コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

「行進」の行方

2010-12-18 | Weblog
昨日(12月16日)に、アビジャンの街中でいったい何が起こったのか。夜の11時になって、バグボ政権のギリエウル内相が声明を読み上げた。いわゆる「警察側発表」である。それでも、全部で20人の死者が出たという。 「(1)アビジャンでの事態 ヨプゴン地区:2人の警官が負傷する。 アボボ地区:1人の警官が殺害される(銃創)。建物放火により、3人の軍兵士、一般人1人が焼死。3人の騒擾参加者が殺害される。 . . . 本文を読む

衝突が始まった

2010-12-17 | Weblog
銃声が聞こえ始めたのは、午前11時20分頃だった。ついに来た。さきほど11時前くらいから、私の公邸の前の道路から、いっさいの車と人の通行が無くなっていたので、なにか始まりそうな気配はしていたのだ。 この道路は、今日にかぎって、とても重要な道路となっている。ゴルフホテルから国営放送局まで、ソロ首相たちが「行進」をするとなると、この道路を通らざるを得ない。しかも、私の公邸は高台にあって、庭からこの道 . . . 本文を読む

ソロ首相の決意

2010-12-16 | Weblog
月曜日(12月13日)の朝に起こった出来事である。ウワタラ大統領と、ソロ首相と、それからその閣僚たちが、立て籠って執務を続けているゴルフホテルの近くで、そのゴルフホテルに至る幹線道路が突然封鎖された。封鎖したのは、バグボ大統領側の国軍に所属する、共和国防衛隊である。そして通行する車への検問を始めた。そこに、今度はゴルフホテルから、「新勢力」軍が出動して、威嚇射撃をしながら近づいてきた。検問を行って . . . 本文を読む

蝙蝠が飛ぶべき日

2010-12-15 | Weblog
二人の大統領、二人の首相、二つの政府という事態で、多くの人々が困惑している。ここの商工会議所は、困惑の余り、宣言を出した(12月9日)。 「大統領選挙を経て新しい日々が始まるとの期待に反し、現在の状況は残念ながら、そういう方向には進んでいない。企業家たちは、夜間外出禁止令の悪影響をはじめ、この政治危機による損害を被っている。企業家にとって、今年は壊滅的な年末となっており、12月15日の納税期限を守 . . . 本文を読む

ゴルフホテル共和国

2010-12-14 | Weblog
「ゴルフホテル共和国」だ、とバグボ大統領側からは軽口をたたかれている。ウワタラ大統領はソロ首相や閣僚たちとともに、大統領宣誓式以来ずっと、アビジャン市内のゴルフホテルに立てこもっている。ウワタラ大統領は、国連の安全保障理事会をはじめ、大方の国際社会から、選挙で当選した大統領として認知されている。フランスと米国の2大国からは、唯一正統な大統領として、実質的な支援を受けている。それでも実態としては、こ . . . 本文を読む

偏ったテレビ報道

2010-12-13 | Weblog
「1984年」というジョージ・オーウェルの小説がある。1949年に執筆された当時、まだ生々しいヒットラーのナチス独裁の経験、そして現在進行中のスターリンの恐怖政治などを踏まえ、全体主義国家の恐ろしさを描いたものである。舞台である仮想の国「オセアニア国」では、ビッグ・ブラザーという本当に存在するのかどうかさえわからない指導者が、つねに目を光らせ、人々の思想を統制している。 思想統制のために、言語が . . . 本文を読む

チョイ代表の説得力

2010-12-12 | Weblog
バグボ大統領を当選者とする憲法院の決定(12月3日)を、国連(UNOCI)のチョイ特別代表は、即座に認証できないと声明した。そして、その一方で、ウワタラ候補を当選者であるとする選挙管理委員会の選挙結果のほうが、正しいとした。それを受けて、直ちにニューヨークでは、潘基文国連事務総長が、ウワタラ大統領の選出を祝するという声明を出した(12月3日)。 これで、国連は怪しからん、という怒りの声が出てきた . . . 本文を読む

国際社会は戦えるか

2010-12-11 | Weblog
米国の「AP通信」社の記者から、取材を受けた。今回の選挙では、日本大使がずいぶん目だっていた、何か背景があるのか、と聞くから、日本は平和構築に責任を果たす国であり、コートジボワールでの民主主義と平和の回復を願う立場から、積極的に働くのは当然である、とまあそう答える。そして、日本が行った選挙協力について、具体的に例を挙げて宣伝した。それで、これからどうなるのでしょうか、という話題に移る。 (記者) . . . 本文を読む

国連を舞台に攻防戦

2010-12-10 | Weblog
なぜロシアなのか。理由や背景はよく分からないけれど、とにかくロシアが邪魔をし始めた。舞台はニューヨーク。国連の安全保障理事会での、外交交渉の話である。 12月3日、憲法院がバグボ当選を選挙結果として宣言し、それに引き続いて、ここのチョイ国連(UNOCI)代表が、その憲法院の選挙結果は「認証」できないと述べるとともに、ウワタラ候補の当選という選挙管理委員会の選挙結果のほうが正しい、と判断した。 . . . 本文を読む

二つの政府

2010-12-09 | Weblog
コートジボワールでのこの騒動が、日本でも報じられるようになった。そこではおおむね、選挙管理委員会の発表で当選したウワタラ大統領と、憲法院の開票結果無効によって当選したバグボ大統領と、「2人の大統領が並ぶ異常事態」という内容を報じている。そして、国連や国際社会が、ウワタラ大統領の側を支持しているという、というところも報じている。 しかし、この報道だけでは、何が問題なのか今一つ分らない。一体全体に奇 . . . 本文を読む