遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米中の衝突は大方の米国人の予想よりも早く起こる可能性がある

2018-05-17 23:58:58 | EEZ 全般
 中国の海洋覇権の拡大は、国産空母の就航と更なる建造とで強化が進められていることは、諸兄がご承知の通りです。
 WSJ紙へのセス・クロプシー氏の寄稿では、中国の海軍力の急速な成長と向上は、米国の海洋支配力に大きな課題を突きつけている。両国の衝突は大方の米国人の予想よりも早く起こる可能性がある。米国には海軍力の訓練、装備、演習が必要だと警鐘を鳴らしておられます。
 
【寄稿】米国は海洋覇権を中国に渡すな - WSJ By Seth Cropsey 2018 年 5 月 15 日

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 筆者のセス・クロプシー氏は米ハドソン研究所の米海軍力担当ディレクター。レーガン政権とジョージ・W・ブッシュ政権で海軍副次官を務めた経験を持つ。
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太平洋でエスカレートする中国と米国の同盟国との領有権争いによって、米国の海軍力の必要性がかつてないほど高まっている。しかし、中国が海軍を急速に拡大・近代化しているにもかかわらず、ドナルド・トランプ政権は米国が海上優位を維持するのに十分な資金を提案していない。2019年の連邦予算を機に大統領も議会も本格的かつ近代的な艦隊に資金をコミットする必要がある。そうしなければ、米国と同盟国の絶対不可欠な利益を中国に譲り渡す危険がある

 米国の海軍力は第2次世界大戦の終結以来、太平洋の治安を確保し、安全で開かれた貿易を保証する一方で、周辺地域の衝突を鎮めてきた。こうした目的で強力な海軍を維持することは、何も米国に始まったことではない。
卓越した海軍力なくしては、いかなる大国も帝国もその地位を維持することはできなかった。アテネ、ベニス、スペイン、オランダ、イングランドの歴史は、大洋の覇権を失えば大国としての地位の喪失も避けられないことを示している。

 
中国の海軍力の急速な成長と向上は、今日および予測可能な将来の米国の海洋支配力に大きな課題を突きつけている。ジェームズ・ファネル退役海軍大佐は米太平洋艦隊の情報部門を統括していた2015年、中国の戦闘艦隊が2030年に415隻に達するとの見方を示した。中国は特に潜水艦、揚陸輸送艦、小型水上戦闘艦の増強に力を入れている。これは中国が沿岸地域と水陸両用作戦の支配をもくろんでいることを明確に表している。いずれも今日、米国が傑出している領域だ。

 
米太平洋軍司令官に指名されたフィル・デービッドソン海軍大将は4月に上院で、中国が「もはや台頭する勢力ではなく、大国であり、競争相手だ」と指摘。「中国は過去30年で急速に軍の近代化を進め、多くの重要な領域で同等水準に近づいている。米国が将来、中国との衝突で勝てる保証は一切ない」と述べた。
<中略>

中国海軍との戦闘準備も
 太平洋の覇権を譲り渡せばどうなるか。米国はその結果をすぐに目の当たりにするだろう。中国の成長著しい海軍はすぐにでも、日本からフィリピンに至る東シナ海の第一列島線周辺の動きを支配しようと狙う可能性がある。
 
中国がこの地域の支配力を獲得すれば、米国と同盟国との協調体制が阻害され、米国の安全保障の傘に疑念が生じかねない。そうなればホワイトハウスは遠隔地の危機が直接的な脅威に発展するのを防ぐことが一段と難しくなる。一方で、世界中で米国のビジネスが打撃を受け、にわかに中国がより魅力的な貿易と安全保障のパートナーになるだろう。東シナ海・南シナ海を国際水域に長年維持してきた国際的な海洋秩序は、「中国式」の地域的な制度に取って変わられるだろう。中国共産党が「中国式」の名の下に独自の国家統制を敷いてきたように。

 これは既成事実ではなく、
米国の海軍力は回復可能だ。しかし、それには米国が世界の大国としての地位を守るに値すると決断する必要がある。海軍の漸進的な艦隊の近代化手法を革命的な手法に変え、現艦隊の技術的優位を高める必要がある。そして2035年までに艦隊を375隻以上に拡大する必要がある。
 米国は中国海軍との戦闘にも備える必要がある。これはつまり、
東シナ海・南シナ海への攻撃が可能な距離に米軍を駐留させ、周辺地域を効果的に監視するのに十分な軍隊を近くに配置しておくということだ。また、中国の既存の挑発に同様のやり方で応じることも意味する。米国は台湾に対する軍事支援および海上支援を強化すべきだ。国防総省は第一列島線全体を防衛し、東南アジアの海峡(中東から中国への石油の輸送経路)を封鎖する計画にもっと本腰を入れるべきだ。

 
両国の衝突は大方の米国人の予想よりも早く起こる可能性がある。中国は今月だけでも、対艦巡航ミサイルや地対空ミサイルを南シナ海の3つの人工島に配置したと報じられている。また、米政府によると、最近ジブチで米軍のパイロットが中国の新軍事基地から発射されたレーザーで照射された。国防総省は外交ルートを通じて中国に調査を要請したが、中国との駆け引きにおいては外交手段だけでは不十分だ。
 及び腰の態度では抑止力にならず、中国の侵略を助長することになる。しかし現在のところ米国の戦闘艦隊の強化案は控え目だ。
世界の圧倒的な海洋勢力であり続けるために、米国には海軍力の訓練、装備、演習が必要だ。米国の大国としての将来は、そこにかかっている。

 中国が海軍を急速に拡大・近代化しているにもかかわらず、ドナルド・トランプ政権は米国が海上優位を維持するのに十分な資金を提案していない。米国と同盟国の絶対不可欠な利益を中国に譲り渡す危険があると。
 ジェームズ・ファネル退役海軍大佐は、米国が傑出している領域の潜水艦、揚陸輸送艦、小型水上戦闘艦の増強に力を入れていると、2015年の時点で指摘。
 米太平洋軍司令官に指名されたフィル・デービッドソン海軍大将は4月に上院で、中国が「もはや台頭する勢力ではなく、大国であり、競争相手だ」と指摘し、「米国が将来、中国との衝突で勝てる保証は一切ない」と述べたことを取り上げておられます。

 米国が太平洋の覇権を譲り渡せば、中国は、日本からフィリピンに至る東シナ海の第一列島線周辺の動きを支配しようと狙い、中国がこの地域の支配力を獲得すれば、世界中で米国のビジネスが打撃を受け、にわかに中国がより魅力的な貿易と安全保障のパートナーになり、「中国式」の地域的な制度に取って変わられると。
 
 米国が世界の大国としての地位を守るに値すると決断する必要がある。現艦隊の技術的優位を高め、2035年までに艦隊を375隻以上に拡大する必要があると。
 
 両国の衝突は大方の米国人の予想よりも早く起こる可能性がある。中国との駆け引きにおいては外交手段だけでは不十分だ。世界の圧倒的な海洋勢力であり続けるために、米国には海軍力の訓練、装備、演習が必要だ。米国の大国としての将来は、そこにかかっていると。

 米国で、今年1月下旬に公表された「国防戦略 2018(NDS-2018)」では、「大国間角逐」こそがアメリカ国防にとって最大の脅威であるという、国際軍事環境に対する現状認識が示され、具体的には「中国の軍事力、そしてやがてはロシアの軍事力、との熾烈な競合」があげられました。これを機に、米国の対中政策が宥和から警戒に転じたとする記事が増えてきています。
 米国の対中政策がついに決定的な変革を迎えた - 遊爺雑記帳

 対北朝鮮の核とミサイル開発阻止には中国の協力が欠かせないことから、トランプ流の揺さぶり外交で、接近したり、経済制裁をしたりで動いていますが、安全保障面での中国の覇権拡大に対する警戒論が高まっていることは、そのエスカレートに直面している日本やアジア諸国にとってはありがたいことです。

 このWSJの記事もその内のひとつですが、米国自身の利益と国防の為に、対中警戒論が高まっていることは、アメリカファーストのトランプ大統領が、日米同盟や「インド太平洋戦略」のお付き合いの為もさることながら、米国の為に動いていることと、力強く感じられます。

 しかし、日本は独立国です。米国に自国の安全保障をおんぶにだっこでお任せではなく、先ず、自国は自力で護る体制や法整備をする普通の国にならねばなりません。
 そのうえで、足らざるものを、憲法・前文の諸国民に依存ではなく、諸国との同盟や連携で補うのです。
 戦後最大の危機に面している今、与野党は一致して対応にあたらねばならないのですが、国会で議論がなされていない惨状です。
 なので、野党の支持率は下がっている。でも、野党にその自覚がない。
 NHK世論調査 各党の支持率 | NHKニュース

 米国でさえ中国の覇権拡大に向き合おうとしているのに、国内の政局に明け暮れる偏向オールドメディアとその下請けで国会活動をしている野党。
 迫っている覇権の抑止と、国民・国家を護ることへの注力が求められます。



 # 冒頭の画像は、大連で急遽二度目の会談をした金正恩と習近平




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