遊爺雑記帳

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中国は、アジアにおいては20年以内に米国と競争できる立場を手に入れる

2020-11-04 01:33:33 | 南シナ海不法占拠
 米中の「新冷戦時代」に突入している今日、米国防総省が、中国は世界最大の海軍艦隊を有しており、これまでにないペースで新しい艦艇の建造を進めているという報告書を出したのだそうです。
 海外ニュースライターの平井和也氏が、ドイツ国際放送局ドイチェ・ヴェレの報道(10月21日)から、その報告書の概要を紹介していただいています。
 
艦艇数は世界最大、米国から見た中国海軍の実力 現時点ではまだ米海軍が優位だが・・・ | JBpress(Japan Business Press) 2020.11.3(火) 平井 和也:翻訳者、海外ニュースライター

 米中の対立が激化するに伴い、中国の軍事動向が世界的に警戒すべき対象として注視されている。そうした状況のなか、米国防総省が、中国は世界最大の海軍艦隊を有しており、これまでにないペースで新しい艦艇の建造を進めているという報告書を出した。

 ドイツ国際放送局ドイチェ・ヴェレの報道(10月21日)から、米国防総省の報告書の概要を紹介しよう。

中国海軍の艦艇の数は世界最大
 同記事はまず
南シナ海の緊張が高まっている状況を報じる。

 
米国の誘導ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が南シナ海のパラセル諸島付近を航行していた時、中国人民解放軍の海軍艦艇と空軍機に追跡された。10月9日にPLA南部戦区司令部報道官は、駆逐艦「マケイン」の航行は「中国の主権と安全保障上の利益を著しく侵害し、南シナ海の平和と安定を重大な危険にさらす軍事的な挑発」だという声明を発した。このような米中の激しい衝突は、米国の戦艦が「航行の自由作戦」を実施している係争海域で、過去数年間にわたって頻発しているという。

 
同記事は続いて、中国の莫大な軍事投資について詳細にまとめた米国防総省の最新の報告書に言及している。その報告書ではこう記されているという。

中国人民解放軍海軍現在、数の上で世界最大を誇っている。人民解放軍海軍は約350隻の艦艇を有しており、その大部分が中国沿岸の北部、東部および南部戦域に配置されたミサイル巡視船、コルベット艦、フリゲート艦、駆逐艦だ」

これらの艦艇の多くが、高度な対艦、対空、対潜水艦兵器およびセンサーを搭載した『多機能プラットフォーム』である。中国海軍はまた、52隻の攻撃型原子力潜水艦とディーゼル潜水艦、4隻の原子力弾道ミサイル潜水艦、2隻の空母も有している」

 このような中国海軍の装備に対して、米海軍が2020年初め時点で保有している艦艇は293隻である。一方で、同記事は次のように記す。

ブルッキングス研究所の外交政策研究責任者であり、国防戦略アナリストであるマイケル・オハンロン氏は、『問題は艦艇の数ではありません。米国の艦艇は全般的に、大きさにおいても能力においても中国を大きく突き離しており、米海軍は船舶総トン数で中国海軍の2倍を誇っています』と述べている」

国際海洋安全保障センターが発表した2019年の推計によると、中国海軍の船舶総トン数は200万トンになろうかという段階であるのに対して、米海軍は460万トンを誇っているとされている。米国防総省の報告書に対する評価として、オハンロン氏は空母の航空戦力および長距離攻撃型潜水艦の質と量の両面において、米国は中国を大きく引き離しているとしている

 だが、中国の造船業者は船舶総トン数で米海軍に追いつこうと急ピッチで作業を急いでいる。
米国防総省は、中国は現在「船舶総トン数で世界最大の造船国」だと指摘しているという。

「人民解放軍海軍は今も海上戦力のための強靭な造船プログラムを進めており、新型の誘導ミサイル巡洋艦、誘導ミサイル駆逐艦、コルベット艦を生産している。これらの艦艇は、人民解放軍海軍の防空、対艦、対潜水艦能力を大幅に向上させるだろう」

第一列島線を巡る攻防
 
中国が太平洋への進出を目論むに当たって突き当たる大きな問題が、日本列島、台湾、フィリピンによって構成される第一列島線に取り囲まれていることだ(下の地図)。同記事によると、「この海域は、中国共産党の計画立案者たちにとって戦略的にきわめて重要な意味を持っている」。「近代的な海軍を保有することによって、中国は米国が海洋領土紛争に介入する際のリスクを高めたい」というのが中国側の考えだという。
 

 同記事は、
戦略国際問題研究所(CSIS)のアジア海洋透明性イニシアチブを率いているグレゴリー・ポリング氏の次のようなコメントを紹介する。「米海軍は、予想できるあらゆる動きをすでに進めています。米国が南シナ海における抑止力と打撃能力を高めようとするのであれば第一列島線に沿って分散移動型の陸軍力および空軍力によって行う必要があります」。

 一方、
人民解放軍は「第二列島線、太平洋、インド洋、場合によっては地球規模での攻撃的な作戦を実施するための能力と運用上の考え方を開発している」という。ただし同記事では、「今のところ、中国の最大の海軍の強みはまだ自国に近い海域に限られている状況」としている。「人民解放軍海軍が正確な標的情報を収集し、第一列島線を越えた海域で時間内に攻撃を成功させるためにプラットフォームを発射させられるようにその情報を発信することができるかどうかは不明だ」。

アジアでは米国に匹敵する存在に
 記事は最後にこう締めくくっている。

ポリング氏は、『米国は少なくとも今後20年間は技術上の優位を維持するだろうというのが一般的な考え方だと思いますが、たとえ世界規模で米軍と競争することはできないとしても、中国はそれよりもはるかに早い段階でアジアにおいて地域的に同等の立場を得ることはできるでしょう』と述べている」

 以上がドイチェ・ヴェレの報道の概要だ。同記事では、中国が世界最大の艦艇数を保有してはいるものの、大きさ、能力、船舶総トン数のいずれにおいても現時点では米国の艦艇が中国を上回っているという実態を紹介し、米国は少なくとも今後20年間は技術上の優位を維持するとしている。だが、
アジアにおいては20年以内に米国と競争できる立場を手に入れるだろうという見通しも示す。日本にとっては気がかりな見通しと言えるだろう。

 南シナ海の緊張が高まっている状況について。
 中国が人工島建設を始めた当初、ハリス太平洋軍司令官が、オバマ政府に対しけん制対応を提言しましたが、オバマ政権は、対話で解決するとし、習近平と会談しました。しかし、逆に「太平洋二分割管理」を主張され、南シナ海を不法に領有されました。
 後追いで「航行の自由作戦」を始めたのですが、オバマ政権(バイデン副大統領)時には、名前ばかりで実行はおよび腰に制御されていたことは諸兄がご承知のとおりです。
 習近平の覇権拡大と、トランプ政権に変わったことで、実行頻度があげられ、記事の様に米中軍の遭遇が生じてきたのでした。

 ドイチェ・ヴェレの記事では、中国の莫大な軍事投資について詳細にまとめた米国防総省の最新の報告書に言及。
 中国人民解放軍海軍は現在、数の上で世界最大を誇っていて、人民解放軍海軍は約350隻の艦艇を有している。それに対し、米海軍が2020年初め時点で保有している艦艇は293隻にとどまると。
 
 問題は数ではないことは、諸兄がご承知の通りですが、ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン氏は、『米国の艦艇は全般的に、大きさにおいても能力においても中国を大きく突き離しており、米海軍は船舶総トン数で中国海軍の2倍を誇っています』と。
 国際海洋安全保障センターが発表した2019年の推計によると、中国海軍の船舶総トン数は200万トンになろうかという段階であるのに対して、米海軍は460万トンなのだそうです。
 オハンロン氏は、「空母の航空戦力および長距離攻撃型潜水艦の質と量の両面において、米国は中国を大きく引き離しているとしている」と。
 
 しかし、中国は船舶総トン数で米海軍に追いつこうと急ピッチで作業を急いでいるのだそうで、米国防総省は、中国は現在「船舶総トン数で世界最大の造船国」だと指摘しているのだと。

 「太平洋二分割統治」を唱える中国が、太平洋への進出を目論むに当たって突き当たる大きな問題が、接近阻止・領域拒否(Anti-Access/Area Denial, A2/AD)の防衛ラインでもある第一列島線に取り囲まれていることだと。
 
 戦略国際問題研究所(CSIS)のグレゴリー・ポリング氏は、「米国が南シナ海における抑止力と打撃能力を高めようとするのであれば、第一列島線に沿って分散移動型の陸軍力および空軍力によって行う必要があります」と。
 一方、人民解放軍は「第二列島線、太平洋、インド洋、場合によっては地球規模での攻撃的な作戦を実施するための能力と運用上の考え方を開発している」とも。
 最近では、「太平洋二分割」の線に該当する、「第3列島線」も語られる様になってきていますね。
 【国際情勢分析】中国が覇権むき出し、防衛ラインに「第3列島線」浮上 - 産経ニュース

 ポリング氏は、『米国は少なくとも今後20年間は技術上の優位を維持するだろうというのが一般的な考え方だと思いますが、たとえ世界規模で米軍と競争することはできないとしても、中国はそれよりもはるかに早い段階でアジアにおいて地域的に同等の立場を得ることはできるでしょう』と述べているのだそうです。
 米国は少なくとも今後20年間は技術上の優位を維持するとしているが、アジアにおいては20年以内に米国と競争できる立場を手に入れるだろうと。

 米国の傘の下でおんぶにだっこで護られている日本は、その傘がなくなり、中国の軍事力の支配下になるということ。少なくとも、中国はそれを目指している。
 その手始として、尖閣諸島の実行支配の争いがエスカレートしていますが、大漁船団の襲来はなかったものの、直近の危惧は、米大統領選の混乱と空白を突いた、中国による台湾武力併合。
 その時は、沖縄の海兵隊の出動への対抗で、尖閣の侵略支配がセットとなり得ます。

 「米中新冷戦時代」での米国の大統領が誰になるのか。投票が開始されましたが、その行方は、日本の安全保障にとっても、経済にとっても影響は大きいのですね。しかし決めるのは米国民の方々。。



 # 冒頭の画像は、中国海軍の新型駆逐艦「南昌」の就役式典




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