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慰安婦問題、当時の関連2通達紹介  文科系

2014年09月22日 01時54分12秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 以下二つは「日本軍の慰安所政策について」(2003年発表)という論文の中に、著者の永井 和(京都大学文学研究科教授)が紹介されていたものです。一つは、1937年12月21日付で在上海日本総領事館警察署から発された「皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件」。今ひとつは、この文書を受けて1938年3月4日に出された陸軍省副官発で、北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」です。後者には、前に永井氏の説明をそのまま付けておきました。日付や文書名、誰が誰に出したかも、この説明の中に書いてあるからです。

 
『 皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件
 本件ニ関シ前線各地ニ於ケル皇軍ノ進展ニ伴ヒ之カ将兵ノ慰安方ニ付関係諸機関ニ於テ考究中処頃日来当館陸軍武官室憲兵隊合議ノ結果施設ノ一端トシテ前線各地ニ軍慰安所(事実上ノ貸座敷)ヲ左記要領ニ依リ設置スルコトトナレリ
        記
領事館
 (イ)営業願出者ニ対スル許否ノ決定
 (ロ)慰安婦女ノ身許及斯業ニ対スル一般契約手続
 (ハ)渡航上ニ関スル便宜供与
 (ニ)営業主並婦女ノ身元其他ニ関シ関係諸官署間ノ照会並回答
 (ホ)着滬ト同時ニ当地ニ滞在セシメサルヲ原則トシテ許否決定ノ上直チニ憲兵隊ニ引継クモトス
憲兵隊
 (イ)領事館ヨリ引継ヲ受ケタル営業主並婦女ノ就業地輸送手続
 (ロ)営業者並稼業婦女ニ対スル保護取締
武官室
 (イ)就業場所及家屋等ノ準備
 (ロ)一般保険並検黴ニ関スル件
 
右要領ニヨリ施設ヲ急キ居ル処既ニ稼業婦女(酌婦)募集ノ為本邦内地並ニ朝鮮方面ニ旅行中ノモノアリ今後モ同様要務ニテ旅行スルモノアル筈ナルカ之等ノモノニ対シテハ当館発給ノ身分証明書中ニ事由ヲ記入シ本人ニ携帯セシメ居ルニ付乗船其他ニ付便宜供与方御取計相成度尚着滬後直ニ就業地ニ赴ク関係上募集者抱主又ハ其ノ代理者等ニハ夫々斯業ニ必要ナル書類(左記雛形)ヲ交付シ予メ書類ノ完備方指示シ置キタルモ整備ヲ缺クモノ多カルヘキヲ予想サルルト共ニ着滬後煩雑ナル手続ヲ繰返スコトナキ様致度ニ付一応携帯書類御査閲ノ上御援助相煩度此段御依頼ス
(中略)
昭和十二年十二月二十一日
         在上海日本総領事館警察署 』


『 本報告では、1996年末に新たに発掘された警察資料を用いて、この「従軍慰安婦論争」で、その解釈が争点のひとつとなった陸軍の一文書、すなわち陸軍省副官発北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」 (1938年3月4日付-以後副官通牒と略す)の意味を再検討する。

まず問題の文書全文を以下に引用する(引用にあたっては、原史料に忠実であることを心がけたが、漢字は通行の字体を用いた)。

支那事変地ニ於ケル慰安所設置ノ為内地ニ於テ之カ従業婦等ヲ募集スルニ当リ、故サラニ軍部諒解等ノ名儀ヲ利用シ為ニ軍ノ威信ヲ傷ツケ且ツ一般民ノ誤解ヲ招ク虞アルモノ或ハ従軍記者、慰問者等ヲ介シテ不統制ニ募集シ社会問題ヲ惹起スル虞アルモノ或ハ募集ニ任スル者ノ人選適切ヲ欠キ為ニ募集ノ方法、誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル等注意ヲ要スルモノ少ナカラサルニ就テハ将来是等ノ募集等ニ当リテハ派遣軍ニ於イテ統制シ之ニ任スル人物ノ選定ヲ周到適切ニシ其実地ニ当リテハ関係地方ノ憲兵及警察当局トノ連携ヲ密ニシ次テ軍ノ威信保持上並ニ社会問題上遺漏ナキ様配慮相成度依命通牒ス』


 さて、これを皆さんはどう読まれるでしょうか。なお、この文書関係当時の北支関連国内分募集人員については、ある女衒業者の取り調べ資料から16~30歳で3000名とありました。内地ではこうだったという公的資料の一部です。最初に日本各地の警察から、この個々の募集行動(事件)への疑惑が持ち上がって来て、それがこの文書の発端になったという所が、大きな意味を持つように僕は読みました。


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8 コメント

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Unknown (Unknown)
2014-09-22 19:10:02
要約すると、半島出身の売春婦に、お目こぼしをしていましたってだけじゃない?
ヘリコプターやジープで集められたって、婆様の証言を潰す方が先でしょう。
名無しさんへ (らくせき)
2014-09-22 19:34:20
半島出身の売春婦に、お目こぼしをしていましたってだけじゃない?

どこを読むと、こういうことが書いているの?

らくせきさんが間違っている! (別のUnknown)
2014-09-23 00:08:19
 上のUnknownに、上記のような文書を読んで理解するだけの能力などあるはずがないじゃないですか。
 「どこを読むと」というより、どこも読めてはいないのです。ただ、ネウヨの動物的直観で反応しているだけです。
興味深い箇所 (文科系)
2014-09-23 05:19:09
 僕として興味深かった点は二つ。上の文章ではここ。
『(在上海日本総領事館陸軍)武官室
 (イ)就業場所及家屋等ノ準備
 (ロ)一般保険並検黴ニ関スル件  
右要領ニヨリ施設ヲ急キ居ル処既ニ稼業婦女(酌婦)募集ノ為本邦内地並ニ朝鮮方面ニ旅行中ノモノアリ』

 後者では、陸軍省副官が北支方面軍参謀長たちに、冒頭のこんな注意をしているということである。
『支那事変地ニ於ケル慰安所設置ノ為内地ニ於テ之カ従業婦等ヲ募集スルニ当リ、故サラニ軍部諒解等ノ名儀ヲ利用シ為ニ軍ノ威信ヲ傷ツケ且ツ一般民ノ誤解ヲ招ク虞アルモノ或ハ』
 この「軍ノ威信ヲ傷ツケ」に、何があったかということだ。内地和歌山では、1件はっきりしている。前の文章にある『本邦内地並ニ朝鮮方面ニ旅行中ノモノアリ』の後者は、どんなことをしたのだろうか。内地と同様に2~3人ほどの女衒がうろうろするだけで済んだだろうかと想像していた。

 最後に皆様へ
 名無し君のことですが、こういうモデルとは観うる。ネトウヨ諸君の文章ばかりを読んで育てた感性、人間が、このエントリーのような物にどう反応するかという一例。別のさんはそう取っていらっしゃる。だからこそ、こうも言えると思う。
『あまりにも品格がないのはともかくとしても、こういう応答でもあった方がよい。やはり、「なーなーの世界」はつまらないから』。
ありがとうございます。 (らくせき)
2014-09-23 10:25:30
別の名無しさんに感謝。
右翼の日本史美化論理 (文科系)
2014-09-26 14:45:59
ネット右翼、略称ネトウヨの方々の日本史諸事件美化のやり口は常に全般的にこういう論理を使う。
「それも、当時としては合法であった」
「だから、他の国もやっていたではないか」
 こういう論理を南京虐殺とか東京裁判とかにも学者が使って見せてネトウヨたちがこれを見習い鸚鵡返しをしてきたのであるが、慰安婦問題に適用する場合はこういう語り口になる。ただし、各論理使いの大元の学者と言っても歴史学者ではない場合がほとんどではないだろうか。たとえ歴史学者が大元の論理を構成したとしても、その時代専門の学者でないのではないだろうか。専門学者として語ったら傷になるようなことを平気で語っているように思うからである。
「軍の慰安所も売春宿と一緒。当時は合法であった」
「他国軍隊にも売春宿はあったのではないか」
 現代的視点がゼロという、情けない消極的反論にすぎない。昔っていつの時までそうやって合法化するのだろう? 例えばアメリカの奴隷時代はつい最近まであって奴隷を殺したって合法で損したというだけのころでも、「やはりそれは悪いことだろう」と言って全くおかしくはないはずである。そもそも当時の法でいったん物事の是非を見たとしても、現代的視点ゼロで良いということにはならないはずなのである。人間は今に生きているのだからということだろう。

 何でも日本を美化したくって、他国を日本のレベルまで引きずり下ろすことによって、ようやくやっと「我が国だけが醜かったわけではない」とやる論理、やり口なのである。こんな論理使いはサムライの末裔としてみっともないこと甚だしいと思うのだが、どうだろうか。
補足 (文科系)
2014-09-27 02:04:05
「(当時としては)法律違反ではないぞ」という言い方は、それ以前の「人間的道義に照らせばどうか?」という視点を欠いている。だからこそ、確信犯的悪人が合法すれすれの確信犯的行為を咎められて、開き直るときに使う論理とも言える。こんな論理をネトウヨの大元の学者たちが使ってきたって、ろくな学者じゃないと思う。まともな人文科学者とは言えず、ただただ日本を美化したいだけの狭いナショナリストに過ぎないはずだ。
 政府の審議会か何かに入りたいスノッブな学者、大学人。いわゆる曲学阿世とはこのこと。安倍の周辺学者って、そんな取り巻きばかりと観ている。
 
曲学阿世 (文科系)
2024-04-10 13:51:38
 ネトウヨ諸君の種本著者らでも、学者ならこのエントリーの原文を読んでいる人は多いはずだ。それでもこの問題をあやふや正当化するのは、どうしてだろう? 別のおかしな「太平洋戦争観」を持っているお方と言うべきなのだ。普通とは違った世界観の持ち主であって、そういう連中が今また、「ダイレクト出版」とかいうところから、20年戦争正当化にあれこれと血道を上げ始めた。そもそも、満州事変・国連脱退から始まった罪の上塗りを、どうしても直視できないのである。
 天皇制と結びついた神社本庁で今内紛が起こっているが、保守政治への接近、迎合勢力絡みであるというのは、確実なことだろう。保守政治が無くなれば、神社は利権は無くなることだろう。

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