柳美里の今日のできごと

福島県南相馬市小高区で、
「フルハウス」「Rain Theatre」を営む
小説家・柳美里の動揺する確信の日々

ダークサイド

2020年06月03日 11時02分00秒 | 日記
ダークサイドって、日常から遠く離れたところにあるんじゃなくて、足元にあるんですよね。 しかも、同じ場所に固定されてるわけじゃなくて、常に、揺らぎ、移ろいでいる。

散歩をすると、至るところに様々なものの影があるみたいに。

最近、よくダークサイドに嵌まります。

影かなと思ったら、水溜り? いや、足を踏み込んだら、池塘で、全身が沈むぐらいの水深があった、というような感じでーー、全身がダークサイドに浸かると、息が苦しくて、掴むものもなくて、溺れそうになります。

光が、見えなくなる。




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暗黒の日々

2020年06月01日 10時36分00秒 | 日記
10代半ばから、息子を妊娠した31歳の時まで、タバコを1日7箱吸っていました。

キャスター、キャビン、キャメル、マルボロ、ゴールデンバッド、いろいろ吸ったけど、20代半ばからはメンソールのバージニアスリムでしたね。

息子を出産した3ヶ月後に、伴侶だった(師でもあった)東由多加を癌で亡くしました。

息子が幼稚園に通いはじめたあたりから、トイレに行く時以外は寝たきりの鬱状態になりましたが、タバコには手を出さなかった。
(精神科に処方された薬はのんでいました)

鬱が躁転すると、
フルマラソン、山岳耐久レース、登山、モダンバレエ、テコンドーで、
自分の体を限界まで追い込み、
それも精神的に辛かった。

もう、許してください、ちょっと休ませて、と思うんだけど、自分が許さないんですよね、自分を。

1日のうちにね、
午前中、ボディービルダーに指導してもらい体育館でハードな筋トレ60分、鎌倉の山道や海沿いの道を20km走る、シャワーを浴びてバレエスタジオに行って個人レッスン90分、夜は往復60分走ってテコンドー教室に行ってテコンドーを90分、というようなめちゃくちゃなスケジュールで、自分の体をいじめ抜いていました。
で、その後、徹夜で仕事するんですよ。

それをしばらく続けると、精神が振り切れて鬱状態になり、寝込む、とーー。

そのあたりのことは、
『柳美里不幸全記録』(わたしが考えたタイトルではありません。新潮社の担当編集者が考えました)という本に書いてあるので、興味がある方は図書館で借りて読んでみてください。

ものごころついた頃から、10代、20代、30代、ずっと暗黒の日々だったな……



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女性性の否定

2020年06月01日 09時12分00秒 | 日記
10代、20代の頃は、ずっと拒食症と不眠症と双極性障害と出血性胃炎と十二指腸潰瘍を患っていた。

食べること、食べものが、怖かった。

仕事の会食でも、ほとんど食べなかった。

なに食べてたんだっけ?
と記憶を辿ると、
『ゴールドラッシュ』を書いていた、


初島クラブ(当時は、ホテルニューオータニ系列のリゾートホテル)自主缶詰の7ヶ月間に食べていたものは、
朝食・昼食兼で、くるみ1個を割って食べるのと、カマンベールチーズ1切れと果物(いま頃からぼちぼち出てくるさくらんぼと枇杷がいちばん好きです。果物全般が大好きで、いまでも主食にしています)。
夕食は、ホテル内のレストランに行き、
サラダとスープと小さなパンを一つ。
(サラダとスープは、毎日変えてもらっていました)
それだけ、です。
それを7ヶ月毎日。

割と安定している時は40kg台前半、十二指腸潰瘍や出血性胃炎がヤバい時は30kg台でしたね。

(40kgを割ると、もう何も食べられなくなります。食べようとすると、気持ち悪くなり、吐き気がする。何日も食べず、胃に激痛が走り、血を吐いて入院するーー、その繰り返し。よく、生きていたな。)

当時は、好きな洋服のブランドに試着に行っても、なかなか着れるサイズを見つけられないほど、痩せていた。胃がやられている時は、XSのスカートがくるくる回っちゃう。「これ詰められませんか?」「 詰めるとラインと模様が変わってしまうので……」「ダメかぁ……」というような会話を、いつも店員さんと交わしていました。

基本にあるのは、自己嫌悪と自己否定。
自分の体から女性性を拭い去りたかったんだと思う。

31歳で子どもを産んでから体重変動が激しく、過食と拒食を繰り返していたけれど……

(うんと肥るのも、うんと痩せるのも、女性性の否定です。ちょうどいい、いわゆる女らしいラインの体にはなりたくないんですよね)

う〜ん、それをもうやめたいんですよね。

健康、って、実感としてはよくわからないけれど、ある程度、バランスを取りたい。

もうそろそろ、自分の中の女を肯定してあげてもいいんじゃないか、と……

昨年10月の台風19号と25日の豪雨の時に、ちょうど青春五月党の新作公演「ある晴れた日に」の本番直前だったんです。


公演できるか?
 死者が出て、家が浸水して道路が冠水して、いわきや相馬や市内の鹿島区で断水してるのに、公演やっていいのか?
中止にする?
直前に中止したら、かなりの額の借金を背負うことになる。それ、どうやって工面する? どうやって返す? 次の公演を打てなくなるかもしれない……
と、ずっと奥歯を噛み締めていて、噛み砕いちゃったんですね。

「ある晴れた日に」の初日が開いても、東北ツアーがあって割と強行軍だったから、奥歯砕けたまま歯科医に行くことができず、卵豆腐とヨーグルトとプリンしか食べられませんでした。
いっきに7kg痩せたのをきっかけに減量をはじめて、いま、昨年10月頭の体重から、15kg減っています。

これ以上痩せると危険水域(つまり、かつての拒食症スイッチを押してしまう)だと自覚しているので、食べる時は食べています。

今日は、ラーメンを食べに行こうかな。

でも、完食できる自信が無いから、やめとくかな。

残すのは、嫌なんですよね……

お店の人と食材に対して、失礼だから。





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光と音

2020年06月01日 00時47分00秒 | 日記
音のしない落雷と
爆音を立てる流れ星を
見る、聴く
時間のない一瞬



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