3年に1度開催される「太平洋・島サミット」が、速いもので、「第7回太平洋・島サミット(PALM7)」として,2015年5月22日及び23日に福島県いわき市で開催されます。
1997年10月に第1回会合が、日本及び南太平洋フォーラム(オーストラリア、クック諸島、ミクロネシア連邦、フィジー、キリバス、ナウル、ニュー・ジーランド、ニウエ、パラオ、パプア・ニューギニア、マーシャル諸島、サモア、ソロモン諸島、トンガ、トゥヴァル、ヴァヌアツ)の元首及び代表が東京に集まり開催されたのですが、「中国・太平洋島しょ国経済開発協力フォーラム(China‐Pacific Island Countries Economic Development and Cooperation Forum)」が2006年4月にフィジーの首都スバで第1回会合が開かれ、先行して主催していた日本に対抗して中国も地域に進出してきました。
もともと太平洋地域は中国と台湾が支持国の獲得競争で火花を散らせており、その競争を優位に進める事、島嶼国に属する広大なEEZの範囲にある資源獲得、第一列島線を越えて太平洋を米国と二分割して西太平洋を統治しようとするための中国艦隊の寄港地確保といったところが中国の狙いです。
【続】第6回太平洋・島サミット 海洋の安全保障を初討議 - 遊爺雑記帳
中国の札束攻勢で、フィジーは日本主催の「太平洋・島サミット」を2回連続で欠席していて、他の参加国も日中の間で揺れ動く様になってきていました。
中国が進出して効果を上げている例としていつも紹介させていただいているのは、中国が進めた、テレビ放送整備です。中国の放送を日々観ている島嶼国のひとびとは、洗脳され、中国が世界の先進国であると思い込み、中国にあこがれの気持ちを持つようになっているのだそうです。
5月に福島県いわき市で開かれる第7回太平洋・島サミット(PALM7)に向けて、先週12日に有識者会合の提言書が岸田文雄外相に提出された。
島サミットは1997年から3年ごとに太平洋島嶼(とうしょ)国・地域の首脳が集い、課題を話し合う会合だが、最近の知名度アップには隔世の感がある。第6回から広報親善大使を務める「フラガール」の活躍とともに、日本人が島の存在を日々意識せざるをえなくなったからだろう。
尖閣、南沙諸島はもちろん、住民投票の与那国島、中国船が殺到した小笠原諸島…と日本の安全保障問題の多くがいまや島がらみだ。そして島々と海洋に大きくせり出しているのが中国である。
提言書も太平洋島嶼国・地域への中国の影響力の拡大と、それが太平洋秩序を脅かしかねない懸念を指摘する。
例えば2006年、軍事クーデターが起きたフィジーは、豪州やニュージーランド(NZ)などの非難で太平洋諸島フォーラム(PIF)を資格停止された。これを奇貨としたのが中国で、首脳の相互訪問や軍事交流、留学生受け入れなどあらゆる分野で関係を深めていった。
一昨年、フィジーは豪州とNZを除外して太平洋諸島開発フォーラム(PIDF)を新たに設立した。PIFへの復帰は表明していない。同国はもともとPIF設立を提唱し、事務局を首都スバに置くほか国際機関の事務所もあり、地域協力の中心的役割を担ってきた。それでも中国という後ろ盾は大きいはずだ。
フィジーだけではない。太平洋島嶼国14カ国・地域で中国を承認する8カ国の関係も、程度の差はあれ、中国は資源獲得や海軍の活動拡大、島嶼国は援助受け入れと、そこには共通性がある。
一方で、影響力拡大に伴い対中関係再考の動きも出ている。4月に天皇、皇后両陛下が訪問されるパラオでは、押し寄せる中国人が北部では土地買い占め、南部では観光ラッシュで、政府はチャーター便の削減を検討中という。また「援助は歓迎、査証は別」と厳しい資格を設け、中国人の入国を事実上規制する国もある。一辺倒ばかりではないのである。
太平洋の安定と繁栄への関心が高まる中、太平洋回帰の米国、海外県を有するフランス、ロシア、韓国、台湾、中東諸国など、地域のプレーヤーは中国以外にも増加傾向にある。これら国々に先駆けて島サミットを構想し、7回を重ねる日本も過去の実績に安住はできない。
この間、地域の関心を集めてきたフィジー。島サミットに2回つづけて不参加のバイニマラマ首相は、今回出席の意向とされる。今後、同国が主導するPIDFと豪州やNZも加盟するPIFは共存してゆくのか、新しい地域主義が広がるのか、日本も地域情勢の推移に目が離せない。PIF中心できた対島嶼国外交は再構築のときを迎えているといえる。
資源を有しシーレーンに位置する親日国の多い島嶼国も、準同盟国に近い豪州やNZも日本には重要だ。効果的な島嶼国支援に、地理的に近い両国の協力は欠かせない。言えることは、対島嶼国外交にはきめ細かく丁寧なアプローチが必要で、利害は異にしても齟齬(そご)は避けなければいけないということだろう。
先の提言書は対島嶼国協力の重点分野として(1)防災・気候変動(2)人的交流・人材育成(3)海洋問題-などをあげている。サイクロンに直撃されたバヌアツの惨状は島嶼国が自然災害の脅威といかに背中合わせかを不幸にも証明したし、委任統治など歴史的紐帯(ちゅうたい)のあるミクロネシア地域でも若い知日派の育成は急務である。また日本の海洋政策に島嶼国から理解を得る重要性も勝るとも劣らない。
広大な排他的経済水域(EEZ)を抱え、海洋の管理や利用に苦慮する島嶼国にとって、国際公共財としての海を法とルールで守ることは島嶼国の安定や平和と密接不可分のはずだからである。(客員論説委員)
記事の注目点は、「影響力拡大に伴い対中関係再考の動きも出ている」というところです。「厳しい資格を設け、中国人の入国を事実上規制する国もある」とも。
中国からの札束に遠慮して、2回連続で欠席していたフィジーも、今年は出席するのだとか。
アフリカの国々への中国の支援が、反発を買う面があるのと同様に、利益は全て中国が吸い取り、支援を受けた国に利益は落ちない傾向が、ここでもあるのでしょうか。
前回の時にも触れましたが、中国以外の国もこの地域へ進出する国が増えているのだそうですね。(米国は、前回から日本主催のこの会へ参加)
日本流の、双方にメリットの出る連携関係が構築されることを期待します。
# 冒頭の画像は、会場となる福島県いわき市の「100日前イベント」のカウントダウンボード
この花の名前は、マルバフジバカマ
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