遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

揺れるASEANの中国脅威論

2011-02-25 00:01:28 | EEZ 全般
 ベトナムは去年、ASEANの議長国であったことと、中国と隣接し脅威も大きいことから、中国とのEEZや領海交渉を、二国間交渉ではなく、ASEAN + 米国で行う方向でとりまとめ、米国の賛同も得るまでに発展させました。
 ところが、劉暁波氏の平和賞受賞式への駐ノルウェー大使などの出席は、中国の圧力に屈して、肝心のベトナムやフィリピン、インドネシアが欠席しました。
 今年は、インドネシアが議長国となっていますが、中国の覇権拡大へのASEAN + 米国の集団対応を進める方向は継続する方向は変わらない様です。
 
ASEAN、強まる中国脅威論 南シナ海めぐり混沌 (2/24 産経)

 
【シンガポール=青木伸行】東南アジア諸国連合(ASEAN)には、内政不干渉という基本原則から踏み出し、タイとカンボジアの国境未確定地域に監視団を派遣するという、新たな現象が生じている。これとは対照的に、スプラトリー諸島(中国名・南沙諸島)などの領有権を争う南シナ海は、旧態依然とした状況にある。むしろ、中国に対する脅威認識が強まり、緊張が高まっている。

 まず、現状をどのように認識しているのか。フィリピン大学アジア研究所のアイリーン・バビエラ教授は「情勢は後退し、不安定さが増している」とみる。中国の海軍力増強と、これに対抗する形でのオバマ米政権のアジア・太平洋地域への回帰により、両国の“覇権争い”が先鋭化しているというのが基本構図だ。

 ≪軍事演習の応酬≫
 具体的な現象の一つとして、バビエラ教授は軍事演習の応酬を挙げる。中国は昨年7月、南シナ海に主力艦を投入し大規模な軍事演習を実施した。米国は翌月、ベトナムとの合同軍事演習で対抗している。
 米国は、ベトナムをはじめASEAN諸国と政治、軍事分野での協力強化を進めている。
ASEANにしても、米国が“頼り”
だ。シンガポール大学のロバート・ベッカム教授は「米海軍は、(中国の)潜水艦などの動きを監視する能力があり、その情報を共有することへの期待もASEAN側にはある」と指摘する。
 ただ、ASEAN側には、情勢の安定化のために「中国と米国、ASEAN諸国との関係改善が成されなければならない」(シンガポールのASEAN研究所長、ロドルフォ・セベリーノ氏)という声が強いのもまた、事実である。
 
中国に対する脅威論と批判は、枚挙にいとまがない。南洋工科大学(シンガポール)のリ・ミンジャン助教授は、中国の姿勢を、キーワードを列挙し表現する。「強引な主張」「計算された控えめさ」「増長」「ナショナリズムの台頭」「戦略的な対立の回避」などだ。中国は今後、ASEAN各国にいっそう圧力をかけ、その主張を曲げることはない
、とみる。

 ≪外部干渉に反対≫
 中国社会科学院国際法研究所の王翰霊教授は、中国政府の主張を代弁する。「南シナ海は違法に外国に占拠され、資源が搾取されている」と指摘。「協議は2国間によるべきで、(米国など)外部の干渉には反対する。最善の解決方法は、中国の領有権と主権を認め、資源を共有することだ」と言う。
 これに対し、バビエラ教授は「中国が他からの干渉を排除し軍事行動も辞さないという点で、
南シナ海への対応は新疆ウイグル、チベット両自治区への対処と類似
している」と批判。ベッカム教授は国際法の観点から、中国が主張する(U字を描き南シナ海の大半をカバーする)領海線は、「国連海洋法条約に合致せず、違法だ」と断言する。

 ≪「共通項に目を」≫
 状況の改善へ向けた有識者諸氏の提案は(1)中国を対話のテーブルに戻す(2)紛争を防止し漁業資源を暫定的に共有する(3)武力行使などの自制、船舶の航行の安全を柱とする「南シナ海宣言、行動宣言」の履行(4)非武装地帯化-などだ。
 南東アジア研究所(インドネシア)のハシム・ジャラ氏は「関係当事国が個々の主張を強固に押し出し、論議は活性化していない。差異ではなく共通項に目を向け、早急な解決策がないからといって落胆してはならない」と話す。
 領有権問題を解決する名案と即効薬はない。同時に、中国の「膨張主義的な動き」をにらむと、「ASEAN側に時間はない」(バビエラ教授)のもまた、確かなようだ。

 ASEANも米国が頼りと、日本が信頼を失っているのは悲しいことですが、南シナ海で起きていることは、台湾海峡は別格として、東シナ海のEEZ付近のガス田開発、尖閣の領有権も同じ中国の海洋戦略に盛り込まれており、連動するものですね。同時に、エネルギー補給ルートでもあり、エネルギーの安全保障にも重要にかみあうものです。

 民主党が、インド洋での海自の活動を撤退し、札束での支援に変えていましたが、札束の用途がタリバンの資金源となる疑いがあるとの見方もあります。札束ではなく汗をかく国際協力ということで、インド洋の海自の支援の復活が、海賊対策強化とも連動させささやかれていました。
 インド洋へも覇権拡大を進める中国への牽制、エネルギー補給ルートの安全保障といった観点と、日本への国際信頼度向上のためにも、是非復活させるべきだと考えますが、すっかり陰を潜めているようです。
 財政難の折、札束ではなく、汗をかく国際貢献で、安全保障と信頼復活という一石二鳥にも三鳥にもなる海自のインド洋派遣復活を実施に移していただきたいものです。そうして、ASEAN各国やインドと連携を深め、中国の覇権拡大に歯止めをかけるべきでしょう。

 # 冒頭の写真は、日・インドネシア外相会談(2/18)





写真素材 PIXTA


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