ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

店主ご挨拶

ようこそお越し下さいました。 昨年(2010)、3ヶ月の雲水修行に行ってまいりました。 私は働き者で(自己申告)、精舎は朝は早く夜は遅く「朝瞑想」の時間は、気がつくといつも寝ておりましたが・・。 私の人生の1ページに、思いがけないご褒美を頂けたような日々を過ごさせて頂きました。・・ま、主婦でも決心ひとつで如何様な道も開けるんですね。 今も精舎に行くと「実家に帰った」ような気がします。 このブログ管理人は、最近物忘れ症候群中につき、おいで頂いた感謝を申し上げ、コメントを頂いても書いたり書かなかったり、付き合いが悪いことのご無礼をお許し下さいませ。

エンキドゥの死 5

2006-07-31 09:08:13 | ギルガメシュとエンキドゥ
5.
 朝の太陽が薄く輝き始めたとき、ギルガメシュは国中に呼びかけた。
鍛冶工よ、銅細工人よ、銀細工人よ、彫刻師よ
わが友の像を造れ。
その友の四肢は象牙
その友の目はサファイヤ
その友の衣服はラピスラズリ
その本体は金である。

お前のために、ウルクの人々を泣かせ、お前のために涙を流させよう。
誇り高い人々を、お前のために悲しみで満たそう。
わたしはお前の死後、動物の毛皮をまとい、お前のために荒野をさまようだろう。

ギルガメシュは、愛する友のために、手厚い葬儀を執り行った。
充分な副葬品を死者に添えて、シャマシュに示した。
象眼されたエラマック材の卓子を取り出して、紅玉随の器に甘い密を満たした。
ラピス・ラズリの器には、最高のバターを満たした。
彼は卓子を飾ってシャマシュに示した。

弔いは終わった。
ギルガメシュは、彼の友エンキドゥのために泣き、荒野をさまよった。

わたしも死ぬのか。エンキドゥのようではない、と言えるのか。
悲嘆が我が胸に押し寄せる。わたしは死を怖れ、荒野をさまよう。

ウバラ・トゥトゥの息子、ウトナピシュティム。
ウトナピシュティムは「生命を見た者」と知られている。
そうだ。ウトナピシュティムに会って、死と生の秘密を聞き出すのだ。

荒野をさまよい歩いていたギルガメシュは、再び歩き始める。

エンキドゥの死 4

2006-07-30 08:29:17 | ギルガメシュとエンキドゥ
4.
ギルガメシュは、息絶えた夫のそばで嘆く花嫁のように友の顔を覆い、鷲のように友の周りを旋回し、その仔を奪われた牝ライオンのように、前に後ろに慌てふためく。
ギルガメシュは、悪鬼のように髪をかきむしり、祭服を引き裂き投げ捨てる。

友よ。われらは力を合わせて、山に登った。
天牛をつかまえ、これを打ち倒した。
香柏の森の強者、フンババをも滅ぼした。
ところが今、あなたを捕らえたこの眠りは何だ。
あなたは闇になり、もはや私の言葉は届かない。
もはやあなたは頭をあげない。
あなたの心臓に触れても、いっさい脈打たない。

男たちよ、わたしに聞け、わたしに聞け。
長老たちよ、わたしに聞け。
わたしは我が友エンキドゥのために泣く。
友よ。わたしは泣き女のように泣き叫ぶのだ。
お前は、わが傍らの斧、わが脇の援け、わが帯の大太刀だ。
お前は顔面の盾、わが良き支え、わが祭服、わが充溢の腰帯だった。

あぁ悪しき霊が、これをわたしから取り去ってしまった。
お前に代わるものなど、この世にありはしない。
私を常に励ましてくれた友は、もうこの世にいないのだ。

ギルガメシュの嘆きの声は止むことがない。

エンキドゥの死 3

2006-07-29 07:58:31 | ギルガメシュとエンキドゥ
3.
わたしが入った塵の家の扉の上に、わたしは見た
数々の王冠が伏せられてあるのを。
わたしは聞いた、王冠をかぶる者たち、昔から国を支配した者たち
アヌとエンリルに焼いた肉を捧げ
供物を捧げ、絶えず冷たい革袋の水を飲ませた支配者たちの嘆きの声を。

わたしが入った家にエヌ祭司とラガル祭司が座し
イシップ祭司とルマッフ祭司が座し
偉大なる神々のグド・アプス祭司たちが座していた。
エタナが座し、スムカンが座し
冥界の女王エレシュキガルが座し
冥界の書記ベーレト・ツェーリが彼女の前にひざまづき
書板を持って、彼女の前でそれを読み上げていた。
エレシュキガルは頭を上げ、わたしを見つめて言った。
「誰がこの者をつかまえたのか」と。

友よ。わたしはあなたと共にあらゆる困難な道を歩んだ。
わたしを死後も思い起こし、忘れないでくれ。
わたしがあなたと共に歩み続けたことを」

彼が夢を見たまさにその日、彼の力は終わりを告げた。
エンキドゥは横たわる。1日、2日と
エンキドゥは彼の寝台に横たわる。
3日、4日と、彼は寝台に横たわる。
5、6、7日と、8、9、10日と、寝台に横たわる。

エンキドゥの死 2

2006-07-28 17:15:05 | ギルガメシュとエンキドゥ
2.
エンキドゥは病んでいた。
彼は孤独で、一人で横たわっていた。
「友よ、わが夜の夢のすべてはこうだった。
天は叫び、地は応えた。
その狭間にわたしは立っていた。
一人の男がいて、その顔を暗くしたが
その顔はアンズーのそれと瓜二つだった。
その手はライオンの手、その爪は鷲の爪。

彼はわたしの束ね髪を掴み、わたしをこわばらせた。
わたしが彼を撃つと、彼は飛び縄のように跳び退いだ。
今度は、彼がわたしを撃ち、わたしを押し倒した。
彼は野牛のようにわたしを踏みつけ
わたしの体をつよく締めつけた。
わたしはあなたを見つけ『友よ、助けてくれ』と叫んだが
あなたは怖れて、わたしを助けてはくれなかった。

その男はわたしを撃ち、鳩に変えてしまった。
わたしの腕には羽毛が生え、鳥のように羽ばたいた。
男はわたしを捕らえ、イルカラの住まい、暗黒の家に引いていった。
そこに入ったものが出ることのない家に
そこに踏み込んだら戻れない道に
そこに住むものが光を奪われる家に。

そこでは塵が彼らの糧食、粘土が食べ物なのだ。
彼らは鳥のように翼の衣を身に纏い
光を見ることなく、暗闇に暮らしている。
わたしも彼らのようになるのだろうか。


エンキドゥの死 1

2006-07-27 17:45:40 | ギルガメシュとエンキドゥ
1.
ギルガメシュとエンキドゥは、力を合わせイシュタルの天牛を打ち殺した。

通りで仕え女たちが褒めそやす。
「人々のなかで、誰が最も素晴らしいか。
男達のなかで、誰が最も立派であるか」
国の民らが唱和する。
「人々のなかで、ギルガメシュこそ最も素晴らしい。
男達のなかで、ギルガメシュこそ最も立派である」

ギルガメシュとエンキドゥ。
友となって初めて、二人は遠く離れて座った。二人はシャマシュの前にひれ伏した。荒野で生まれたエンキドゥは、兄弟として腰を下ろした。

二人は眠って、そして明るくなったとき、エンキドゥは語りはじめた。
 
「おおわが兄弟よ、わたしは昨夜なんという夢を見たのだろう。
アヌ、エンリル、エアそして天なるシャマシュが集まっていた。
エアがエンリルにこう言っていた。『彼らは天の牛を殺してしまった。
そしてまた、香柏の森の万人フンババを殺してしまった』
するとアヌが言った。『二人のうちの一方が死ななければならない』
エンリルがこう答えた。『エンキドゥが死なねばならぬ。ギルガメシュは死んではならぬ』
天の太陽神シャマシュがエンリルに話していた。
『彼らは天牛とフンババをお前の命令で殺したのではなかったのか。それなのに罪のないエンキドゥが死なねばならぬというのか』
エンリルは天の太陽神シャマシュに腹を立てた。
『お前が彼の仲間のように、毎日彼らと共に行くからだ』と」

エンキドゥは起きあがれず、横になったままだ。
「わが兄弟よ。お前は私にとってかけがえのない兄弟だ。彼らはわたしを、わが兄弟のために再び起きあがらせない。わたしは死霊のもとに座るだろう。わたしは死霊の敷居を越えるだろう。そしてかけがえのない兄弟を、この目でもう見ることはあるまい」

ギルガメシュは友の言葉を聞き、その目から涙があふれた。

イシュタルと天牛 5

2006-07-26 08:56:53 | イシュタルと天牛
5.
 やっと父を説き伏せたイシュタルは、天の牛の手綱を手にウルクへ入った。ウルクの街は大騒ぎだ。ギルガメシュとエンキドゥに使いが飛び、二人の勇者は駆けつけた。
ユーフラテス川のほとりで天の牛が鼻息を吹き出すと、地面に深い割れ目ができ、ウルクの若者が百人、ついで2百人、そして3百人と落ちていった。天の牛がふたたび鼻息を吹き出すと、もうひとつの割れ目が口を開け、またもウルクの若者が、百人、2百人、3百人と落ちていった。

 天の牛が3度目の鼻息を吹き出すと、こんどもひとつの割れ目が口を開け、エンキドゥが腰まで落ちた。けれどもエンキドゥは飛び上がり、天の牛の角をしっかとつかまえる。
天の牛はエンキドゥの顔に向かって涎を吐きかけ、その太い尾で自分の糞をはね飛ばした。

エンキドゥは、天牛を追い回す。そしてその太い尾をつかんだ。

「友よ、さあ、天の牛の首筋、角、眉間にあなたの剣を突き刺すのだ」

ギルガメシュは、家畜を屠る人のように力強く、首筋、角、眉間に彼の剣を刺し通した。
天牛は地響きをあげて大地に倒れ、その騒音が天にまで届いた。
彼らは天牛を撃ち殺した後に、その心臓をつかみだしシャマシュの前にそれを置いた。
彼らは遠く離れ、シャマシュの前にひれ伏した。二人は兄弟として腰を下ろした。

イシュタルは、羊を囲う街ウルクの城壁に駆け上り、くぼみに跳び入り、呪詛を投げかけた。イシュタルの歌は、諸界を通り抜け父アヌに届くだろう。

「ああ、わたしを侮辱したギルガメシュが天の牛を殺した!」

エンキドゥはイシュタルのこの歌を聞き、天の牛の腿を引き裂いて彼女の肩に投げつけた。
天なる女神の言葉は、この実在界に実現せざるを得ないだろう。
かえす言葉でエンキドゥが言う。
「お前も征伐してやろう。これと同じように、お前にもしてやろう。そのはらわたをお前の脇にぶら下げてやろう」

イシュタルは髷女たちを集めた。娼婦たち、聖娼たちを。
彼女たちは天牛の腿の前で嘆きの儀式を行った。
天の父アヌとイギギの神々が、この有様をご覧になれるように・・・と。
女たちの嘆きの声は、たしかに届いた。

エンキドゥは、その夜不吉な夢をみる。

イシュタルと天牛 4

2006-07-25 09:03:19 | イシュタルと天牛
4.
 『ギルガメシュの魂は、いわばエンキドゥの霊視力に感染したことによって、自分の前世を見ることが出来るようになりました。彼は神話のなかで町の守護女神として象徴されているものの本質を体験できました。
 エンキドゥの若い魂と、ギルガメシュの古い魂は出合いました。そして神話にウルクの守護女神イシュタルとして記されている力へとさかのぼっていきます。
この女神が隣の町に盗まれ、ギルガメシュとエンキドゥは隣の町の王と戦って勝ち、イシュタルを取り戻します。イシュタル掠奪の背後には、トロヤの王子パリスによるスパルタの王女ヘレネの掠奪の背後にあるものと類似したものが隠されているそうです。
けれども、ギルガメシュが見た自分の前世の多くは、彼の気に入らないものでした。神話には、嫉妬深いギルガメシュが女神の交友関係を非難した、と記されています。
しかし本当のところは、ギルガメシュは自分の魂の地平を見たのです。(シュタイナー「世界史の秘密」より)』


イシュタルの顔が青ざめた。

ああ、ギルガメシュ。
わたしが愛を与えるにふさわしい男に、やっと出会えたと思ったのに、一体わたしを何だといって責めるというのか!

嵐のように怒り、イシュタルは天に駆け上る。イシュタルは父神アヌの前で泣いた。
「父よ、天牛を作って下さい。それがギルガメシュを打ち倒すように。もしあなたが天牛をお与え下さらないなら、わたしがギルガメシュを打ち倒します。わたしは冥界に顔を向け、死者たちを上らせ、彼らに生者を喰わせます。死者のほうを生者よりも増やします」イシュタルは父親のアヌ神を脅します。

困惑したアヌ神が訊ねる。
「あの男はお前の何だというのだ」

「ギルガメシュこそ男の中の男、わたしがこれぞと見込んだ男。わたしは過去をも未来をも見通す力を持っている。そのわたしが言ったことだ。ギルガメシュこそ夫となるべき男だと。なのにあの男はわたしの心を踏みにじった。この恥辱、許しておけようか!」
イシュタルはわが身をかきむしった。

イシュタルと天牛 3

2006-07-24 15:37:26 | イシュタルと天牛
3.
ギルガメシュは、女君イシュタルに言う。

わたしはあなたに何を差し上げて、あなたを娶るというのでしょう。
身体に塗る香油と着物を差し上げましょうか。
何でもお持ちのあなただから、糧食と空腹を満たすものを、神々にふさわしい食べ物を差し上げましょうか。
それとも王にふさわしい飲み物を差し上げましょうか。
あるいは黒曜石を金で張り、ラピスラズリで飾った履き物を差し上げましょうか。
さあ、見て下さい。わたしはもう上着を着てしまっているのです。
それで、どうしてあなたを娶り得ましょうか。

・・わたしがあなたを娶ったら、一体どうなるのだろう。
あなたは体を温めない、解けた氷のように冷たい。
ユーフラテスの川を渡る風や埃をさえぎれない壊れた扉のようだ。
その埃から守る蓋のない壺の口縁部で、その壺を担ぐ者を汚すアスファルトで、その籠を担ぐ者を濡らす革袋のようだ。
あなたは敵陣から投げつけられた破壊鎚で、まるで足裏の鋲が突き出た履き物のようだ。
あなたの連れ合いの誰が長く続いたのだろう。  

ギルガメシュは、これまで女君イシュタルの恋人となった者達の運命を数えたてた。

青春の恋人タムムズに対して、あなたは毎年涙を流す。
あなたは色鮮やかなアラル鳥を愛したが、その鳥を叩き、羽根を引きちぎってしまった。
彼は森の中に佇み、カッピーと叫んだ。
あなたは力の完全なライオンを愛したが、彼のため七頭に七つの穴を掘り、落とし穴を掘った。
【日々、努力を怠ってはならぬと戒めたのだ】イシュタルが答える。

あなたはまた戦闘において活躍する馬を愛したが、馬には鞭と拍車と殴打をくれて7ベール(1ベールは約10キロ)駆け抜くことを定め、濁して水を飲むことを定めた。
【馬は人間にとって特別な存在だ。それだけの能力を持っているから出し切れと教えたのだ】イシュタルが答える。

それから牧人を愛したが、彼をオオカミに変えてしまった。
【わたしに向き合うということは、自分の本当の姿を知ることになるのだ】イシュタルが答える。

それから自分の父親の椰子園で働く庭師イシュランを愛した。
彼は籠にいっぱい、ナツメ椰子の実を詰めて、毎日あなたの食卓へ運んだ。
けれども、その彼をもカエルに変えてしまった。
【不平不満の愚痴こそ、わたしの一番嫌いなことだ。思いが実現するのがこの世の真実なのだ。自分に値する姿になっただけのことだ】イシュタルが答える。

そんなあなたが、わたしをどうするおつもりか?
わたしに対するあなたの愛も、どうせそのようなものであろう!

イシュタルと天牛 2

2006-07-22 12:40:16 | イシュタルと天牛
2.
ギルガメシュ
彼は汚れた髪を洗い、箙(えびら)を清めた。
そして束ねた髪を背の上に振りかざした。
ギルガメシュ
彼は汚れた服を投げ棄て、清い服を身につけた。上着をまとい、腰帯を締めた。
ギルガメシュは彼の冠をかぶった。
ギルガメシュの美しさに女君イシュタルは眼をみはった。

『さあ、来て下さい、ギルガメシュ、あなたは夫になるべきお方。
あなたの果実をわが贈り物としておくれ。
あなたが夫に、わたしがあなたの妻になるのです。
わたしはラピス・ラズリと金で、あなたの乗り物を飾りましょう。
その車輪が金、その角がエルメシュ石の乗り物を贈りましょう。
あなたは風神らを偉大な騾馬としてそれにつなぐのです。
香柏の香りに包まれてわが神殿にお入りなさい。
あなたがわが神殿に入るとき、
高貴な浄めの祭司らは、あなたの御足に接吻するでしょう。
諸王、貴族、諸侯らは、あなたの下にひれ伏すでしょう。
山岳のルルブ人たちと国人たちはあなたに貢ぎ物を献げましょう。
あなたの山羊は三つ子を、あなたの羊は双子を生みましょう。
荷を負うあなたの仔驢馬は騾馬にもまさり、乗り物を引くあなたの馬は堂々と駆けめぐりましょう。
軛(くびき)につながれたあなたの牛に並ぶものはないでしょう』

言葉は風の囁きのように、水音のようにはじけ転がった。
女神イシュタルの言葉は、五線符に書かれた音楽のように実在界に実現するだろう。


イシュタルと天牛 1

2006-07-21 16:53:32 | イシュタルと天牛
1.
 ある日、フンババを退治しウルクに戻ったギルガメシュの美しさを、イシュタルは見た。
イシュタルがエアンナ( 天から下されし尊き宮居は、大いなる神々が豪壮に造り給いしもので、その市壁は雲居かと見紛うばかりに聳え立っている)の守護女神だった頃、バビロンの南にある町キシュの王エンメバラゲシにさらわれ、ギルガメシュとエンキドゥが救い出したことがあった。エンメバラゲシは怒り、息子のアガは、ウルクの王ギルガメシュに使節を送った。キシュの守護女神イシュタルを返さなければ、キシュはウルクを攻撃するだろう。それが嫌ならばウルクが屈服し、その住民がキシュのために強制労働につくように要求したのだ。

エンメバラゲシの息子アガの使者達は、キシュからエレヒのギルガメシュの許へ向かった。ウルクの王ギルガメシュは、町の長老達に質問し、言葉を求めた。
『長老たちよ、我々はキシュに屈服してはならない。我々は武器を取って立ち上がろう』
集まった町の長老達は頭を抱えた。そして、不安げにギルガメシュに答える。
『ギルガメシュよ、キシュ家に屈服することにしよう。我々は武器を取ってはならない』
クラブ(ウルクの一地区)の王者ギルガメシュ、女神イシュタルを救った英雄ギルガメシュは、町の長老達のこの言葉に納得しない。
クラブの王者ギルガメシュは、町の戦士達に質問し、答を求めた。
『勇敢なる戦士たちよ、我々はキシュ家に屈服してはならない。我々は武器を取って立ち上がろう』
集まった町の戦士達は、ギルガメシュに答えた。
『そうだギルガメシュよ、我々はキシュ家に屈服してはならない。我々は武器を取って立ち上がろう!』
クラブの王者ギルガメシュは、町の戦士達の言葉に喜び、勇気を奮い起こした。
激しい戦いがあった。しかしウルクにはギルガメシュがいる。ギルガメシュには友エンキドゥがいる。どうしてウルクがキシュに敗れようか。
強者キシュ家は戦い破れ、無念の涙を飲んだのだ。

ギルガメシュこそ男の中の男。
ウルクの守護女神イシュタルが、ギルガメシュに惚れないほうが不思議なくらいだ。