遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米越戦争で戦った両国が、今は一致して中国に対峙 越の現実主義外交がなせる伎

2014-10-08 23:54:30 | EEZ 全般
 軍事大国となった中国に、伍して譲らないベトナム。そこには、イデオロギーよりも、生き残りのための国益リアリズムを重視するベトナムの、頭に「超」のつくウルトラ現実主義外交があると説くのは湯浅博論説委員。
 ベトナムの指導者は、巨大な軍事力をもつ中国に対する屈服を拒否するのは、自らの力が強いときか、もしくは、中国を抑止できる別の大国が利用可能なときと心得ているのだそうです。
 かく言う日本も、米国と大戦を交えながらも、今はもっとも緊密な同盟国関係を結んでいます。
 

「超」現実主義 ベトナム外交 (10/8 産経 【湯浅博の世界読解】)

 
やはりベトナムは頭に「超」のつくウルトラ現実主義の国であった。ベトナム共産党書記長の特使が8月末に訪中して、中国の習近平国家主席と石油掘削装置(リグ)の問題で“手打ち”をしたかと思えば、外相が米国に飛んで、海上防衛力を強化する米国製武器の輸入を取り付けていた。
 
ベトナム戦争を戦った米越が兵器を融通しあう
ことなど、最近までは考えられないことだった。米国が殺傷力のある武器を輸出するのは、ベトナム戦争終結の1975年以来、約40年ぶりになる。
 
ケリー米国務長官がこの2日、訪米したベトナムのファム・ビン・ミン副首相兼外相に武器輸出の解禁を伝えた
のだ。ベトナムが求めるのは、対潜哨戒機や遠距離から音波で敵潜水艦を威嚇する音響装置との観測が流れている。やがては水上艦艇など攻撃兵器にまで拡大されていくだろう。
 ベトナムの指導者は、数世紀にわたる中国による支配に「怨念」を持つだけでなく、「力の現実」もよく知っている。だから、
巨大な軍事力をもつ中国に対する屈服を拒否するのは、自らの力が強いときか、もしくは、中国を抑止できる別の大国が利用可能なときである

 統治の方便である
共産主義イデオロギーより、生き残りのための国益リアリズムを重視する


 79年に中国人民解放軍が侵略してきたとき、ベトナム軍には戦争慣れした強さがあった。それを支えたのは、78年に結んだソ越友好協力条約による軍事援助である。当時のダナン港やカムラン湾の施設には、ソ連海軍や空軍が姿を見せた。
 
ベトナムは海の脅威に対し、日本から巡視船の供与を受け、ロシアからはキロ級潜水艦を購入している。高性能の潜水艦を使いこなす訓練は、同じキロ級を配備しているインド海軍から受ける。米国の戦略家は、3カ国に安保条約があるわけではないが中国の独善的態度がこれらの国々を結びつけている
、とみる。
 興味深いのは、この5月、中越が領有権を主張しているパラセル諸島海域に、中国が掘削リグを設置したときのベトナムの対応だった。軍艦まで動員した中国に対し、ベトナムは同じく艦船をかき集めて対峙(たいじ)した。一方で、中国に拒否されながらも、繰り返し特使派遣を申し出ている。
 豪ニューサウスウェールズ大学のセイヤー教授によれば、5月末から6月にシンガポールで開催された防衛関係の国際会議「シャングリラ・ダイアローグ」では、30回以上も中国に対話を働きかけたという。その上で、中国が外交交渉の引き延ばしをはかっているとみるや、ズン首相はフィリピンに倣って中国に「法的措置を検討中」と伝えた。
 あわてた中国は、楊潔箎(よう・けつち)国務委員がハノイを訪問して法的手段を取らないよう求めた。だが、ベトナムのウルトラ・リアリズムは、相手が猫なで声で近づいても、フトコロに大きな棍棒(こんぼう)を隠している限り信用はしない。しかも、ソ連の後継国家のロシアが、ウクライナ問題をめぐる欧米との対立から中国との関係を強化している以上、別の大国と連携してリスクを軽減しなければならない。
 党中央委員会は中国を相手に法的措置をとることを承認し、米国との密接な連携を模索する。

 ベトナム外交は押したり引いたり脅したり。融通無碍(むげ)の「超」現実主義なのである。(東京特派員)


 米国と戦って敗れなかったベトナムは、中国の侵略と闘う今は、ASEAN諸国の連携を求める一方で、かつての敵の米国を味方につけて、時には果敢に自ら戦い、伍して譲りませんね。
 1979年に中国人民解放軍が侵略してきたときは、ソ越友好協力条約による軍事援助で凌ぎ、今日では、日本から巡視船の供与、ロシアからのキロ級潜水艦購入、その潜水艦の運用訓練はインドに仰ぐといった多岐にわたる支援を得ています。
 一方では、バラセル諸島で艦船が衝突される事態の中でも、中国に特使派遣の交渉をさかんに迫り、中国が応じないとみるや、フィリピンに倣って中国に「法的措置を検討中」と伝えることで、楊潔箎国務委員のハノイを訪問を引き出しています。
 記事の言葉を借りれば、押したり引いたり脅したりの、融通無碍(むげ)の「超」現実主義外交で、見事なものです。

 そして、経済の繋がりはしっかり保って、国益も護っています。今後も予断を許さぬ緊迫した日々が続きますが、お手並みに注目させていただき、学ばせていただきたい。



 # 冒頭の画像は、ベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長




  この花の名前は、雪割草


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