遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

豪中FTA成立

2014-11-15 23:52:39 | EEZ 全般
 オーストラリアと中国とのFTA交渉は2005年に始まっていたのですが、中国国営企業の進出を懸念する豪側が慎重な姿勢を示し続けていて、アボット氏も野党時代は中国との交渉に批判的だったのですが、昨年首相に就任すると、FTA推進派に転じたのだそうです。
 オーストラリア政権は、親日派のハワード首相から、労働党で親中派のラッド首相に変わった後、震災での原発事故の風評にさいなまれていた東北をいち早く訪問して払拭に助力いただいたギラード政権、再のラッド政権を経て、ハワード首相と同じ自由党のアボット首相へと変遷してきたことは諸兄がご承知の通りです。
 アボット首相誕生で、ラッド首相時代の様な日豪関係のパイプが太くなることが期待されて、日豪EPA成立や、2+2協議開始など関係強化が進んでいて、日本の貴重な極秘技術とされる潜水艦技術の提供も、周囲の懸念を安倍首相が抑えて踏み切るところまで至っていますね。
 
 そのアボット首相も、低迷する鉱業関連企業や、海外教育や銀行などのサービス部門の輸出振興に迫られ、野党時代の主張を転じて、停滞していた対中FTAの締結に踏み切った様ですね。
 
豪中FTA、17日に調印の見通し - WSJ
 
G20「二兎」追う豪 きょう開幕 国防は日米 軍事訓練拡大 経済は中国 FTA締結へ (11/15 読売朝刊)

 【ブリスベーン(オーストラリア東部)=池田慶太】15日に開幕する主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)にあわせ、議長国のオーストラリアは中国と自由貿易協定(FTA)の締結で基本合意する見通しだ。豪州は昨年まで中国への警戒感からFTAに慎重だったが、主力輸出品の資源価格の低迷でFTA推進にかじを切った。ただ、中国の海洋進出への警戒は緩めず、防衛面では米国や日本との協力を加速する。経済と防衛で「二兎」を追う
構えだ。

■最大の貿易相手
 「今回のG20の焦点は成長と雇用だ」
 アボット豪首相は14日、記者団に言い切った。
 豪州は、最大の輸出品である鉄鉱石の価格が低迷、鉱業関連企業を中心に人員削減が相次いでいる。自国経済立て直しのためにも、G20で世界経済の回復を促したい考えだ。
 その豪州で、
経済界が切望するのが最大の貿易先である中国とのFTA
だ。豪メディアは、会議後の17日には、アボット首相が中国の習近平国家主席と会談し、FTAに合意すると報じている。FTAにより、「巨大な中国市場へのアクセスだけでなく、中国からの投資も呼び込める」(豪紙オーストラリアン)と期待されている。
 「FTAは両国の利益だ。数日のうちに成功するだろう」。10日、北京で中国の李克強首相と会談したアボット氏はこう強調した。
 中国とのFTA交渉は2005年に始まったが、
中国国営企業の進出を懸念する豪側が慎重な姿勢を示し続けていた。アボット氏も野党時代は中国との交渉に批判的だったが、昨年首相に就任すると、FTA推進派に転じた

 豪州は、米国の通商戦略の中核となる環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加国だ。
中国は10日に韓国とFTA締結で実質合意した。その1週間後に豪州ともFTAを締結することで、米国の通商戦略を揺さぶることになる


■南シナ海を警戒
 ただ、豪州は国防政策では日本や米国との関係を一段と強める方針だ。資源輸出国である豪州は、中国の南シナ海などへの進出で航行の自由が妨げられることを警戒している。
 アボット氏は12日、ミャンマーで安倍首相と会談した際、「防衛協力を一段と強化したい」と呼びかけた。
 G20にあわせて開催される日米豪首脳会談では、軍事訓練の拡大で合意する見通しだ。米国のアジア重視政策を支援するため、海兵隊の駐留を受け入れているほか、
日米豪で潜水艦の共同開発も進める方向
だ。
 シドニー大学のジョン・リー非常勤准教授は、「アボット政権は『豪州が米国から中国にシフトする』という誤った期待を中国に持たせず、経済面で良好な豪中関係を築こうとしている」と指摘。豪政府関係者も「
経済で必要だから、中国とつきあっている」と胸の内を明かす。

 ただ、国防計画では、第1次安倍政権時代の2007年9月以来、約7年ぶり2回目の日米豪3ヵ国首脳会談を実施し、中国の海洋進出への牽制も視野に安全保障についての共同声明が採択される予定です。
 
日米豪首脳会談:連携を強化、初の共同声明へ - 毎日新聞

 政経分離で二兎を追う政策に切り替えたアボット政権。潜水艦技術の提供について、青山繁晴氏が幾度も述べておられる、オーストラリアは何時親中に振れるか判らないので貴重な技術が中国に伝わる可能性が否定できないとの危惧が、想い起される事態ではあります。
 豪中のFTA協定は、豪の経済低迷と、中国のTPP対抗意欲が合致したもので、直ちに日本の潜水艦技術が中国に洩れる事には結びつきません。安全保障では日米豪の枠組みを強めようとさえしていることで、当面は危惧にとどまりますが、経済の為には、主張していた反FTAを、真逆の推進する方向に政策転換する実態を見せつけられると、豪から潜水艦の輸出がなされる危惧は捨てきれませんね。
 豪中FTA締結についてとやかくは言えませんが、潜水艦技術提供については、FTA締結を踏まえて、何らかの形の秘密保持契約を改めて追加する検討を申し出る必要がありますね。
 一方、南氷洋の調査捕鯨については、豪州が提訴した国際法廷の判決に日本は従うべきです。
 国益が常に一致することはあり得ないのですが、言うべきことは、きちんと言い合える。日豪はそんな絆の太い関係であってほしいと願っています。
 アジア、太平洋地域の平和は、日米豪の3ヵ国が連携して護っていかねばなりません。



 # 冒頭の画像は、アボット首相と習近平




  この花の名前は、野田の藤


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