく丸めてカラービニールテープでぎゅっと堅くしたもの。豆を1人3個ずつ持って、お友達と代わる代わる「鬼は外!福は内~!」豆を直球で投げるお子様もいれば、自分が制作した鬼に豆を当てるのは可哀想と言って、大事に抱えているお子様もいまいしたが、ごっこ遊びも楽しい時間でした。

 

 

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限られた色の中で

2023-01-28 23:15:50 | 大人 油絵・アクリル


三原 油彩 左-コバルトブルー・ベネシャンレッド・ホワイトの3色のみで制作 / 右-+イエローオーカーの4色で制作

岩田です。本日は三原さんの静物油彩をご紹介します。

右の絵は、コバルトブルー、ベネシアンレッド、イエローオーカー、ホワイトの4色のみを使って描いています。これを描く前に、左手のイエローオーカーを抜かした3色で同じモチーフを描いています。両方を比べてみると、印象が結構違うのが分かります。

4色で描いた方はもとより、3色で描いた方も限られた色の中で、絵の具の分量や混ぜ方を工夫して沢山のバリエーションの色を作り出しています。

右手の絵をあらためて見てみると、レンガを描く際に、下にベネシアンレッドが強めの色を置き、上からイエローオーカーを主体とした絵の具をナイフを使って描いて質感を出そうとしています。
実際の鹿骨は全体的にはオフホワイトのような色ですが、例えば歯の周辺は少し赤っぽかったり、目の周辺は茶色っぽかったり、所々よく見ると様々な色が見て取れます。三原さんの描いたものもホワイトを基調に数多くの色を作っています。
目の周辺はイエローオーカーとベネシアンレッドを微妙に混ぜながら色を作り、頭部はオフホワイトの上からペインティングナイフを使ってホワイトを乗せ色や質感を出しています。
そしてこの限られた色の中で特に描くのが難しったのは敷かれた黒い布だと思いますが、背景も含め色合いを工夫しています。

このように限られた色で描くことは、色の足し引きについて凄く頭を使うので、大変勉強になります。例えば3原色に黒と白を加えて描いてみるのも楽しいでしょう。

昨日この作品が、川崎市美術展に入選したとのご報告を受けました。
うちの学生クラスから20人以上出品して2名のみの入選と考えると、かなりの倍率で審査に通ったことが分かります。励みになりますね!おめでとうございます。

ユーチューブでは、画面に絵を近づけたりしながら詳しく解説しています。是非ご覧ください。
YouTubeはこちら

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1月の幼児クラスの様子

2023-01-27 19:12:51 | 幼児

年々寒さに勝てなくなってきています、大竹です。本日は寒い中でも元気モリモリ!幼児クラスの授業の様子をご報告させていただきます。

2023年最初の授業では、毎年恒例の書き初めを行いました!半紙に何度も自分の名前を練習したのち、本番用のピカピカの色紙に清書をしていきました。普段あまり触れることの無い墨液の独特な匂いを嗅ぎながら、大きく自分の名前を書いて行くと、なんだか背筋が伸びるようなシャキッとした気分になりますね。消しゴムで自分の名前の頭文字ハンコも作り、ペタッと押したら完成です。習字の後は墨絵へと移行、小学生が現在書いているツバキを拝借し観察しながら描いていきました。

まだひらがなが難しい子は先生と二人羽織の様にして書いていきました。失敗しても直せない、1発勝負の緊張感の中、普段とちょっと違った事に取り組むのもまた刺激になりますね!

工作のカリキュラムでは節分をテーマに制作していきました!
最初の10分お絵描きでは、襲い掛かる鬼を豆を投げて追い払う場面を描きました。腕を大きく振り上げ、豆を勢いよく投げつけている様子は迫力がありますね。笑 手前の自分は大きく描き上半身のみを入れ、遠くの鬼は小さく全身が入る様に大きさを考えながら描いていきました。

そして工作では、鬼の豆入れ袋を制作しました。好きな色の画用紙を使い、丸を大きく切って顔を作り、紙袋に貼り付けます。そのままカバンとしても使えそうな、可愛らしくも怖〜い鬼の紙袋になりましたね。後は丸めた包装紙を豆に見立て、運動会の玉入れの様に豆を鬼へと投げ入れていく遊びをしました。
完成した豆まきセットで厄を追い払い、カバンに福をたくさん詰め込んで下さいね!

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日常の何気ない一コマ

2023-01-26 23:21:17 | 大人 水彩


佐々木 透明水彩

旅行に行きたい!マユカです。今回は佐々木さんの作品をご紹介します!

透明水彩で描いた2枚の人物風景画。どちらの作品も、人物には強く焦点を当て、細かい筆運びで鮮明に描写し、背景は水彩絵の具特有のにじみを活かして描写することにより、淡く優しい光を感じます。遠近感がはっきりとして見えてくるため、描かれた空間に奥行きが生まれていますね。
佐々木さんには二人の息子さんがいらっしゃるのですが、中学生のお兄ちゃんが生まれた時から、成長記録として描き続けています。写真ではなく、自らが描いた絵で思い出を残していくあたりに、佐々木さんから息子さんへの大きな愛を感じます。

左の作品は信号待ちをしている様子を切り取ったのでしょうか。2人とも同じ方向を向いて、車が走っている道路を見つめています。仲がよさそうな兄弟の雰囲気が伝わってきますね。遠くにある車や建物も、さらっと描いてあるように見えますが、よくよく見ると窓についているカーテンだったり、ベランダの日よけ、奥に住宅街が続いている道の様子など、細かく描写されています。目立たないようなところもしっかりと手を入れて描いているからこそ、描きこまれた人物と背景がなじんで、1枚の絵としてのクオリティが高く見えるのでしょう。

右の作品は、涼しげな風を感じるような、爽やかな空気感が伝わってきます。芝生の色の移ろいで、奥まで続いた走り回りたくなるような広い空間を、小さな画面に上手く描写しています。空の青さのグラデーションも美しいですね。晴れた日の外の、肺いっぱいに吸い込みたくなるような空気の清々しさを思い出させてくれます。チューブから出したままの鮮やかな色ではなく、目でとらえた自然な色彩を作ってから画面にのせて描いているため、緑豊かな風景がより美しく見えます。

今回ご紹介した佐々木さんの作品は、2枚ともカメラを意識していない、何気ない日常を切り取ったような構図になっていました。人物をメインとした作品は、こちらに顔を向けていたり、ポーズをとっていたりと、カメラを感じるようなものが多いため、背を向けているというだけでむしろ新鮮さを感じます。きっとこの作品のカメラは、佐々木さんの視点なのでしょう。これからのお子さんたちの成長が、見ているこちらも楽しみになってしまいますね。

 

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のどかな木漏れ日

2023-01-25 23:46:37 | 大人 水彩


杉本 透明水彩

寒すぎて極力家に引きこもってます、ナツメです。本日は水曜大人クラスより杉本さんの作品をご紹介します!

今回は初めての透明水彩ということで、温かい光がそそぐテラスを描かれました。葉の擦れる音や周囲の広さを感じるほど空気感が巧みに表現されています。

やはり印象的なのは光の加減ですね!木漏れ日のコントラストはそこまで強くないため強い日差しには感じさせないのですが、光の当たる奥の葉に鮮やかな色を使ったり逆行になる手前の椅子に強い暗さを置くことで、奥の空間に広くあたる光の明るさを表現しています。木漏れ日は一度壁の暗さを塗ってから、(洗剤無しで茶渋が落ちる)メラニンスポンジ『激落ちくん』を駆使し明るい部分の絵具を抜いて表現されました。

それぞれの形も正確に取られていて、椅子の脚や奥のフェンスなど、筆で描ききれないような細い線にも積極的に挑まれました。工業製品の真っ直ぐで硬いラインが正確に描かれているため、木や石畳などの自然物の佇まいもより強調されています!

透明水彩はその名の通り下に塗った色が透ける絵の具なので塗り重ねれば重ねるほど色が暗くなっていきます。油絵やアクリル絵の具のように上から重ねてカバーすることのできない画材なので、光の当たっている所などの明るくしたい部分は塗り残しておくなど、最終的な完成図のイメージを作り色をおく計画を立てる必要があります。以前までアクリルで写真模写をされていたため透明水彩に変わったことで色の扱いなどに苦戦された部分もあったと思いますが、それを微塵も感じさせないほど色の滲ませ方や濃淡など画材の持ち味を活かした絵になりました。様々な画材を扱うことができると描きたい画面に合わせて選択ができるため、皆さんもどんな画材が合うのかから考えてみてはいかがでしょうか?

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もしもの視界

2023-01-24 20:42:46 | 学生


桂吾 高2 『死というものが祝福ならば、辛い人生より死を選ぶ』 水彩

年を経るごとに重ね着の枚数が増えているので、気づいたら10枚くらい着ていそうで怖いですね!ホノカです。
今回は桂吾の作品のご紹介です。
渋い木の色で描かれる厳かな教会の内部、十字架の後ろからは窓で光が取り込まれて、まさしく後光がさしています。教会の中は左右対称に作られ、窓や奥に見えるパイプオルガン、神父が立つであろう祭壇などは光に照らされています。

よくデッサンの構図で「左右は非対称にしましょう。対称なものは宗教画などには有効です」というお話を耳にされるかもしれません。左右対称で均整が取れていることは安定感がある反面、つまらない構図にもなりがちなためその様に言われています。ですが、宗教画においてはトップに位置するものが分かりやすく伝わる様に、左右対称の構図が用いられているとされており、この作品でもそのような宗教性を持たせるという意図で左右対称に描かれているのではないでしょうか。ただ、この作品では揺らめくロウソクの火だけが大きく左右で非対称になっており、そこに左右対称の完璧さが少し崩れる片鱗が見え、不安な気持ちを感じさせる部分になっています。

また、この作品では見る人が教会の入り口近くにいるような場所から描き始められています。ここでは通路が手前側に描かれることで、視線が手前から奥に向かって移動し、自然に十字架の方に目が向きます。実際に自らが教会に入った時のように、内部の広さや高さに驚き上を見上げる時と同じ体験ができるような構図になっていますね。そして、この景色を見た人はタイトルにもあるように、辛い人生から死へ向かうことの祝福を求めて遮二無二なりながらこの地へ赴いたのかもしれません。フリーハンドの感じが残るこの作品ですが、本当は人工的に整えられた直線でも必死に渇望する人から見ると、汗や涙で視界が歪んで見えているのかもしれないと思わせてくれます。

生まれて洗礼を受けた空間でその命を終わらせる。カトリックでは命は神から預けられたものとされており、実際はその命を自身の意志で断つことは禁じられています(もちろん他にも様々な捉え方があります)。ですがそれが祝福となれば、現世からは存在を消して、主の元に向かうことが幸福になり得るのかもしれません。
タイトル、絵とどちらも併せて一つの作品として考えながら楽しませて頂きました。この世界ではどの様な人々が暮らしているのかなどなど、次々に世界観に興味を惹かれる作品でした。

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小学校受験用ー幼稚園児工作

2023-01-23 23:59:26 | 小学校受験

小原です。自慢ですが私、紙工作を幼稚園児に教えたら世界一です。絶対。
小学校受験クラスの園児のプライベートレッスンで、突然「今日は紙でドラゴンが作りたい!」と言われても、「うーん、龍か。よし、考えてみる!」と、その場で幼児が簡単に作れるだけでなく、覚えて家で一人で作れるドラゴンを編み出す自信があります。

当校自慢の小学校受験用の工作テキストから抜粋します。
こちらのいきものは、画用紙1枚で作った『ティラノサウルス』
これがたった1枚の画用紙で?幼稚園児が?無理でしょう?

画用紙の内訳です。え?これのどこがどのパーツになるの?こんな単純な形で?これで足りる?

配分はこんな感じ。半分が胴と頭。半分の半分(1/4)が脚。半分の半分(1/4)が尻尾と手。

半分を筒にします。首の後ろから切り込みを入れたら、歯のギザギザの切り込みを入れます。切断しないように注意。

尻尾は簡単。アイスのコーン。

脚も筒にして、縦横のテトラ折りにして潰したら、爪のところを山に切ります。なんとゴミはこの小さなカスのみ。
ティラノサウルスの手は小さいよね。三角の紙を、アイスのコーン。でも重ねて少しずらしてチョキにしましょう。

こんな単純明快な工作の作り方が載っているテキストはこちら。受験本番で応用できる工作アイデアが満載です。

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ここからもう一仕事

2023-01-21 17:25:13 | 大人 油絵・アクリル


加藤 油彩

岩田です。本日は、加藤さんの油彩をご紹介します。

場所はサンフランシスコ。ご自身が撮った写真を元に4号のキャンバスに描いていますが、かなり奥行のある作品なので実際のサイズより大きさを感じます。ゆったりとしていて、とても色が綺麗だなという印象を受けます。

日本では見られないような茶色く塗られた地面の色など趣深く、手前にはワニスを塗って艶を出すことで、他と対比させています。

背景に行くほどに勾配のキツそうな上り坂になっていて、茶色から徐々にイエローオーカーなどを混ぜつつ空気遠近法で奥へと繋げています。
更に途中車を描きながら、自然に空へと溶け込ませています。オフホワイトのような空の色も綺麗で、よく見ると緑や赤といった色を織り交ぜ工夫しています。

主役の路面電車は風景と比較して仕事を詰めて描き込んでいます。その後ろの電車の影の色は、プルシアンブルーやヴァイオレットを使い美しく表現しています。あらためて遠目から見ても全体のバランスが良いです。

主役に目をやると、面相筆で細かく描いているのが分かりますが、私だったらもう一度透明色を重ね、その上から又加筆し、この車両の質感、つまり走り続けることで全体がちょっとくたびれたような感じ、エージング的な作業を施していくでしょう。
窓枠も、やや描きっぱなしという印象も感じるので、ここから仕事を重ねていって深みが増してくると尚良くなると思うのです。脇役で見せている深みのある仕事に負けないで欲しいですね。

そうしたことを次の作品で期待しますが、全体的にまとまっていて、とても良い作品だと思います。又力作を見せて下さい!

作品を画面に近づけながら詳しく解説しています。是非ユーチューブもご覧ください。
加藤さんのYouTubeはこちら

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マイペース制作

2023-01-20 21:14:42 | 学生


波那 中2 『舞台上の思い出』 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは学生クラスの波那の油彩作品です。習い事のダンス教室の(タイトルからして発表会でしょうか?)自身の写真を見ながら制作していました。こちらは市美術展に向けて制作しています。

花の刺繍がふんだんに施された黒いドレスが、情熱的な赤い背景に浮かび上がって美しいですね。ちょうど顔の部分の明暗がくっきりとしている写真だったので、制作の際もメリハリをはっきりさせて塗っていきました。制作中は肌の色や黒いドレスの明暗の色作りに苦労していましたが、肌はイエローオーカーを中心に、青や緑を混ぜて暗くしたり頰には背景のオレンジを反射光の様に入れたりと、単調にならない様に工夫をしています。フリルや刺繍、レースなど細々した装飾が多い衣装ですが、こうした模様が沢山ある題材は、細かい部分に捉われず大きな部分(黒い布の立体感など)から取り掛かる必要があります。彼女の場合、花の刺繍に入ってからかなりの時間を要してしまいましたが…笑。全体に手は入っていますが、控えめなのか節約(悪く言えばケチンボ)なのか絵の具は薄めに塗られています。しっとりとした大人びた仕上がりになりますが、折角の油絵ですので、次回はたっぷりどっぶり絵の具を使いマチエールも盛り盛りで描いてみましょう!

かなり長い時間制作していたので、制作後半は今日どこ進んだの?と間違い探しをしているような感覚でした。マイペースに制作していた為、パレットに絵の具を出して描き始めるのに15分もかかったりして「遅い!!!寝ながら準備してる?もっと早く!!」と尻叩きされる事も。誰よりも早く出品作品を描き始めていましたが、それでも提出ギリギリになってしまったので、私のミオスでの今年度の目標は「波那の制作締め切り設定と厳格なスケジュール管理&尻叩き」とさせて頂きたいと思います。

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細部のクオリティにこそ

2023-01-19 23:44:32 | 学生


優 高2 『8:50 救済拒否』 油彩

大学が春休みに入り、ついに家から出なくなりつつあるマユカです!
今回は、優の市美術展出展作品をご紹介します。

大仏様が耳を塞いでおり、何かにうんざりとしているような表情をしているようなこちらの1枚。大仏様の背後には音楽を流すためのスピーカーや、アンテナ、目覚まし時計のようなものなど、様々な音が出る機械が山のように積み重なっています。上から吊り下がっているネクタイは一体誰のものなのでしょう?学生?サラリーマン?あるいは両方かもしれません。優が描いた様々なモチーフは、一見すると繋がりがなさそうに見えますが、タイトルと合わせて考えると、社会をコンセプチュアルに表現しているような雰囲気です。スポットライトのように当たる光も、色濃く影を落とす、という意味ではなんだか考察できそうな気すらしてきます。

そしてこちら、もちろん油彩で描かれているのですが、大仏様の背後にある機械の細かさに注目してみてください。小さなスイッチの一つ一つすら、工場で制作された物らしく、形が揃っているように見えます。デッサンで工業製品を描く時ですら、均一にそろえて描くことはかなり難しいのに、より小回りの利かない油彩でこんなにも繊細な表現ができる優の技術には驚かされました。こんなにたくさん描きこんでいるのに、機械や色鮮やかなネクタイよりも、真っ先に目に入るのはちゃんとメインモチーフの大仏様であるところに、優の構成力の高さが伺えますね。
ラフスケッチの時点で何案も考え、イメージが固まってからも色に悩み…冬休みは自宅へ持ち帰ってまで手を加え、最終的にはネクタイなどはペインティングナイフでかなり厚塗りにしました。この作品にかける情熱が半端じゃない!!機械などを描くのが好きだと言っていましたので、好きだからこそのめりこんでたくさん描くことが出来るのでしょう。去年の市美術展で大賞を受賞したので、2匹目のどじょうを狙っていますが、どうなることやら?

優のように細かく色々なものを描くのは、私も結構好きだったのですが、かなり時間と根気が必要です。完成させた時の達成感はものすごい反面、学業の忙しさを言い訳に、最近はそういった細かな作品を描くのもやめてしまっていました。しかし優の作品を見ていたら、自分もまた描きたいな、という気持ちになってきましたね…。機械の配線や、工場のパイプの並びなどは、モチーフとして選ぶと嫌でも細かくたくさん描きこむことが出来るので、たくさん描きこんでみたい、細かいものが描いてみたい!という方という方は是非、工業系のものをモチーフに選んでみてください!

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いつかの憧れ

2023-01-18 23:59:25 | 学生


暢彦 中1 『罪悪感』 油彩

今だに新しい西暦に慣れず書き間違えまくってます、ナツメです!

今日は木曜学生クラスより暢彦の作品をご紹介します!

ウイスキーに煙草、ビリヤードと「ザ・大人!」と言わんばかりのモチーフが並んでいますね。何かアクシデントでもあったのでしょうか、お酒の入ったグラスは割れており、全体的にそこはかとなく治安の悪さも感じる絵になりました。

学生クラスに上がってからは初めての油絵だったのですが、小学生クラスの頃とは違って時間をかけて描くことができるので、お休みも挟みながら何ヶ月もかけてようやく完成しました。昔に描いた油絵と比較すると、以前よりはるかに色数を扱えるようになった印象がありますね。ウイスキーの瓶一つをとって見ても、色のついた液体のきらきらと透き通るような透明感を出すためにぐっとした暗い色を所々で使ったり、ただ明度を変えるのではなくイエローオーカーや赤みがかった茶色など色相をずらした色を置くことで画面上が豊かになっています。他にも瓶の角の凸凹やガラスの厚みなどもざっくりとしつつも描写されており、非常によく観察したことが伺えます。まだ中1ですがそれぞれのモチーフのデッサンもしっかりと取れていて素晴らしいですね!

先週からご紹介している学生たちの作品は市美術展に応募するためタイトルもつけてもらっているのですが、まだ中学生なのに大人の嗜好品を描いちゃった、というような罪悪感でしょうか?私も今年20歳になってお酒もタバコもドキドキしながら挑戦してみましたが、いざ触れてみると案外あっけなくて拍子抜けした気持ちもあったので、このようなモチーフに中高生の抱える憧れ()は微笑ましく感じますね。成長して見返してみたら、きっとつけるタイトルや絵に対する感情も変わっていることと思います。その時はまた教えてね!!

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自然と直線

2023-01-17 21:05:59 | 学生


あかり 中2 『カナダ議会』 透明水彩

この時期は加湿器に頭が上がりません、ホノカです。
今回は学生クラスからあかりの水彩画のご紹介です。「カナダ議会」と硬い題名が付けられたこの作品ですが、自然の広がる中に暖かみのある色で描かれた建物。それらを水彩らしいふんわりとした雰囲気でまとめてあり、彼女の描きたいイメージが伝わります。

こちらの作品のポイントは着彩にもありますが、まずは下描きの部分ではないでしょうか。ここでは議会の建物以外は空や森、川などの自然物で構成されています。自然物はこの世に同じものが2つと無いため、雲の形が写真と異なっていても、木々の生え方が違っていても、特別違和感があるということは少ないでしょう。ですが人工の建造物となるとそうはいきません。建物というだけで地面には垂直に接していて、左右は概ね対称という常識があり、パースの違和感も目に付きやすくなってしまうため、今回の作品でも下描きの際にかなり調整を行ってから塗り始めていましたね。時間はかかりましたが、この作品の肝になる部分です。よく描ききりました!

また、透明水彩の特性上どうしても色を重ねすぎてしまうと、色が濁ってしまったり、混ざりすぎたりしてしまうため、その部分も難しそうにしていた点かなと思います。特に手前に広がる森は、濃い葉の色を大胆に入れていかなくてはならず、自然物といえど場所や大きさを考えて描き進めなければなりません。さらに森ということで全体が似た色でぼんやりしてしまうという懸念もありましたが、意識的に緑以外の葉を取り入れたり、暗い色を木の塊ごとに影として足してあげたことで木の形が浮かび上がりました。建物は水っぽくぼやぼやしてしまっていた所を濃い色で締めてあげたことで、直線がはっきりとして自然のものとの差異がしっかりと生まれています。
建物自体も正面から写した構図+光がほぼ正面から当たっているという状況で、なかなか難しい作品だったと思いますが、下描きで建物をしっかり仕上げた部分、そして参考の写真をそのままに塗るのではなく工夫して彩度を上げたり、色を変えたりとしたことで、自然と建物の調和した景色が描かれています。全体を慎重かつ丁寧に進めていく彼女の姿勢は私には無いものなので見習いたい所ですね...

これまでも結構時間をかけて作品を完成させることが多かったので、息抜き的に小さい作品を短い時間で完成させるのも面白いかも?色々なことに挑戦してみてくださいね!

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小原・岩田の作品展

2023-01-16 23:01:53 | 講師・生徒さん展覧会


左 小原『揺蕩(ようとう)ゆれ動くこと』絹本着彩 / 右 岩田 作業場にて

小原です。明日より、私と岩田先生の作品を扱って頂いている企画画廊において、『開廊20周年記念展』が開かれます。20名の作家の内の我々2名ですので、それぞれ小品が2点のみの展示となっておりますが、絵画と漆というジャンルの違う作家として今後一緒の展覧会に参加することもないような気がしますので、お時間ございましたらぜひご高覧ください!

あらかわ画廊は、2003年京橋にて開廊。その後2回移転し、2017年銀座1丁目に移転、現在に至る。絵画・彫刻・工芸の企画展を開催。抽象・具象にとらわれず、各作家のオシャレで魅力溢れる企画展を目指しております。時代に呼吸する作家の息吹をお楽しみ下さい。

開廊20周年記念展 PartⅠ
2023.1.17(火)〜28(土) 12:30〜18:00〈日曜・祝日休廊/最終日16時終了〉
あらかわ画廊|Arakawa Gallery
〒104-0061  東京都中央区銀座1-10-19 銀座一ビル3F
■有楽町線 銀座一丁目駅 出口10番11番より徒歩1分
■銀座線 京橋駅 出口2番より徒歩2分

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全体を俯瞰し、絵作りをする。

2023-01-14 11:43:43 | 大人 油絵・アクリル


木村 油彩

岩田です。今回は、木村さんの作品をご紹介します。

こちらデンマークのコペンハーゲン、ニューハウンという町の港を描いたものです。
実際の画像を見てみるととてもカラフルで賑やかな感じがするのですが、それに対してこちらの絵は雰囲気を合えて変えているのが分かります。日本海側の寒い港のような印象すら漂います。とは言えそうした行為は木村さんらしく、とても面白いなという感想を抱いています。

僕が先ず良いなと思うのがこの船。
船体はプルシアンブルー等、様々な青系の色を使って複雑な色と質感を出しつつ、オレンジや黄色等を使って船体の縁を描いているところに独特な色使いが見て取れます。そして水の表情にもとても魅力を感じますね。
船が映り込んでいる描写にも実に様々な色が使われており、船体を描く時、水を描く時のそれぞれの筆運びにも工夫しながら、背後にあるマーケットの様子が映り込んでいる所までも上手く描いています。

ここであらためて全体を俯瞰し、背景に描かれた町、建物を見ると、脇役ということもあり彩度を抑えて描いているのに、何故か屋根や壁に部分的に鮮やかな黄色が使われていて、それがあまりにも唐突に見えるが故、果たしてこうした色を最終的に置く必要があったのかなという疑問が湧いてきてしまいます。
絵を客観的に見た時に、何を見せたいのかということを特に仕上げの際に今一度考えて絵作りをすると、更に良くなっていくでしょう。

そして最後に、木村さんがユーチューブを見て背景を修正、加筆してくれました!
自然と手前の船と水の表情に視点がいくようになり、とても良くなりましたよ。こうして言葉をあらためて絵に反映させて頂くと、私としてもユーチューブを撮っている甲斐があるなあと思います。

どうも有難うございます!

最初に描いた作品と加筆、修正後の作品を見ることができます。詳しく解説しているので是非ご覧になって下さい。
木村さんのユーチューブはこちら

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