
トランプ氏の「TPP離脱」宣言について、米国内、シンガポール、中国の主要紙の論評を、産経が報じています。
すべての論調が、中国にチャンス到来で、米国は「強いアメリカ」どころか、孤立するとの指摘です。「強いアメリカ」を標榜ししているトランプ、それを支持した米国民の期待が裏目に出ることを気づかないのは、トランプ氏とその支持者だけ?
トランプ誕生の原動力のひとつは、米有力紙が、泡沫候補とみられていたトランプを、部数増を狙いおもしろおかしく盛んに報道したこととされています。そして、支持率が増えてしまった後になってあわてて内容批判に転じたが後の祭り。むしろ、権力体制側による弾圧とさえ受け取られ逆効果を産み、一時劣勢となったトランプ支持を、終盤復活させることとなりました。ニューヨーク・タイムズ、ワシントンポスト、WSJが揃って嘆いていますが、それは自業自得。今回の大統領選での米国メディアの現状が大きく問われています。
反省と、今後の米国メディアの存在価値を懸けて、発売部数優先の商業主義ではなく、報道機関の役割を重視する基本に戻っていただけることを願います。
政府の意向を反映する中国各紙が、素直に喜んでいるのは、TPPをいかに脅威と感じていたかの証ですね。
新京報の「TPPがもし成功していれば、(中略)中国がグローバリゼーションに参画する権利を奪い、中国は永遠に国際貿易の競争システムにおいて「辺境の地位」に置かれただろう」と、日頃の虚勢をかなぐり捨てて、もろ手をあげて素直に歓喜している姿が、象徴的ですね。
トランプ氏を、当選後は、実業家として高く評価する意見があふれるようになりました。(会社を潰しがら大きくするのは、ひとつの手段としてありえますが、邪道の手腕。選挙戦でのポピュリズムの暴言での支持率獲得も、邪道の戦術。邪道に優れた手腕が、大国の政治リーダーとしても継続した能力を発揮し、米国民の支持を4年維持し続けられるか、注目されますが。。)
TPP参加国の一員の、アジアのシンガポールで、「ひとつの時代が終焉した」「TPP崩壊による地域の経済的かつ戦略的な空白は、「ゆくゆくは中国により埋められるだろう」」と報じられています。残念ながら、日本の名前が出てこない。。
トランプ氏が有能な実業家なら、当然判っているはずです。
TPP(多国間協定の経済圏)ではなく、二国間自由貿易でと補足していますが、中国がASEAN各国に南シナ海の覇権拡大問題で採っている手法と同じですね。その手法は、カンボジアなど隣接する途上国に、お金で従わせる古い手法として通用したものの、現状では限界が見えてきている手法(資金が必要でありお金の切れ目が縁の切れ目となる)。その中国の古い手法を真似ようと言うのなら、トランプ氏の実業家としての能力もお里が知れることになりますね。
# 冒頭の画像は、プロンプターを読みながら勝利演説をしたトランプ氏。選挙戦中との変化で評価をあげました。

セイヨウアブラナと蝶
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すべての論調が、中国にチャンス到来で、米国は「強いアメリカ」どころか、孤立するとの指摘です。「強いアメリカ」を標榜ししているトランプ、それを支持した米国民の期待が裏目に出ることを気づかないのは、トランプ氏とその支持者だけ?
次期米大統領のTPP離脱表明 (11/28 産経 【環球異見】)
トランプ次期米大統領が21日発表したビデオ声明で、来年1月の就任初日に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱を通告すると表明し、TPP発効が不透明となった。米メディアは、米国の撤退でアジア太平洋地域の経済秩序の主導権を狙う中国の台頭は免れないと警戒。シンがポール紙は、自由貿易の担い手だった米国主導の時代が終焉(しゅうえん)したと指摘。中国紙はTPP頓挫を「中国に好材料」と歓迎している。
□ニューヨーク・タイムズ紙(米国)
■撤退は中国を勢いづける
トランプ次期米大統領のTPP離脱表明を受け、ワシントン・ポスト紙(電子版)は22日、「米国の主な貿易相手国はすでに次の貿易協定を模索し始めている。中国やロシア、その他の国は、自国の経済に有利となる協定を交渉する好機ととらえている」と指摘。今後、中国がTPPに対抗する枠組みとして推し進めてきたアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉に各国が積極的になるだろうと分析した。
また、米有力シンクタンク「ピーターソン国際経済研究所」のフレッド・バーグステン所長は同紙に対し、米国を外して世界は自由貿易の道をたどる可能性があるとし、中露主導の多国間貿易協定の枠組みができれば「米国には不利なものになるだろう」と危機感を示した。
ニューヨーク・タイムズ紙は21日、「TPPの撤退は中国を勢いづける」と題する社説を掲載。トランプ氏について「中国を貿易と通貨の問題で非難することや、半世紀にわたる日韓との同盟関係を守る必要性に疑問を投げかけること以外、アジアに少しも興味を示していない」とし、「深刻な間違いだ」と批判。TPPへの参加は経済にとどまらず、アジア諸国と米国の強い結びつきを証明することになると指摘した。
また、ウォールストリート・ジャーナル紙(電子版)も21日に、在中国米商工会議所の会頭の寄稿文を掲載し、「米企業や米国製品がアジアの成長市場から締め出される危険が高まっている」と強調。加盟企業に意見調査を行った結果、9割近くが「アジア太平洋経済協力会議(APEC)加盟国や地域の貿易に高い水準の規範を設定することで、中国にも市場自由化や、外国企業の公平な取り扱いなどを促すことになる」と回答したと公表。TPPの戦略的な価値が無視されている現状を嘆いた。(ニューヨーク 上塚真由)
□ビジネス・タイムズ(シンガポール)
■米国主導の自由貿易に終焉
トランプ次期米大統領がTPPからの離脱を明確にしたことで、TPP参加国の各メディアには、米国への「失望」を表明する論調が多く見られた。この地域は新興国を中心に貿易や海外からの直接投資で、力強い経済成長を続けてきた。それだけに、米国を巻き込んでの次元の高い自由貿易圏創設への期待は高かったようだ。
シンガポールの英字経済紙、ビジネス・タイムズは23日付で「トランプのジレンマ」と題した社説を掲載し、TPP離脱表明は、「米国を再び偉大にする」としたトランプ氏の公約に「一致しない」と批判。競争相手である中国の台頭を許すだけだと、警鐘を鳴らした。
社説はまず米国がアジア太平洋地域で担ってきた自由貿易推進の役割を考えたとき、ペルーの首都リマで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議には「ひとつの時代が終焉したという明確なムードがあった」と指摘。1993年に米シアトルで開催のAPEC首脳会議と対比し、当時のクリントン米政権が、貿易障壁除去とアジアへの投資で、力強い経済成長を実現しようとしたことが地域経済の成長にもつながったと振り返った。
その上で、米国のエリート層はシアトルで掲げたグローバリズムを踏襲しようとしたが、多くの米国人はこれを拒否してトランプ氏を選出したと分析。米新政権が保護主義政策を打ち出すと判断するのは時期尚早ながら、TPP崩壊による地域の経済的かつ戦略的な空白は、「ゆくゆくは中国により埋められるだろう」と見通した。
オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(電子版)も23日付社説で、TPP頓挫で、中国が米国不参加の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を主導するとしているが、「中国はまだ市場経済ではない」と論じた。トランプ氏の対中国「貿易戦争」は、為替や市場開放の完全自由化に異を唱える中国を「強化するだけだ」とした。(シンガポール 吉村英輝)
□新京報(中国)
■中国の戦略的チャンス拡大
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は23日付の社説で、米国のTPP離脱は「貿易が排他主義的になり、地政学に転換することを防ぐために積極的な意義がある」と評価した。一方でトランプ氏が「米国の利益優先」を追求し、保護主義を万能薬だと考えるならば「世界の経済協力のルールは著しく損なわれ、米国とその貿易パートナーは共倒れする」と警告し、選挙期間中に中国製品に高関税をかけると主張したトランプ氏を牽制(けんせい)した。
さらに社説は「グローバリゼーションの時代、大国は高度に開放的であることが運命づけられている」と主張。利益を独り占めするような発想を大国が持てば「その活力は著しく衰退する」と指摘し、「米国経済を立て直すためには中国が最良のパートナーであることをトランプ氏は知るべきだ。中米両国のどちらが発展しても、相手は利益を受けることができる」とその相互依存関係を強調した。
中国の有力紙、新京報も25日付の紙面で「TPPの頓挫は中国の戦略的チャンスの時代を拡大する」と題する専門家の解説を紹介した。記事は米国がTPPを放棄したことは「間違いなく中国にとっての大きな好材料だ」と言及。その理由としてTPPの狙いはアジア太平洋地域で中国を排除した貿易体系を構築することであり、「中国が恩恵を受けている世界貿易機関(WTO)を飾り物にし、世界の貿易構造を一新することだった」と分析した。
記事はTPPがもし成功していれば、米と欧州連合(EU)による環大西洋貿易投資協定(TTIP)とともに中国がグローバリゼーションに参画する権利を奪い、中国は永遠に国際貿易の競争システムにおいて「辺境の地位」に置かれただろうと予測。中国が推進してきた東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の寛容性と開放性は発展途上国にとって有利であり、「中国はより重要な推進作用を発揮することが可能だ」と訴えた。(北京 西見由章)
トランプ次期米大統領が21日発表したビデオ声明で、来年1月の就任初日に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱を通告すると表明し、TPP発効が不透明となった。米メディアは、米国の撤退でアジア太平洋地域の経済秩序の主導権を狙う中国の台頭は免れないと警戒。シンがポール紙は、自由貿易の担い手だった米国主導の時代が終焉(しゅうえん)したと指摘。中国紙はTPP頓挫を「中国に好材料」と歓迎している。
□ニューヨーク・タイムズ紙(米国)
■撤退は中国を勢いづける
トランプ次期米大統領のTPP離脱表明を受け、ワシントン・ポスト紙(電子版)は22日、「米国の主な貿易相手国はすでに次の貿易協定を模索し始めている。中国やロシア、その他の国は、自国の経済に有利となる協定を交渉する好機ととらえている」と指摘。今後、中国がTPPに対抗する枠組みとして推し進めてきたアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉に各国が積極的になるだろうと分析した。
また、米有力シンクタンク「ピーターソン国際経済研究所」のフレッド・バーグステン所長は同紙に対し、米国を外して世界は自由貿易の道をたどる可能性があるとし、中露主導の多国間貿易協定の枠組みができれば「米国には不利なものになるだろう」と危機感を示した。
ニューヨーク・タイムズ紙は21日、「TPPの撤退は中国を勢いづける」と題する社説を掲載。トランプ氏について「中国を貿易と通貨の問題で非難することや、半世紀にわたる日韓との同盟関係を守る必要性に疑問を投げかけること以外、アジアに少しも興味を示していない」とし、「深刻な間違いだ」と批判。TPPへの参加は経済にとどまらず、アジア諸国と米国の強い結びつきを証明することになると指摘した。
また、ウォールストリート・ジャーナル紙(電子版)も21日に、在中国米商工会議所の会頭の寄稿文を掲載し、「米企業や米国製品がアジアの成長市場から締め出される危険が高まっている」と強調。加盟企業に意見調査を行った結果、9割近くが「アジア太平洋経済協力会議(APEC)加盟国や地域の貿易に高い水準の規範を設定することで、中国にも市場自由化や、外国企業の公平な取り扱いなどを促すことになる」と回答したと公表。TPPの戦略的な価値が無視されている現状を嘆いた。(ニューヨーク 上塚真由)
□ビジネス・タイムズ(シンガポール)
■米国主導の自由貿易に終焉
トランプ次期米大統領がTPPからの離脱を明確にしたことで、TPP参加国の各メディアには、米国への「失望」を表明する論調が多く見られた。この地域は新興国を中心に貿易や海外からの直接投資で、力強い経済成長を続けてきた。それだけに、米国を巻き込んでの次元の高い自由貿易圏創設への期待は高かったようだ。
シンガポールの英字経済紙、ビジネス・タイムズは23日付で「トランプのジレンマ」と題した社説を掲載し、TPP離脱表明は、「米国を再び偉大にする」としたトランプ氏の公約に「一致しない」と批判。競争相手である中国の台頭を許すだけだと、警鐘を鳴らした。
社説はまず米国がアジア太平洋地域で担ってきた自由貿易推進の役割を考えたとき、ペルーの首都リマで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議には「ひとつの時代が終焉したという明確なムードがあった」と指摘。1993年に米シアトルで開催のAPEC首脳会議と対比し、当時のクリントン米政権が、貿易障壁除去とアジアへの投資で、力強い経済成長を実現しようとしたことが地域経済の成長にもつながったと振り返った。
その上で、米国のエリート層はシアトルで掲げたグローバリズムを踏襲しようとしたが、多くの米国人はこれを拒否してトランプ氏を選出したと分析。米新政権が保護主義政策を打ち出すと判断するのは時期尚早ながら、TPP崩壊による地域の経済的かつ戦略的な空白は、「ゆくゆくは中国により埋められるだろう」と見通した。
オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(電子版)も23日付社説で、TPP頓挫で、中国が米国不参加の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を主導するとしているが、「中国はまだ市場経済ではない」と論じた。トランプ氏の対中国「貿易戦争」は、為替や市場開放の完全自由化に異を唱える中国を「強化するだけだ」とした。(シンガポール 吉村英輝)
□新京報(中国)
■中国の戦略的チャンス拡大
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は23日付の社説で、米国のTPP離脱は「貿易が排他主義的になり、地政学に転換することを防ぐために積極的な意義がある」と評価した。一方でトランプ氏が「米国の利益優先」を追求し、保護主義を万能薬だと考えるならば「世界の経済協力のルールは著しく損なわれ、米国とその貿易パートナーは共倒れする」と警告し、選挙期間中に中国製品に高関税をかけると主張したトランプ氏を牽制(けんせい)した。
さらに社説は「グローバリゼーションの時代、大国は高度に開放的であることが運命づけられている」と主張。利益を独り占めするような発想を大国が持てば「その活力は著しく衰退する」と指摘し、「米国経済を立て直すためには中国が最良のパートナーであることをトランプ氏は知るべきだ。中米両国のどちらが発展しても、相手は利益を受けることができる」とその相互依存関係を強調した。
中国の有力紙、新京報も25日付の紙面で「TPPの頓挫は中国の戦略的チャンスの時代を拡大する」と題する専門家の解説を紹介した。記事は米国がTPPを放棄したことは「間違いなく中国にとっての大きな好材料だ」と言及。その理由としてTPPの狙いはアジア太平洋地域で中国を排除した貿易体系を構築することであり、「中国が恩恵を受けている世界貿易機関(WTO)を飾り物にし、世界の貿易構造を一新することだった」と分析した。
記事はTPPがもし成功していれば、米と欧州連合(EU)による環大西洋貿易投資協定(TTIP)とともに中国がグローバリゼーションに参画する権利を奪い、中国は永遠に国際貿易の競争システムにおいて「辺境の地位」に置かれただろうと予測。中国が推進してきた東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の寛容性と開放性は発展途上国にとって有利であり、「中国はより重要な推進作用を発揮することが可能だ」と訴えた。(北京 西見由章)
トランプ誕生の原動力のひとつは、米有力紙が、泡沫候補とみられていたトランプを、部数増を狙いおもしろおかしく盛んに報道したこととされています。そして、支持率が増えてしまった後になってあわてて内容批判に転じたが後の祭り。むしろ、権力体制側による弾圧とさえ受け取られ逆効果を産み、一時劣勢となったトランプ支持を、終盤復活させることとなりました。ニューヨーク・タイムズ、ワシントンポスト、WSJが揃って嘆いていますが、それは自業自得。今回の大統領選での米国メディアの現状が大きく問われています。
反省と、今後の米国メディアの存在価値を懸けて、発売部数優先の商業主義ではなく、報道機関の役割を重視する基本に戻っていただけることを願います。
政府の意向を反映する中国各紙が、素直に喜んでいるのは、TPPをいかに脅威と感じていたかの証ですね。
新京報の「TPPがもし成功していれば、(中略)中国がグローバリゼーションに参画する権利を奪い、中国は永遠に国際貿易の競争システムにおいて「辺境の地位」に置かれただろう」と、日頃の虚勢をかなぐり捨てて、もろ手をあげて素直に歓喜している姿が、象徴的ですね。
トランプ氏を、当選後は、実業家として高く評価する意見があふれるようになりました。(会社を潰しがら大きくするのは、ひとつの手段としてありえますが、邪道の手腕。選挙戦でのポピュリズムの暴言での支持率獲得も、邪道の戦術。邪道に優れた手腕が、大国の政治リーダーとしても継続した能力を発揮し、米国民の支持を4年維持し続けられるか、注目されますが。。)
TPP参加国の一員の、アジアのシンガポールで、「ひとつの時代が終焉した」「TPP崩壊による地域の経済的かつ戦略的な空白は、「ゆくゆくは中国により埋められるだろう」」と報じられています。残念ながら、日本の名前が出てこない。。
トランプ氏が有能な実業家なら、当然判っているはずです。
TPP(多国間協定の経済圏)ではなく、二国間自由貿易でと補足していますが、中国がASEAN各国に南シナ海の覇権拡大問題で採っている手法と同じですね。その手法は、カンボジアなど隣接する途上国に、お金で従わせる古い手法として通用したものの、現状では限界が見えてきている手法(資金が必要でありお金の切れ目が縁の切れ目となる)。その中国の古い手法を真似ようと言うのなら、トランプ氏の実業家としての能力もお里が知れることになりますね。
# 冒頭の画像は、プロンプターを読みながら勝利演説をしたトランプ氏。選挙戦中との変化で評価をあげました。

セイヨウアブラナと蝶
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