優 高2 『8:50 救済拒否』 油彩
大学が春休みに入り、ついに家から出なくなりつつあるマユカです!
今回は、優の市美術展出展作品をご紹介します。
大仏様が耳を塞いでおり、何かにうんざりとしているような表情をしているようなこちらの1枚。大仏様の背後には音楽を流すためのスピーカーや、アンテナ、目覚まし時計のようなものなど、様々な音が出る機械が山のように積み重なっています。上から吊り下がっているネクタイは一体誰のものなのでしょう?学生?サラリーマン?あるいは両方かもしれません。優が描いた様々なモチーフは、一見すると繋がりがなさそうに見えますが、タイトルと合わせて考えると、社会をコンセプチュアルに表現しているような雰囲気です。スポットライトのように当たる光も、色濃く影を落とす、という意味ではなんだか考察できそうな気すらしてきます。
そしてこちら、もちろん油彩で描かれているのですが、大仏様の背後にある機械の細かさに注目してみてください。小さなスイッチの一つ一つすら、工場で制作された物らしく、形が揃っているように見えます。デッサンで工業製品を描く時ですら、均一にそろえて描くことはかなり難しいのに、より小回りの利かない油彩でこんなにも繊細な表現ができる優の技術には驚かされました。こんなにたくさん描きこんでいるのに、機械や色鮮やかなネクタイよりも、真っ先に目に入るのはちゃんとメインモチーフの大仏様であるところに、優の構成力の高さが伺えますね。
ラフスケッチの時点で何案も考え、イメージが固まってからも色に悩み…冬休みは自宅へ持ち帰ってまで手を加え、最終的にはネクタイなどはペインティングナイフでかなり厚塗りにしました。この作品にかける情熱が半端じゃない!!機械などを描くのが好きだと言っていましたので、好きだからこそのめりこんでたくさん描くことが出来るのでしょう。去年の市美術展で大賞を受賞したので、2匹目のどじょうを狙っていますが、どうなることやら?
優のように細かく色々なものを描くのは、私も結構好きだったのですが、かなり時間と根気が必要です。完成させた時の達成感はものすごい反面、学業の忙しさを言い訳に、最近はそういった細かな作品を描くのもやめてしまっていました。しかし優の作品を見ていたら、自分もまた描きたいな、という気持ちになってきましたね…。機械の配線や、工場のパイプの並びなどは、モチーフとして選ぶと嫌でも細かくたくさん描きこむことが出来るので、たくさん描きこんでみたい、細かいものが描いてみたい!という方という方は是非、工業系のものをモチーフに選んでみてください!