「二兎を追うもの一兎をも得ず」とは、誰もが知っている諺ですが、三流政治国の日本で外交音痴の民主党政府は、TPPと日中韓FTAの両方を追い、TPPの米国には日中韓FTAの中国をもって牽制し、中国には、TPPの米豪加の自由主義連合で牽制するつもりの様でしたが、国内はもとより民主党内での議論の進展とまとめがなされず放置されたままでした。
その間、世界は変動・進化しているわけで、取り残された日本は、TPPからも、日中韓FTAからも置いてきぼりにされてしまう状況に陥ったようです。
中韓が自由貿易協定(FTA)締結へ向け交渉入りを宣言した。韓国は2国間のFTAを次々と構築しており、中国は韓国を取り込んで日本をけん制して日中韓FTA交渉を優位に進める考えだ。一方、日本の通商交渉は環太平洋経済連携協定(TPP)をはじめ、遅れが目立っている。 (上地洋実、北京幸内康)
訪問先のカザフスタンで中韓FTA交渉入りの知らせを聞いた枝野経済産業相は「経済連携は様々なものが同時並行で進む。日中韓と中韓は直接関係しない」と冷静な受け止め方を示した。その上で「日中韓FTAで一歩ずつ前進できるよう協議を進めたい」と述べ、日本として3か国の交渉入りを目指して粘り強く前進}を図る考えを示した。
日本政府は13日に開かれる予定の日中韓首脳会談で、3か国の交渉開始を宣言することを目指している。だが韓国は、「部品や素材の競争力では日本に大幅に劣るため、日中韓だけ進めては韓国の立場が弱くなる」(韓国政府筋)懸念を抱いていた。1月の中韓首脳会談で、交渉入りに向けて準備を進めることで合意し、目標としてきた日中韓首脳会談前の交渉開始宣言にこぎ着けた。
韓国の狙いは明確だ。2日発表した政府の文書のなかで、「中国の内需を先に押さえる」と宣言した。日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所の試算では、中韓FTAが発効した場合、韓国の対中輸出は277億6000万が増加する。そのうち約2割分(53億3600万が)は韓国製品が日本製品に取って代わるとみられ、「最も大きな打撃を受けるのは日本」との指摘もある。
韓国は欧州連合(EU)、米国と、それぞれFTAを発効させており、中国と締結すれば日本を除く世界の主要な経済圏との自由貿易網が完成する。日本政府関係者からは「2~3年ではとても追いつけない」との嘆きも聞こえる。
日本は、米国主導のTPP交渉入りを進めて中韓をけん制し、日中韓FTAを進める戦略だった。しかし、4月30日の日米首脳会談では、TPP交渉の事前協議での前進を示すことができなかった。TPPを軸に中韓を取り込む日本の筋書きは、見直しを迫られることになる。
一方の中国では、政府直属の研究機関・国家発展改革委員会対外経済研究所の張燕生所長は「東アジアにとって、日中韓FTAが最も重要」と断言する。だが、「2か国間の交渉の方が早いかもしれない」と分析する。日中韓3か国ではなく、2国間協定の積み重ねになる可能性を指摘する。
日本打撃「競争できない」
日本の輸出産業からは、円高や電力不足に加え、関税面でも不利な条件を負うことになりかねないとして、政府に早急な対応を求める声も出ている。
日本にとって中国は最大の輸出相手国で、2011年度の輸出額は12兆4805億円に上る。対中輸出の1割は、自動車や自動車部品など「輸送用機器」が占める。日本メーカーの多くは中国での現地生産を進めているが、高級車などは、大半を日本から輸出している。大手自動車メーカー幹部は「中国で販売を伸ばしている韓国勢と競争できる環境ではなくなる」と話す。
一方、電機業界への影響も同様だ。半導体など電子部品の中国向け輸出額は11年度は1兆円強に達する。中国メーカーは日本から部品を調達し、家電製品などを組み立てて世界に輸出している。中韓FTAが発効すれば、韓国製部品の価格競争力が高まりかねない。
かつて北東アジアのバランサーをめざして「均衡論」を唱え失敗した、盧武鉉元韓国大統領という身の程知らずの輩がいましたが、鳩も米中との間での日本の役割を追求するような盧武鉉氏と似たことを言いはじめ墜落しました。
原因は、米中の両巨大(=世界の覇権を争う)国家が全力を上げて競う中に割って入る実力不相応なことを、さしたる戦略なく思いつき(=パフォーマンス)でやろうとしたからです。
特に日本にとって、米国と中国や韓国とを比べた時に、今日までの実績として信頼できるのはどちらかは、相対論では明確です。
そもそも、日中韓FTAへの中国と韓国の取り組みの発想は何かを考えれば、その姿勢が、相互の繁栄を目指していると考えるのが間違いでしょう。
中国包囲網を敷かれた昨年のEAS依頼、中国の巻き返し策が展開されていますが、そのひとつがASEAN+日中韓の囲い込みとその中での中国のリーダーシップ確立です。
日本は、ASEAN+日米豪といった自由主義陣営の国々を加えた連合体制を主張していました。
その日本の国内論議の進展の無さに目をつけて、揺さぶりをかけてきたのが、中国の日中韓FTAです。社会主義経済で為替さえ自由化していない国が、どうして自由貿易を真剣に進めるのでしょう。米豪他のTPP推進の様子見で対抗上言いだしているにすぎません。
それにホイホイ乗る民主党の外交戦略の底の浅さには、涙がでます。
韓国については語るまでもないのですが、日本との二国間FTAも逃げ回っていて、日本に追いつけと敵対心満々なのですから、今回の抜け駆けはあって当然でしょう。
しかし、これで中韓が日本に敵対すると宣言してきたのですから、話は簡単明瞭になりました。
昔の戦争は武器を行使しましたが、今は経済戦争です。宣戦布告された日本は、アジア諸国との連携を中国・韓国に先んじて深めるべく全力を挙げて闘わねばなりません。
それには、見方となる連合軍が必要です。それには、TPPもひとつの選択肢でしょう。
中国も韓国も日本からの部品を輸入して組み立てて輸出が成り立っているのが現状です。日本企業も、韓国や中国に工場移転すれば解決するという安易な対処ではなく、他のアジアの国々と連携して、中国・韓国に負けない製品で、アジア市場を先行席巻すると同時に、中国、韓国に広く門戸を開かざるを得なくさせればいいのです。
# 冒頭の画像は、中国の陳徳銘商務相と会談する日本経団連の御手洗冨士夫会長(2010年 10月)
この梅の花の名前は、緋の司
↓よろしかったら、お願いします。