遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

高まる台湾有事の危機 戦争を避ける方法とは

2021-05-04 01:23:56 | 台湾 全般
 香港の「一国二制度」が、習近平による「香港国家安全維持法」の強行施行によって崩され、次のターゲットとして、台湾有事の危機が高まっています。
 米軍インド太平洋軍司令官のフィル・デービッドソン海軍大将は、早ければ2027年にも台湾を侵攻するかもしれないとの懸念を表明。
 他にも、中国共産党誕生100周年の今年、北京五輪が終了する来年以降等の中国による軍事侵攻説も姦しい。
 日本と戦っていた国民党軍から、ソ連の支援で政権を横取りする毛沢東の共産党と、共産党化を阻止する米軍の支援を得る国民党との「国共内戦」で、国民党軍を台湾に追い詰めた中共は、台湾併合は国共内戦の完全勝利を遂げるもので、習近平にとっては、毛沢東の偉業を完成させるレジェンドとなる悲願だとは、諸兄がご承知の通りです。
 憲法を改訂し、定年制を廃した習近平にとって、地位確保のための功績としても台湾併合は是が非でも達成したい悲願でもあるのですね。

 高まる台湾海峡有事について、「The Economist」紙が、戦争を避ける方法を提言しています。
 
地球上で最も危険な場所と化した台湾 超大国の政治、台湾の未来をめぐる戦争を避ける方法とは | JBpress(Japan Business Press) 2021.5.3(月) The Economist

台湾の将来をめぐる戦争を避けるべく、米中はもっと努力しなければならない。

 一級品の知性の持ち主かどうかの分かれ目は、2つの対立する考えを頭の中に同時に抱きながら、それでもきちんと行動できるか否かにある──。

 作家のF・スコット・フィッツジェラルドはそう記した。

 高度な曖昧さをまさにそのように駆使することによって、中国本土の沿岸部から東方160キロの海に浮かぶ人口2400万人の島・台湾をめぐる米国と中国の平和は数十年間維持されてきた。

 
中国の政治指導者たちは、この世界に中国は一つしかない、それは自分たちが治めている国であり、台湾は反抗的な一地方だと主張している。

 
米国は「一つの中国」という考え方に理解を示しつつも、実際には2つの中国を維持できるように70年間努めてきた

中国の台湾侵攻への不安
 
しかし今、その戦略的な曖昧さが崩れ落ちつつある。米国は、中国が台湾を武力で手に入れることをもう抑止できないのではないかという恐怖心を抱きつつある。

 米軍
インド太平洋軍司令官のフィル・デービッドソン海軍大将は3月に開かれた連邦議会の公聴会で、中国が早ければ2027年にも台湾を侵攻するかもしれないとの懸念を表明した。

 
戦争が始まれば大惨事になる

 その理由は、台湾の人々の血が流されることや、核大国同士の対立がエスカレートしかねないことだけにとどまらない。

 
まず、経済的な理由がある。台湾は半導体産業の中心地だ。

 
台湾積体電路製造(TSMC)は半導体メーカーとしては世界最大の企業価値を誇り、最先端の半導体で84%のシェアを持つ
 
TSMCで生産が停止するようなことがあれば、世界中の電子産業がストップし、計算できないほど大きな損失が生じる。

 TSMCの技術とノウハウは恐らくライバル企業のそれより10年ほど進んでいる。米国や中国が同社に追いつくには何年もの歳月がかかるだろう。

 
それ以上に大きな理由は、台湾が中国と米国の対立の舞台であることだ

 米国は台湾の防衛を条約で義務付けられているわけではないが、もし
中国が侵攻すれば、米国は軍事力と外交・政治両面での決意を試されることになる。
 この地域を担当する
米軍第7艦隊が援護に駆けつけなければ、中国は一夜にしてアジアを支配する大国となる
 世界中の同盟国が、もう米国を頼れないことを思い知る。
そうなればパクス・アメリカーナ(米国による平和)は崩壊する

平和を維持してきた「矛盾」
 台湾海峡での紛争回避の方法を理解するには、
過去数十年間にわたって平和を維持してきた「矛盾」から話を始めなければならない。

 
中国政府は、自分たちには中国統一を実現する義務があると主張している。侵攻という最後の手段を使ってでも、だ。

 一方、かつては島が中国の一部(ただし、共産党政権でない中国の一部)であることを認めていた
台湾人は、独立を宣言するには至らないものの、中国からの分離を強調する政権を選ぶようになった

 そして
米国は、北京の中国政府を承認しつつも、台湾を中国の敵対的な行動から守ってきた

 このような互いに対立する考え方はすべて、フィッツジェラルドの見解を受け継いだ外交官たちがのんきに「現状」と呼ぶものに組み込まれている。

 実際には、これは激しく煮えたぎる疑心暗鬼の源泉だ。

 
最近になって変化したのは、中国が25年かけて強化してきた台湾海峡での軍事力の臨界点に対する米国側の認識だ

 中国海軍はここ5年間で主要な艦艇と潜水艦を計90隻進水させている。西太平洋で米国が有する艦艇の4~5倍に当たる数だ。
 また、中国は最新式の戦闘機を年間100機以上製造している。
 宇宙兵器も配備しており、台湾やその近海に浮かぶ米海軍の艦艇、さらには日本、韓国、グアムにある米軍基地を攻撃できる精密ミサイルも数多く保有している。

 
中国の台湾侵攻を想定した机上演習では、米国が負けるようになり始めている

 
米国のアナリストのなかには、中国が軍事力で優位に立てば遅かれ早かれ台湾を武力侵攻したくなると結論付ける向きもある
 それも
最後の手段として武力を使うのではなく、できるからやる、というのだ。

 中国は、米国は台湾危機が煮えたぎり続けることを望んでおり、中国の台頭を封じ込めるために戦争さえ望んでいるかもしれないと信じ込んでいる。

 
中国は、香港は北京とは異なる統治制度を持つという考え方を踏みにじった
 そのため、
台湾の人々に平和的な統一を受け入れるよう説得するために策定した同様な提案の価値を損なうこととなった。おまけに南シナ海では、草木もろくに生えない岩礁を軍事基地に作り変えている。

習近平国家主席の思惑
 中国が権威主義と国家主義の色彩を強めていることは明らかだが、上記の分析は悲観的すぎる。恐らくこれは、中国に対する敵意が米国の既定路線になりつつあるからだろう。

 習近平国家主席はまだ、すべての関係国に大量の犠牲者と経済的な痛みをもたらす可能性が高い戦争に備えるよう国民に求め始めることすらしていない。

 それどころか、今年で創立100年を迎える中国共産党は、繁栄と安定、アジア地域における中国の地位と世界における役割の増大を理由に、自らの権力の正統性を主張している。

 武力攻撃に踏み切れば、そうした主張がすべて揺らぐことになる。米国海軍が何と言おうと、攻撃には多大な不確実性が伴い、反抗的な台湾をいかに統治するかについては特に先が見えない。

 中国としては勝算がもっと大きくなるまで待つことができるのだから、そんなリスクを習氏が今この時期に冒す理由はないはずだ。

 だが、そんな話ではあまり安心できない。何しろ、習氏が今何を考えているのか、ましてや習氏やその後継者が将来何を望む可能性があるのか、本当に分かる人は米国には一人もいない。

 
中国はしびれを切らすようになる公算が大きい。習氏がリスクを取りたい気持ちになる恐れもある。台湾統合で自分の花道を飾りたいと思っている場合は、特にそうだ

 戦争は中国にとってもギャンブルの要素が強すぎるという状況を確保しようというのであれば、米国と台湾は先回りしなければならない。

 
台湾海峡での勢力を再度均衡させる作業には、年単位の時間がかかる

 
台湾としては、中国のミサイル攻撃に弱い高価で大規模な兵器システムへの資源投入を減らし始め、侵攻を阻止する戦術やテクノロジーにもっと資源を投じなければならない

 一方で
米国は、中国に台湾上陸作戦を抑止する兵器を投入する必要がある
 
日本や韓国といった同盟国にも備えてもらわねばならないしっかりした戦闘計画があることを中国側に伝える必要もあるだろう。

より賢い世代に委ねよ
 このバランスを取るのは非常に難しい作業になる。
戦争を抑止するにあたっては、報復があることを明確にするよう努めるのが普通だが、今回のメッセージはもっと複雑だ。

 米国は、台湾が正式な独立に向けて突き進むことを支持しないと再確認する一方で、台湾の地位を武力で変えようとする中国の試みを阻止しなければならないのだ。

 
超大国による軍拡競争が始まるリスクは高い

 
曖昧さを維持するのがどれほど難しいことか、正確に把握しておかねばならない。ワシントンと北京のタカ派はいつでも、この曖昧さを弱さとして描写できるだろう。

 しかし、一見有用な台湾への支持表明――例えば、米軍の戦艦の台湾への寄港など――は、米国が危険な方向に方針転換したと誤解される危険性をはらんでいる。

 
台湾については、ほとんどの対立をいったん休止すべきだ戦争でしか解決できない対立は先送りできることが多い

 そして、中国をかつて率いた
鄧小平が言ったように、より賢い世代に委ねることができる

 
政治家としての度量がこれほど試される場面は、地球上で最も危険なこの場所をおいてほかにない

 国共内戦で国民党軍が逃げ込んだ台湾は、内戦に勝利した中共が統治する中華人民共和国の反抗的な一地方だと主張し、「一つの中国」を主張するのが中国共産党。
 「一つの中国」という考え方に理解を示しつつも、実際には2つの中国を維持できるように70年間努めてきたのが米国。日本は、「一つの中国」を認めさせられながらも、台湾との交流も継続。

 しかし今、習近平の偉業造りで始まった、国際約束違反の「香港国家安全維持法」による「一国二制度」の破棄による香港併呑。
 そしてその流れでの、台湾併合と、尖閣(≒沖縄)侵略を着々と進めようとしているのですね。

 戦争が始まれば大惨事になると、The Economist。
 台湾積体電路製造(TSMC)の生産が止まれば、世界中の電子産業がストップし、計算できないほど大きな損失が生じると。
 そしてそれ以上に大きいのは、台湾が中国と米国の対立の舞台であることだと。

 英紙なので触れていませんが、日本にとっては他人事ではなく、台湾軍事攻撃とはセットになる尖閣諸島(=沖縄=日本侵攻)の直接の事態に遭遇する一大危機であることは、諸兄がご承知の通りです。

 中国が侵攻すれば、米国は軍事力と外交・政治両面での決意を試されることになる。
 この地域を担当する米軍第7艦隊が援護に駆けつけなければ、中国は一夜にしてアジアを支配する大国となる。そうなればパクス・アメリカーナ(米国による平和)は崩壊すると、The Economist。

 最近になって変化したのは、中国が25年かけて強化してきた台湾海峡での軍事力の臨界点に対する米国側の認識だ。
 中国の台湾侵攻を想定した机上演習では、米国が負けるようになり始めているとも。

 台湾海峡での勢力を再度均衡させる作業には、年単位の時間がかかると、The Economist。
 
 台湾は、侵攻を阻止する戦術やテクノロジーにもっと資源を投じなければならない。
 米国は、中国の台湾上陸作戦を抑止する兵器を投入する必要がある。

 日本は、今回の日米首脳会談の共同声明で、中国が軍事的圧力を強める台湾に関する文言を明記し、日本が「自らの防衛力を強化すると決意した」と書き込みました。
 日米、中国と対峙鮮明 共同声明「自らの防衛力を強化」: 日本経済新聞

 超大国による軍拡競争が始まるリスクは高い。
 台湾については、ほとんどの対立をいったん休止すべきだ。戦争でしか解決できない対立は先送りできることが多い。
 中国をかつて率いた鄧小平が言ったように、より賢い世代に委ねることができると、The Economist。
 
 遠い極東のことと関心は対中貿易に重点があった英仏独も、重い腰をあげ、空母や軍艦を極東海域への覇権を発表していることは衆知のこととなりました。

 台湾海峡有事は、世界が対応策を実施する注目事態となっていますね。
 日米首脳会談で約束した日本の防衛力強化。尖閣への侵略に直面している日本は当事者なのですから、具体策の早急な実現が求められます。



 # 冒頭の画像は、英空母クイーンエリザベス
  英、空母「クイーン・エリザベス」太平洋に派遣へ 中国反発、財務相訪中が中止に | NewSphere



 
 この花の名前は、ハルリンドウ


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