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柳美里の今日のできごと

福島県南相馬市小高区で、
「フルハウス」「Rain Theatre」を営む
小説家・柳美里の動揺する確信の日々

岸田國士戯曲賞の選考委員の仕事

2020年02月12日 09時20分00秒 | 日記
今日はこれから仙台だけど、往復3時間の常磐線の車内で岸田國士戯曲賞の候補作を読む。

今日中に全ての候補作を読み終え、
明日17時〜東京神保町・學士會館で行われる選考会までに、どの作品を推して、どの作品を推さないのか、その理由を明確にしておかなくてはならない。

そして、野田秀樹さん、岩松了さん、平田オリザさん、ケラリーノ・サンドロヴィッチさん、岡田利規さんとの議論に臨む。

(去年の選考会が初参加なんですが、非常にハードでした。思わず、司会の和久田頼男さんに、「これ、このまま並行線だったら、このあと何時間も続ける感じですよね」と訊ねたほど……)

岸田賞の選考委員のギャラは、他の文学賞と比べて破格に安い。ゼロが1つ足りない。しかも、選評の稿料込みだから、よく選考委員のみなさん、続けてるよな、と思う。

この条件では、わたしは仕事を受けない。
書くことで生計を立てている以上、自分で定めている稿料の最低線を下回る仕事を受けたら、生計が成り立たなくなるし、生計が成り立たなくなれば、そもそも収益を出すのが難しい演劇と本屋を継続することが出来なくなってしまうからだ。

岸田國士戯曲賞の選考委員料(選評の稿料込み)は、ほぼボランティアに近い条件だ。

(他の文学賞に携わっている人が、え!マジか!と驚くだろうから、内緒にしときますね)

でも、わたしは、二つ返事で岸田國士戯曲賞の選考委員を受けた。

何故か?

24歳の時の岸田賞初ノミネートで、井上ひさしさんと別役実さんが「魚の祭」を強く推して下さったからだ。
史上最年少での受賞だったため(四半世紀以上経つが、まだ破られていない)大きく報道され、インタヴューやテレビドキュメンタリーの出演や週刊誌の連載エッセイや小説の依頼が押し寄せ、物書きとして食べていく道筋が出来た。

柳美里を世に出してくれたのは、間違いなく、岸田國士戯曲賞である。

選考委員の仕事は、岸田國士戯曲賞への恩返し、演劇への奉仕だと思っている。

よし、読む。





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