山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

テレビは吉村知事持ち上げをやめよ!

2021年04月02日 17時19分44秒 | Weblog
 去年以来、テレビの吉村大阪知事のもち上げはもう1年になる。うんざりだ。菅首相と違って、紙を見ずに当意即妙に語る吉村氏は見栄えがする。武富士の弁護士をやっていただけあって口はうまい。テレビは己が能がないことを脇に置いて、楽に使えて時間を消費できる吉村氏を連日のように使った。
 しかし政治家のテレビ登場は慎重であるべきだ。政治家は当たり前のことだが己が政治目的に、とりわけテレビ登場を最大限利用する。それで成功したシンボルが小池百合子氏だ。テレビは政治に利用されてはいけない。メディアは第4の権力といわれる。ミャンマーや中国・香港のようにむき出しの暴力で人々を抑えつける権力ではなく、人々をよろこばせ、楽しませて一定の政治目標に誘導することができる柔らかい権力だ。固い権力はメディアを手中に収めようと絶えず策を弄しているし、内部から権力にすり寄る指向が常にある。新聞はジャーナリズム精神が一応看板としてあるのであからさまなことはできないが。ただし安倍・菅コンビが公安を使って読売・ナベツネと組んで、自らの危機のときに前川さんをおとしいれようと仕組んだ大謀略があった。一方テレビはジャーナリズム精神などどこ吹く風だ。面白ければいい、視聴率を稼げればいいというのがすべてを支配しているのだろう。国民の共有財産である電波を法の下で使用させてもらっているのに、国民、視聴者を操るような態度だ。放送法第4条は、「政治的公平」「真実をまげないこと」が定められている。だがテレビは政治誘導に手ごたえを感じ、楽しんでいることがありありだ。その例が、小池百合子都知事とその党であり、大阪の橋下府知事以降の維新の会持ち上げだ。1千万あるいは1千万に近い都民府民がみごとにあやつられてきたこの10余年だ。いま10年を振り返ることはしないが、コロナの国民的災厄の下で、大阪では相当のゆがみが生じている。
 この1年、吉村氏の顔と声がテレビに出なかった日はない。ニュースにとどまらず、番組に出演、しかも各局をはしごすることもまれではなかった。その政治効果は大変なものだ。小池氏があっという間に東京都の政治を己が手に掌握したのに似て、大阪でもずっと維新とテレビの蜜月が大阪政治をあやつってきた。
 ご存知のとおり、2020年は大阪市廃止をめぐる住民投票の年だった。コロナ被害が燃え盛る下で投票どころではない、顔を突き合わせて議論することができないのに、議論が大前提の住民投票などすべきでないという世論が強かった。しかし吉村・松井氏は前年以来盤石の態勢で準備を重ねてきた投票を何としてもやるためにあらゆることを利用してきた。その中心がテレビだ。テレビに吉村氏が(松井氏がではなく、事実松井氏は出なかった)出つづけることで吉村支持率が75%にもなった。すでに前年脱法的な知事市長途中辞任入れ替え選挙をすることで支持を頂点にまでもっていき、府議会でも過半数を制した。あまりの突風的政治結果に、公明党も自民府連(のち大半は正気に返ったが)も気が動転してすすんで屈服した。公明党が反対した前回住民投票の票差1万票は、維新人気にくわえ公明党が一体になったことで盤石の体制となった。さらに4月以来つみあげた吉村テレビ人気を横滑りさせれば住民投票は圧勝間違いなしとなった。
 だから、維新吉村・松井氏は何か何でも11月1日投票はやりたかった。コロナ「大阪モデル」という看板も、何もしないできない菅政権に比べればよくやっている感ありありだ。だが新モデルに切りかえる時、赤信号が出るようなモデルでは住民投票がふっとんでしまう、だから万が一にも赤信号が出ないように基準を緩めに緩めた。命にかかわる問題を政治的に曲げたのだ。このときテレビは批判したか?吉村氏と手を切ったか?あいかわらずの蜜月だった。放送法第4条は大阪には及ばなかった。さらに8月、株式市場がひらいている時間にイソジンなど何種類ものポピドンヨード液をテレビ画面に並べて、イソジンがコロナに効きます、府立病院医師の研究発表ですなどと、いかがわしい研究発表ショーを全テレビを使ってやった。テレビは見事に利用された。これをテレビは反省したか?その形跡はゼロだ。
 テレビと吉村の蜜月の下、9月7日、住民投票投開票は11月1日と選管が決定した。市民がだした結論はご存知の通りだ。維新の最高の布陣にもかかわらず、維新関係者が圧勝を信じて疑わなかった住民投票で大阪市をなくすなの思いで結集した市民が勝利した。しかも投票率が下がった下で前回より差を広げて勝利した。民主主義の勝利だった。
 以後もテレビは吉村氏との蜜月を是正しよいうとしない。コロナは第3波から、今第4波に入っている。吉村氏が第3波での緊急事態宣言を全国の先頭を切って解除する時の見得を切った姿を忘れてはいけない。だえず注目を浴びることを計算に入れている。だがどうだ。早すぎるとの意見が多くあったにもかかわらず先頭を切った。その結果が今、第4波の波頭にいるではないか。そしてマン防を早くとこれまた注目をあびようとしている。恥を知るべきだ。大阪のテレビは蜜月故、うんともすんとも言わないが、東京発の電波は批判も口にするようになった。
 大阪のテレビは恥を知るべきだ。カッコつけ、人気取りに走る吉村にいつまですりよるのか。真面目にコロナの報道をする気があるのか。あるのならば去年の段階では神戸の取り組みを詳しく紹介すべきだった。一番成功している和歌山こそ番組に招いて根掘り葉掘り聞くべきだった。コロナに向かう真面目さが足りない。広島方式という成功例もある。これらは検査を優先、徹底する医学の基本に忠実なところばかりだ。
 バラエティ番組も吉村氏を相も変わらず招く。政治家をテレビで使うのはその政治効果に加担しているということを常に考えるべきだ。放送法第4条の要請だ。法を守れ、もうすこし考えろ。
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