モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

窓から見たシーンのよう。

2020-06-27 18:21:09 | 大人 油絵・アクリル


植松 油彩

皆さん元気でお過ごしですか?梅雨明けもう少し先ですかね。

今回は、日曜クラスの植松さんの作品をご紹介致します。
お手持ちの写真集を元に、カモメが悠々と空を飛んでいる様を描いたものです。

スカーンと気持ち良い程に突き抜けた空を実に美しい色で表現していますね。
上昇気流を大きく開いた翼で読みながら、それでも強い風に体を取られ過ぎぬよう必死にバランスをとっているのでしょう。少し斜めになった体がそんな様を起草させます。
山の緑や海の青さを空の上から俯瞰して、2羽根のカモメは何を思うのでしょう。

その場所の色を反映するカモメの体はまるで白いキャンバスのようで、描かれたカモメの姿を見てもその空色や岩場の色を強く影響させているのが見て取れます。
故に、この情景との一体感を感じさせ、まるで高い建物の窓から見たシーンのごとく、鑑賞者に対し錯覚を促します。

実に清々しい佇まいの作品です。

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柔らかな風景

2020-06-24 21:30:40 | 大人 油絵・アクリル


田中 油彩

大竹です。本日ご紹介させて頂くのは、田中さんの油彩の作品です。
まずは左の作品。穏やかな緑の山に囲まれた小さな街の風景は、異国の土地であるにも関わらず、懐かしさのような安心感を見る人に与えてくれます。柔らかな赤茶色の屋根と、少し古ぼけたような風合いの家が立ち並び、ところどころに花が咲いています。そこで暮らしている人の目線というよりは、観光に来た旅人が見る景色のようですね。
壁の色合いなど、触れればザラザラとした感触が返ってくるのが想像できるほど質感がうまく表現されていますね。空の青も鮮やかすぎず暗すぎずのちょうど良い色味で、画面に程よい抜け感を作ってくれています。制作中、終着点が見つからず筆の進みが遅くなってしまっていた時に、小原先生からの「どこもかしこも平等に描いてるから、何が描きたいのかよく分からなくなっている。メインはしっかり見せて、そうでもない部分は引き立て役になるように!」という言葉により、最終的にこのように仕上がりました。ただ見えるもの全てをそのまま描くのではなく、自分が一番見せたいものをより良く伝えるためにはどう演出をしたら良いか考えるのも大切なことですね。

そして右のモンサンミッシェルですが、トワイライトに差し掛かる中に浮かぶ修道院の幻想的な光が美しいですね。手前を暗くして、メインとなるモンサンミッシェルに向かって徐々に明るくしていく事により、自然と目線もそこへと誘導されていきます。暗い地面の中で空の光を受けて輝く川の水色も宝石のようです。そして空にも目を向けてみると、ブルーだけではなく、オレンジやピンク、イエローといった様々な色が顔を覗かせています。様々な色味が調和し合い、画面に深みを与えてくれています。一目見るだけで、グッとこの世界に引き込まれてしまいますね。暗い風景でも、そこに不穏な印象はなく、(少し変な例えですが)仕事を終えて、暗い夜道を歩いて自分の家の灯りが見えてきた時の安心感のような感情にさせてくれます。修道院というモチーフもそう思わせてくれる要因なのでしょうか。

これらの二枚の作品、画面の密度に注目すると正反対になっていて面白いですね。一枚目は建物が全体の2/3を占めており、密度の高い部分が多いですが、残りの1/3の空の抜けがあることにより窮屈すぎないバランスの良い画面になっています。逆に、二枚目の作品はモンサンミッシェルに細かい描き込みが集中しており、それらを引き立てるように周りの空や大地には余計なものを描かずに仕上げられています。その分それらに様々な色を使うことで、メインのモンサンミッシェルと釣り合うようになっています。もし空が単純な青のベタ塗りでしたら、ここまで引き込まれる画面にはなっていないでしょう。

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日本人としての表現

2020-06-20 20:52:44 | 大人 日本画


當山 岩絵具(日本画)

本日は岩田がお伝えします。
今回、ご紹介しますのは土曜午後クラス在籍、當山さんの作品です。
當山さんの前回の金魚の作品はこちら
前回、今回と耽美な世界を岩絵具という描画材を用いて描き出されています。

花鳥風月を主題に、どことなく暗部を纏ったこうした作者の表現は、自然が多く、湿度を伴う風土を有した日本人ならではの感覚を根源としており、欧米的なオーバーリアクションで何かを伝播したりするものや、哲学偏重で難解なそれらの表現とは全く違った魅力に溢れています。

主体となるものを派手に主張させるでなく、静かに淡々とそれらがうごめく様を紙の上に描く、故に絵を見ているこちらが多様なものを想像する余地を与えてくれているのでしょう。
又、色同士を織り重ねた美しい背景を作りつつ、所謂、時、場所、場面といった具体性を排しているところも、その一端を担っています。

とはいえ、ここから當山さんに期待したいのは、、生物を如何に魅力的に描き出すかということ。
印刷物からの情報だけでは限界があるので、実際に野山に分け入り、スケッチなどを重ねたり、描く対象を自ら撮影したりすることで、新たな発見や感動を得て欲しいと思います。

そうすることで、真に素晴らしい作品へと昇華していくことでしょう。

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月曜大人クラス・時間変更

2020-06-17 00:41:51 | お知らせ


大坪 油彩

オバラです。月曜夜間大人クラスの大坪さん。まだ油絵は4枚程しか制作していませんが、空の絵を多く描いています。空と一口に言っても、その複雑な色合いを表現するのは並大抵のことではありません。
私はよく「空を描く時は、宇宙に繋がっていることを意識してください」と言いますが、特に右のような『真下から見上げた空』の絵は、青に深い奥行きを感じさせる必要があるでしょう。
そして薄明光線を描いた左の絵。太陽が雲に隠れているとき、雲の切れ間や端から光が漏れ、光線の柱が放射状に地上へ降り注いで見える現象が起きますね。天使の梯子と呼ばれているだけあり、この世のものとは思えない『絵にも描けない美しさ』を表現しなければなりません。
そんな難しい画題を、大坪さんは「描きたい!」パッションで克服しました。
左は太陽が隠れていることを意識し過ぎるあまり、少々雲が強く(黒く)なり過ぎたかのように見えますが、その分、儚い光が上品に感じます。
また右の絵は空に慣れて来たようで、青にたくさんの色味(光)を加える事が出来、リアリティーが一段と増しました。素晴らしい上達ぶりだと思います。この絵はご両親の結婚記念日に額装してプレゼントされるそうで、記念の一枚として喜んで頂けそうですね!
油絵が面白くて仕方がないといった制作風景に、今後の期待が高まります!

お知らせ
コロナで営業時間を見直し、終了時間を早める事になり、月曜大人クラスの時間を変更しました。

現行 19:30~21:30
改定 19:00~21:00

今まで遅い時間だった為、入会を躊躇されていらっしゃった方や、ご利用できなかったチケット制の方、ご参加お待ちしております!

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ペインティングナイフの新たな試み

2020-06-13 18:28:23 | 大人 油絵・アクリル


原 油彩

梅雨入りはまだかな?土曜日といえば私、岩田です。

今回は、水曜日夜のクラスに通われている原さんの作品をご紹介します。

原さんの作品は、以前にもフクロウ紫陽花といった油彩をブログでも書かせて頂いたもののように、対象を写実的に描く力を有しながら、時に描画材や道具の特性を活かして自らの殻を破るようなことにもチャレンジしています。

こちらの風景画も前回のフクロウ同様、ペインティングナイフの扱いがとても印象的ですが、格段に洗練された使い方をされている印象を受けます。
今回はナイフを使い、夕焼けの空に浮かぶ陽光を表現しているのですが、決して厚ぼったくなり過ぎず、光が四方に放たれ周りの空と極自然に溶け込んでいる様がとても美しく描かれているのです。

散歩中、新川崎の陸橋から小杉方面を見た時の印象的な夕焼け空を題材にしたということですが、いつも見慣れている景色を一変させるような空模様にご自身の心が動かされたのでしょう。
建築物などの余計なものはなるだけ端折り、空を大胆に入れることでその感動がストレートに画面に投影されているのですね。

今後も原さんの更なるチャレンジに期待致します。

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優しい風景

2020-06-10 19:05:00 | 大人 水彩

高橋 透明水彩

お久しぶりです、大竹です。先週、ミオスへ行くために2ヶ月ぶりに電車に乗りました。感染そのものも怖いですが、自由に外へ行けない事によるストレスにも参ってしまいますね。

今回ご紹介させて頂くのは、高橋さんの水彩による見事な合掌造りの民家です。丁度三年前の6にも油彩で描かれていた題材ですね。油彩では重ねられた絵具による重みが、集落の始まりから現在に至るまでの長い時間を感じさせますが、今回の水彩では心地よい日差しや瑞々しい自然と空気を感じさせる爽やかな雰囲気となりました。同じモチーフでも、使用する画材によってまた違った印象を与えてくれます。
奥には青々しい山が立っていますが、左上には空が覗いているので、窮屈さはなくバランスの良い配置となっています。緑の影になって濃くなっている部分に注目すると、青っぽい場所もあれば、少し茶が混ざっていたり、黄緑寄りの緑が使われていたりと様々な色が使われています。
そして手前の花々から奥の民家まで、隅々まで手を抜かず丁寧に筆を運ばれていっているのが見て取れますね、素晴らしいです。
また、合掌造りの屋根の側面を明るくし、家の影の部分をグッと暗くする事で、しっかりと明暗のメリハリが生まれています。これにより目には見えない日差しを感じさせると共に、優しく健康的な明るさを画面全体にもたらしてくれます。

長引く窮屈なステイホームの中でも、この絵が家にあれば心が柔らかくなりますね。皆さんも、少し疲れてしまった時には是非高橋さんのこの作品を見にきて下さい。

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その雰囲気や印象を

2020-06-06 17:52:44 | 大人 水彩



殿山 透明水彩

皆さんお久しぶりです。岩田です。
毎週土曜日は私の担当ですが、ひと月ぶりにブログを書かせて頂きます。

こちらは、土曜午前クラスに通われている殿山さんの作品。愛娘を描きました。
透明水彩を使用しての作品を今までも制作してはいるものの、やはり愛娘となると気合いが入ります。

因みに殿山さんの前回娘さんを描いた作品はこちら
こうして成長する過程を作品として残せるというのは、とても素晴らしいことです。

無垢な姿を実に活き活きと捉えています。
笑顔を湛えたその表情を描くのは、父親として特に息を抜けないところかもしれませんね(笑)。
ご自身でも言葉にしていたのは、似せようということを意識するよりも、その雰囲気や印象を大切にしたいということ。
確かに写真とただそっくりな絵を描いても何も面白くありません。出来上がった作品を見れば、芯を突いたその言葉に合点がいきます。

何ともほのぼのとしたこちらの作品は3ヶ月前に完成しました。
言い換えると現在のコロナウィルスが席巻している以前に描いたものです。まさか今のような状況になるとはつゆ知らず。
そして本日、3か月ぶりに描き始めた作品は「未知の病原菌と闘い疲れ気味の医者の背中」。
こちらもご自身曰く、今しか描けない絵を描きたいということで新作をスタートしました。

人をテーマにしながらも、娘さんの絵とは全く異なる方向性で描き始めた水彩。
今回も、切迫した医療現場での1シーンから受けるその印象といったものを感じ取り、「今」を切り取る作品を描いて貰えればと思っています。

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6月の授業

2020-06-01 23:26:09 | お知らせ

  月曜小学生クラス 友達クロッキー

本日より、ようやく通常営業となりました。
人数はだいぶ少なめ、窓とドアは常に全開で開講しています。
ちなみに本日の参加者は
小学校受験クラス 8名
小学生クラス 14名
大人クラス 2名
アシスタント 1名
でした。
小学生が若干多く感じますので、先週のブログで『ご都合宜しければ水曜・木曜の振替を金曜日にどうぞ』と書きましたが、金曜日は今のところ7人のみですので、月曜・火曜クラスの小学生も振替て頂いても大丈夫そうです。事前にご連絡してからお越し下さいね!

今後しばらくは、クロッキー会・小学校受験指導者講座・勉強会・ワークショップは開催を見合わせます。
今のところ夏期講習・夏休みワークショップも控えようかと検討中です。
今月も休会の方が多い為、スタッフもお休みしている者の方が多く、ブログは引き続き不定期更新とさせて頂きます。申し訳ございません。

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