遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

インド伝統の全方位外交から一歩踏み出したモディ首相

2014-10-07 23:28:50 | EEZ 全般
 インドはロシアとの間に、長期的友好関係をうたった「戦略的パートナーシップ宣言」を交わしていて、武器購入もしていますし、合同軍事演習も行っています。最近では、BRICS首脳会議で合意に達した、欧米主導の国際金融秩序への挑戦と言われる「新開発銀行」の初代総裁の座を占めたり、中国、ロシアが主導する上海協力機構(SCO)への加盟を申請するなど、その外交姿勢は、多彩です。
 新首相のモディ氏が精力的に主要国首脳との会談を実現させていることは諸兄がご承知の通りですが、その外交姿勢は、伝統的な全方位外交から、一歩踏み出したものだとの評価がなされているのだそうです。
 つまり、中国には強い姿勢で臨む一方、日米との関係を深化させようとする意図が顕れていると。
 

印モディ首相、転換点の全方位外交 拡張主義牽制、中国に強い姿勢 (10/7 産経)

■日米とは急接近
 【ニューデリー=岩田智雄】9月末に訪米したインドの
モディ首相は、5月の就任から約4カ月間で主要国の首脳ほぼ全員と会談した。一連の外交からは、領土問題を抱える中国には強い姿勢で臨む一方、日米との関係を深化させようとする意図
が浮き彫りになった。専門家からは「伝統の全方位外交から一歩踏み出した」と指摘されるなど、インド外交はモディ政権下で転換点を迎えている。
 モディ氏は9月初旬、日本での講演で、世界各地で「18世紀にあったような拡張主義がみられる。ある地域では、ある国が他国を侵略している。海を侵害し別の国を占領しているところもある」と述べた。
 また、米国ではオバマ大統領との共同声明で、「アジア太平洋地域、特に南シナ海での海洋の安全保障を保護し、航行と飛行の自由を保全する重要性を確認した」と表明した。名指しこそしていないが、軍事的に台頭する中国を念頭に置いた発言なのは明らかだ。
 
日本での発言について、シン前国民会議派政権で外相を務め、今年5月の総選挙で落選したクルシード氏はPTI通信に、日本や中国などは「微妙な問題」を抱えており、インドは「誤った方向に導かれたり、対立に引き込まれたりすること」に抵抗すべきだと批判した。インドの伝統的な全方位外交に沿った考えだが、インド人民党(BJP)を率いるモディ氏は、こうした思考に必ずしも縛られていない
とみられる。
 安倍晋三首相との会談でモディ氏は、日本側が提案した
外務・防衛閣僚協議(2プラス2)の設置について、「検討事項」
とするにとどめたが、インド外務省のアクバルディン報道官は産経新聞に「インドはどの国ともこうした枠組みがなく、初めての提案だったからだ」と説明し、インドが中国を刺激するのを避けたという見方を否定した。
 元インド軍高官で政治評論家の
ラメシュ・チョプラ氏は「モディ政権は、かなり日米に接近したようだ」と指摘。また、「中国は、パキスタンと結託してインドを挑発し続けている」と述べ、カシミール地方などで中国が何度も人民解放軍を越境させていることを問題視した。9月の習近平国家主席の訪印前後にも大規模な動きがあったことを例示し、「習氏は対話の裏で軍事的圧力をかけている
。中国はインドの発展をよく思っていない」と述べた。

 
ただ、インドは中国からの投資呼び込みには積極的で、対中貿易赤字の削減は重要課題だ。チョプラ氏は「インドが反中になることはない」としている。

 インドは、ロシアと中国が構築する欧米に対峙する枠組みに参加する一方で、中国とは国境紛争が続いています。そこで、枠組みの中では、ロシアとの絆も大切にして、台頭する中国への牽制もしていますね。ロシアと利害が一致する点ですね。
 記事では、モディ氏の日米への接近に対し、全方位外交の伝統から逸脱し、日中の紛争に巻き込まれることを懸念する声もあるとのことですが、一時注目されたBRICsの一員としての隆盛に陰りがみられるインド経済の活力を取り戻そうと、積極外交を展開するのがモディ新首相。
 いままでが、欧米諸国に溝があったものを、普通の状態に正常化し、日本も含めて交流を深めることで、ややもすると中国に依存しがちな経済交流や投資の呼び込みを、まさに全方位に広げただけの様に遊爺には見えます。
 
 インドの話をする時、口癖で出てしまう話ですが、終戦直後の日本の子供たちを元気づけるために像のインデラを贈っていただいたインドへの恩の絆は、日本人は忘れません。両国はもっと親交があってしかるべきなのです。
 
 記事で、「インドが反中になることはない」と書かれています。かといって、緊密な同盟国になることもなく、中国の覇権拡大姿勢には、強い姿勢で臨み、繰り返しますが、中国依存の経済や投資導入を、全方位外交で広く分散し獲得しようと言うモディノミクス。
 アジアの平和と発展に、日印関係の深化が貢献できることはまちがいありません。
 一人っ子政策を採った中国よりも人口構成が若く、やがては中国の人口を上回ると予想されるインド。アジアの大国から、世界の大国に成長するには、中国の経済成長のスタートがそうであったように、日米との経済交流がてこになることは明らかです。
 英連邦国でもあるインドとオーストラリア、そして日米の連携で、インド洋、南シナ海、東シナ海、太平洋の弧の平和と発展がなされることを願っていますし、モディ新首相に期待しています。



 # 冒頭の画像は、上海協力機構他の枠組み図




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