岸田文雄首相は19日(日本時間20日)、ニューヨークでの国連総会で一般討論演説を行い、ロシアのウクライナ侵略を受けて「現在の世界を反映した安全保障理事会が必要だ」と提唱した。
「核兵器のない世界」に向けて、NPT(核拡散防止条約体制)の維持・強化を図るというが、米国の「核の傘」による抑止はどうなるのか。
海外の研究機関・シンクタンクに新たに30億円を拠出するというが、核兵器のない世界の実現への研究を促すだけで可能なのかと、高橋氏。
かわぐちかいじ氏の『沈黙の艦隊』は面白かった。
ストーリーは、海江田四郎艦長が反乱を起こし、海江田を国家元首とする独立戦闘国家「やまと」を名乗るというもの。
荒唐無稽ともいえるが、醍醐味(だいごみ)は、この原潜に核弾頭が搭載された可能性があり、核兵器の脅しが効いたことだ。
連載当時と今ではまったく国際情勢も異なっているが、核の脅しが今でも有効なのは現実のロシアを見ていればわかると、高橋氏。
多少軍事をかじった人なら、「やまと」は船の形から攻撃型原潜であり、弾道ミサイル・巡航ミサイル原潜でないので核兵器は搭載していないというつっこみは可能。
米国は1990年代後半からそうした戦略を取っていると公言している。しかし、日本政府として誰も実際に確認していない。その意味で、核兵器が原潜にあるかもしれないという「脅し」は有効だと、高橋氏。
マンガの最後には、原潜「やまと」は国連にまで乗り込んで、核廃絶を訴える。
マンガが連載された頃は国連万能との見方もあったが、今や常任理事国のロシアがウクライナに侵攻するなど、まったくの機能不全に陥っていると、高橋氏。
岸田首相の国連演説は、30年前の「沈黙の艦隊」の海江田演説より、リアリティーがないと言わざるを得ない。
少なくとも原潜も保有せずに、世界の安全保障にまともに口を出せないのが世界の現実だと。
「けんとうし」の岸田首相の絵にかいた餅演説。世界はどのように評価したのでしょう?
# 冒頭の画像は、国連で演説した岸田首相
この花の名前は、サルビア・スプレンデス
↓よろしかったら、お願いします。
「核兵器のない世界」に向けて、NPT(核拡散防止条約体制)の維持・強化を図るというが、米国の「核の傘」による抑止はどうなるのか。
海外の研究機関・シンクタンクに新たに30億円を拠出するというが、核兵器のない世界の実現への研究を促すだけで可能なのかと、高橋氏。
【日本の解き方】岸田首相の国連演説と「沈黙の艦隊」のリアルさ 研究を促すだけ「核兵器のない世界」の道筋はマンガ以上に現実離れ - zakzak:夕刊フジ公式サイト 元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一 2023.9/26
岸田文雄首相は19日(日本時間20日)、ニューヨークでの国連総会で一般討論演説を行い、ロシアのウクライナ侵略を受けて「現在の世界を反映した安全保障理事会が必要だ」と提唱した。
首相は安保理常任理事国のロシアを「国際法、『法の支配』を蹂躙(じゅうりん)している」と非難。「ロシアが行ったような核兵器による威嚇、ましてや使用は、国際社会の平和と安全に対する深刻な脅威であり、断じて受け入れることはできない」と述べた。
ここまではいい。ただし、この後、やや現実離れしていく。「核兵器のない世界」に向けて、NPT(核拡散防止条約体制)の維持・強化を図るというが、米国の「核の傘」による抑止はどうなるのか。「『抑止か軍縮か』との二項対立的な議論を乗り越える」とし、海外の研究機関・シンクタンクに新たに30億円を拠出するというが、核兵器のない世界の実現への研究を促すだけで可能なのか。
筆者はマンガ愛好者でもある。特に、1988年から96年まで連載された、かわぐちかいじ氏の『沈黙の艦隊』は面白かった。国会でも取り上げられたことがあった。
ストーリーは、日米で極秘に建造された日本初の原子力潜水艦を米海軍第 7艦隊所属とするが、海江田四郎艦長が反乱を起こし、海江田を国家元首とする独立戦闘国家「やまと」を名乗るというものだ。
荒唐無稽ともいえるが、醍醐味(だいごみ)は、この原潜に核弾頭が搭載された可能性があり、核兵器の脅しが効いたことだ。それに加えて、「やまと」が最新鋭原潜であることと、海江田艦長の天才的な操艦術により、大国の米国、ロシア、国連と対峙(たいじ)できたことだ。
このマンガは映画化され、今年 9月29日から上映される。連載当時と今ではまったく国際情勢も異なっているが、核の脅しが今でも有効なのは現実のロシアを見ていればわかる。
もちろん多少軍事をかじった人なら、「やまと」は船の形から攻撃型原潜であり、弾道ミサイル・巡航ミサイル原潜でないので核兵器は搭載していないというつっこみは可能だろう。
たしかに、マンガ連載後、米国は1990年代後半からそうした戦略を取っていると公言している。しかし、日本政府として誰も実際に確認していない。その意味で、核兵器が原潜にあるかもしれないという「脅し」は有効だ。
マンガの最後には、原潜「やまと」は国連にまで乗り込んで、核廃絶を訴える。今思えば、マンガが連載された頃は国連万能との見方もあったが、今や常任理事国のロシアがウクライナに侵攻するなど、まったくの機能不全に陥っている。
岸田首相の国連演説は、30年前の「沈黙の艦隊」の海江田演説より、リアリティーがないと言わざるを得ない。
少なくとも原潜も保有せずに、世界の安全保障にまともに口を出せないのが世界の現実だ。
岸田文雄首相は19日(日本時間20日)、ニューヨークでの国連総会で一般討論演説を行い、ロシアのウクライナ侵略を受けて「現在の世界を反映した安全保障理事会が必要だ」と提唱した。
首相は安保理常任理事国のロシアを「国際法、『法の支配』を蹂躙(じゅうりん)している」と非難。「ロシアが行ったような核兵器による威嚇、ましてや使用は、国際社会の平和と安全に対する深刻な脅威であり、断じて受け入れることはできない」と述べた。
ここまではいい。ただし、この後、やや現実離れしていく。「核兵器のない世界」に向けて、NPT(核拡散防止条約体制)の維持・強化を図るというが、米国の「核の傘」による抑止はどうなるのか。「『抑止か軍縮か』との二項対立的な議論を乗り越える」とし、海外の研究機関・シンクタンクに新たに30億円を拠出するというが、核兵器のない世界の実現への研究を促すだけで可能なのか。
筆者はマンガ愛好者でもある。特に、1988年から96年まで連載された、かわぐちかいじ氏の『沈黙の艦隊』は面白かった。国会でも取り上げられたことがあった。
ストーリーは、日米で極秘に建造された日本初の原子力潜水艦を米海軍第 7艦隊所属とするが、海江田四郎艦長が反乱を起こし、海江田を国家元首とする独立戦闘国家「やまと」を名乗るというものだ。
荒唐無稽ともいえるが、醍醐味(だいごみ)は、この原潜に核弾頭が搭載された可能性があり、核兵器の脅しが効いたことだ。それに加えて、「やまと」が最新鋭原潜であることと、海江田艦長の天才的な操艦術により、大国の米国、ロシア、国連と対峙(たいじ)できたことだ。
このマンガは映画化され、今年 9月29日から上映される。連載当時と今ではまったく国際情勢も異なっているが、核の脅しが今でも有効なのは現実のロシアを見ていればわかる。
もちろん多少軍事をかじった人なら、「やまと」は船の形から攻撃型原潜であり、弾道ミサイル・巡航ミサイル原潜でないので核兵器は搭載していないというつっこみは可能だろう。
たしかに、マンガ連載後、米国は1990年代後半からそうした戦略を取っていると公言している。しかし、日本政府として誰も実際に確認していない。その意味で、核兵器が原潜にあるかもしれないという「脅し」は有効だ。
マンガの最後には、原潜「やまと」は国連にまで乗り込んで、核廃絶を訴える。今思えば、マンガが連載された頃は国連万能との見方もあったが、今や常任理事国のロシアがウクライナに侵攻するなど、まったくの機能不全に陥っている。
岸田首相の国連演説は、30年前の「沈黙の艦隊」の海江田演説より、リアリティーがないと言わざるを得ない。
少なくとも原潜も保有せずに、世界の安全保障にまともに口を出せないのが世界の現実だ。
かわぐちかいじ氏の『沈黙の艦隊』は面白かった。
ストーリーは、海江田四郎艦長が反乱を起こし、海江田を国家元首とする独立戦闘国家「やまと」を名乗るというもの。
荒唐無稽ともいえるが、醍醐味(だいごみ)は、この原潜に核弾頭が搭載された可能性があり、核兵器の脅しが効いたことだ。
連載当時と今ではまったく国際情勢も異なっているが、核の脅しが今でも有効なのは現実のロシアを見ていればわかると、高橋氏。
多少軍事をかじった人なら、「やまと」は船の形から攻撃型原潜であり、弾道ミサイル・巡航ミサイル原潜でないので核兵器は搭載していないというつっこみは可能。
米国は1990年代後半からそうした戦略を取っていると公言している。しかし、日本政府として誰も実際に確認していない。その意味で、核兵器が原潜にあるかもしれないという「脅し」は有効だと、高橋氏。
マンガの最後には、原潜「やまと」は国連にまで乗り込んで、核廃絶を訴える。
マンガが連載された頃は国連万能との見方もあったが、今や常任理事国のロシアがウクライナに侵攻するなど、まったくの機能不全に陥っていると、高橋氏。
岸田首相の国連演説は、30年前の「沈黙の艦隊」の海江田演説より、リアリティーがないと言わざるを得ない。
少なくとも原潜も保有せずに、世界の安全保障にまともに口を出せないのが世界の現実だと。
「けんとうし」の岸田首相の絵にかいた餅演説。世界はどのように評価したのでしょう?
# 冒頭の画像は、国連で演説した岸田首相
この花の名前は、サルビア・スプレンデス
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