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はーちゃんdays 2

大学生の娘と今年の春から大学生の息子の二人の子供の父親。

寝たきり老人になるのは嫌だ!その5

2025年03月02日 | おやじの思考回路

ある老人の一日(別の日)
今日も天井を見つめる。
同じ天井、同じ時間、同じ静寂。
けれど、今日は少し違った。
ふと、思い出したのだ。どうして自分がこのように寝たきりになったのかを。

それは、あの日の誤嚥性肺炎から始まった。
あれはいつだっただろう。
食事をしていた。確か、煮魚だったと思う。ほんの少し喉に引っかかった感覚があった。むせた。
だが、それは一瞬のことだった。少し水を飲んで、なんとか飲み込んだ。
「大丈夫、大丈夫……」
そう思い込んだ。
しかし、その夜から咳が続いた。熱も出た。何かがおかしいと思ったが、「ただの風邪だろう」と思っていた。
数日後、息が苦しくなり、病院へ行った。
「誤嚥性肺炎ですね。」
医者がそう言った。

誤嚥性肺炎――。

食べ物や飲み物が誤って気管に入り、それが原因で肺に炎症を起こす病気。特に高齢者に多いものだという。
「嚥下障害がありますね。今までむせたり、飲み込みづらいことはありませんでしたか?」
確かに、最近食事中にむせることが増えていた。水やお茶でも喉に引っかかることがあった。
だが、それを深刻に考えなかった。
「歳をとればそういうものだろう」と軽く見ていたのだ。
医者は言った。

「嚥下機能が低下しているのに放置すると、誤嚥性肺炎を繰り返します。そのたびに体力が奪われ、いずれは……」

私はその言葉を聞き流した。
だが、現実は医者の言う通りになった。
誤嚥性肺炎を繰り返すうちに、体は衰えた。
食事が難しくなり、やがて胃瘻を造設することになった。
最初は少し歩けていた。だが、入院生活が長くなるにつれ、筋力はみるみる落ちた。立つこともできなくなり、ついに寝たきりになった。
あの時、もっと早く気をつけていれば――。
嚥下障害の兆候に気づいて、医者に相談していれば――。
今さら後悔しても、もう遅い。
私は今日も天井を見つめている。
静かな部屋の中で、ただ過去を思い返すことしかできなかった。

らくらくごっくん

 



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