OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

オルガン婦人のヒップ&ソウル

2014-10-26 14:36:34 | Soul Jazz

Hip Soul / Shirley Scott (Prestige)
 

先日掲載した内藤やす子のジャケ写を眺めていたら、急に聴きたくなったのがシャーリー・スコットというわけで、理由は言わずもがな、ルックスが似ている事は掲載したLPの表ポートレイトで納得いただければ幸いでございます。

で、彼女はオルガンの女王とまで称されたジャズプレイヤーで、そのスタイルはハードパップ~ソウルジャズ、そしてラウンジ系のライトな演奏まで心地良く聴かせてくれるんですが、特徴的なのは所謂オルガンジャズでは当然とされるフットペダルとのコンビネーションによるベースパートをあまり弾かない事から、そこに拘るマニアにとっては二流の烙印が……。

しかし、それゆえにあえて本職のベース奏者を入れた演奏には独特のスイング感やグルーヴが表出されているのも確かであって、サイケおやじは大好きなんですよ♪♪~♪

そして前述したフットペダル云々については、本当にそれで強靭なドライヴ感を出せるプレイヤーは現実的に少ないという真相が否めず、特に我が国においてオルガンジャズが好きではないというリスナーが案外と多いのは、そのあたりにも原因があるとあるとすれは、シャーリー・スコットの演奏こそはストレートに楽しめるものと思うのですが、いかがなものてしょう。

さて、そこで本日ご紹介したのは、1961年頃に発売された1枚で、メンバーはシャーリー・スコット(org) 以下、スタンリー・タレンタイン(ts)、ハービー・ルイス(b)、ロイ・ブルックス(ds) という強力布陣! 録音は同年6月2日とされています。

A-1 Hip Soul   
 初っ端からグルーヴィなベースの4ビートウォーキングとナチュラルなソウル風味が滲むオルガンのイントロに導かれ、ダークな音色のテナーサックスがブルースリックを吹いてくれる、もう、それだけでグッとシャーリー・スコット・カルテットの演奏に惹きつけられること請け合いのツカミですよ、これはっ!
 地味ながら、的確なビートを打ってくるドラムスも良い感じ♪♪~♪
 ご存じのとおり、シャーリー・スコットはタフテナーの王様たるエディ・ロックジョー・デイビスのバンドで一躍名を上げた事から、テナーサックス入りの演奏ではツボを外さないサポートの上手さ、そしてブルース&ソウルの味わいを決して無駄遣いしないプレイは好感が持てるところです。
 そして、おそらくは当時から既に夫婦関係にあったと思われれるスタンリー・タレンタイとの相性も素晴らしいかぎりです。

A-2 411 West
 これまたミディアムテンポのブルースながら、グッとハードパップの本質に迫っているのは、どっしりと重心の低いビートを提供するハービー・ルイスの基本に忠実なベースワークの所為でしょうか。このあたりにフットペダルを使わず、あえて本職のベース奏者を起用した成果があるように思います。
 うむ、スタンリー・タレンタインの硬質なソウルフィーリングが、たまりません♪♪~♪

A-3 By Myself
 前2曲もよりもテンポが速い演奏で、一応は歌物の体裁ではありますが、メンバー揃ってやっている事はソウルフルなハードパップに他なりません。
 そして特筆すべきは似たような感じの演奏がLP片面で続いているにはかかわらず、聴いていてダレるなんてことが少しも無いのは、シャーリー・スコットが持ち前の、良い意味での「軽さ」があるからかもしれません。
 所謂コテコテではないブルースフィーリングが絶妙の歌心に結び付いているんじゃ~ないでしょうか。
 そしてアドリブパートに入ってからのスピードアップした演奏の爽快感は、即興でありながら随所で「お約束」のキメを出しまくるという、まさにファンが望むところを具象化しくれますから、相互作用的なノリの良さが、このセッションの魅力と痛感!
 
B-1 Trane's Blues
 タイトルどおり、ハードパップ時代のジョン・コルトレーンが数回レコーディングも残している十八番のオリジナル曲ということで、ど~してもスタンリー・タレンタインとの比較が優先してしまうのはジャズ者の宿業でしょうが、そんなの関係~ねぇ~~! 
 ミディアムテンポの力強い4ビートグルーヴの中で唯我独尊、自分が信ずるままを吹きまくるスタンリー・タレンタインは流石と思うばかりです♪♪~♪
 バシャバシャと鳴らしてくれるロイ・ブルックスのシンバルも大好きです♪♪~♪

B-2 Stanley's Time
 これぞっ! ハードパップの魅力が噴出の演奏で、絶妙のマイナースケールを入れたテーマからアドリブパートの構成は、参加メンバー全員の意思の統一が強く感じられますねぇ~~♪
 まさに「資質に合った」とは、こういう演奏を云うんじゃ~ないかと思います。
 う~ん、もっと長い時間、聴かせて欲しかったですよ。 

B-3 Out Of This World
 オーラスはジャズでも幾多の名演が残されているスタンダード曲ということで、リスナーも気楽に構えていられるわけですが、ここではちょっぴりモードっぽい解釈のテーマ部分から一転、アップテンポのアドリブパートに突入してからはスタンリー・タレンタインが燃えまくり、続くシャーリー・スコットも減速しませんから心底、スカッとしますよ♪♪~♪
 ちなみにここではハービー・ルイスが抜けているようで、つまりはシャーリー・スコットがフツトペダルとのコンビネーションでベースパートもオルガンで出しているようですが、それほど本職の不在は気にならないと思えば、レギュラーバンドのほとんどにあえてベース奏者を入れていた意図のあれこれを考えてしまうとはいえ、結果オーライなんで、まあ、いいか……。

ということで、こういう演奏があまりウケない我が国の状況は、特にジャズ喫茶が全盛だった昭和50年代までの話で、レアグルーヴとかコテコテとかいう大義名分が通用している現代であれば、サイケおやじがここでクドクドと述べてきた事なんかは余計なお世話でしょう。

告白すれば、こうしたジャンルが昔っから大好きだったサイケおやじは、しかし中古屋でブツを漁っていながらも、実は周囲の目を気にしていたという見栄っ張りがありました、恥ずかしながら。

誰に遠慮する事なく、自分の好きなレコードを楽しめる状況は本当に大切ですよねぇ~~♪

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