遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米朝首脳会談 合意署名無し

2019-03-02 00:11:39 | 北朝鮮 全般
 2回目の米朝首脳会談は、2日目のワーキングランチ、合意文書署名が中止され解散しました。
 もともと会談内容への期待は薄く大統領選挙に向け、ねじれ議会との対応やスキャンダル対応に追われるトランプ大統領が、支持獲得・挽回の為のパフォーマンスの会談と見られていました。
 金正恩も、そうしたトランプ大統領の国内事情を見透かし、列車移動でメディアの注目を集めながら、強気の姿勢で会談に臨みました。
 
 ディール上手が自慢のトランプ大統領が、その劣勢をどう切り返すかに注目していましたが、なんと、最後のワーキングランチと、合意文書署名を中止。
 仰天の一手を見せてくれました。
 
 合意文書署名中止について主要 5紙中、日経、読売、産経が中止したトランプ大統領を支持。朝日でさえ会談に臨む姿勢を非難しながらも、「トランプ氏が過剰な譲歩を控えたのは正しい」と。毎日は、トップダウン形式の会談は限界と指摘しつつ、北朝鮮は制裁全面解除という強気の要求を突きつけ、裏目に出た格好だ。トランプ氏が非核化に向けて妥協しなかった点は評価したいと。
 温度差はあるものの、全てがトランプ大統領の署名回避を支持という珍しい評価。

 
[社説]非核化に結びつかぬ合意はなくてよい :日本経済新聞 2019/2/28

北朝鮮が核・ミサイル開発を続ける限り、朝鮮半島に平和と安定が訪れることはない。トランプ米大統領が金正恩委員長との2度目の首脳会談で、明確な非核化なしに制裁を解除することはないとの姿勢を示したことは、適切な判断だった。日本を含む関係国は足並みをそろえ、非核化を粘り強く働きかけるべきだ。

「金委員長は制裁の完全な解除を求めてきた」。トランプ氏は会談後の記者会見で、北朝鮮が経済回復に主眼を置いていたと明らかにした。米政府も今後の米朝交渉の拠点となる連絡事務所を平壌に設けるなどの友好カードを用意していたようだが、北朝鮮は非核化へのロードマップを明確にせず、合意に至らなかった

支持率が低迷するトランプ氏が、形だけの非核化といったまやかしに飛びつかなかったことは、ひと安心である。

金委員長は1月に中国の習近平国家主席と会談した際、「非核化を堅持し、国際社会に歓迎される成果を得られるよう努力する」と強調した。だが、本当に優先しているのは自らの体制の安全のようだ。今回の会談からは、非核化の実現への真剣な取り組みは残念ながらうかがえなかった。

完全な非核化に導くには、核物質・施設とミサイル基地の全容の把握が欠かせない。北朝鮮は「攻撃リストになりかねない」とリストの申告を拒否している。核開発の全体像を隠したまま、非核化の道筋を描くのは不可能だ。

金委員長の制裁解除の要求から読み取れるのは、北朝鮮に譲歩を促すには、国連決議に基づく経済制裁を的確に実行することが効果的ということだ
昨年の米朝首脳会談での雪解けムードをきっかけに、
制裁をなし崩し的に緩和しようとの動きが散見される。北朝鮮の周辺海域では「瀬取り」と呼ばれる不法な洋上取引も起きている。
関係国が連携し、改めて制裁のタガを締め直すことが不可欠だ。南北融和への傾斜を強める韓国の文在寅政権への働きかけがとりわけ重要となる。

日本人拉致問題の解決を心待ちにしている家族には、合意見送りは心痛だったことだろう。だが、安易な米朝和解が拉致解決に結びつく保証はない。国際社会に拉致の残酷さを繰り返し説き、北朝鮮がこの問題に向き合わざるを得なくなるようにさせねばならない。


 
米朝合意見送り 最大限圧力の原点に戻れ トランプ氏の退席は妥当だ (3/1 産経 主張)

 北朝鮮が示した非核化措置は極めて不十分だったということだ。米国が制裁の完全解除要求をのまなかったのは当然である。

 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談は、物別れに終わった。
 昨年6月の米朝首脳の初会談から8カ月半が経過したが、非核化の進展はみられない。今回も事態の打開はならなかった。

 
浮き彫りになったのは、微笑を前面に「非核化する」と言いながら、実際には核・弾道ミサイル戦力の保有にこだわり続ける北朝鮮の頑(かたく)なな姿勢である。

≪寧辺解体では不十分だ≫
 
トランプ氏は会談後の記者会見で「早くやるよりも正しいことをやる」と語った。十分な合意ができないと判断して席を立ったのは妥当だ。共同声明の発表や成果の誇示を優先するあまり、北朝鮮に譲歩する事態は避けられた。

 北朝鮮は、いまだ日本などを射程に収める弾道ミサイルを多数配備し、核・ミサイルの増産を続けている。トランプ氏は、金委員長がミサイル発射や核実験をしないと改めて約束したと語ったが、
北朝鮮の脅威は減らないどころか、時の経過につれて高まっているのである。
 
北朝鮮をめぐる核・ミサイル、拉致問題の重大さを強く認識し、脅威と向き合わねばならない

 
金委員長による提案は、寧辺の核施設の解体などにとどまったようだ。これではトランプ氏も不十分とみなさざるを得ない。

 「完全な非核化」は北朝鮮による全ての核物質、核兵器、関連施設の申告から始まる。申告のない「疑惑」施設も含め、米国や国際機関の専門家が自由に査察を行い、すべてを国外へ搬出、無力化することが欠かせない。

 トランプ氏が会見で語ったように米朝間の溝の存在は明白だ。
 
金委員長は、対北制裁の完全解除を要求した。核・ミサイルの放棄を求め、国際社会が国連安全保障理事会などで積み上げてきたものだ。容易に応じられない。

 
今回の首脳会談に対する大きな不安の一つは、最小限の措置を小出しにして、米国から最大限の譲歩を引き出そうとする、北朝鮮得意の「サラミ戦術」にトランプ氏が取り込まれることだった。そこに至らなかったのは幸いだ。

 
忘れてはならないのは、国連などの経済制裁と強力な米軍の存在という、経済、軍事両面の圧力が、核・ミサイルの挑発を繰り返していた金委員長を交渉の場へ引き出した点である。
 トランプ氏は北朝鮮との交渉を継続する考えを示した。北朝鮮に核・ミサイルを全面的に放棄させ、日本人拉致被害者を全員、解放させなければならない。

 
トランプ政権や国際社会は、頑なな態度を崩さない北朝鮮に対する「最大限の圧力」の原点に立ち返る必要がある

≪北は非核化措置を示せ≫
 
ところがトランプ氏は、会見で制裁強化の意向を問われ、「制裁強化を今、話したいとは思わない」と語った。北朝鮮に対する圧力になり得る米韓軍事演習についても、全面否定はしなかったものの、費用がかかると述べ立てた。これでは、金委員長に対する誤ったシグナルになってしまう。
 2日間の首脳会談を通じ、トランプ氏は
「金委員長はすばらしいことをしようと思っている」などと、しきりに持ち上げた。北朝鮮が核実験とミサイル発射を中止したことに感謝の意を伝えた。物別れに終わった会談後の会見でも、金委員長を信頼していると繰り返し表明した。
 北朝鮮の核・ミサイルは、国際社会の平和と安全への重大な脅威である。
放棄の要求は、安保理決議に込められた国際社会の総意であり、謝辞は適切ではない

 トランプ氏は、北朝鮮には経済成長できる潜在力があるとし、日本を含む周辺各国が北朝鮮に協力すると語った。だが、拉致問題が未解決のまま、日本が北朝鮮への経済支援を行うことは絶対にあり得ない。安倍晋三首相は、この日本の立場を繰り返しトランプ氏に伝え、拉致問題解決に取り組むべきである。

 
北朝鮮の時間稼ぎが続けば、トランプ政権の対応が軍事的圧力へと傾斜する可能性もある。金委員長のとるべき道は一つしかない。世界が納得できる非核化措置を示し、速やかに実行することだ。それなしに北朝鮮の未来はない。


 
米朝首脳会談 完全な非核化へ仕切り直しを 緊張を高めぬ外交努力が大切だ (3/1 読売 社説)

 北朝鮮が完全な非核化に踏み込まないまま、制裁解除を求める戦術をとっていることが浮き彫りになったと言えよう。
 非核化の進め方を巡る米朝両国の深い溝は、トップ同士の会談でも埋められなかった。
米国が拙速な合意を避け、協議継続を決めたのは当然である。交渉戦略を練り上げ、仕切り直しを図らねばならない。

北の要求は容認できぬ
 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、ベトナムのハノイで2回目の首脳会談を行った。合意には至らず、両首脳は予定していた昼食会や共同声明の署名式を中止した。
 
トランプ氏は会談後の記者会見で、金委員長との関係は非常に良いが、「署名するのは良いことではないと考えた」と述べた
 
北朝鮮は寧辺など一部の核施設を廃棄する見返りに、制裁の全面解除を求めた米国が求める核施設の包括的な廃棄には応じなかった。それが署名見送りの理由だ、とトランプ氏は説明した。
 
金委員長は記者団の前で「非核化の意思がなければ、ここには来なかった」と語っていた。
その真意を疑わざるを得ない。

 昨年6月の初の首脳会談は、「朝鮮半島の完全な非核化」という抽象的な合意に終わっている。「完全な非核化」の定義を明確にせず、先送りにしてきた弊害が、露呈したのではないか。
 寧辺には黒鉛減速炉や軽水炉、再処理施設が集積し、プルトニウムや高濃縮ウランを生産する能力を持つ。廃棄する意義は大きいが、
核施設は寧辺以外にもある。製造済みの核爆弾や弾道ミサイルも、廃棄対象に含めねばならない。
 国連安全保障理事会の制裁決議は、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発の完全な放棄を要求している。
部分的な非核化と引き換えに、制裁の全面解除を求める金委員長の主張は到底容認できない
 完全な非核化の実現には、北朝鮮の核・ミサイル施設の全容を把握したうえで、廃棄に向けた工程表を作る必要がある。
制裁緩和などの見返りは、廃棄が実際に進んだ段階で与えるべきだろう
 米朝は実務者協議で、廃棄と見返りの手順や期限について、詳細を詰めることが求められる。

実務者協議に立ち返れ
 トランプ氏は昨年の首脳会談を「成功」と誇示し、その後の実務者協議が膠着状態に陥っても、楽観的な見方に終始していた。北朝鮮の出方を見極めず、今回の会談に踏み切ったのは、時期尚早だったのではないか。
 北朝鮮が非核化を決断すれば、目覚ましい発展を遂げ、経済大国になる、とトランプ氏はさかんにアピールしている。だが、北朝鮮が独裁・閉鎖体制を維持したまま、大規模な投資を呼び込み、貿易を拡大するのは困難だろう。
 米国内では、野党・民主党が下院の過半数を握る「ねじれ議会」で、トランプ氏の政策遂行は困難になっている。政権のロシア疑惑を巡る捜査も進む。
 トランプ氏は、内政の苦境から支持者の目をそらすため、外交に活路を見いだし、成果を急ぐことがあってはならない。
 
政権内に北朝鮮との非核化交渉の経験を持つ高官や專門家が乏しいのは、懸念材料だ。直感や即興に頼るトップ外交は極めて危ういことを、トランプ氏は認識すべきである。
 
金委員長はトランプ氏に、核実験や弾道ミサイル発射を行わない方針を改めて表明した。約束を順守し、完全な非核化の決断に踏み切ることが肝要である。
 注意すべきは、
北朝鮮が制裁解除など、会談でもくろんでいた利益を得られなかったことを受け、態度を硬化させる事態だ
 米朝の首脳には、挑発的な発言を抑え、引き続き緊張の緩和に努めることが求められる。

日米連携を強化したい
 トランプ氏は安倍首相と電話で会談し、米朝首脳会談の結果を報告した。
首相は記者団に、トランプ氏が安易な譲歩をせず、北朝鮮の具体的な行動を促しているとして、「その決断を日本は全面的に支持する」と述べた
 日本人拉致問題については、トランプ氏が日本の立場を北朝鮮に伝え、真剣に議論されたことを踏まえ、「次は私自身が金委員長と向き合わなければいけない」との決意を強調した。
 
拉致問題は最終的には、日本の責任において、直接交渉を通じて解決すべきだ。日本は、核・ミサイルと拉致問題の包括的解決に向けて、米国との連携を深めていかなければならない。


 (社説)米朝首脳会談 実質交渉を仕切り直せ:朝日新聞デジタル
 社説:不首尾の米朝首脳会談 非核化で見えた深い「溝」 - 毎日新聞

 各紙がトランプ大統領が署名拒否したことを評価するのは、米側が理由に挙げた、寧辺など一部の核施設を廃棄する見返りに、制裁の全面解除を求めたからとの指摘に基づくもの。
 寧辺以外の施設などについて指摘された北朝鮮側は、米国の詳細な指摘に驚いていたとの報道もありますね。

 「非核化に結びつかぬ合意はなくてよい」と見出しにトランプ支持を明確にうちだしたのが日経。
 支持率が低迷するトランプ氏が、形だけの非核化といったまやかしに飛びつかなかったことは、ひと安心だと。
 また、金委員長は1月に中国の習近平国家主席と会談した際、「非核化を堅持し、国際社会に歓迎される成果を得られるよう努力する」と強調した。だが、本当に優先しているのは自らの体制の安全のようだと金正恩を非難。
 会談の前の記者の非核化への質問に対し、金正恩が「非核化を進める意思があるから来た」との回答に、トランプ氏が「いままでで最高のコメント」と追言した印象的シーンが想い起こされます。
 
 日経は、金委員長の制裁解除の要求から読み取れるのは、北朝鮮に譲歩を促すには、国連決議に基づく経済制裁を的確に実行することが効果的ということだと、経済制裁が効果を挙げていて、北朝鮮が制裁解除を急いでいるとの見立て。
 関係国が連携し、改めて制裁のタガを締め直すことが不可欠だ。南北融和への傾斜を強める韓国の文在寅政権への働きかけがとりわけ重要となると。

 産経も「トランプ氏の退席は妥当だ」とズバリ。
 北朝鮮が示した非核化措置は極めて不十分で、米国が制裁の完全解除要求をのまなかったのは当然だと。
 浮き彫りになったのは、微笑を前面に「非核化する」と言いながら、実際には核・弾道ミサイル戦力の保有にこだわり続ける北朝鮮の頑なな姿勢だとも。
 トランプ氏は「早くやるよりも正しいことをやる」と語ったことを取り上げていますが、これは会談後の記者会見だけではなく、早くから時間は急がない、正確な効果が優先と発言し、北側が大統領選や国内のスキャンダルで、会談の成果を急いで求めているとのトランプ氏側の足元を見透かしたつもりの攻勢の裏をかいたトランプ氏の反撃戦術の今回のポイントですね。
 北側の戦術が破綻した鍵でもありました。

 今回の首脳会談に対する大きな不安の一つは、北朝鮮得意の「サラミ戦術」にトランプ氏が取り込まれることだった。そこに至らなかったのは幸いだと。
 余談ですが、宮家氏は、北はサラミを厚切りし過ぎたと。。

 忘れてはならないのは、国連などの経済制裁と強力な米軍の存在という、経済、軍事両面の圧力が、核・ミサイルの挑発を繰り返していた金委員長を交渉の場へ引き出した点だと産経。
 トランプ政権や国際社会は、頑なな態度を崩さない北朝鮮に対する「最大限の圧力」の原点に立ち返る必要があるとも。

 北朝鮮が完全な非核化に踏み込まないまま、制裁解除を求める戦術をとっていることが浮き彫りになったと指摘するのは読売。
 米国が拙速な合意を避け、協議継続を決めたのは当然であると。
 更に、金委員長は記者団の前で「非核化の意思がなければ、ここには来なかった」と語っていた。その真意を疑わざるを得ないとも。
 部分的な非核化と引き換えに、制裁の全面解除を求める金委員長の主張は到底容認できない。制裁緩和などの見返りは、廃棄が実際に進んだ段階で与えるべきだろうと。

 実務者協議が煮詰まってトップ会談というのがセオリーですが、米朝会談は実務者協議が進まないままトップ会談で、その後に実務者会談というスタイル。両トップのキャラの由縁ですが、読売が危惧するのは、政権内に北朝鮮との非核化交渉の経験を持つ高官や專門家が乏しいこと。
 北側は、長年携わっている手練手管に長けた実務者。
 これでは、実務者協議では米国が押されるのは当然。
 しかし、その実務者協議で攻勢を強めた状況を鵜呑みにした金正恩が、強気の交渉をしたところ、トランプ氏が合意文書署名拒否の結果。制裁解除を切望し急いでいるのに、成果ゼロ。大きな痛手を負いました。

 読売社説は、注意すべきは、北朝鮮が制裁解除など、会談でもくろんでいた利益を得られなかったことを受け、態度を硬化させる事態だと。

 各紙が前提にした、米側の北が制裁の全面解除要求とのコメント。北は遅れて、全面解除要求はしていないと反論。
 北朝鮮外相「制裁全面解除は求めず」 トランプ氏に反論:一面:中日新聞(CHUNICHI Web)

 テレ朝、TBSの偏向オールドメディアのワイドショー番組では、この北側の言い訳に沿った米国批判の大合唱。
 フジテレビに出演された、李相哲龍谷大学教授は、全てを求めてはいないが、内容は全てを求めたと同様のものと解説しておられました。

 トランプ氏側は、今後の会談継続を配慮した発言をしていますが、痛手を負った金正恩側はどう対応してくるのか。
 帰路習近平に泣きついて、作戦会議をするのでしょうか。



 # 冒頭の画像は、急遽ボルトン補佐官も出席した二日目の会談 (ボルトン氏の前の北側は空席)
  米朝会談決裂の下手人は「壊し屋」ボルトンか | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト




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