アユンギン礁の実効支配をするための比兵士への補給船の行動を、中国の監視船が妨害しているのだそうです。座礁船を使って駐留し実効支配を維持する比も頑張っていると感心します。しかし、更にその上を行く、中国監視船の危うい挑発行為は、まさにアジアの平和の現状を破壊するものです。
各国がこぞって、中国への抑止力を高める必要がありますが、米国も力を強めようとしている様ですが...。
これは決して対岸の火事ではなく、次は尖閣諸島で発生するものと、日本も準備を急がねば枕を高くして眠れませんね。
南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島の領有権を巡って、中国がフィリピンとの対立を一層先鋭化させている。米国は、力による現状変更の動きとして懸念を表明するが、中国はむしろ反発を強める一方だ。行方不明となったマレーシア航空機の捜索を機に、インド洋で海軍力の誇示を図るなど、アジア太平洋地域で関係国の摩擦が強まっている。
中国が補給船妨害 米も警戒感
【バンコク=石崎伸生】スプラトリー諸島のアユンギン礁(中国名・仁愛礁)では、フィリピン補給船の活動を中国船が繰り返し妨害し、両国の緊張が高まっている。
ロイター通信によると、フィリピンのデルロサリオ外相は4日、「フィリピンは、南シナ海で海軍力の増強を図ったり、航行の自由に挑戦しようとはしていない」と述べた。同礁をめぐる中国の挑発的な動きを念頭に置いた発言だ。
フィリピンは1999年以来、アユンギン礁の領有権を主張する中国に対抗するため、座礁船を使って同礁を実効支配しており、駐留する兵士のために定期的に補給船を派遣してきた。
これに対し、中国の監視船2隻が3月9日、比補給船2隻を追い回すなどして妨害していたことが判明。中国船による補給船の妨害は初めての事態で、比外務省は中国に抗議し、妨害中止を求めた。だが、比有力紙「スター」などによると、同礁周辺での中国船による比船への妨害は3月29日にも起き、比外務省は「中国が我々の安全を脅かす行動を終わらせるよう求める」と批判を強めている。
一方、中国メディアによると、フィリピンが同日、兵士や記者が乗った漁船を同礁に送ったところ、中国の通信会社から「中国へようこそ」というショートメールが届いたという。周辺地域への通信施設設置など、中国の見えない浸透ぶりをうかがわせるものだ。
比政府は昨年1月、南シナ海の領有権問題について、中国を相手取り国際司法機関の仲裁裁判所に提訴。今年3月30日には陳述書を提出し、中国の主張の違法性を明らかにする方針を示している。
こうした中、ラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は3日、上院外交委員会の公聴会で、中国がアユンギン礁に「特に焦点を当てている」と警戒感を示した。その上で、「米国は同盟国の防衛義務を堅実に果たす」と強調し、中国に自制を促した。
中国外務省報道官はこれまで、「フィリピンこそが挑発者で、トラブルメーカーだ。米国には無責任な発言をやめるよう求める」(1日の定例記者会見)としており、改めて反発するのは確実だ。
米ASEAN 国防相会議 対中」合意ならず
【ホノルル(米ハワイ州)=今井隆】米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の国防相会議は3日、2日間の討議を終え、閉会した。人道支援や災害救助での協力を示し、米国のアジア太平洋重視政策をアピールする場になったが、中国による南シナ海への軍事的進出に対処する合意は取りまとめなかった。ASEAN内には中国への姿勢で温度差があり、意見集約の難しさが改めて浮かび上がった。
へーゲル米国防長官は3日の記者会見で、「アジア太平洋地域に軸足を移すリバランス(再均衡)政策が、米国の安全保障戦略で決定的に重要であることを示した」と語り、米ASEAN国防相会議を米国で初開催した意義を強調した。ただ、共同声明などの文書はなく、合意内容があったかどうかにも触れなかった。
米国の本音は、南シナ海への進出を強める中国に対し、ASEANと連携して「航行の自由」を守ることにあるが、肝心のASEAN内部の足並みが乱れている。フィリピンが中国との領有権争いを先鋭化させる一方、カンボジアやラオスは中国の援助に依存。ASEANの盟主とされるインドネシアや、領有権問題を抱えるベトナムでさえ、中国にじわりと近づいている。合意形成は容易ではない。
南シナ海への中国の覇権拡大に、一国で対抗することは難しく、ASEAN各国が一丸となって対抗しようと旗を振ってきたのがベトナム。米国も呼び込んで対抗を始めたことが、米国のアジア回帰のきっかけとなったことは諸兄がご承知の通りです。
一方の中国は、各国との個別交渉を唱え、札束外交で各国を一本釣りして従えさせて、分断作戦を展開しています。
直接領有問題に関係しない国もありますから、各国の国益環境が異なり、話は歩調が乱れます。
最近では、ASEAN外相会議が紛糾し、カンボジアが議長国の時には、共同声明が出せない事態を招いていました。今回、米国が音頭をとって、ハワイで国防省会議をしたのですね。
世界の警察を放棄した米国ですが、仲介は積極的に行っている様子です。
しかし、リーダーシップの低下が顕著な今日では、これまでの様に、素直に応じない様子です。
札束外交に屈する国が多いのは、経済が低迷する国が多く、中国の札束に負けてしまうのですね。
勿論、根本には、中国にしろ、米国にしろ、日本にしろ、一国が支配することには抵抗があり、日米への対中対抗軸として、中国の暴走を抑止する力を求めているのはもう一方の事実でもあります。
ですから、日米が安全保障の押し売りをしても、簡単に追随する国は少ないのです。
余談ですが、NHK大河ドラマの、毛利と織田との狭間で揺れる播州の国々の様なものと感じるとは、強引な比喩でしょうか。
だとすれば、官兵衛のような軍師が必要となります。本来なら、東アジアの一方の旗頭である日本がその役割を果たして東アジアの平和を果たさねばならないのですが。
中国一国による侵略・支配には多くの国が反感をもっています。日本が、期待に応えて侵略の拡大を謀ることが出来るか。日本流の支援を掲げて対抗する安倍外交に期待します。
# 冒頭の画像は、米・ASEAN 防衛省会議のメンバー
この花の名前は、チトニア フィエスタ デル ソル
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