モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

園芸、ときどき薬瓶

2022-08-31 23:39:52 | 学生


凌太郎 中1 『これからの花』 油彩

まだ8月にしがみついていたいです、ナツメです。今日は火曜学生クラスの遼太郎の油絵を紹介します!じょうろ、花、スコップと園芸関連のモチーフが並ぶ中に薬瓶が置いてある光景が不思議で面白いですね。今回はアトリエにあるモチーフを組み描画しましたが、それぞれが誠実に描かれているのが印象的です。

金属、ガラス、布といったそれぞれの質感を表現するために、筆のタッチを変えることで表現の幅を出しています。少しマットでさらりとしているの薬瓶や、小さめながらもずっしりとしたレンガの重さなど、質感・重量感共にどんなものなのかが伝わってきますね。じょうろやスコップなど、形を写し取るのに手間取ったであろうモチーフもめげずに描き切りました。特にスコップの薄い鉄の板の曲がり具合や先端が地面から少し浮いているところは難所ですが、色や影に気を配りザクザクと地面が掘れそうなスコップが表現されています!

「同じ布の上に置いてある」という状況が伝わるのは、明暗や影の付け方など、デッサンで学ぶ基礎的な部分が身についている証拠です。いくら一つ一つが上手く描けたとしても、同じ空間に置いてあるように見えなければちぐはぐな印象の画面になってしまいます。遼太郎の絵は同じ量の光を均等に当て、その上でそれぞれに焦点を当てて描いたため自然な静物画になったのでしょう。

ここまで良く観察&それを元にした描写ができるなら、次回はもっと色で遊んでみてもいいかもしれません。丁度アトリエが油絵ギャラリーになる年に一度のチャンスなので、今のうちに小学生の絵からも技を盗んでみてね!

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二つの像

2022-08-30 23:24:34 | 大人 油絵・アクリル


藤原 油彩

急に冷え込みましたね、湿気はまだ残っていますが涼しくて嬉しいです、ホノカです。
今回のブログは大人クラスから藤原さんの油絵のご紹介です。
こちらの作品は、藤原さんが自身で撮影された景色を、油絵で描いたものになります。描かれている景色は島根県にある金言寺という場所で、メインにもなっているイチョウの木は、樹齢700年にもなるそうです。また、水面に綺麗に映るこのイチョウの木は観光スポットとしても名高い場所とのこと。

作品の中ではそんなイチョウに目を惹かれますが、実際の風景には家屋や他の木々なども周囲にはありました。その中でイチョウをより目立たせるため、あえて描かない計画で進められていましたが、ばっちり作用して落ち着いた自然の中に佇む大きなイチョウに目を奪われますね!
また、実像のイチョウと、水面に映る虚像のイチョウの描き分けも繊細に行われており、虚像が少し暗くなっています。逆さ富士などもそうですが、水面に反射した虚像の部分は実像よりも暗く見えます。これは実像側に当たった光が乱反射し、その光の一部が水面に反射して、見る側の視界に入るため、実像より反射する光が少なくなり暗く見えています。
全体をみると、反射しているということで、半分は水面に映った同じモチーフがあることになりますが、空も雲が少しかかっているようなくすみがあったり、同じ青でも水面では深みや鮮やかさのある青を利用することで、印象が全く異なっています。

さらに、イチョウには鮮やかなレモン色のような黄色がとても良い効果を生んでいると感じます。途中まではイチョウはもう少しくすんだ黄色などで塗られていたため、秋らしい色ではありましたが、背景の一部と似通ってしまっていました。そこで途中から明るい黄色を少しずつ足し、光の当たる部分を明確にしていきました。明度差のある部分は飛び出して見えるため、元のくすんだ色たちも影響しあって立体感や存在感のある木になっています。

藤原さんはこちらの作品で油絵に初挑戦とのことですが、とても油絵らしい色の重なりが穏やかな風景にマッチしていて暖かみのある作品になっています。
今もさまざまな画材にチャレンジしている途中だと思いますが、今回の油絵で楽しみながら制作されたように、今後とも挑戦して頂きたいです!

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夏祭り~縁日ごっこ~

2022-08-29 21:17:52 | 親子

親子クラス担当の伊藤です。日中はまだ暑い時がありますが、朝晩は涼しくなってきて、お店では栗やサツマイモ関連のお菓子などを目につき始めましたね。

8月ラストの親子クラスでは、夏を締める制作として、『夏祭り~縁日ごっこ』を行いました。提灯がぶら下がっていたり、ドラえもん音頭の音楽が流れていたり、入室した途端何だかいつもと違う雰囲気で「何が始まるんだろう?」と皆さんキョロキョロ。

まずは、縁日ごっこで使うものを制作。たこ焼きは、濃さの違う茶系の折り紙を使って作ったので、一つ一つ焼き加減が違ってリアルです。ソースをたっぷり塗って、青のりと鰹節も忘れずにトッピング。出来たて熱々のたこ焼きの出来上がり~!カラービニール袋でテルテル坊主のような形を作って両端に目をつけると、可愛い金魚になりました。ちょっと太った金魚や尾びれの長い金魚もいて、カラフル&個性的です!かき氷は、3種のシロップを用意しましたが、勿論!味をミックスしたくなりなすよね~

最後は、クレープも作りました。こちらは、フルーツ色の画用紙をハサミで切って、クレープ生地にトッピングします。ホイップ粘土は、クリームみたいにトロッとしているので、間違って舐めてしまいそうなくらいリアルです。

屋台の商品ができたら、お楽しみの縁日ごっこ♪写真の笑顔がとても良い表情ですよね!

来月の予定 9/6・20(火)  10:30~11:30

 

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岩田展覧会のお知らせ

2022-08-27 20:58:17 | 講師・生徒さん展覧会

岩田です。先週から展覧会『木村勲 岩田俊彦展』が始まりました。
住宅街の中、一歩足を踏み入れると江戸時代に作られた上座敷書院の間と三角形のギャラリーからなる独特な空間が広がります。
季節や時間によって、風を少し通したり、光を閉ざすことも。
多くの方にご高覧頂ければ幸いです。

 

『obi gallery オープニング記念-開廊第4弾 木村勲 岩田俊彦展』

木村勲 人里離れた山奥でひとり作陶
岩田俊彦 閑静な鎌倉で漆を塗る

2022/8/19(金) - 9/5(月)10:00 - 19:00(木曜休廊、開廊 金・土・日・月、予約制 火・水)
〒251-0012 神奈川県藤沢市村岡東3-12-7 obi gallery 
tel 0466-25-7581

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楽しい思い出のおすそ分け

2022-08-26 20:57:21 | 幼児

大竹です。夏休みも終わりに近づき、少し涼しくなってきましたね。幼児クラスでは、夏休みの思い出をテーマに絵画制作を行いました。
まずはみんなで夏の間の楽しかったこと、遊びに行ったところなどを話し合います。祖父母の家に行ったり、花火をしたり、プールで泳いだり、遊園地で遊んだり…様々な楽しい思い出が出たところで、その中から一番楽しかった思い出を絵にしていきます。今回は一人一人違う絵になってくるので、大きな画用紙を床に広げて描いていきました。自分が主役となるよう、画面の中で一番大きく描いていきます。いつもよりも大きい紙でしたので、顔の色を塗るだけでも大変でしたが、楽しい思い出を描いていた為かみんな一生懸命でした。
クレヨンで描いた後は余白を水彩絵の具で塗っていきます。絵に合わせて明るい色を選び、見ているこちらも楽しい思い出を分けてもらえるような作品が完成しました。
来年はどのような思い出ができるでしょうか?ワクワクしてきますね!

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複雑な色の重なり

2022-08-25 22:39:15 | 小学生 絵画

夏休みも終わってしまう時期になりましたね。なんだかさみしい気分…マユカです!

小学生の油絵も完成した子がちらほら。完成までまだかかりそうな子や、あと少しで完成しそうな子も、夏休みの思い出を話しながら楽しそうに描いています。青い面に赤や紫を混ぜたり、光が当たっている所には白だけでなく黄色を混ぜてみたり…。そこにその色使って大丈夫!?となることもありますが、最終的にはそれが立体感だったり、自然な雰囲気を出すためのピースになってたりと、間近で見ていて驚くことが多々ありました。

様々な色を使いながら、自由に塗っていく小学生たちの姿から私も学ぶことがあったため、今回はその話をさせていただきます!

夏休みの間、私が大学から出された課題が風景画だったのですが、写真をもとにして絵を描いていると、どうしても写真と全く同じ色を使ってしまい、別の色を混ぜるにしても「緑の面に青」のように、同系色でまとめてしまっていました。
かなり単調な画面に違和感を覚えつつ塗り進めていたわけなのですが、小学生たちが描く油絵の、単調なところが一切ない「素敵」を集めたような、色とりどりの画面を見ていて、受験生の時に言われた「固定概念にとらわれない」という言葉を思い出しました。これはこの色!と決めつけて塗っていると、面白くない作品になってしまう。
写真を基にしていても絵に正解なんてないんだから、好きに、自由に描いていいんだと小学生の皆からインスピレーションを受け、家に帰ってから、課題として描いていた緑あふれる風景画に、ビビットなピンクや真っ赤な絵具を追加してみました。リアリティは薄れましたが、不思議なことに魅力は格段に上がったんですよね。

時間をたくさんかけて、じっくりと向き合ってきた油絵。たくさんの色が織りなす、魅力あふれる作品を見たらきっと、お部屋に飾りたくなること間違いなしです!

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のんびり鑑賞?

2022-08-24 23:31:14 | 大人 油絵・アクリル


王 油彩

5時に寝て10時に起きています、ナツメです。土曜クラスの王さんの作品をご紹介します!

どっしりとくつろいでいるパンダを描かれました。油絵は2枚目とのことですが、そうとは思えないほど画材を使いこなしている印象を受けます。

イラストやぬいぐるみだと愛らしいのに比べて動物園に行くと結構ワイルドに笹を食べていて、実物とのギャップランキングNo1の動物なんじゃないかと思っています。模様がなければただのクマなのになあと身も蓋もないようなことをたまに考えるのですが、王さんの描かれたパンダは手前にちょこんと置かれた手やつぶらな瞳など、白黒に頼っていない(!?)愛嬌がありますね。体を丸めているためシンプルなシルエットながら、黒の中でもパーツによって少しずつ色を変えているためがっしりとした大きな体格も伝わってきます!

小学生クラスの油絵を見ていて油絵具がめちゃくちゃ濁りやすいことを実感しており、少しでも暗い色を混ぜると一気にくすんでしまうため混色の塩梅が難しいと感じます。しかし、今回空の色に明るいライトブルーを置き、パンダの顔の下の影も黒などの強目の暗い色ではなく茶色系統の比較的鮮やかな色にすることでそれぞれの色面がとてもクリアに表現されています!

何かを見つめている動物/人の絵は、その視線の先に広がっている景色やその心中を想像させることが多いです。こちらのパンダはぼーっと空中を見ているようにも見えますが、動物園にいるということは檻の外のこちらを眺めているのでしょうか?絵を、そしてパンダを鑑賞しているハズが、いつの間にかそんな私たちがのんびりと鑑賞されているような不思議な気分にさせられる一枚です。

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油絵あるある

2022-08-23 22:11:33 | 小学生 絵画

小学生の生徒たちに夏休みの思い出を聞くことが趣味のようになりつつあります、ホノカです。
今回はなんとフリーテーマでブログを書けるとのことなので、現在アトリエ歴10年以上の私からアトリエの油絵あるあるをお話しさせて頂きます!

現在小学生クラスでは油絵を鋭意制作中ですが、私も小学生クラスで油絵の授業を受けていた経験があるので、日々過去の自分を思い出しながら授業をしています。
油絵の進め方などはノリ先生のYouTubeなどもご覧ください!

油絵あるある①すごい汚れる
こちらは言わずもがなですね。油絵具のチューブが横から破れて、中身が漏れやすいことや、水彩絵具などと違い乾くのが遅いため汚れが広がりやすいことが原因です。生徒の中には全身を油絵で汚してしまう子もいるくらい、とにかく汚れやすくなっています。また、自身の気づかない間に腕や服に絵の具がついていることも多く、知らぬ間に汚れている原因に挙げられます。講師の私も自分の意図しない部分に絵具が付いていて驚く事があるので、小学生たちはもっと大変なことになっているでしょう...

油絵あるある② まだ乾いてないの!?
油絵具の特徴の一つですが、乾くのに多くの時間を要します。私が小学生の際にも、完成して1週間後に持ち帰った油絵に、まだ乾いていない部分があり、持ち帰り中の母の手にベッタリ油絵具を付けてしまい怒られる。という苦い思い出があるくらいです。通常は1週間程度で表面の絵具は乾くのですが、絵具の厚みやその時の気温や湿度によっても乾く速度が異なります。そのため、小学生クラスの保護者の皆さまは、生徒たちが持ち帰った絵も念の為気をつけて頂ければと思います!(アトリエでも持ち帰りの際に乾燥しているか確認していますがその様な時もあります

油絵あるある③ いつ終わるの!
油絵は今も昔も小学生クラスでは珍しい、2ヶ月かけて行うカリキュラムです。どうしても様々な色を作り、点描のように描くやり方は時間がかかってしまいます。私も幾度となくまだ終わらない.....まだ.....という気持ちになっていたのでよく分かりますね。いくら楽しくても何故か早く終わらせたくなっていくので、後半にかけて早く終わらせたいな〜と思い、適当に同じ色で塗ると、もっと色沢山作って!と声が飛んできてしまうのです。ですがその時間がかかった分達成感や完成度の高さが生まれるので、今の私は生徒たちに心を鬼にして檄を飛ばしています。

以上私が思う油絵あるある3点です!
生徒のみんなはあと少しで凄くいい作品ができるから頑張ろう!作品の完成を待つ方々には、日々手を絵具でベタベタにしながら帰っていますが、それだけ時間と手間がかかった分、見た時に思わず驚いてしまう作品になっていますのでお待ちください!
また、今後のブログでも油絵の授業の様子が紹介されます。そちらもご覧ください!

 

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木製パネルに水貼りする方法

2022-08-22 19:25:11 | 学生

オバラです。突然ですが、画用紙に水彩絵具やアクリル絵具で絵を描くと、紙がふにゃふにゃになって描き辛くなったり、波打って額に入れて飾れなくなったり、困りますよね。
厚紙ボードもいいですが、枚数が重なると段々取って置くのもかさばりますし、値段も高いです。
木製パネルに画用紙を水貼り→紙が乾くと紙が縮むのでピシッします。 どんなに水分を多くした技法でも紙が歪まず、最後まで綺麗に真っ直ぐな紙で完成します。 ちょっと面倒に見えても、覚えてしまえば意外と簡単にできますよ! ぜひこちらのYouTubeを見て、お試しください!

余談ー30年前はデザイン科の受験に、事前に水貼りしたパネルを持って行ったのですが、最近はボードがもらえるようになったので、デザイン科の予備校でも水貼りの方法を教えてくれない所が多く、上手に貼れないデザイン系の人間も多くなりました。(私は油絵科出身なのでキャンバスを貼る方が100倍上手いです。笑)

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1年半の成果

2022-08-20 10:41:52 | 大人 デッサン


出町 鉛筆

岩田です。本日は出町さんの作品をご紹介します。

こちら人物スケッチなのですが、2021年1月から書き始めました。初めは、外国人が多い。その中でも突然現れる古今亭志ん生、とても味わい深く描いています。

一冊通してみても、上達していることは分かりますが、2冊目になるとそれぞれの人物の特徴を良く表現しています。
中には内容を詰めて描いているものもあれば、そこまで深追いしていないものまで様々。同一人物を3枚描いているものまで。

3冊目は一番最初に描いたであろうモデルをリベンジして描いているものまであります。比較してみても見違えますね。
こうした一つの行為をずっと続けるということは、大変なことであり、同時に非常に価値あること。近作は、人物としてとても自然に描けています。

そんな中でも僕が好きなのは、チャーチルと安田顕。互いに特徴は捉えているものの、やはり近作の安田顕の方が名前を見ずとも誰かは一目瞭然、1年半で確実に進化しているのが分かります。

また新作見せて下さい!

出町さんのYouTubeはこちら

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廃墟探検のような

2022-08-19 20:15:42 | 大人 水彩


黒永 透明水彩・ペン・カラージェッソ・ラウンドスポンジ/木製パネル

大竹です。今回ご紹介させて頂くのはトワの作品。高2からミオスに通っており、今春大学を卒業した今でも大人クラスに来てくれています。私が最後に会ったのはその高校生の頃のトワでしたので、今回紹介ブログを描くにあたり「あのトワがもう大学に?!しかも今年卒業?!」と腰を抜かしてしまいました。月日の流れはあっという間というのを、子供や学生達の成長でひしひしと感じてしまいます。

こちらの作品は廃墟の写真集を描きました。木製パネルに直接線画を描き、イエローオーカーのジェッソをペインティングナイフでカサカサこすり、カッターで部分的に彫ったり傷を付け、最後にラウンドスポンジをボンドで貼って苔むしたり埃っぽい感じを出しました。ちなみにラウンドスポンジとは、ジオラマで樹木の葉を作る用の緑の小さなスポンジです。主線はペン画で描かれていますが、廃墟の汚れて古ぼけた雰囲気とうまくマッチしています。透明水彩でありながら、支持体の木製パネルやジェッソによる下地のマチエールによって画面にも深みがありますね。外から入る光と、もう電気の通ってない暗い廃墟の明暗の対比も美しいです。奥の壁の青色のタイルも、かつては鮮やかな色をしていたのでしょう。長い年月で退色していった風合いが良く表現されていますね。
構図から見てみると、手前にある水差しがポイントとなっています。外の明るい光を受けて逆光となっているので、黒いシルエットがパキッと浮かび上がりました。ここまで黒く色を作った事で、この絵の中で主役になったのです。試しに水差しを指で隠してみると、少し物足りなく見えてくると思います。主役作りでも成功した1枚でしょう。

見れば見るほど新しい発見がありそうな絵で、なんだか探検に来ている様な気分になります。シンクなどが置いてあるので元は調理場だったのでしょうか?かつての姿を想像させてくれる面白さも廃墟の魅力の1つですね。

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離れて 眺めて 考えて

2022-08-18 23:15:34 | 学生


実音 高3 鉛筆デッサン

夏休み…怖くて体重計に乗れません、マユカです!
さて、今回は実音のデッサンをご紹介します。

エンジニアブーツ、縄、ビニール袋をメインモチーフにしたこちらの一枚、全体的にしっかりと形がとれています。しっかりと地面に置いてある感じが良いですね。
特に縄、手前に結び目を持ってきた構図になっている点も含めて、かなりよく描けています。乾いた質感や、しっかりと編まれている感じが伝わってきますし、ぐっとした暗さがしっかり入っているので、手前と奥の描き分けもしっかりとできており、縄の特性である長さをしっかりと活かせています。光源がはっきりとしているため、まとまりがあり、説得力のあるデッサンになっていますね。

どのモチーフもかなり描きこまれていますが、写真の距離で見るとあまり手数を感じられないように思います。これではもったいない!
せっかく時間をかけて向き合っているので、遠くから見ても描きこみを伝えられたらいいですよね。
例えば、エンジニアブーツにはちゃんと厚みがあり、細かなしわや縫い目まで描いていますが、すこしのっぺりとした印象を受けました。全体的に1段階ほど暗くして、影になる部分にぐっと黒を入れてあげると、立体感がはっきりとして、ブーツらしい重みも感じられるようになるのではないでしょうか。ビニール袋の描き込みも、もう少ししっかりと観察してあげてほしい!透明なものはどうしても全体がグレイッシュになりがちなのですが、よく見ると意外に濃い影がついていたり、逆に明るい所は輪郭を見ることが出来なかったり…。むやみに描きこむのではなく、メリハリをつけてあげることで「ビニールらしさ」を出せます。

デッサンを描いているとき、形どりや陰影をつけるときは立って遠くから見て描き直す回数も多いのですが、描きこみをしだすと、のめりこんでしまって見直す回数も減ってしまいがちです。描きこみの最中にも数分おきに遠くから見たり、目を細めて全体の確認をして、常に冷静に描き進めるとモチーフの印象を崩さずに描けますよ!

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色・フリーダム!

2022-08-17 23:31:25 | 小学生 絵画

大学の夏休みの間だけ小学生クラスに復帰させて頂いております、ナツメです!賑やかな小学生たちに元気を貰いつつ夏を過ごしております。

先週のノリ先生ホノカ先生の油絵の途中段階のブログはご覧になったでしょうか?本日からアトリエのお盆休みが明けて、油絵もラストスパートに突入です!

ノリ先生が油絵科出身なのに対し私はデザイン科に在籍しているため、ブログを書くにあたって「小学生の頃に油絵で教わったことで、デザインの勉強に繋がったことがあれば書いて下さい!」と先生に言われたのですが、これが全然思い浮かびませんでした。油絵が自己表現なのに対しデザインは課題解決という割と逆の立場だし、実際に筆を動かすような作業もないしなどとぐるぐる考えていたところ、1つ色に関して思い出したことがあるのでその話をします。

自分が小学生クラスで油絵を描いていた時のことを振り返ってみると、小学生の頃の自分はめちゃくちゃ頭が固く、影の暗いところは問答無用で黒で塗り、ひまわりの花びらなんかも全て同じオレンジ色を置いていました。10年前からアトリエの指導方法が大きく変わったというわけではなく、今と同じ様に少しずつ色を変えて塗ってね!とも教わっていたのですがなかなか固定概念を捨てることができませんでした。

結局その絵はそのまま完成になったのですが、その後の展覧会で他の子の作品を見た時に自由な色遣いに「こんな色を塗ってもいいんだ!」と強い衝撃を受けました。緑の葉に赤を置いていたり、花びらの固有色を無視して突飛な色で塗っているにも関わらず、違和感ではなく目新しさや楽しさを感じたのを鮮明に覚えています。

そこで色の自由さ、面白さを学んだのが今のデザインでの作業や勉強に繋がっているような気がしますといつのまにかかなり固い内容になってしまいましたが、小学生たちにはそんなこと考えずにまずは好きに色で遊んでみて欲しいですし、その中でもし何かしらの発見があれば嬉しいな、と思います!私もこの機会で彼らの自由な色彩感覚に学ぶ所存です!

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ミオスの夏の季語

2022-08-09 17:57:04 | 小学生 絵画


左から ①下書き+油性マジック ②下塗り+クレヨン ③本塗り

徐々に足元にいるセミが増えてきたので毎日緊張感と共に外を歩かねばなりません...ホノカです。
普段通われている生徒さんは、嫌でも目に入る壁中に掛けられた小学生の油絵に圧倒され、既にご存知かと思いますが、今年もアトリエの夏の風物詩『小学生クラスの油絵のカリキュラム』が始まっています!
前日のノリ先生のユーチューブでは、下塗り後の初期段階の油絵を数枚ご紹介してありましたが、今日はもう少し詳しく文章で書き出していきます。

①の下描き段階では、構図や大きさに気を付けます。特に油絵はベタベタぬるぬる描き辛い画材なので、細々小さく沢山モチーフを詰め込み過ぎないよう注意しましょう。海などの風景を描く際には、波の模様や、空に浮かぶ雲も下書きすることで、色を塗る時のアシストにもなります。
また、次の作業の下塗りで鉛筆の線が見えなくなってしまうため、下書きは油性マジックで上からなぞります。

②下塗りでは、本塗りの色(実際の色)の反対色や、描きたい写真の雰囲気、生徒の性格(これが意外と重要!)などに合わせて色を決め行います。そのため、似たモチーフを描いていても下塗りの色が異なる場合があります。前日のノリ先生のブログでもありましたが、青い富士山の絵を青色の絵具で描いても写真以上に良くなることはありません。油絵具の特徴として色を重ねることで深みが生まれるため、あらかじめ下塗りすることで、絵の雰囲気に奥行きが出ます。
下塗りはペインティングナイフでガシガシ塗りますし、濃い目の色だったりすると油性マジックの線が隠れてしまう場合もあるので、その時は乾いてからクレヨンで下書きの線を改めて引き直してあげましょう。

③本塗りでは、絵の具を少しずつ、こまめに色を変えながら点描の様に塗っていきます。動画内では"貴族塗り"や"おほほ塗り"と称していましたが、沢山の種類の絵の具を混ぜることで、写真以上に面白い作品が出来上がります。私の記憶が捏造されていなければ、小学生クラスに私が在籍していた15年位前からこの塗り方を教わっています。適当に同じ色でババーッと塗りたいところを、苦しみながらも様々な色を作ろうと思うことで、モチーフにある一目では気付けない色を見つけたり、意外な色の組み合わせに感動出来る、楽しい瞬間でもありました。またやりたい!

既に完成が近そうな作品も出てきていますが、まだしばらくはアトリエの壁が賑やかです。授業にいらっしゃる大人クラスの生徒の皆さまは、乾いていない絵の具に気をつけつつ徐々に完成する様子もお楽しみ頂けますと幸いです!

お知らせ 本日より小学校受験プライベートレッスン以外の授業を、1週間お盆休み頂いております。それに伴い、ブログも1週間お休みさせて頂きます。

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小学生に油絵を描かせるメリット

2022-08-08 23:51:37 | 小学生 絵画

オバラです。
「小学生の内からわざわざ画材代の高い油絵具を使わせなくても…」という意見も頂きますが、この作品を見ればそんな言葉は出てくるはずがありません。 子どもの摩訶不思議な色使い(本当にその色に見えている訳ではありません)の大胆さ・繊細さ・偶然の混色がいかに素晴らしいかが、今回のユーチューブをご覧頂ければ、ご理解頂けると思います。
逆に「うちの子にはとりあえずプロっぽい画材の油彩で絵を描かせたい。油絵よく知らないけど…」という、なんとなく油絵が美術の王道だと感じている保護者様にも、例えば青い富士山の下塗りを『赤』にすることで、大地の力強さ・美しさだけではない『威厳』までをも感じさせることができるのだと、具体的に納得して頂ける動画です。

白いキャンバスに、青いモチーフを青い絵具で塗っても、写真のようには描けることはあっても(それすら可能性は少ないですが)、写真以上になることはありません。それどころか、薄っぺらく安っぽい何の感動も与えない絵にしかなりません。写真のように描きたいなら、写真を撮ればいいじゃない…。こんな事を言っては本当に申し訳ないのですが、私はそういう絵が大嫌いなんです。
子どもにだって、自分というフィルターを通し、モチーフと対峙し、なぜその場面を絵にしたいと思ったのか?見た人に、何を一番伝えたいのか?が伝わる絵を描いて欲しい。
そういう思いから、時間を掛けて制作する油絵(2ヶ月のカリキュラムですが、生徒によっては3ヵ月掛かる場合もあります)は、相手が小学生だろうが厳しくしつこくねちっこくうるさく指導してしまうんですよね。きっと油絵の指導している時の私は、みんな大嫌いだと思います。(笑)嫌われてもいい!刺されてもいい?!未来に秀作が生まれるのが確実なのだから!

YouTubeもぜひご覧ください。こちら

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