願い・・・

2011-02-08 22:53:05 | 日記
家族と触れ合う時間・・・
その時間が 辛かったり 心地よかったり・・・
ほんとに いろいろだと思う

だけど・・・人は「たった一人」では 生きていけない
心という 大切なパーツがある限り・・・・

仕事の現場で 
時に 涙してしまうことも・・・
40代の今 同世代と それを追う世代に伝えたいことがある・・・
そう・・・その「心震える時間」を 共有して欲しい・・・

サービスを担当して 3年目の春
96歳独居の女性・・・
1日3回 事務所よりサポートしている
朝・・・排泄・食事介助
昼・・・排泄介助
夜・・・排泄・食事介助

昼間 ご本人の姪御さんが 毎日訪問されている
声かけと食事の準備・・・
連絡ノートには ご家族からの たくさんの声がしるされている

2月に入り 昼の排泄介助を担当することとなった
おむつ交換と 水分補給がメイン
昨年の秋まで ご自分でトイレに歩いていけたのに
ここ4ヶ月で ずいぶん様子が落ちている
年齢からして あたりまえのことだが
築40年の文化住宅で 彼女の毎日は どうなんだろうか?

インターフォンを鳴らし 玄関を開錠する
「ふみえさぁ~ん こんにちわぁ~」

『どうぞぉ~』小さいけれど かわいい声が聞こえる
生きている・・・よかった・・・

居室に入ると かわいい笑顔で挨拶してくれる(笑)
当然 ねたきりだ・・・
差し出された手を やさしく両手でつつみこむ・・・
「ちょっと 冷たいけど ごめんね・・・ どう?
 ともちゃん(姪御様)きてくれる?」
『うぅぅん~ ともちゃん こないねぇ』・・・ともちゃんは 毎日きている。
わたしにあたえられた時間は30分
午前に担当したヘルパーさんの食事が どれだけ摂取されているか
排泄状況のチェック シーツパジャマが汚れていればすべて清潔なものに交換
お茶とジュース そして おやつの準備 

なにより 彼女との会話を大切にしたい・・・
ゆっくりと おおきな声で 言葉1つ1つを丁寧に発声する
ほんとに ずっと彼女のそばでいたいと思う・・・
そう思わせる彼女なのだ
『あなたも お茶を 飲んでね』

清拭するタオルをレンジであたためながら オムツの準備
彼女の自尊心を傷つけないように 声かけしながら
現状のチェックをする すべて時間との戦いだ

『大丈夫なの』
その言葉をさえぎるように・・・
ヘルパーとしての仕事をこなす。。。なんだか切なくなる
気持ちよくすごして欲しい・・・それだけなのだ

冷蔵庫には プリン ロールケーキ いちご大福
ご家族が用意してくれたおやつが はいっている
ロールケーキも 食べやすいように 小さくカットされている
水分補給用のジュースも多彩だ。。。。とにかく 愛されている

プリンとアップルジュースを準備した
・・・ふみえさん 冷たいプリン おいしいでぇ(笑)いっしょに
   食べようか・・・・・・
『そうね・・・』
左半身を支えて 食事介助をする
ほんとに一口が 小さい・・・もう一口・・・食べて欲しい・・・
枯れ木のように乾いてくずれそうな小さな体
今まで どれだけいろいろな試練を乗り越えてきたのだろうか・・・

この春 彼女は姪御さんの住む 金沢に引っ越す
50年暮らしたこの大阪を離れるのだ・・・
あと少しの時間を 事務所でサポートしたい
できることなら 金沢まで行きたい気持ち・・・

お茶を準備したり おやつを準備したり・・・
丁寧に お辞儀をしてくれる彼女・・・
素直に助けが必要な自分をわかっている
そして サポートするわたしたちに とても優しい・・・
けっして彼女は「正常」では ないのだけれど
その お人柄 いままで生きてきた時間が
その体からにじみでている・・・

・・・あなたを大切にしたい・・・
仕事を通じて そんな思いをもつことが 不思議でしかたがない

『もう 帰るの?』
・・・そう 30分は短い・・・
毎日 お昼の時間は あたしがくるからね(笑) あしたも 笑っててね
ふみえさん だいすきよぉん(笑)
その 小さな体を優しく抱いて さようならをする・・・

あと 何回・・・できるのだろうか・・・

ほんとに
幸せな時間を
あと 少しだけれども
過ごして欲しいと

心から 願う