10代、20代の頃は、ずっと拒食症と不眠症と双極性障害と出血性胃炎と十二指腸潰瘍を患っていた。
食べること、食べものが、怖かった。
仕事の会食でも、ほとんど食べなかった。
なに食べてたんだっけ?
と記憶を辿ると、
『ゴールドラッシュ』を書いていた、
初島クラブ(当時は、ホテルニューオータニ系列のリゾートホテル)自主缶詰の7ヶ月間に食べていたものは、
朝食・昼食兼で、くるみ1個を割って食べるのと、カマンベールチーズ1切れと果物(いま頃からぼちぼち出てくるさくらんぼと枇杷がいちばん好きです。果物全般が大好きで、いまでも主食にしています)。
夕食は、ホテル内のレストランに行き、
サラダとスープと小さなパンを一つ。
(サラダとスープは、毎日変えてもらっていました)
それだけ、です。
それを7ヶ月毎日。
割と安定している時は40kg台前半、十二指腸潰瘍や出血性胃炎がヤバい時は30kg台でしたね。
(40kgを割ると、もう何も食べられなくなります。食べようとすると、気持ち悪くなり、吐き気がする。何日も食べず、胃に激痛が走り、血を吐いて入院するーー、その繰り返し。よく、生きていたな。)
当時は、好きな洋服のブランドに試着に行っても、なかなか着れるサイズを見つけられないほど、痩せていた。胃がやられている時は、XSのスカートがくるくる回っちゃう。「これ詰められませんか?」「 詰めるとラインと模様が変わってしまうので……」「ダメかぁ……」というような会話を、いつも店員さんと交わしていました。
基本にあるのは、自己嫌悪と自己否定。
自分の体から女性性を拭い去りたかったんだと思う。
31歳で子どもを産んでから体重変動が激しく、過食と拒食を繰り返していたけれど……
(うんと肥るのも、うんと痩せるのも、女性性の否定です。ちょうどいい、いわゆる女らしいラインの体にはなりたくないんですよね)
う〜ん、それをもうやめたいんですよね。
健康、って、実感としてはよくわからないけれど、ある程度、バランスを取りたい。
もうそろそろ、自分の中の女を肯定してあげてもいいんじゃないか、と……
昨年10月の台風19号と25日の豪雨の時に、ちょうど青春五月党の新作公演「ある晴れた日に」の本番直前だったんです。
公演できるか?
死者が出て、家が浸水して道路が冠水して、いわきや相馬や市内の鹿島区で断水してるのに、公演やっていいのか?
中止にする?
直前に中止したら、かなりの額の借金を背負うことになる。それ、どうやって工面する? どうやって返す? 次の公演を打てなくなるかもしれない……
と、ずっと奥歯を噛み締めていて、噛み砕いちゃったんですね。
「ある晴れた日に」の初日が開いても、東北ツアーがあって割と強行軍だったから、奥歯砕けたまま歯科医に行くことができず、卵豆腐とヨーグルトとプリンしか食べられませんでした。
いっきに7kg痩せたのをきっかけに減量をはじめて、いま、昨年10月頭の体重から、15kg減っています。
これ以上痩せると危険水域(つまり、かつての拒食症スイッチを押してしまう)だと自覚しているので、食べる時は食べています。
今日は、ラーメンを食べに行こうかな。
でも、完食できる自信が無いから、やめとくかな。
残すのは、嫌なんですよね……
お店の人と食材に対して、失礼だから。