写真ざんまい!デジタルざんまい!

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賢治が見た夢「銀河鉄道の夜」(そのⅡ)

2005年02月08日 | 文学
昨日に続いて「銀河鉄道の夜」について書きます。

登場人物にカムパネルラとジョバンニがいますが、これはカムパネルラが
亡くなったトシであり、ジョバンニが賢治自身であることは容易に推測が
成り立ちます。

というのも、カムパネルラは「銀河鉄道の夜」の中では亡くなった友人と
して登場しており、ジョバンニは友人であるカムパネルラに会いに行き、
そして行動をともにしているからです。

とりわけ賢治の樺太旅行と物語の部分が印象的に結びついている箇所は、
汽車に乗って「白鳥」という停車場で降りてからの描写にあります。

この「白鳥」という停車場は樺太鉄道の終着駅の「栄浜」だと推測されます。
賢治が「栄浜」に着いたのはお昼前のことであり、物語では「白鳥」に到着
したのは午前11時になっているからです。
この「栄浜」からは歩いて海岸へ行くことができ、物語ではカムパネルラと
ジョバンニが「プリオシン海岸」へ歩いていくシーンと見事に一致します。

ほかにも想像を掻き立てるところは数多くありますが、カムパネルラをトシ
に、またジョバンニを賢治に見立てて物語を読み進むと、一度ならず何度も
読んだことがある方でも新たな発見があるかもしれませんね。

「銀河鉄道の夜」、素晴らしい物語です。(終わり)

(撮影地:岩手県花巻市 撮影機材:EOS10D タムロンSP28-75㎜ f/2.8XR Di)

花巻市ホームページ 宮沢賢治のコーナー

賢治が見た夢「銀河鉄道の夜」(そのⅠ)

2005年02月07日 | 文学
                      花巻にある銀河鉄道の壁画

 「銀河鉄道の夜」は、「宮沢賢治」が書いた物語の中では一番好きです。
賢治の思想や信仰や教養などが色濃く表された作品としても知られていますね。

賢治がこの作品を書き始めたのは、妹のトシが亡くなってからのことです。
彼はトシに特別な思い入れがあったようです。
というのも、トシは創作活動を陰で支えた賢治の最もよき理解者だったからです。
そのトシが亡くなったことは、当時二十六歳だった賢治の人生で最大の衝撃だった
ことでしょう。

そのトシが亡くなった翌年に、賢治は北海道から樺太へ渡りました。
なぜ賢治は樺太に行ったのでしょうか?
その答えを見つけるのに、私はかなりの時間を費やしました。

ところが、最近になって知ることが出来ました。
「風林」という詩の中に、トシが「天の木星にいるかもしれない」とうたっている
くだりを見つけたのです。

恐らく、彼は本気で北極に行くつもりだったのでしょう。
ところが物理的に不可能だったため、汽車と船を乗り継いで行ける最北の地である
樺太に渡ったのだろうと推察されます。
いわゆる傷心を癒す旅だったのだと思われます。

この樺太旅行が「銀河鉄道の夜」を執筆する原動力になった筈です。
「銀河鉄道の夜」を読めば読むほど、それは確信に近いものとなりました。(続く)

(撮影地:岩手県花巻市 撮影機材:EOS10D タムロンSP28-75㎜ f/2.8XR Di)

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