ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

さまよえる魂 3

2006-10-14 08:34:07 | さまよえる魂
3.
ジーン・ウールはまったくのひとりぼっちでした。ジーン・ウールは悲しくて、淋しくて泣きました。すると、ジーン・ウールの世界は光を失い始め、夜の暗闇になりました。
夜空には星がいっぱい輝いているというのに、寂しさはより増してきます。空には、シリウスが輝いていました。まるで、「ジーン・ウールよ。元気を出しなさい」と励ましているように強く輝きました。

 ジーン・ウールは知らなかったけれど、ジーン・ウールが悲しんで悲嘆にくれるのを、今か今かと待っている存在がありました。
その者は、夜の闇の中から現れました。その者は星空を背にして立っています。
ジーン・ウールは誰もいない世界で、初めて人影を見つけたのです。

「ジーン・ウール、私はお前をずっと昔から待っていた。やっと願いが叶ったぞ。」
「その声は、誰?」
「わたしは、始めからあり、終わりまであるもの。最初の始源の混沌から生まれたもの。この世のすべてを持ち、含んでいるもの」そして、黒いマントを翻し、空全体を覆いました。あたりは光ひとつ射さない真の真っ暗闇になりました。
ジーン・ウールは、はっと我に返りました。

「ジーン・ウールよ。お前はもうこの世界から出ていくことは出来ないのだ。私と共に生きよ。私は、お前の望むものを何でも与えることが出来る。私の城には美しい庭園があり、湖の岸辺には色とりどりの花が咲き乱れている。召使いもたくさんいる。美しい衣装、美しい宝石、珍しい食べ物、愛らしい動物もいる。私と共に生きよ。私だけを愛せ。」
そして、幻を見せました。大勢の召使いたち、輝く太陽。でも、なぜかその太陽の輝きのまわりに、時々黒い影がさしました。

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