遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国がAPECで「大国」ぶりを誇示

2006-11-23 17:59:37 | 中国 全般
 APEC首脳会談終了後のベトナム民族衣装「アオザイ」を着た、各国首脳の記念写真では、ブッシュ大統領は後列に並び、胡錦濤主席が主催国ベトナムのチェット大統領と並んで前列中央に立っていました。
 各国首脳の二国間交渉も盛んに行われ、安倍首相の国際外交デビューとなりましたが、胡錦濤主席は、各国首脳との二国間会談のほとんどを自分が滞在するホテルで開催したのだそうです。
首脳外交 中国が存在感 会談は「自分のホテルで」 (11/19 日経朝刊)

 中国がAPECで「大国」ぶりを誇示している。胡錦濤国家主席は日米韓などの首脳との二国間会談のほとんどを自分が滞在するハノイのホテルで開催。次の会談予定の首脳が控え室で順番を待ち、ロビーが各国関係者でごったがえす場面もみられた。
 APECを通じアジアでの主導権維持に意欲を見せる米国に対し、中国の存在感をみせつけているようだ。

 胡主席はこれまでに日本、韓国、オーストラリア、チリ、ロシアの首脳と会談した。時間が足りずAPEC会場に場所を変更したロシア以外はすべて自分のホテルに招いての会談だった。「日程や場所の都合」と中国の外交関係者は説明するが、19日にはブッシュ大統領、カナダのハーパー首相もホテルに招く予定。
 外交関係者の間では「まるで朝貢外交だ」とのささやきも聞かれる。

 17日には参加国首脳で唯一、最高経営責任者(CEO)サミットで講演し、各国・地域の企業経営者を前に「アジア太平洋地域は大家族であり、中国はその一員」と演説、地域発展に貢献する方針を強調した。

 中国は米国が提唱したAPEC全域での自由貿易協定構想に慎重姿勢を示すが、表立って反対はしていない。「中国はアジアの盟主として自信を深めた」(日中外交筋)との指摘もある。

 中華思想で、覇権拡大をすすめる一端がかいま見られます。
 日米が北朝鮮の核問題について首脳宣言に盛り込むなどを主張しましたが、台湾が参加する会議に政治を持ち込むことに強い反発を示す中国は、議長の口頭での声明に格下げさせています。中華思想に染まっている韓国も、北への刺激を恐れ賛同しています。

 安倍首相も、一日で米国、中国、ロシア、韓国の首脳と個別会談をしたり、日本の首相としては初めて、欧米流で、約60社、130人超の民間企業トップを同行するなど、評価できる動きはありましたが、主導権は胡錦濤主席に軍配を上げざるを得ない結果でした。

 民主党の勝利で、ドーハ・ラウンドの合意への道のりがいっそう険しくなったレームダック化しているブッシュ政権の米国ですが、遅まきながらアジアへの注力を強めようとしていますし、オーストラリアと共に“民主連合”で日本も頑張っていって頂きたいものです。
 
APEC閉幕 日米豪、際立つ連携 価値観共有、対中で足並み (11/20 産経朝刊)

 ベトナムの首都ハノイで開催されていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)が19日、終了したが、一連の会議では高度経済成長を背景にアジア太平洋地域で台頭する中国に対し、日本と米国、オーストラリアの3カ国が連携してあたる場面が目立った。APECは、地域間の枠組みとしては日米豪3国がそろって参加する唯一のもの。来年の議長国は豪州だけに、APECにおける“民主連合”が連携する動きがさらに加速しそうだ。

<中略>

 従来、日米豪3カ国は世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)をめぐる立場が異なり、ドーハ・ラウンドの再開を最優先課題に掲げるAPEC内では微妙な関係にある。ただ、今回のAPECでは「3カ国が連携して取り組む場面がかなり増えた」(APEC関係者)という。

 まず、知的財産権保護をめぐって、海賊版や模倣品の製造・流通段階での排除を目指したガイドラインが策定されたが、海賊版・模倣品対策は中国などで問題となっている分野で、「ここ数年、日本と米国がイニシアチブを取って中国に対処してきた」(同)。中国が反対していた、政府機関によるソフトウエアの不正使用禁止についても合意にこぎ着けた。

 北朝鮮問題で外相レベルの日米豪戦略対話を開催するなど、北朝鮮に関する声明の取り扱いをめぐって足並みをそろえたのはもちろん、APECの機能強化でも3カ国の共同歩調が目立った。

 これらの問題で日米豪と異なる立場に立っていたのが中国だ。中国は近年、高度経済成長を背景に域内で存在感を強めており、ASEANプラス3や東アジア首脳会議で日本と利害対立する局面が増えている。日本としては「民主主義という同じ価値観を共有する」(安倍晋三首相)米国や豪州とともに参加するAPECの枠組みを活用する意義は小さくない。

 次回開催は、オーストラリアとのことで、APECの強化の為に、日本が提唱した総務責任者の専任化や、中国が反対する専任事務総長の設置などが繰り越し課題とされています。
 域内の貿易、投資の自由化を目的に発足したAPECは、世界の人口の44.8%を占め、GDP(国内総生産)では57%、貿易額では45.8%を占めているのだそうですが、WTO、二国間FTA、今回のFTAAPなど複雑化してきています。
 日米豪が連係し、中国への朝貢外交の場とするのではなく、域内の各国・地域の発展に繋がる場とする、当初の目的に向かう様リードしていかねばなりませんね。


  

↓ よろしかったら、お願いします。


EEZ国家の品格日本の国境日本は国境を守れるか

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中国が、「靖国」など歴史カ... | トップ | ガイダル元第一副首相が、入... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
APECの性格は曖昧になった感がありますね! (tsubamerailstar)
2006-11-25 23:57:38
台湾で見たCNNでの印象ですが、ブッシュ大統領も自由と民主主義を突きつける講演を行った昨秋ほどの勢いはなく「要求型から協調型」へといった感じでしたね。
もっとも今のなぁなぁな共和党政権よりは民主党政権の方が対中面では主に通商面から強硬なので中国にとってみればやっかいかもしれません。
しかしながら北朝鮮の核問題等での米中、日中協調が求められる中での日本のポジションは微妙だなと改めて思いました。私自身前から思っていたんですが、これに関しては抜本的な(=日本が望むような)解決は難しいのではないかと・・・・金正日体制を一段レベルダウンしたリビア型解決を米中が模索しているのかどうかは?ですが、ご指摘されているように「大国同士の思惑」に埋没しないような「いやらしい」動きを日本が示さないといけない局面にあると自身も痛感します。
Re: APECの性格 (遊爺)
2006-12-03 17:48:51
tsubamerailstarさん、こんにちは。

 経済交流を先行し盛り上げることで、国家間の繋がりを深めていこうとし、経済交流の発展には、自由貿易の拡大としてきていました。
 しかし、自由貿易も二国間の、FTAや今回のFTAAPなど複雑化してきています。また、経熱政令の国があるように、経済交流が拡大したからと言って、二国間の繋がりが緊密になるとは限らない傾向も見えてきています。
 
 思想・信条、文化の違いすぎる国がありますから、経済交流に絞った域内の国や地域の相互発展を目指すのが良いと考えます。(きれい事ですが...。)
 複雑かつ多様化する自由貿易ですが、気が付いたら日本だけ蚊帳の外とならないよう、二国間FTAも進めるのは勿論、あらゆる形での実績造りとその積み上げ・拡大の実行が、口先だけになりがちな我が国に求められます。

 共和党は、クリントンの頭越し外交が記憶から離れません。保護主義(自国優先)で、中国にも日本にも、米国の利益のための要求事項が突きつけられます。
 そのとき、中国は世界を政治的覇権・経済共に代表するの重要な国として対応されますが、日本にはこれまでのような同盟の関係や配慮は薄れてくると想像しています。

 また、上院までも逆転し、死に体政権の米国が滞留している間に、中ソがやりたい放題に覇権を拡大させることが出来る状況も怖いです。

 日豪の絆の強化を願っています。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中国 全般」カテゴリの最新記事