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ハリルジャパン(93) 書評「ヴァーディー自伝」  文科系

2017年05月02日 06時02分35秒 | スポーツ
 スポーツの世界における「劇画以上のシンデレラ・ストーリー」とおおよその内容を分かっていて購入した、300ページの大枚1800円。ここ「ハリルジャパン」シリーズでも僕がずっと「追っかけ」をやってきた岡崎慎司とともに去年ミラクル、レジェンドを創ったばかり、イングランド・プレミアリーグ・チームの同僚・エースの自伝である。

 グレイトブリテン島はイングランド北部、マンチェスターの東にあるシェフィールド出身のこの選手は、イングランド8部アマチュアチームから出発して、プロチームとは言え5部のチームにやっと入れた時には、もう24歳。こんな彼がその年31ゴールを上げてチームを優勝させ、翌年にはイングランド2部チーム・レスターにスカウトされる。この昇格時にして既に二つの劇画・ストーリーを彼は創っているのだ。ノンプロ史上最高の移籍金100万ポンドと、こんな契約条項の獲得である。
『将来もしイングランド代表になったら、○ポンドのボーナスを出すこと』
 24歳でやっとプロになれて、25歳で2部チームにようやく上がれたという遅咲き選手だ。それがこんな条項を望める訳はないと、普通なら考える。が、彼と彼の代理人は「こういう将来」を固く信じていたと見えて、強引にこれを獲得しているのだ。
 この契約条項は、28歳の2015年に見事に結実した。これは、日本のサッカーファンにもよく知られた話だろう。

 以降のチームとこの選手は、こうのし上がっていく。ヴァーディー2年目の13~14年シーズンに2部リーグで優勝、1部の「イングランド・プレミアリーグ」に昇格。そして、プレミア2年目の15~16年シーズンには、「奇跡の優勝」。ヴァーディー個人は得点差1で得点王は逃がしているが、11ゲーム連続得点というプレミア新記録を作り、プロサッカー協会年間最優秀選手賞を獲得している。 この優勝はもちろん、チーム史上初の快挙である。なんせプレミアに居ることさえ珍しいチームだったのだから。このチームにこの年付いていた優勝オッズが5000倍だったという事実は、日本でもサッカーファンなら皆知っている話だろう。

 こういう表の話は、サッカーファンなら知っている人も多いことだろうが、この本は当然裏話も多い。
 まず、このヴァーディーが前科1犯であるとは、僕も知らなかった。同行した身障者の友人を辱められたから起こった乱闘騒ぎに起因するものだ。ちなみに彼は激しやすく、かつ飲んだくれであって、その二つが重なって起こった20歳の時の事件だった。また、この飲んだくれ性は、成功し始めた頃に得た2度目の妻によって見事に調整されるようになっていったようだ。

 サッカー選手としての彼の特徴を見てみよう。岡崎慎司はこう評している。
『ヴァーディーの強さはスピードと動きに緩急があること。まったく力みのないプレーは性格と一緒。どんな時も笑顔で接してくれるヴァーディーが俺は大好きです』
 力みのない多種類の精確なシュート力が最大の特長だが、非常な脚の速さがその土台、背景にある。いつでも相手を抜けるし、絡んできたらスピードを落としてから、また加速して置き去りにすればよいと、そんなプレーなのだ。ダッシュだけではなく長距離にも強い選手で、岡崎と同じように前線からのプレスにも励む。これがまた、優勝の原動力の一つになっていたという、チームプレー第1、日本でFWによく勧められる「エゴイスト」ではないFWの典型である。だから岡崎慎司もこの本の帯でこう叫んでいる。
『是非この本を読んでヴァーディーを好きになってください!』

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1 コメント

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永久保存版 (文科系)
2017-05-13 16:40:38
 この本は文字通り「永久保存版」と愚考して買った。バーディーの身に起こったようなことは恐らく2度と起こらない歴史的大事件だからだ。
それも、世界でずば抜けて一番人気のサッカー界における、その本場イングランド・プレミアリーグでのこと。

 ほぼ2部以下に低迷してきただけのチームが1部に上がって2年目で、奇跡の優勝。なんせ、このチームの優勝掛け率が5000倍というトンデモナイ数字だったのである。コアなファンで大儲けした方もいるようだし。
 そのエースが5年前まではアマチュアの遅咲き選手だったお方で、それが29歳にしていきなりの大ブレーク。リーグ得点ランク2位に駆け上がったというお話しなのである。

 所有していると、将来のサッカー好きのお宝になるような本なのではないか。アメリカ圏だけのスポーツとちがって、サッカーは断然世界最大スポーツだから、多分不滅だし・・・。

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